ベツレヘムの星とは何だったのか

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    What was the Star of Bethlehem?

     

    この季節、街のいたるところにクリスマスのイルミネーションが見られます。クリスマスツリーの一番上に飾られる星は、イエスが生まれたときに出現したベツレヘムの星です。下はプラド美術館所蔵のヒエロニムス・ボス作『東方三博士の礼拝』です。イエスを抱くマリアのいる小屋の上に明るい星が描かれています。

     

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    この星の正体が何であったのかについては、昔からいろいろな説があります。

     

    下のルネサンス初期の画家、ジョット(12671337)の『東方三博士の礼拝』(部分)では、イエスの生まれた小屋の上に彗星が描かれています。

     

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    この彗星は76年周期のハレー彗星で、ジョットがこの絵を描く少し前の1301年に出現しました。ジョットがハレー彗星を実際に見たかどうかは定かではありませんが、少なくとも、その出現に強い印象を受け、これをベツレヘムの星として描いたわけです。イエスが生まれたころのハレー彗星の出現時期は紀元前12年なので、これをベツレヘムの星と考える人もいます。ハレー彗星が1986年に地球に接近したとき、ヨーロッパが打ち上げたハレー彗星探査機「ジョット」は、この絵を描いた画家の名前にちなみ名付けられたのです。

     

    ベツレヘムの星は『新約聖書』の「マタイによる福音書」に出てきます。イエスが生まれたとき、エルサレムのヘロデ王のところに、東方から3人の「占星術の学者」がやって来て言います。「ユダヤ人の王としてお生まれになった方は、どこにおられますか。わたしたちは東方でその方の星を見たので、拝みにきたのです」。ヘロデ王は不安になり、エルサレムの学者たちを集めて、預言では救世主はどこで生まれることになっているかと聞きます。それはベツレヘムであると、彼らは答えました。そこでヘロデ王は占星術の学者たちを呼び寄せ、「星の現れた時期」を確かめ、ベツレヘムへ行ってその子のことを調べてほしいと頼みます。「彼らが王の言葉を聞いて出かけると、東方で見た星が先立って進み」、イエスのいる場所の上に止まります。「学者たちはその星を見て」喜びにあふれました。

     

    ベツレヘムの星が何かの象徴ではなく、実際に起こった天文現象であったとすると、それが何かを知るためには、まずイエスの生まれた年が問題になってきます。紀元1年がイエスの生まれた年とされているわけですが、実際のイエスの誕生年はそれより少し早いことがわかっています。イエスの両親、ヨセフとマリアがベツレヘムへ行ったのは、ローマ皇帝アウグストゥスの人口調査令のためでしたが、これが行われたのは紀元前85年です。ヘロデ王がイエス、すなわちユダヤの王の誕生をおそれて2歳以下のユダヤの男児を皆殺しにしたのが紀元前65年、ヘロデ王が死んだのが紀元前4年です。したがって、イエスの誕生は紀元前75年あたりとみられています。このころにおこった、占星術的に見て特別な意味をもつ天文現象を探さなくてはなりません。

     

    もう1つ、ベツレヘムの星が現れた方角も大事になるかもしれません。占星術の学者は、「東方で」星を見たのですが、この部分は原文からすると「東の場所で」という意味以外に、「東の空に」とも解釈できるのです。また、ベツレヘムはエルサレムの南にありますので、星が占星術の学者たちに先立って進んだということは、このとき、星は南の方角に見えていたことになります。一晩のうちに、星は東から西に移動しますから、どの方角に見えていても問題ないとも考えられますが、ある星または特別な天文現象が東の空にあらわれる(昇ってくる)こと自体が、ベツレヘムの星の意味だとする考えもあるのです。

     

    さて、ベツレヘムの星とは何だったのでしょうか。彗星は候補の1つです。ハレー彗星は出現時期からみて少し無理があるかもしれませんが、イエスが生まれたころに別の彗星が出現していたかもしれません。ただし、それに該当する彗星の記録は残っていません。

     

    一生の終わりに爆発して明るく輝く超新星も、候補になります。ヨハネス・ケプラーはこの説をとっていました。彼は1604年に超新星を観測していますが、そのとき木星と土星が接近しており、超新星はこの2つの惑星の間の位置に出現しました。そこで、ケプラーは惑星が接近した時に超新星が生まれると考えました。彼は惑星の軌道計算によって、紀元前7年に木星と土星が接近したこと、さらに紀元前6年には火星と木星と土星が接近したことを知っており、このときに出現した超新星がベツレヘムの星だと考えたのです。

     

    紀元前7年には木星と土星の接近(会合)がうお座で3回おこりました。この3連会合はめずらしい現象なので、これがベツレヘムの星であるという説もあります。聖書で「星」は単数形になっていますが、それ自体、複数の概念をふくむ言葉とされていますので、こうした天文現象も、ベツレヘムの星の候補となり得るのです。3回の会合の日付については、文献によっていくつか別の組み合わせがあります。計算に使ったプログラムのせいかもしれません。私が天文ソフトで調べたところでは、527日、106日、121日というのが正しいようです。

     

    比較的最近では、紀元前6年に木星がおひつじ座にあり、4月に東の空に昇ってきたことがベツレヘムの星だという説が出されています。これはローマ時代のコインに、おひつじが振り向いて星を見ているという図柄のものがあることから考え出されたものです。この年、木星はおひつじ座の中を行ったり来たりするのですが、12月に方向を変えるために止まったときが、ベツレヘムの星がイエスの小屋の上に止まったときだというのです。

     

    ベツレヘムの星が何であるか、結論は出ていませんが、キリスト教徒でなくても少しだけ聖書の世界に親しみ、古い時代の天文現象に思いをはせることができるのも、クリスマスの楽しみの1つです。


    パーカー・ソーラー・プローブ:太陽の黄金の林檎

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      Parker Solar Probe:The Golden Apples of the Sun

       

      NASAの太陽観測探査機パーカー・ソーラー・プローブが、8月12日、ケープ・カナヴェラル空軍基地からデルタ献悒咫次Ε蹈吋奪箸砲茲辰涜任曽紊欧蕕譴泙靴拭

       

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      パーカー・ソーラー・プローブは10月に最初の金星フライバイを行い、太陽に2400万kmまで接近し、観測を開始します。その後さらに6回の金星フライバイを行いながら7年間のミッションを行います。この間、最接近時の太陽までの距離は600万kmにまでなるとされています。太陽から水星までの距離の約10分の1です。

       

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      太陽表面の温度は約6000度Cですが、高度数万kmにまで広がるコロナの温度は100万度Cにまで達します。パーカー・ソーラー・プローブによる観測の最大の目的は、太陽にできる限り近づき、コロナがなぜそんなに高温になるのかを解明することです。太陽に接近してコロナの謎を探るソーラー・プローブの構想はだいぶ前からありましたが、太陽の高熱に耐えられる遮熱材の開発に時間がかかりました。

       

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      パーカー・ソーラー・プローブの太陽への冒険の旅で思い出すのは、イェーツの詩にその題名をとった、レイ・ブラッドベリの『太陽の黄金の林檎』です。地球のエネルギーが枯渇してしまったため、宇宙船「金杯号」は燃えさかる太陽に向かいます。太陽の表面から炎をすくい上げて地球にもち帰り、ふたたび町を明るく照らし、機械を動かすためです。金杯号には2000本のレモネードと1000本のビールが積み込まれていました。船内は「アンモニア化合物」を用いた冷却装置によって極低温に保たれています。ちなみに、パーカー・ソーラー・プローブも加圧した水を用いる冷却装置を搭載しています。

       

      間近に見る太陽とは、どのようなものなのでしょうか。「ここには、太陽、太陽、太陽があるのみなのだ。太陽があらゆる地平線であり、太陽がすべての方角である」(小笠原豊樹訳)と、ブラッドベリは書いています。私たちはそのような太陽のはげしい姿の一端を、日本の太陽観測衛星「ひので」やNASAの太陽観測衛星「SDO」などの観測画像で知ることができます。下の画像はSDOがとらえた太陽表面の爆発現象です。

       

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      金杯号は首尾よく太陽の炎をすくい上げ、地球への帰路につきました。パーカー・ソーラー・プローブも太陽に関するたくさんの知見を地球にもたらすでしょう。


      系外惑星の大気に水を発見

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        Water in an Exoplanet’s Atmosphere

         

        NASAWASP-39bという系外惑星の大気から水を検出したと発表しました。WAPS-39bはおとめ座の方向にある太陽に似た天体WSP-39のまわりをまわっている惑星の1つです。距離は約700光年です。

         

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        大気成分の観測はハッブル宇宙望遠鏡とスピッツァー赤外線宇宙望遠鏡によって行われました。その結果が以下のグラフです。水蒸気(H2O)の存在を示すピークがいくつも見られます。

         

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        WASP-39bは土星と同じくらいの質量があり、WASP-39のまわりを4日間でまわっています。WASP-39からの距離は太陽〜地球間の20分の1以下(750km以下)とのことです。いわゆる「ホット・サターン」とよばれる惑星です。WASP-39bWASP-39にいつも同じ面を見せています。WASP-39からの強烈な輻射によって表側の大気が熱せられ、夜側に向かって風が吹いていきます。このような暑い天体なのですが、太陽系の土星よりも大量の水が存在していると、研究者は考えています。



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