新型コロナウイルス:中国CDCが大規模サーベイ結果を発表

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    217日、中国CDC(中国疾病予防コントロールセンター)は新型コロナウイルス感染に関する重要なレポートを発表しました。

     

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    このレポートは211までに確認された44672人の新型コロナウイルス感染者のサーベイ結果です。その中で特に重要と思われるいくつかの調査結果を紹介しましょう。

     

    感染者の81%では症状はマイルドで、致死率は2.3%でした。感染者の男女比はほぼ1:1ですが、致死率でいうと男性が2.8%、女性が1.7%で、男性が少し高くなっています。

     

    注目すべきは高年齢で致死率が顕著に高いことで、80歳以上の致死率は14.8%です。また持病を持っていない人の致死率が0.9%であるのに対して、持病を持っている人の致死率も顕著に高く、心臓血管系の病気をもっている人の致死率は10.5%、糖尿病をもっている人では7.3%、慢性呼吸器疾患の人は6.3%、高血圧の人は6.0%、がん患者は5.6%となっています。

     

    新型コロナウイルスは感染性が非常に高い点も指摘されています。武漢市からはじまった感染は1か月でほぼ中国全土に広がりました。しかもそれは、武漢市を完全に遮断して隔離し、新年を祝う行事を中止させ、学校や職場に行くことを禁止し、多数の医師や公衆衛生の専門家を動員し、さらには軍の医療部隊の派遣や緊急病棟の建設など、非常に強固な対策が取られたにもかかわらず感染が広がったと指摘しています。

     

    感染性が高い点に関連し、これまで1716人の医療従事者が感染したことも報告されています。

     

    感染初期のデータからすると、武漢市の海鮮市場で動物からヒトへの感染が複数回おこり、その間にウイルスの変異が起こってヒト・ヒト間の感染能力をもつにいたり、爆発的な感染がはじまったという仮説が成り立つとのことです。

     

    このサーベイで最も重要な点は、新型コロナウイルスはSARSウイルスやMERSウイルスほど致死的ではないが、両者にくらべて感染性が非常に高いという点です。その結果、感染者数が拡大し、その中の高齢者や持病をもつ高リスク・グループで死に至る人が多くなり、結果としてすでにSARSを上回る死者数を出しているという点にあります。

     

    WHOのテドロス・アダノム事務局長はこのサーベイ結果を受けて、17日の記者会見で「新型コロナウイルスはSARSMERSほど致死的ではない。感染者の81%の症状はマイルドだ」と述べました。しかし、このウイルスが感染性が高い点について注意喚起することはありませんでした。世界中の人々の生命を守る国際機関の事務局長とは思えない発言です。

     


    新型コロナウイルス:治療薬の探索進む

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      新型コロナウイルスの治療薬に関する研究が進んでいます。最近の論文によると、2種類の薬剤に可能性があるとのことです。

       

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      『セル・リサーチ』誌に武漢市のウイルス学研究所の研究グループの論文が掲載されています。研究グループは新型コロナウイルスの治療薬候補として、7種類の抗ウイルス剤について実験を行いました。実験の対象となった抗ウイルス剤は、すでにFDAで認可されているリバビリン、ペンシクロビル、ニタゾキサニド、ナファモスタット、クロロキン、そして現在臨床試験が行われているファビピラビル、レムデシビルです。

       

      実験は、仝補となる抗ウイルス薬を作用させたアフリカミドリザルの細胞に、新型コロナウイルスを感染させ、培養して経過を観察する、および⊃祁織灰蹈淵Εぅ襯垢魎鏡させた細胞に抗ウイルス剤を作用させ、培養して経過を観察するという方法で行われました。

       

      実験の結果、クロロキンとレムデシビルに効果が認められたとのことです。クロロキンは70年以上、抗マラリア剤として世界中で使われている薬剤です。レムデシビルはエボラ出血熱やマールブルグウイルス感染症の治療薬として注目されており、SARSおよびMERSウイルスを含むコロナウイルスに対しても抗ウイルス性をもつことが明らかになっています。

       

      新型コロナウイルスに対抗する薬剤を新規開発するには時間がかかります。患者の治療に用いるには、既存の抗ウイルス剤のなかから効果のあるものを探索することが非常に重要になっています。


      地球温暖化:南極半島で記録的高温

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        Climate ChangeAntarctica Record High Temperature

         

        南半球は今が真夏です。南極では異常な高温が観測されています。こうした高温は自然の変動の中で起こることもありますが、今回の高温は地球全体で進んでいる温暖化のあらわれと考えるべきでしょう。

         

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        南極半島(上の画像の左の半島)の先端にあるアルゼンチンのエスペランサ基地では2月6日に最高気温18.3℃が観測されました。これは2015324日の17.5℃を上回る記録となりました。また、南極半島先端近くのシーモア島にあるアルゼンチンの観測基地で29日に20.75℃が記録されたとする報道もあります。これが本当だとすると、南極ではじめて20℃以上が観測されたことになります。WMO(世界気象機関)は南極半島の平均気温は過去50年間で3℃上昇しており、地球上でもっとも温暖化が進んでいる場所としています。

         

        NASANOAA115日に、2019年は観測史上2番目に世界平均気温が高い年であったことを明らかにしています。下の画像は19511980年の平均気温と比べた20152019年の平均気温の変化です。南極では平均気温が低くなっている場所もありますが、南極半島付近は気温上昇が顕著です。

         

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        平均気温が上昇すると、なぜこのような高温日が出現するかは、以下の図で考えるとよくわかります。

         

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        IPCC AR5

         

        横軸はその日の最高気温、縦軸はその気温が出現する日数で、中央が平均値となります。当然のことながら、非常に寒い日もあれば、非常に暑い日もあります。地球温暖化が進むということは、この分布が全体的に右側(高温側)にずれることを意味します。すると非常に寒い日が出現する頻度は低くなり、非常に暑い日が出現する頻度は高くなります。つまり、非常な高温を記録する日が出現しやすくなるわけです。

         

        NOAA2020年の1月は、観測史上最も暖かかった1月であったと発表しました。南極半島では記録的な高温の日が出現しやすくなっているのだと考えられます。


        新型コロナウイルスはSARSウイルスに近縁

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          最新の論文によると、新型コロナウイルスはSARSウイルスに近縁のウイルスのようです。

           

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          新型コロナウイルスのゲノム解析結果と他のコロナウイルスとの関連に関しての論文が、中国に研究者によって次々と発表されています(『ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』誌の124日、『ランセット』誌の2020124日、129日)。

           

          コロナウイルスには、アルファ、ベータ、ガンマ、デルタの4つのグループがあります。これらの論文によると、新型コロナウイルスはベータ・コロナウイルスの仲間で、その中のサルベコウイルス亜属に属しています。この亜属にはSARSウイルスも含まれます。一方、MERSウイルスはベータ・コロナウイルスの仲間ではあるものの、遺伝学的にはこれらのウイルスから少し離れています。

           

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          A Novel Coronavirus from Patients with Pneumonia in China, 2019, NEJM

           

          SARSウイルスに近縁とはいえ、これまでの感染や発症の状況をみていると、新型コロナウイルスはSARSとは異なる特徴をもっています。今後、ウイルス表面の分子の構造やウイルスの生活環などが明らかになっていくと、抗ウイルス剤の探索や簡易検査キットの開発などが進むでしょう。

           

          上の系統樹をみれば明らかなように、新型コロナウイルスの最も近縁なウイルスは、中国に生息するコウモリが保有しているSARSウイルスに似たウイルスです。したがって、今回出現した新型コロナウイルスは、もともとコウモリがもっていたウイルスが変異し、家畜あるいは野生生物を媒介にヒトに感染したものと考えられます。

           


          スピッツァー宇宙望遠鏡、ミッション終了

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            NASA Ends Its Spitzer Space Telescope Mission

             

            NASAのスピッツァー宇宙望遠鏡のミッションが終了しました。

             

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            スピッツァー宇宙望遠鏡は宇宙空間から赤外線で天体を観測する望遠鏡で、2003年に打ち上げられました。以後、16年にわたり、さまざまな発見をもたらしました。スピッツァー宇宙望遠鏡は銀河や星の進化から系外惑星まで、赤外線による観測が非常に重要な役割を果たすことを私たちに教えてくれました。

             

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            現在、次世代の宇宙望遠鏡として、ジェームズ・ウエッブ宇宙望遠鏡が開発されており、2021年に打ち上げの予定です。ジェームズ・ウエッブ宇宙望遠鏡は赤外線の領域で天体観測を行い、スピッツァー宇宙望遠鏡のミッションを引き継ぐことになります。

             


            2020年の主な天文現象

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              2020年もさまざまな天文ショーを楽しむことができます。天体写真家の藤井旭さんから送っていただいたチロ天文台の天文現象カレンダーを参考にご紹介しましょう。

               

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              特に注目すべき天文現象には2017 T2 パンスターズ彗星の最接近、火星の準大接近、夕空での木星と土星の最接近などがあります。また621日には中国・台湾で金環日食があり、日本でも部分日食となります。半影月食は2回あります。旧暦の七夕(伝統的七夕)は825日です。中秋の名月は101日になります。満月は翌日の102日です。中秋の名月は旧暦の815日で、天文現象の満月と日付がずれることはしばしば起こります。

               

              1

              4日:しぶんぎ座流星群が最大

              11日:満月、半影月食(半影最大食分0.92

              2

              3日:節分

              4日:立春

              9日:満月

              10日:水星が東方最大離角(夕方の西天)

              3

              10日:満月

              20日:春分

              20日:明け方の東天で火星、土星、木星が接近して並ぶ

              25日:金星が東方最大離角(夕方の西天で宵の明星)

              4

              4日:金星とプレヤデス星団が大接近

              8日:満月(今年のスーパームーン)

              28日:金星が最大光度(夕空の西天で−4.5等)

              5

              5日:立夏

              7日:満月

              22日:夕空で金星と水星が大接近

              25日:2017 T2 パンスターズ彗星が地球に最接近(きりん座で5.7等)

              6

              4日:金星が内合(以後は明け方の東天で明けの明星)

              6日:満月、半影月食(半影最大食分0.59

              21日:夏至

              21日:夕方の西天で部分月食(中国・台湾で金環日食)

              7

              5日:満月

              7日:七夕

              10日:金星が最大光度(明け方の東天で−4.5等)

              14日:木星が衝(−2.8等、いて座)

              21日:土星が衝(0.1等、いて座)

              8

              4日:満月

              7日:立秋

              12日:ペルセウス座流星群が極大

              13日:金星が西方最大離角(明け方の東天で明けの明星)

              25日:旧暦の七夕(伝統的七夕)

              9

              2日:満月

              3日:準惑星ケレスが衝(7.6等、みずがめ座)

              12日:海王星は衝(7.8等、みずがめ座)

              22日:秋分

              10

              1日:中秋の名月

              2日:満月

              4日:くじら座の長周期変光星ミラが極大

              6日:火星が準大接近(−2.6等、うお座)

              31日:満月

              11

              1日:天王星が衝(5.7等、おひつじ座)

              7日:立冬

              30日:満月、半影月食(半影最大食分0.85

              12

              13日:金星と細い月(月齢27.6)が明け方の東天で大接近

              14日:ふたご座流星群が極大

              21日:冬至

              22日:夕空で土星と木星が最接近(いて座)

              30日:満月

               


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              2017 T2 パンスターズ彗星の動き

               

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              火星の準大接近

               

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              621日の部分日食

               

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              621日の金環日食

               

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              1222日夕空で土星と木星が最接近



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