ボーイングの新型宇宙船:無人試験飛行の打ち上げは12月20日

0

    Boeing’s Orbital Flight Test (OFT) launches on Dec. 20, 2019

     

    ボーイング社の新型宇宙船、スターライナーの軌道飛行試験(OFT)がいよいよ行われることになりました。

     

    20191217_01.jpg

     

    無人のスターライナーの打ち上げは、1220日午前636分(日本時間202036分)です。ケープ・カナヴェラルの41射点から、ULAのアトラス5によって打ち上げられます。

     

    アトラス・ロケットのセントール上段切り離し後、スラーライナーは自らのエンジンを噴射して国際宇宙ステーション(ISS)への軌道に入ります。

     

    ISSのハーモニー・モジュールにドッキングするのは1221日午前808分(日本時間212208分)の予定です。ドッキング完了後、クルーはスターライナーのハッチを開け、貨物の運び出しや内部の点検を行います。

     

    スターライナーは約1週間ISSに滞在し、1228日午前216分(日本時間281616分)にISS〜分離されます。同日午前502分(日本時間1902分)頃、軌道離脱のエンジン噴射を行い、サービス・モジュールを分離し、大気圏に再突入します。

     

    スターラーナーのクルー・モジュールは3基のパラシュートで降下し、午前548分(日本時間1948分)頃に、ニュー・メキシコ州ホワイトサンズ宇宙港に着地します。

     

    20日の打ち上げが延期になった場合、21日と23日にもローンチウインドウがあります。また、25日と28日も打ち上げ可能とのことです。

     

    軌道飛行試験は、有人試験飛行に向けたきわめて重要なステップです。軌道飛行試験が成功すれば、次はNASAのマイク・フィンク宇宙飛行士、ニコール・マン宇宙飛行士、ボーイング社のテスト・パイロットであるクリス・ファーガソンにより、スターライナーの初の有人飛行が行われることになります。

     


    新しい航空輸送システムを目指すNASA

    0

      NASA’s Aeronautics Research

       

      NASAは将来の航空輸送システムの実現に向けて、数々の研究を行っています。

       

      20191210_01.jpg

       

      最近、大きな話題になっているがUAM(アーバン・エア・モビリティ)です。無人あるいは有人の大型のドローン、いわゆる「空飛ぶクルマ」による都市内交通です。各社が実用化研究に乗り出しており、エアバスやポルシェのような大メーカーも参入しています。UAMは大都市圏だけでなく、大都市の周辺あるいは郊外の小都市でも有効です。ただし、実用化には機体や運航の安全性の確保、さらにはUAM同士あるいは他の航空機、ヘリなどとの干渉を防ぐ運行管理ステムが必要です。

       

      20191210_02.jpg

       

      旅客機の分野では、電動航空機の研究開発が進んでいます。電動航空機には、バッテリーのみでプロペラを駆動するピュア・エレクトリック方式と、機上に設置したガスタービン・エンジンで発電して電動モーターを駆動するハイブリッド方式があります。ピュア・エレクトリック方式は小型機に適しており、NASAは小型電動航空機の試験機X-57 マックスウェルを製作しています。ハイブリッド方式の電動航空機に関しては、NASAはボーイング社と提携して研究用の機体を開発しています。

       

      航空旅客輸送には高速化の要望もあり、超音速旅客機の研究開発も、最近脚光をあびてきました。超音速旅客機コンコルドは、超音速飛行時に発生する衝撃波(ソニックブーム)が問題となり、陸地上では超音速で飛ぶことができませんでした。現在は、ソニックブームを抑制した静粛超音速旅客機の研究が進んでいます。NASAはロッキード・マーチン社と静粛超音速旅客機の試験機X-59 QueSSTを製作する契約を結んでいます。

       

      20191210_03.jpg

       

      VTOL(垂直離着陸)機や高速ヘリも期待されています。ヘリコプターを高速化するには、高速を実現するローター・ブレードの開発、プロペラを併用した機体設計などが考えられています。VTOL機や高速ヘリが実現すれば、都市圏の移動時間が短縮されるほか、災害時等の救援活動が効率化されるなどのメリットが得られます。


      久しぶりのNASAツアー

      0

        日本にいると、なかなかその感覚はつかめませんが、アメリカの宇宙開発は現在、疾風怒濤の勢いで進んでいるといって過言ではありません。そこで、NASAの現在を知るためのツアーを企画しました。

         

        20191114_01.jpg

         

        ツアーの詳細はこちら。以前は皆様と一緒にずいぶんNASAに行ったものですが、しばらく途絶えておりました。こうしたNASAツアーの企画は久しぶりのことです。ツアー参加者の皆さまと一緒に、アメリカの宇宙開発の今に触れたいと思います。


        アルテミス1用のSLSコアステージにエンジンを取り付け

        0

          Engines Are Attached to the SLS Core Stage for Artemis I Mission

           

          ルイジアナ州ニューオーリンズにあるNASAのミシュー組み立て工場で、アルテミス1に用いられるロケット、SLSのコアステージ(第1段)に、4基のRS-25エンジンが取り付けられました。

           

          20191113_01.jpg

           

          今後、この施設で試験が行われる予定です。アルテミス1では、SLSに無人のオライオン宇宙船を搭載し、月周回ミッションを行います。

           

          20191113_02.jpg

           

          アルテミス1の打ち上げは2020年の予定ですが、2021年にずれこむという観測もあります。


          スターライナー宇宙船が射点での緊急脱出試験に成功

          0

            Starliner Completes Pad Abort Test

             

            ボーイング社が開発中の有人宇宙船、スターライナー(CST-100)の射点での緊急脱出試験が成功しました。

             

            20191106_01.jpg

             

            この試験は発射直前に射点で緊急事態が発生した際に緊急脱出するシステムの試験です。試験の経過は以下のようでした。

             

            試験スタンドでスターライナーの4基の緊急脱出用エンジン、および姿勢制御スラスターに点火しました。緊急脱出用エンジンは計画通り5秒間燃焼、姿勢制御スラスターはさらに5秒間作動しました。宇宙船は高度1.4kmまで上昇し、パラシュートを展開しました。その後、クルー・モジュール(クルーが搭乗するカプセル)とサービス・モジュール(機械船)が分離されました。次にクルー・モジュール下部のヒートシールドが分離され、着地用のエアバッグが展開しました。95秒後にクルー・モジュールは着地しました。

             

            なお、スターライナーのパラシュート3基のうち1基は展開しませんでした。しかし、この点について、NASAはクルーの安全には問題がないと声明しています。

             

            この試験をふまえ、スターライナーは1217日に無人飛行試験を行う予定で、ケープカナヴェラル空軍ステーション、41発射台からアトラス5ロケットで打ち上げられます。スターライナーは国際宇宙ステーション(ISS)にドッキングし、その後地球に帰還することを目標にしています。飛行が成功すれば、次のミッションではいよいよクルーをISSに運ぶことになります。

             


            ドリーム・チェイサーの最終組み立て開始

            0

              Full Assembly of the Dream Chaser Spacecraft Starts

               

              国際宇宙ステーション(ISS)に物資を運ぶシエラ・ネバダ社の新型宇宙船ドリーム・チェイサーの組み立てがはじまります。

               

              20191026_01.jpg

               

              先日、機体のベースとなる一次構造がテキサス州フォートワースにあるロッキード・マーチンの工場からシエラ・ネバダのコロラド工場に到着しました。ここで翼やカーゴ・モジュールの結合、アビオニクスなどの装置を設置する最終組み立てが行われ、2021年春に完成、その後NASAでの環境試験などを行い、2021年秋以降に初飛行の予定です。

               

              20191026_07.jpg

               

              シエラ・ネバダ社のドリーム・チェイサーはNASA ISS からの緊急帰還用のライフボートとして開発していたHL-20 をベースにしたミニシャトル型の有翼宇宙船です。全長9m、幅4.5mで、機体にはCFRP(炭素強化プラスチック)が多用されています。船内および機体後部に結合されるカーゴ・モジュールに合計5.4tの貨物を搭載することが可能です。打ち上げにはULA(ユナイテッド・ローンチ・アライアンス)のヴァルカン・ロケットを用い、帰還時はスペースシャトルと同じように滑空して着陸します。25回程度の再利用が可能です。

               

              20191026_02.jpg

               

              物資輸送用のドリーム・チェイサーは、下のように本体(上)とカーゴモジュール(下)からなり、両方に物資を搭載できます。

               

              20191026_03.jpg

               

              下は、ISS にドッキングしたドリーム・チェイサーの想像図です。

               

              20191026_04.jpg

               

              帰還時にはカーゴ・モジュールを分離し、本体が滑走路に着陸します。

               

              20191026_05.jpg

               

              NASA はスペースシャトルが退役する前年の2010年に、民間の有人宇宙船によるISSへのクルー輸送を実現するための計画CCPCommercial Crew Program)をスタートさせました。20129月に、ボーイング社のCST-100、スペースX社のクルー・ドラゴン(ドラゴンv2)、シエラ・ネバダ社のドリーム・チェイサーの3つが選定されました。しかし、2014年に行われた最終選定ではCST-100 とクルー・ドラゴンが選定され、ドリーム・チェイサーは最後の関門を突破することができませんでした。

               

              一方NASA2006年に、ISSへの物資補給を民間企業の宇宙船で行うための計画COTSCommercial Orbital Transportation Services)をスタートさせていました。こちらでは

              スペースX 社の宇宙船ドラゴンとオービタル・サイエンシズ社(当時、現ノースロップ・グラマン社)の宇宙船シグナスが選定され、現在、ISSへの補給サービスを行っています。

               

              NASA 2019年から2024年までのISSへの補給を行うCRS-2 Commercial Resupply Services 2)で、スペースX社、オービタルATK社(当時、現ノースロップ・グラマン社)に加え、シエラ・ネバダ社とも契約を結びました。これにより、無人型のドリーム・チェイサーは少なくとも6回の補給サービスを行いことになったのです。

               

              シエラ・ネバダ社は有人型のドリーム・チェイサーの開発も継続しています。

               

              20191026_06.jpg

               

              シエラ・ネバダ社によると、無人型と有人型では機体・システムの85%は共通とのことで、ISSへの補給サービスは有人型ドリーム・チェイサーの実現に大きなステップになると思われます。



              calendar

              S M T W T F S
               123456
              78910111213
              14151617181920
              21222324252627
              282930    
              << June 2020 >>

               

              20200118_01.jpg
              『宇宙開発の未来年表』(イースト新書Q) amazonで購入

              selected entries

              categories

              archives

              links

              profile

              書いた記事数:151 最後に更新した日:2020/05/28

              search this site.

              others

              mobile

              qrcode

              powered

              無料ブログ作成サービス JUGEM