ニュー・ホライゾンズが太陽系の果ての天体を観測

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    New Horizons Successfully Explores Ultima Thule

     

    2019年は太陽系の果てからのメッセージとともに明けました。

     

    201911日午前1233分(アメリカ東部時間)、NASAの探査機ニュー・ホライゾンズは太陽系外縁部にあるカイパーベルト天体ウルティマ・トゥーレに接近し、その画像を送ってきました。地球からの距離は約66km。探査機が観測した最も遠くにある天体です。ウルティマ・トゥーレとは「世界の果ての遠い島」という意味です。

     

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    ニュー・ホライゾンズが3500kmの距離から撮影したウルティマ・トゥーレはボーリングのピンのような形をしており、サイズは32×16kmでした。15時間もしくは30時間で自転しているようです。

     

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    太陽系の外縁部には小天体がたくさん分布しており、太陽系外縁天体あるいはカイパーベルト天体とよばれています。2015年に冥王星の探査を終えたニュー・ホライズンズは、次の目標として、2014年に見つかっていたカイパーベルト天体MU69を目指すことになり、MU69にウルティマ・トゥーレという愛称がつけられました。

     

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    ニュー・ホライゾンズは今後20か月をかけて、ウルティマ・トゥーレの科学データを送ってくることになっています。太陽系初期の姿をとどめるウルティマ・トゥーレがどのような驚きをもたらしてくれるのか楽しみです。


    2019年の主な天文現象

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      Astronomical Calendar 2019

       

      2019年もさまざまな天体ショーを楽しむことができます。

       

      すでに肉眼で見えている46/Pウィルタネン彗星は元旦には5等級の明るさです。

       

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      16日には全国で部分日食がみられます。

       

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      717日には西日本でわずかですが部分月食が見られます。

       

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      1226日には全国で部分日食が見られます。

       

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      2020111日に地球に最接近する289/Pブランパン彗星は1231日には4等級になります。

       

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      11

      46/Pウィルタネン彗星が肉眼光度(5等級)

      16

      全国で午前中に部分日食(東京での食分0.42

      16

      金星が西方最大離角(明け方の東天で明けの明星)

      121

      アメリカ方面で皆既月食(北日本で半影月食)

      21

      夜明け前の東天で細い月と金星が接近(南米で金星食)

      49

      ヒアデス星団の食(夕方の西天)

      529

      準惑星ケレスが衝(さそり座で7.0等)

      611

      木星が衝(へびつかい座)

      616

      準惑星ケレスの食(月齢は12、ケレスは7.4等)

      74

      火星食(昼間の現象)

      710

      土星が衝(いて座)

      717

      部分月食(西日本で月入帯食のみ)

      81

      金星食(新月)

      813

      ペルセウス座流星群が極大(月没後は好条件)

      813

      金星が外合(以後は夕方の西天で宵の明星)

      94

      火星が合(以後は2020106日の準大接近へ向け接近開始)

      910

      海王星が衝(みずがめ座φ星に大接近)

      913

      中秋の名月

      1028

      天王星が衝(おひつじ座)

      117

      くじら座の長周期変光星ミラが極大

      1111~12

      アメリカ方面で水星の日面経過(日本では見えない)

      1120

      289/Pブランパン彗星(8等級)とみずがめ座の惑星状星雲NGC7293が接近

      1215

      ふたご座流星群が極大(月明がある)

      1226

      全国で部分日食(東南アジアで金環日食)

      1229

      夕空で月(月齢2.9)と金星が大接近(南極で金星食)

      1231

      289/Pブランパン彗星が4等級の肉眼彗星に

      2020111

      289/Pブランパン彗星(4等級)が地球に最接近(0.091天文単位)

       

      天体写真家の藤井旭さんから送っていただいた「2019年天文現象カレンダー」に掲載されている情報を使わせていただきました。


      アナク・クラタカウ火山のSAR画像

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        SAR Images of Anak Krakatau

         

        国土地理院がアナク・クラタカウ火山を合成開口レーダー(SAR)で観測した画像を発表しました。JAXAの「だいち2号」に搭載されているPALSAR-2が取得したものです。

         

        下の画像は、噴火前の1220日の画像です。赤い破線内の暗い部分が火口です。

         

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        噴火後の1224日の画像が下です。

         

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        赤い破線内の地形が変わっています。火山島の半分は噴き飛んで完全になくなり、火口は海面すれすれか海面下になっています。

         

        クラタカウ火山はインドプレートがユーラシア・プレートの下にもぐりこむ場所にあり、地下のマグマだまりに常に熱が供給されています。現在の活動の中心であるアナク・クラタカウの活動は今後も続くと考えられます。


        アナク・クラカタウ火山の噴火

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          Eruption of Anak Krakatau Volcano

           

          12月22日にインドネシアで発生した津波はスマトラ島とジャワ島の沿岸部を襲い、死者数は現時点で400人を超えています。津波はスンダ海峡にある火山島アナク・クラカタウの噴火が原因でした。噴火によって山体が崩壊して海中で大規模な地滑りが発生し、津波を発生させたとみられています。

           

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          アナク・クラカタウの火山活動は現在も続いています。高さ約300mの山体は大部分が噴き飛んでなくなり、島の形が変わっていると思われます。

           

          アナク・クラカタウは1883年に有史以来最大といわれる火山噴火を起こしたクラタカウ火山のカルデラにある中央火口です。下の画像は噴火前のクラカタウ火山です。

           

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          ここには古い時代、直径約10km、高さ約2劼竜霏腓扮濘躱の火山島がありました。この古クラカタウ火山は今から約6万年前に大噴火し、山体の大部分が吹き飛び、カルデラが形成されました。ラカタ島、セルトゥン(ヴェルラーテン)島、パンジャン(ラング)島はカルデラの縁にあたる島々です。17世紀になると、カルデラの内部にダナン島、ペルゴアタン島が出現し、ラカタ島と陸続きになりました。ここが当時クラカタウ火山とよばれていました。1883年に大噴火したのは、ダナン島とペルゴアタン島の部分です。噴火によって生じたカルデラによって、ラカタ島の北西部分もえぐられて陥没しました。

           

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          1883年の噴火では、高さ30m以上の津波が発生し、3万6000人以上の死者が出たといわれています。噴き上げられた大量の火山灰は高度80劼肪し、80万平方kmの地域に2日半にわたって暗黒の日をもたらしたといわれています。火山灰はさらに全球をおおい、日傘効果によって世界の平均気温は5年間にわたって0.5度C低下しました。

           

          1927年にカルデラの中心部に新たな火山島が誕生しました。それがアナク・クラカタウです。アナク・クラカタウは「クラカタウの子供」という意味です。アナク・クラカタウは噴火をくり返しながら成長してきました。2018年は7月から活動がはげしくなり、溶岩の流出やはげしい噴煙が観測されていました。


          月からのメリー・クリスマス:アポロ8号から50年

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            Merry Christmas from the Moon50th Anniversary of Apollo 8

             

            今から50年前、アポロ8号は初めて月を周回する軌道に到達しました。クルーはジェームズ・ラヴェル、ウィリアム・アンダース、フランク・ボーマンの3人(下の画像で左から)でした。私たちにとっては当たり前になってしまった宇宙空間に浮かぶ青い地球や、月面から上る地球(アースライズ)の映像はアポロ8号によって人類に初めてもたらされたのです。

             

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            アポロ8号は19681221日に打ち上げられました。

             

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            下の画像はアポロ8号が地球の軌道を離れて月に向かった際に撮影したものです。

             

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            当時アメリカとソ連は月着陸競争を繰り広げていました。アメリカは月着陸を目指す大型ロケット、サターン5型を開発していました。アポロ8号はサターン5型に人間を載せる最初のミッションでした。一方、ソ連も巨大ロケットN-1を開発しており、196812月にN-1 で初の有人月周回を目指す宇宙船を打ち上げそうだという報告がCIAからもたらされました。しかし、N-1 12月に発射台を離れることはありませんでした。そこで、NASAはアポロ8号を地球周回軌道はなく、月周回軌道に送ることを決断したのです。このあたりのことは『ファイナル・フロンティア――有人宇宙開拓全史』に詳しく書きましたが、きわめて危険に満ちたミッションでもありました。

             

            アポロ8号は1224日に月を周回する軌道に達し、人類は初めて月の裏側を肉眼で見ました。月はいつも同じ面を地球に向けています。そのため、月面からは地球はいつも同じ位置に見えます。月の地平線から地球が上るシーンは、月を周回している宇宙船からしか撮影できません。下は、アポロ8号が撮影したアースライズの1シーンです。

             

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            地球はクリスマス・イヴを迎えていました。地球への2度目のテレビ放送で、アポロ8号は月の地平線に浮かぶ地球の映像を送ってきました。「地球の皆さまに、アポロ8号のクルーからメッセージがあります」。そして3人は交代で旧約聖書の『創世記』を朗読しました。「初めに、神は天地を創造された。・・・神は言われた。『天の下の水は一つ所に集まれ。乾いた所が現れよ。』そのようになった。神は乾いた所を地と呼び、水の集まった所を海と呼ばれた。神はこれを見て、良しとされた」。

             

            「おやすみなさい。メリー・クリスマス。地球のすべての人に神の御加護がありますように」。アポロ8号のコマンダーのボーマンは、放送をそう締めくくりました。


            ベツレヘムの星とは何だったのか

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              What was the Star of Bethlehem?

               

              この季節、街のいたるところにクリスマスのイルミネーションが見られます。クリスマスツリーの一番上に飾られる星は、イエスが生まれたときに出現したベツレヘムの星です。下はプラド美術館所蔵のヒエロニムス・ボス作『東方三博士の礼拝』です。イエスを抱くマリアのいる小屋の上に明るい星が描かれています。

               

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              この星の正体が何であったのかについては、昔からいろいろな説があります。

               

              下のルネサンス初期の画家、ジョット(12671337)の『東方三博士の礼拝』(部分)では、イエスの生まれた小屋の上に彗星が描かれています。

               

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              この彗星は76年周期のハレー彗星で、ジョットがこの絵を描く少し前の1301年に出現しました。ジョットがハレー彗星を実際に見たかどうかは定かではありませんが、少なくとも、その出現に強い印象を受け、これをベツレヘムの星として描いたわけです。イエスが生まれたころのハレー彗星の出現時期は紀元前12年なので、これをベツレヘムの星と考える人もいます。ハレー彗星が1986年に地球に接近したとき、ヨーロッパが打ち上げたハレー彗星探査機「ジョット」は、この絵を描いた画家の名前にちなみ名付けられたのです。

               

              ベツレヘムの星は『新約聖書』の「マタイによる福音書」に出てきます。イエスが生まれたとき、エルサレムのヘロデ王のところに、東方から3人の「占星術の学者」がやって来て言います。「ユダヤ人の王としてお生まれになった方は、どこにおられますか。わたしたちは東方でその方の星を見たので、拝みにきたのです」。ヘロデ王は不安になり、エルサレムの学者たちを集めて、預言では救世主はどこで生まれることになっているかと聞きます。それはベツレヘムであると、彼らは答えました。そこでヘロデ王は占星術の学者たちを呼び寄せ、「星の現れた時期」を確かめ、ベツレヘムへ行ってその子のことを調べてほしいと頼みます。「彼らが王の言葉を聞いて出かけると、東方で見た星が先立って進み」、イエスのいる場所の上に止まります。「学者たちはその星を見て」喜びにあふれました。

               

              ベツレヘムの星が何かの象徴ではなく、実際に起こった天文現象であったとすると、それが何かを知るためには、まずイエスの生まれた年が問題になってきます。紀元1年がイエスの生まれた年とされているわけですが、実際のイエスの誕生年はそれより少し早いことがわかっています。イエスの両親、ヨセフとマリアがベツレヘムへ行ったのは、ローマ皇帝アウグストゥスの人口調査令のためでしたが、これが行われたのは紀元前85年です。ヘロデ王がイエス、すなわちユダヤの王の誕生をおそれて2歳以下のユダヤの男児を皆殺しにしたのが紀元前65年、ヘロデ王が死んだのが紀元前4年です。したがって、イエスの誕生は紀元前75年あたりとみられています。このころにおこった、占星術的に見て特別な意味をもつ天文現象を探さなくてはなりません。

               

              もう1つ、ベツレヘムの星が現れた方角も大事になるかもしれません。占星術の学者は、「東方で」星を見たのですが、この部分は原文からすると「東の場所で」という意味以外に、「東の空に」とも解釈できるのです。また、ベツレヘムはエルサレムの南にありますので、星が占星術の学者たちに先立って進んだということは、このとき、星は南の方角に見えていたことになります。一晩のうちに、星は東から西に移動しますから、どの方角に見えていても問題ないとも考えられますが、ある星または特別な天文現象が東の空にあらわれる(昇ってくる)こと自体が、ベツレヘムの星の意味だとする考えもあるのです。

               

              さて、ベツレヘムの星とは何だったのでしょうか。彗星は候補の1つです。ハレー彗星は出現時期からみて少し無理があるかもしれませんが、イエスが生まれたころに別の彗星が出現していたかもしれません。ただし、それに該当する彗星の記録は残っていません。

               

              一生の終わりに爆発して明るく輝く超新星も、候補になります。ヨハネス・ケプラーはこの説をとっていました。彼は1604年に超新星を観測していますが、そのとき木星と土星が接近しており、超新星はこの2つの惑星の間の位置に出現しました。そこで、ケプラーは惑星が接近した時に超新星が生まれると考えました。彼は惑星の軌道計算によって、紀元前7年に木星と土星が接近したこと、さらに紀元前6年には火星と木星と土星が接近したことを知っており、このときに出現した超新星がベツレヘムの星だと考えたのです。

               

              紀元前7年には木星と土星の接近(会合)がうお座で3回おこりました。この3連会合はめずらしい現象なので、これがベツレヘムの星であるという説もあります。聖書で「星」は単数形になっていますが、それ自体、複数の概念をふくむ言葉とされていますので、こうした天文現象も、ベツレヘムの星の候補となり得るのです。3回の会合の日付については、文献によっていくつか別の組み合わせがあります。計算に使ったプログラムのせいかもしれません。私が天文ソフトで調べたところでは、527日、106日、121日というのが正しいようです。

               

              比較的最近では、紀元前6年に木星がおひつじ座にあり、4月に東の空に昇ってきたことがベツレヘムの星だという説が出されています。これはローマ時代のコインに、おひつじが振り向いて星を見ているという図柄のものがあることから考え出されたものです。この年、木星はおひつじ座の中を行ったり来たりするのですが、12月に方向を変えるために止まったときが、ベツレヘムの星がイエスの小屋の上に止まったときだというのです。

               

              ベツレヘムの星が何であるか、結論は出ていませんが、キリスト教徒でなくても少しだけ聖書の世界に親しみ、古い時代の天文現象に思いをはせることができるのも、クリスマスの楽しみの1つです。



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