熱帯化する日本列島

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    各地で記録的な猛暑が続いています。こうした高温現象は地球温暖化という長期的な気候変動が背景にあり、今後の日本列島では、これまで経験したことのない猛暑が日常的になると考えられます。

     

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    下は、気象庁が発表している日本の年平均気温の推移です。長期的な気温上昇傾向がみられ、特に1990年以降の気温上昇が顕著です。

     

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    下は、NASAが発表している全世界の年平均気温の推移です。同じ傾向がみられます。

     

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    このように、地球は地球温暖化によるはげしい気候変動の時代に入っているといえます。年平均気温が上昇すると、なぜ最近のような高温現象が起こるのかは、以下のグラフで理解することができます。

     

    下は、NASAが発表している1951〜1961年の北半球夏の最高気温の分布です。青い部分は最高気温が低かった日の分布、赤い部分は最高気温が高かった日の分布です。多くの日は中央の平均値をはさむグレーの部分に集中し、全体はいわゆる正規分布の形になっています。

     

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    下は、2001〜2011年の北半球夏の最高気温の分布です。地球温暖化によって分布が全体として右、すなわち高温側にシフトしていることが分かります。1951〜1961年の青い部分は少なくなり、1951〜1961年にはなかった赤い部分が増えています。

     

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    上のグラフの右端、すなわち標準偏差が3〜5の部分は、1951〜1961年には観測されなかった非常に高温の日です。現在の記録的猛暑は、まさにこの部分に該当しているのです。非常な高温現象は一時的なものでなく、年平均気温が上昇すれば必ず出現する現象であることが、お分かりになると思います。熱帯化する日本列島で、これまではなかった猛暑にいかにして対処するか、長期的な取り組みが必要です。


    「平成30年7月豪雨」は地球温暖化の影響

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      Severe Precipitation and Global Warming

       

      「平成307月豪雨」は近年まれにみる激烈な豪雨となり、九州、四国、中国、近畿地方に大きな被害がもたらしました。下はJAXAの衛星全球降水マップGSMaPで見た762000分から2059分の日本列島周辺の降雨の状況です。九州、四国、中国地方に集中した降雨が見られます。

       

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      下はGSMaPによる751000分から8959分までの72時間の積算降水量です。

       

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      今回の豪雨は日本列島に接近した台風7号が、停滞していた梅雨前線に湿った空気を大量に送りこんだために発生しました。日本列島では6月、7月に、北上してきた台風が梅雨前線を刺激して豪雨をもたらすことがよく起こります。しかし、今回の豪雨はこれまでとは比較にならないくらのはげしさでした。

       

      近年日本で、非常に強い降雨が増加していることは、気象庁の統計からも明らかです(もちろん、これは日本だけの傾向ではありません)。それぞれの豪雨が発生する原因は、その時の気圧配置や海面温度などによって説明が可能ですが、その背景を考えた場合、こうした豪雨が多発するのは地球温暖化の影響によるものと考えて間違いありません。大気中に存在できる水蒸気量の上限を飽和水蒸気量といいます。気温が1℃上昇すると、飽和水蒸気量は約7%増加します。気温が上昇すると、大気中に含まれる水蒸気量が増え、その結果、激烈な降雨が発生するわけです。

       

      世界の平均気温は上昇傾向を維持しています。今回のような豪雨はこれからも発生するでしょう。これまでの防災対策では間に合わない規模の災害がもたらされる可能性が高く、さらなる対策が必要になります。

       


      キュリオシティが火星で複雑な有機物を発見

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        Curiosity Finds Ancient Organic Materials

         

        NASAは火星ローバー、キュリオシティが採取した岩石サンプルから何種類もの複雑な有機物を発見したと発表しました。

         

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        キュリオシティは着陸したゲール・クレーター内を移動しながら調査を続けています。火星には太古、豊富な水が存在しました。ゲール・クレーターも35億年ほど前には湖だったと考えられています。今回、有機物が発見されたと発表された岩石はこの時代の泥岩です。火星に原始的な生命が存在していたかもしれないと考えられている時代の泥岩から有機物が発見されたわけです。

         

        キュリオシティはドリルで岩石に深さ5cmほどの穴を明けてサンプルう採取し、SAMという装置で加熱し、出てきたガスの質量分析をしました。『サイエンス』誌に掲載された論文によると、チオフェン、2-メチルチオフェン、3-メチルチオフェン、メタンチオール、ジメチルスルフィド、ベンゾチオフェンなどが検出されました。ただし、これらの有機物が生命起源であるのか、それとも自然起源であるのかは、今回の調査では結論がでません。

         

        今回の発見により、非常に古い時代につくられた有機物が火星表面近くに分布している可能性が示唆されます。ただし、火星の表面は宇宙放射線や紫外線などの照射にさらされており、有機物は分解したり、変質してしまいます。照射の影響のない深い箇所からサンプルを採取すれば、火星の生命に関するより具体的な情報が得られて可能性があり、将来の火星探査に期待がかけられます。


        アポロ宇宙飛行士アラン・ビーンさんが死去

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          Alan BeanApollo Astronaut and Artist Died

           

          アポロ12号で月面を歩き、スカイラブ計画で船長をつとめた元宇宙飛行士のアラン・ビーンさんが526日に亡くなりました。

           

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          ビーンさんは1981年にNASAを退職した後、画家となり、自らの宇宙体験を素晴らしい絵にしました。

           

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          来年はアポロ11号の月着陸50年にあたります。アポロ計画では合計12人が月面を歩きました。その人たちがだんだんと世を去っていくのはさびしい限りです。

           

          アポロ11

          船長:ニール・アームストロング

          月着陸船パイロット:エドウィン・オルドリン

          人類として初めて月に降り立ったアームストロングさんは20128月に死去。オルドリンさんは現在88歳ですが、お元気です。月や火星への有人飛行に積極的に発言しています。

          アポロ12

          船長:ピート・コンラッド

          月着陸船パイロット:アラン・ビーン

          コンラッドさんは19997月に死去。ビーンさんも亡くなりました。

          アポロ14

          船長:アラン・シェパード

          月着陸船パイロット:エドガー・ミッチェル

          アメリカ初の有人宇宙飛行を行ったシェパードさんは19987月に死去。ミッチェルさんも20162月に死去しました。

          アポロ15

          船長:デイヴィッド・スコット

          月着陸船パイロット:ジェームズ・アーウィン

          スコットさんはご健在、アーウィンさんは1991年に死去しました。

          アポロ16

          船長:ジョン・ヤング

          月着陸船パイロット:チャールズ・デューク

          スペースシャトルでも船長を2回つとめたヤングさんはつい先日、20181月に死去。デュークさんは健在。

          アポロ17

          船長:ユージン・サーナン

          月着陸船パイロット:ハリソン・シュミット

          アポロ計画最後の船長であるサーナンさんは20171月に死去。シュミットさんは健在です。


          キラウエア火山:溶岩の流出続く

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            KiraueaEruption of Lava Continues

             

            ハワイ島のキラウエア火山が活発な活動を続けています。

             

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            はげしく噴き上がる溶岩は時には高さ10m以上にも達しています。粘性が低い溶岩は川のような流れになり、520日には海岸にまで達しました。海水と反応して水蒸気が上っています。オーシャン・エントリーとよばれる現象です。

             

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            ハワイ島は北からコハラ、マウナケア、フアラライ、マウナロア、キラウエアという5つの火山からできています。ハワイ島の南東部に位置するキラウエアはその中で一番若い火山です。標高1248mの頂上にあるのがキラウエア・カルデラで、直径は5km×3km。カルデラの周囲にはビジター・センターやハワイ火山観測所(HVO)、トーマス・ジャガー博物館があり、ハワイ島の観光名所になっています。火山に関する展示があるトーマス・ジャガー博物館の展望台からはカルデラ内を眺望することができます。

             

            キラウエア・カルデラは1924年までは常に溶岩をたたえていました。1924年にカルデラ内のハレマウマウ火口で大規模な水蒸気爆発が起こりました。以後、カルデラ内の活動は比較的静穏になりましたが、それでもたびたび溶岩を流出しています。2008年にはハレマウマウ内に新しい火口ができ、オーバールック火口とよばれています。

             

            キラウエア・カルデラの西にはサウスウェスト・リフトゾーン、東側にはイースト・リフト・ゾーンとよばれる噴火帯が伸びています。キラウエア火山の特徴は、カルデラ内の活動に加え、こうした噴火帯から大量の溶岩が流出する点にあります。キラウエア火山をつくっているマグマ溜りはカルデラの真下約2~3kmという非常に浅いところにあり、上昇してくるマグマはカルデラ内の火口だけでなく、これらの噴火帯へも移動していくのです。

             

            サウスウェスト・リフトゾーンでは1974年に溶岩流出がありましたが、それ以降、活動はありません。最近の活動はイースト・リフト・ゾーンに移っています。イースト・リフト・ゾーンはキラウエア・カルデラに近いアッパー・イースト・リフト・ゾーン、その東のミドル・イースト・リフト・ゾーン、さらにその東のロワー・イースト・リフト・ゾーンに分けられます。

             

            現在のキラウエア火山の活動は、1983年から続いているものです。1983年、キラウエア・カルデラの東約15kmの地点ではげしい溶岩の噴出がはじまりました。アッパー・イースト・リフト・ゾーンとミドル・イースト・リフト・ゾーンの境あたりの場所です。溶岩の噴出は3年以上にわたり、高さ255mになった火砕丘はプウオーオーと名づけられました。1986年に溶岩の噴出は北東にできた割れ目に移動しました。溶岩は州道130号線を分断し、海に達しました。1992年には再びプウオーオーが活動を開始しました。プウオーオーの活動は2007年にも活発になり、北東部に新しい割れ目が生まれ、溶岩が流出しました。2008年から2014年の間、プウオーオーとその東にできた割れ目から大量の溶岩が流出し、海に達しています。

             

            今年53日に始まった溶岩の流出は、ロワー・イースト・リフト・ゾーンで起こりました。レイナニ・エステーツという住宅地に割れ目が出現し、溶岩が噴出しました。以後、現在までに合計23個の割れ目が生じています。

             

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            現在割れ目噴火が特に活発なのはレイナニ・エステーツよりも東の22196523の割れ目で、流出した溶岩が海岸にまで達しています。下はUSGS(アメリカ地質調査所)が発表している地図の一部です。

             

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            一方、ハレマウマウ火口は515日に水蒸気爆発を起こし、翌16日には噴煙が高度9000mに達しました。同火口は以後も噴煙を上げています。

             

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            キラウエア火山の活動は今後も続きそうです。


            豊渓里核実験場はすでに使用不能

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              Punggye-ri Nuclear Test Site Potentially Unusable.

               

              北朝鮮は豊渓里核実験場を廃棄する準備をしているようです。

               

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              しかし北朝鮮は核の即時廃棄を考えていません。米朝合意によって「非核化」が進められることになったとしても、北朝鮮の核技術は何らかの形で温存され、場合によってはひそかに核開発が続けられる可能性もあります。

               

              豊渓里核実験場は後述するように山体が崩壊する危険性があり、もはや核実験を行う場所として適していません。おそらく別の場所に新しい核実験場が建設されているでしょう。すでに必要なくなった施設を廃棄しても、それは単なる政治ショーにすぎません。

               

              これと同じようなことは2008年にありました。北朝鮮はプルトニウム生産を行っていた寧辺の黒鉛減速炉の運転を2007年に停止し、IAEAの査察を受け入れるとともに、翌年に原子炉の冷却塔を爆破しました。

               

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              原子炉無力化の一環とされた冷却塔爆破の際にはアメリカ、韓国、日本のメディアも招待され、その映像は世界に配信されました。ただし、冷却塔は原子炉本体とは別の構造物であり、新たに建設するのはそれほど難しいことではありません。実際、北朝鮮は2013年に冷却塔を復旧し、2015年に原子炉を再稼働させました。

               

              北朝鮮はこれまで6回の核実験を行いました。

              1回目:2006109

              2回目:2009525

              3回目:2013212

              4回目:201616

              5回目:201699

              6回目:201793

              実験が行われたと推定されている場所を下に示します。

               

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              豊渓里には「北」「東」「西」「南」の坑道があります。最初の実験は東の坑道で行われましたが、それ以後の5回は北の坑道を使っています。北の坑道は標高2205mの万塔山の下に水平に伸びており、その奥で爆発させています。2017年の6回目の実験は推定120ktともいわれる規模の大きなもので、北朝鮮は水爆の実験であったと主張しています。6回目の実験場所は特定されておらず、いくつかの推測がありますが、5回目の実験場所の近くとされています。5回目、6回目の実験を行った場所は、万塔山頂上のほぼ真下にあたります。深さ800mほどで核爆発を行ったとみられます。

               

              地下で核爆発を行うと、爆発点には球形の空洞(キャビティー)ができ、その内壁は岩石が融けてガラスになります。高温のガラスは空隙の底にたまります。爆発点の周囲の岩盤には、衝撃によって広い範囲にわたって亀裂が走ります。亀裂でもろくなった空洞上部の岩盤は落下しで空洞を埋めます。このため空洞上部の岩盤は次々に崩落し、チムニー(煙突)とよばれる円筒状の破砕構造ができます。空洞のサイズが小さい場合は、チムニー形成にいたるような大規模な崩落はおきません。

               

              2回目〜5回目までの核実験でできた空洞の直径は1〜数mと推定されます。6回目の実験は規模が大きかったため、空洞は直径10mほどになったでしょう。6回目の核実験では、マグニチュード6.3の地震が観測されました。さらに核爆発の830秒後に、同地点が震源と推定されるマグニチュード4.1の地震が発生しました。2回目の地震は、空洞が崩壊したために発生したと考えられています。

               

              万塔山の山体はこれまでの実験でもろくなっており、崩壊する危険性があります。実際、地すべりが起こっている場所も多数あります。山体の崩壊は、まだ使っていない「西」や「南」の坑道を使ったとしても発生する可能性があります。さらに亀裂を伝わって放射性物質が山体から大気中に漏れてくる可能性もあります。豊渓里はもはや使用できない核実験場なのです。



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