スターライナー宇宙船が射点での緊急脱出試験に成功

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    Starliner Completes Pad Abort Test

     

    ボーイング社が開発中の有人宇宙船、スターライナー(CST-100)の射点での緊急脱出試験が成功しました。

     

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    この試験は発射直前に射点で緊急事態が発生した際に緊急脱出するシステムの試験です。試験の経過は以下のようでした。

     

    試験スタンドでスターライナーの4基の緊急脱出用エンジン、および姿勢制御スラスターに点火しました。緊急脱出用エンジンは計画通り5秒間燃焼、姿勢制御スラスターはさらに5秒間作動しました。宇宙船は高度1.4kmまで上昇し、パラシュートを展開しました。その後、クルー・モジュール(クルーが搭乗するカプセル)とサービス・モジュール(機械船)が分離されました。次にクルー・モジュール下部のヒートシールドが分離され、着地用のエアバッグが展開しました。95秒後にクルー・モジュールは着地しました。

     

    なお、スターライナーのパラシュート3基のうち1基は展開しませんでした。しかし、この点について、NASAはクルーの安全には問題がないと声明しています。

     

    この試験をふまえ、スターライナーは1217日に無人飛行試験を行う予定で、ケープカナヴェラル空軍ステーション、41発射台からアトラス5ロケットで打ち上げられます。スターライナーは国際宇宙ステーション(ISS)にドッキングし、その後地球に帰還することを目標にしています。飛行が成功すれば、次のミッションではいよいよクルーをISSに運ぶことになります。

     


    ドリーム・チェイサーの最終組み立て開始

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      Full Assembly of the Dream Chaser Spacecraft Starts

       

      国際宇宙ステーション(ISS)に物資を運ぶシエラ・ネバダ社の新型宇宙船ドリーム・チェイサーの組み立てがはじまります。

       

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      先日、機体のベースとなる一次構造がテキサス州フォートワースにあるロッキード・マーチンの工場からシエラ・ネバダのコロラド工場に到着しました。ここで翼やカーゴ・モジュールの結合、アビオニクスなどの装置を設置する最終組み立てが行われ、2021年春に完成、その後NASAでの環境試験などを行い、2021年秋以降に初飛行の予定です。

       

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      シエラ・ネバダ社のドリーム・チェイサーはNASA ISS からの緊急帰還用のライフボートとして開発していたHL-20 をベースにしたミニシャトル型の有翼宇宙船です。全長9m、幅4.5mで、機体にはCFRP(炭素強化プラスチック)が多用されています。船内および機体後部に結合されるカーゴ・モジュールに合計5.4tの貨物を搭載することが可能です。打ち上げにはULA(ユナイテッド・ローンチ・アライアンス)のヴァルカン・ロケットを用い、帰還時はスペースシャトルと同じように滑空して着陸します。25回程度の再利用が可能です。

       

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      物資輸送用のドリーム・チェイサーは、下のように本体(上)とカーゴモジュール(下)からなり、両方に物資を搭載できます。

       

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      下は、ISS にドッキングしたドリーム・チェイサーの想像図です。

       

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      帰還時にはカーゴ・モジュールを分離し、本体が滑走路に着陸します。

       

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      NASA はスペースシャトルが退役する前年の2010年に、民間の有人宇宙船によるISSへのクルー輸送を実現するための計画CCPCommercial Crew Program)をスタートさせました。20129月に、ボーイング社のCST-100、スペースX社のクルー・ドラゴン(ドラゴンv2)、シエラ・ネバダ社のドリーム・チェイサーの3つが選定されました。しかし、2014年に行われた最終選定ではCST-100 とクルー・ドラゴンが選定され、ドリーム・チェイサーは最後の関門を突破することができませんでした。

       

      一方NASA2006年に、ISSへの物資補給を民間企業の宇宙船で行うための計画COTSCommercial Orbital Transportation Services)をスタートさせていました。こちらでは

      スペースX 社の宇宙船ドラゴンとオービタル・サイエンシズ社(当時、現ノースロップ・グラマン社)の宇宙船シグナスが選定され、現在、ISSへの補給サービスを行っています。

       

      NASA 2019年から2024年までのISSへの補給を行うCRS-2 Commercial Resupply Services 2)で、スペースX社、オービタルATK社(当時、現ノースロップ・グラマン社)に加え、シエラ・ネバダ社とも契約を結びました。これにより、無人型のドリーム・チェイサーは少なくとも6回の補給サービスを行いことになったのです。

       

      シエラ・ネバダ社は有人型のドリーム・チェイサーの開発も継続しています。

       

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      シエラ・ネバダ社によると、無人型と有人型では機体・システムの85%は共通とのことで、ISSへの補給サービスは有人型ドリーム・チェイサーの実現に大きなステップになると思われます。


      東京五輪のマラソンと競歩:札幌市開催は妥当な判断

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        東京五輪のマラソンと競歩の会場を札幌市に移すという国際オリンピック委員会(IOC)の決定は、東京の8月の気象条件を考えた場合、妥当な判断と思われます。下の画像は201881日の東京の酷暑を示すJAXAの気候変動観測衛星「しきさい」の観測画像です。

         

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        201881日の東京の最高気温は35.1℃ですが、「しきさい」の観測によると、東京の地表面温度が50℃以上と非常に高温となっていることがわかります。

         

        東京五輪のマラソンは女子が8月2日、男子が89日、男子50km競歩決勝は88日に行われます。今年の8月前半の東京の気象データは下の通りです。

         

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        気象庁 

         

        最高気温35℃以上の日が半分以上、最低気温が25℃以下になることはなく、雨はほとんど降らず、湿度は常に70%以上です。都心部はほとんどの土地が建物におおわれ、道路は舗装されているため、エアコンや自動車からの排熱でヒートアイランド現象が加わり、地表面温度はさらに上昇します。こうした気象条件の下での競歩やマラソンは選手の生命を危険にさらすことになります。

         

        日本ではあまり報道されませんでしたが、今年の夏は史上空前の熱波がヨーロッパを襲い、死者が続出しました。ヨーロッパの熱波はアフリカ大陸からの熱い風がもたらします。この現象はエルニーニョが発生している時期に起きることが多いのですが、今年はエルニーニョが発生していないにもかかわらず、熱波が襲いました。世界気象機関(WMO)はこの猛烈かつ広範囲の熱波は人為起源の気候変動のあらわれだと指摘しています。

         

        地球温暖化の傾向にストップはかかっていません。来年の東京の夏はさらに暑くなる可能性があります。


        台風19号:巨大台風の襲来は常態化

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          各所に甚大な被害をもたらした台風19号の特徴は、台風自体がきわめて強力で、かつ本州の東半分をおおいつくすほど渦のサイズが大きく、広範囲に降水をもたらしたことにあります。下の画像は1012日午後8時の、日本列島上陸時の「ひまわり」の赤外画像です。

           

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          台風19号は日本列島に接近する以前から、史上まれにみる巨大台風としてアメリカでも注目されていました。下の画像はNOAANASAの気象衛星「スオミNPP」が撮影したマリアナ諸島付近での「ハギビス」(台風19号)の画像です。この時点でハギビスはすでにカテゴリー5のスーパー台風に成長していましたが、その後、さらに勢力を増して北上しました。

           

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          ここにも書いたように、台風19号のような巨大台風の出現を、自然変動のみで説明することはもはや難しく、明らかに人為的な気候変動要因が影響しています。具体的には地球温暖化による海面水温の上昇と大気中の水蒸気量の増加です。

           

          下の画像は台風19号が日本列島に上陸した直後の午後810分の「ひまわり」画像で、水蒸気の量を示しています。北西太平洋上の大量の水蒸気が台風19号に流れこみ、雨雲の下ではげしい降水をもたらしている様子をみてとることができます。

           

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          最近の激甚な台風の襲来に関しては、1980年代以降、カテゴリー4あるいは5に達する台風が増加している、過去の記録を破る大きさ、強さの台風が次々と出現している、B翩の強さがピークに達する海域が北上している、といった傾向がみられます。これらの傾向が人為的な気候変動要因によるものであることに多くの科学者が同意しています。

           

          私たちは今回のような台風の襲来が今後常態化すると考え、より一層の防災・減災に取り組まなくてはなりません。


          東電裁判:あまりにも当然な無罪判決

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            東京地方裁判所は、福島原発事故で東京電力旧経営陣3人が強制的に起訴された裁判で、「巨大な津波の発生を予測できる可能性があったとは認められない」として、3人全員に無罪を言い渡しました。当然の判決といえます。

             

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            前にもここここで書いたように、この裁判で検察側が起訴の根拠としている「長期予測」はマグニチュード8クラスの地震しか想定しておらず、マグニチュード9.0の東北地方太平洋沖地震を予測することはできていませんでした。地震学者が予測できないものを東電が予測できたとするのは、非常に無理のある主張です。

             

            私はもう1つ、検察側の主張に問題があったと考えている点があります。それは東電設計による「津波高15.7m」という計算結果が信頼性の高いものであったかどうかです。コンピューター・シミュレーションというものは、パラメーター(媒介変数)の設定次第で、どんな結果でも導くことができます。科学的に信頼性の高いシミュレーションとは、正しいパラメーターを求め、計算モデルのチューニングを行ったものといえます。それでもなお、不確実性は残ります。

             

            東電設計のシミュレーションでどのような初期条件やパラメーターが用いられ、計算結果が科学的に妥当であったかどうかは、客観的に検証されなければなりません。計算結果が論文として作成され、査読という外部の評価を経たうえで、学術誌に掲載されれば、その計算結果は科学的妥当性をもちます。そうでないならば、それは試算の1つでしかありません。

             

            あれだけの被害が出て、責任が問われないのはおかしいという意見があります。私も当然だと思います。「地震は予知できる」といいながら巨大地震と巨大津波を予測できなかった地震学者自身が、まず自らの責任について語らなければなりません。

             


            強力な台風やハリケーンの原因は地球温暖化

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              Tropical Storms and Climate Change

               

              最近の非常に強い台風やハリケーンの発生は、地球温暖化による影響と考えて間違いありません。

               

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              千葉県を中心に各地に大きな被害をもたらした台風15号は、99日に観測史上1位の最大瞬間風速57.5mを記録する非常に強い台風でした。一方、アメリカでも観測史上最強クラスのハリケーン「ドリアン」がバハマに大きな被害を与えました。上は91日、バハマを襲うドリアンの衛星画像です。

               

              下の画像は94日の衛星画像です。4つのハリケーンと熱帯低気圧が写っています。中央のドリアンはカテゴリー2にまで勢力を落としていますが、大西洋の東には熱帯低気圧「ガブリエル」が発生しています。カリブ海を襲っているのは熱帯低気圧「ファーナンド」、カリフォルニア沖にいるのはハリケーン「ジュリエット」です。

               

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              強い台風やハリケーンの発生は地球温暖化にともなって、今後さらに増えていくでしょう。

               

              アメリカ気象学会の学術誌「Bulletin of the American Meteorological Society」のオンライン版に、NOAA(アメリカ海洋大気局)の研究者Knutsonらによる論文が掲載されています。この論文は、地球温暖化が進んだ場合のハリケーンや台風の発生について、世界の研究者がどう予測をしているかを評価したものです。

               

              論文によると、平均気温が2℃上昇した世界でのハリケーンや台風の発生について、多くの研究者は以下のように考えています。

               

              温暖化により海水が温められて膨張し、海水面が上昇するため、ハリケーンや台風襲来時の浸水被害が増加する。

              大気中の水蒸気量が増加するため、ハリケーンや台風がもたらす降水量は全地球的に増加する。

              ハリケーンや台風の最高風速は増加する。

              カテゴリー45の強力なハリケーンの発生頻度が増加する。

               

              世界の研究者は気候モデルを使ってさまざまなシミュレーションを行っていますが、おおむね、以上のような結論になっています。観測史上例をみない強力な台風やハリケーンが、これからも次々と私たちの暮らしを襲ってくるでしょう。温室効果ガス排出を削減する努力とともに、被害を最小限に食い止めるための対策が緊急の課題になっています。



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              01.jpgスペース・ツアー2020
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