ソユーズMS-10打ち上げ失敗の原因はセンサーの異常

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    Soyuz MS-10 Launch Failure Caused by an Errant Sensor

     

    ロシアのガガーリン宇宙飛行士訓練センター所長のセルゲイ・クリカリョフは、1011日のソユーズMS-10の打ち上げ失敗はセンサーの異常によるものだと述べました。第1段の4本のブースターが第2段ロケットから切り離される際、1本のブースターでセンサーが働かず、うまく分離しませんでした。そのため、このブースターが第2段ロケットに衝突して損傷させてしまったのです。これは、ソユーズMS-10 のオンボードカメラからの映像で確認することができます。

     

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    上の画像は打ち上げ直後の映像で、ロケットは順調に上昇しています。しかし、ブースター切り離しの際に異常が起こりました。下の画像はブースター切り離しの瞬間ですが、カメラに写っている3本のブースターのうち、左のブースターが離れていません。

     

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    これは、通常のブースター切り離しの際の映像(下)と比べてみれば、よくわかります。

     

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    左のブースターは下部のストラットは火薬で分離していると思われますが、先端部は第2段に付いたままです。先端部を分離させるために圧搾酸素を噴射するベントバルブが作動していないとみられます。この事象にセンサーの異常が関連しているのでしょう。ブースターは第2段ロケットの燃料タンクの隔壁を破壊したとみられます。下の映像では炎が発生しています。

     

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    次の瞬間、第2段ロケットは炎に包まれました。この直後、緊急脱出システムが作動し、クルーの乗ったカプセルはフェアリングごと切り離されました。

     

    下の画像は、それから1秒もしない時点の映像ですが、左上に地球の縁が写っており、煙を吐く第2段ロケットはあらぬ方向を向いており、制御を失っているのがわかります。

     

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    失敗の原因が明らかになったことを踏まえ、ロシアは12月半ばには次のクルーの打ち上げを考えていると思われます。NASAも、ロシア側の対応に問題がないとすれば、12月の打ち上げに同意するでしょう。国際宇宙ステーションが無人になる事態は避けられるかもしれません。


    ソユーズ・ロケット第1段の分離システム

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      Booster Separation of the Soyuz Rocket

       

      ソユーズMS-10の打ち上げ失敗は、第1段切り離しの際に、第1段の4本のブースターのうちの1本がうまく分離せず、第2段に衝突したことが原因とみられています。第1段のブースターは下の画像のようにコア・ロケット(第2段)にとりつけられています。

       

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      以下はソユーズ第1段分離の際の地上からの映像です。

       

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      左は以前の打ち上げで、分離の様子がわかるように夜間打ち上げの映像から選びました。5つの光の点のうち、中心が第2段エンジンの光、その周囲が分離直後の第1段エンジンの光です。分離したロケットが点対称にきれいに広がっています。右は今回の分離の際の映像で、第2段分離の様子が明らかにおかしいことが分かります。

       

      1段のブースターは2か所で第2段と結合しています。ブースターの下部では2本のストラット(支柱)で第2段と結合しており、分離の際には火薬で切り離すようになっています。

       

      ブースターの先端部は下の画像のようにボールジョイントになっています。

       

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      この先端部は下の画像のように、第2段の出っぱりに挿入されています。ブースターが燃焼中、その推力はこの箇所から第2段に伝えられます。先端部の少し下の内側には、先端部を分離させるために圧搾酸素を噴射するベントバルブがあります。

       

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      ブースターが分離される際には、まずブースター下部のストラットが分離されます。

       

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      その後、先端部のベントバルブが作動して、ブースターは切り離されます。

       

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      今回は4本のブースターのうちの1本のベントバルブが作動しなかった可能性があります。そのため、不具合の起こったブースターが第2段を破損させてしまったのではないでしょうか。


      ソユーズ宇宙船打ち上げ時の緊急脱出システム

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        Launch Escape System of the Soyuz Spacecraft

         

        ソユーズMS-10の打ち上げ失敗は、打ち上げ26秒後に行われる第1段切り離しの際に、第1段の4本のブースターのうちの1本がうまく分離せず、第2段に衝突したことが原因とみられています。そのため第2段の推力が低下して軌道投入が不可能となったため、アボート(打ち上げ中断・緊急帰還)となりました。

         

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        ソユーズ宇宙船を収めたフェアリングの先端には緊急脱出用のエスケープタワーが設置されていますが、エスケープタワーは第1段分離の2秒前に切り離されます。したがって今回の緊急脱出にエスケープタワーを使うことはできませんでした。その代わりに、フェアリングの4基の緊急脱出用のロケットが作動しました。フェアリングが分離されるのは第1段切り離しの40秒後です。ソユーズ・ロケットはエスケープタワー分離後の40秒間はフェアリングのロケットで脱出できるように設計されているのです。

         

        下の画像はソユーズ・ロケット組み立て時のもので、ソユーズ宇宙船を収納したフェアリングの先端にエスケープタワーがあります。フェアリングにはこれとは別に緊急脱出用ロケットがついているのが分かります。

         

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        アボートのコマンドが作動し、ソユーズMS-10の軌道モジュールとクルーが乗った帰還モジュールは、フェアリングに収納されたまま第3段ロケットから切り離されました。機器・推進モジュールは第3段についたままです。第3段から十分に離れたところで、帰還モジュールだけがフェアリングから切り離され、弾道軌道で地球に帰還したのです。

         

        ソユーズ・ロケットのエスケープタワーが緊急脱出に使われたことは1度だけあります。19839月のことです。ウラジーミル・チトフとゲンナジー・ストレカロフの乗ったソユーズT10の発射1分前、燃料が漏れだして発射台の基部で火災が発生し、ロケットは炎に包まれました。

         

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        エスケープタワーの緊急脱出システムが作動し、2人の乗ったソユーズ宇宙船の帰還モジュールと軌道モジュールは機器・推進モジュールから切り離され、フェアリングごと急上昇しました。このとき、クルーには20G以上の加速度がかかったといわれています。

         

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        その直後、発射台で大爆発が起こりました。高度約1km4枚の空力安定フィンが開いて速度が落ち、続いてフェアリングが外れ、帰還モジュールが軌道モジュールから分離され、パラシュートが開きました。チトフとストレカロフは発射地点から4kmほど離れた地点に無事着地しました。ソユーズT1019842月に改めて打ち上げられ、チトフとストレカロフの飛行は現在ではソユーズT10-1とよばれています。

         

        ソユーズの打ち上げ途中でアボートとなったことも、これまで1度あります。19754月のワシリー・ラザレフとオレグ・マカロフが搭乗したソユーズ18(現在ではソユーズ18-1とよばれている)です。このときは第2段と第3段の切り離しが完全ではありませんでした。そのため、第3段エンジンの点火4秒後にソユーズ宇宙船は第3段から緊急分離されました。このときはすでにフェアリングは外されていました。通常の地球帰還時と同じように、ソユーズの帰還モジュールは軌道モジュールと機器・推進モジュールから切り離され、弾道軌道で降下。シベリア山中に着地しました。

         

        以上のようにソユーズ宇宙船が打ち上げの際に緊急帰還したことは、これまで3度あります。それぞれのケースで、ソユーズの異なる緊急脱出モードが作動し、クルーは無事帰還しています。



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