ニュー・ホライズンズが撮影したカイパーベルト天体

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    New Horizons Observed Kuiper Belt objects (KBOs)

     

    ニュー・ホライズンズ探査機の望遠カメラLORRIが撮影したカイパーベルト天体「2012 HZ84」と「2012 HE85」の画像です。

     

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    この画像は2017125日に撮影され、この時ニュー・ホライズンズは地球から612000km離れていました。地球から最も離れた場所で撮影された画像です。これまで、地球から最も離れた場所から撮影された画像は、1990214日にボイジャー1号が太陽の方向を振り返って撮影した太陽系の「ファミリー・ポートレート」でした。このときボイジャー1号は地球から606000km離れていました。ニュー・ホライズンズは27年ぶりのこの記録をぬりかえたわけです。

     

    20157月に冥王星に最接近したニュー・ホライズンズは、その後ミッションが延長され、201911日にカイパーベルト天体「2014 MU69」に接近する予定です。

     

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    ハッブル宇宙望遠鏡による観測では、この天体の表面は赤みを帯びた色をしているようです。

     

    海王星の軌道の外側には多数の小天体が存在し、エッジワース・カイパーベルト天体(EKBO)、カイパーベルト天体(KBO)、あるいは太陽系外縁天体(TNO)とよばれています。ジェラルド・カイパーとケネス・エッジワースは、海王星の外側に彗星の巣となる小天体が密集したベルトが存在することを提唱した天文学者です。1992年に「1992 QB1」が発見されて以来、次々とカイパーベルト天体が発見されており、その数は現在では1000個を超えています。

     


    北朝鮮:軍事パレードに火星15が登場

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      North Korea Holds Military Parade

       

      北朝鮮が軍事パレードを行い、昨年11月に発射実験を行ったICBM(大陸間弾道ミサイル)、火星15が登場しました。

       

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      今回の軍事パレードでは、現在、北朝鮮が開発に力を入れていると考えられる固体燃料のミサイルは登場しませんでした。また、ムスダンのような旧世代のミサイルも登場しませんでした。登場したのは火星12、火星14、そして火星15で、ここ数年のミサイル開発の実績を誇示する目的があったと思われます。

       

      下は火星12です。

       

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      下は火星14です。

       

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      火星15は最後に登場しました。

       

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      パレードに参加した火星154基で、シリアル番号は11111702から11111705でした。昨年11月に発射された火星15のシリアル番号は11111701でしたから、北朝鮮は発射可能な火星15を少なくとも4基は保有していることを、アメリカに見せたかったのでしょう。

       

      一方、北朝鮮は潜水艦発射式の固体燃料ミサイルや、我々が知らない新型のミサイルも開発していると考えられます。その意味では、今回は手の内をまったく見せない軍事パレードであったといえます。


      ファルコン・へヴィー、初打ち上げに成功

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        SpaceX's Falcon Heavy Blasted Off

         

        スペースX社の超大型ロケット、ファルコン・へヴィーの試験打ち上げが成功しました。ファルコン・へヴィーは26日午後345分(アメリカ東部時間)、ケネディ宇宙センターの39A発射台から打ち上げられました。

         

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        1973年のサターン5型ロケット以来のパワフルなロケット打ち上げでした。ファルコン・へヴィーの第1段は3本のコアロケットからなります。合計27個のエンジンが2250t以上の推力を生み出します。

         

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        1段の2本のサイドコアの着陸シーンは見事でした。まるでCGのようです。なお、センターコアの洋上着陸はうまくいかなかったようです。

         

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        燃焼が終了した第2段エンジンです。

         

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        ロケットの試験打ち上げでは、通常、ペイロードとしてダミーウェイトが搭載されますが、スペースX社は特別のペイロードを搭載しました。赤のテスラ・ロードスターで、運転席にはクルー・ドラゴンの搭乗員用の与圧服を着た「スターマン」が乗っています。ペイロードは火星に到達する太陽周回軌道に投入されます。

         

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        このようなシーンは宇宙開発の歴史で1度も撮られたことはありません。これが本当に宇宙空間で撮影されたわけですから、とてもエキサイティングです。スペースX社は宇宙開発に新しいハードウェアだけでなく、新しいカルチャーももたらしているといえます。

         


        大寒波襲来の原因は地球温暖化

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          Global Warming Triggers Extreme Cold Air Outbreak

           

          北極の強い寒気が日本列島に流れ込み、日本海側では記録的な積雪になっています。北極上空の冬の寒気は非常に冷たい低気圧で、極渦とよばれます。極渦が強い場合は、寒気が北極上空に閉じ込められ、その周囲をまわる偏西風も安定しています。一方、極渦が弱くなると、偏西風が蛇行し、寒気が中緯度帯に流れ込んでくるのです。

           

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          上の画像で右は2013111416日の北極上空で、紫色の領域が寒気です。極渦が安定している時期のパターンです。左の画像は201415日の北極上空で、寒気が分裂し、北アメリカや北大西洋、ユーラシア大陸に流れ込んでいます。2014年は日本や北アメリカに非常に強い寒波が襲来しました。現在はこれと同じパターンになっています。

           

          なぜ、このように極渦が乱れる現象が起こるのでしょうか。これを説明するために提唱されているのが、北極振動とよばれるものです。これは北極圏とそれを取り巻く中緯度帯の間の気圧に負の相関が働く現象です。北極振動の指標となるAOインデックスがプラスの場合は極渦は安定し、日本や北アメリカ、ヨーロッパは暖冬になります。AOインデックスがマイナスになると、寒い冬になります。ただし、この北極振動がなぜ起こるのかは、まだはっきりとは分かっていません。

           

          ここ数年は、地球温暖化との関係が指摘されるようになってきました。特に関係していると考えられるのが、北極海の夏の海氷です。北極海における夏の海氷面積の減少は21世紀になって顕著になり、2012年には観測史上最小を記録しました。夏の間に大量の氷が融けて、海水が太陽熱を吸収すると、冬にその熱が放出され、北極上空の大気温度が上昇します。その結果、極渦が弱くなると考えられています。地球温暖化が冬の厳しい寒さをもたらしていることになります。

           


          サリュート 7:画家としてのウラジーミル・ジャニベコフ宇宙飛行士

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            Salyut 7Cosmonaut Vladimir Dzhanibekov as an Artist

             

            映画『サリュート 7』の主人公のモデルとなっているソ連時代の宇宙飛行士ウラジーミル・ジャニベコフさんは画家としても知られています。宇宙飛行の際に受けた印象が、彼の作品のモチーフになっています。下の作品の左は発射台に向かう宇宙飛行士を、右はソユーズロケットが発射台を離れて上昇していく際の印象を描いています。

             

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            下の作品は、宇宙空間に到達した宇宙飛行士です。

             

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            彼はどのようなことを考えているのでしょうか。ジャニベコフさん自身は宇宙を飛びながら、宇宙開発の成果がまだ人類共通の財産とならないことが気になっていたと述べています。「たとえば、アフリカの人々はまだその恩恵を受けてはいないのです。アフリカの上を15分も飛べば、サバンナに35から40の焼き畑の煙を見ることができます。その煙はときとして大西洋を越え、アメリカの海岸にさえ達しているのです」。


            ブルームーンとは?

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              What is a Blue Moon?

               

              131日に見られる皆既月食は「ブルームーン」に起こる月食です。ブルームーンとは、「ひと月に2回満月があるときの、2回目の満月」とされています。

               

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              満月から次の満月までは29.5日かかります。したがって、2月以外の月では、満月が2回ある可能性があります。2018年は、131日と331日がブルームーンとなります。ブルームーンが起こる年は23年ごとにめぐってきます。

               

              ブルームーンといっても、月の色が青く変化することはありません。しかし、一時的に月が青く見えたという記録は残っています。例えば1883年、インドネシアのクラカトア火山が大噴火を起こし、大量の火山灰が大気中に巻き上げられました。火山灰の直径は約1μmで、赤い光を散乱させるため、人々は青色ないし緑色の月を目撃しました。また太陽はラベンダー色に見え、夕焼けは異常に赤かったといわれています。火山灰は成層圏に達し、長いことそこにとどまったため、このような現象は1年以上続きました。

               

              その後、1980年のアメリカのセントへレンズ、1983年のメキシコのエルチチョン、1991年のピナトゥボの火山噴火でも、青い色の月が見えたと報告されています。また、大規模な森林火災で発生した煙によっても、月が青く見えることがあるようです。

               

              もちろん、月が青く見えることなど、まれにしか起こりません。ここから、「滅多に起こらない」という意味の ”Once in the blue moon” という表現が生まれたといわれています。ブルームーンというと、エラ・フィッツジェラルドなどが歌った名曲を思い浮かべる方もいるかもしれません。この曲では、ブルームーンはさびしい孤独な心をあらわす存在となっています。しかし、この曲のブルームーンには、「ブルー=メランコリー」という意味以外に、”Once in the blue moon” という意味もこめられているのです。

               

              ところで、「ひと月に2回満月があるときの、2回目の満月」というブルームーンの定義ですが、これについては興味深いエピソードがあります。1999年のことでした。『スカイ&テレスコープ』誌の3月号と5月号に、「これまでのブルームーンの定義は間違っていた」という記事が掲載されたのです。

               

              これには、とてもびっくりしたものです。誰もが(『スカイ&テレスコープ』誌の編集者も含めて!)、ブルームーンとは「ひと月に2回満月があるときの2回目の満月」と思っていたのですから。しかも、その原因は『スカイ&テレスコープ』誌の昔の記事にあったというのです。

               

              「間違い」は、次のようにして起こりました。『スカイ&テレスコープ』誌の19437月号のコラムで、大学教員のローレンス・ラフラーがブルームーンについて触れました。彼の記事は、当時出版されていた『メイン・ファーマーズ・アルマナック』(現在出版されている『ファーマーズ・アルマナック』とは関係ないようです)という農業暦に書かれていたことをベースにしていました。

               

              『メイン・ファーマーズ・アルマナック』では、冬至をスタートとして3か月ごとを、「冬」「春」「夏」「秋」と決めていました。

               

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              各季節の満月は基本的に3回ですが、1年間に満月が13回ある年には、どこかの季節で満月が4回になります。そして、満月が4回ある季節の3回目の満月をブルームーンと呼んでいたのです。各季節の3回目の満月は、その季節がそろそろ終わることを告げるものですが、満月が4回ある場合の3回目の満月では、季節の移り変わりを告げるには早いため、このようなよび方をしたのです。この決め方では、ブルームーンが起こるのは2月、5月、8月、11月です。

               

              ラフラーは『メイン・ファーマーズ・アルマナック』に書かれているブルームーンという言葉を紹介しましたが、上に書いたような内容は説明しませんでした。その後、『スカイ&テレスコープ』誌の19463月号で、アマチュア天文学者のジェームズ・ヒュー・プルーエットがラフラーの記事について言及しました。

               

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              しかし、彼自身は『メイン・ファーマーズ・アルマナック』を読んでいませんでした。そして、「1年間に満月が13回ある年には、ある月には満月が2回ある。そのときの2回目の満月はブルームーンとよばれる」と書いてしまったのです。その後、『スカイ&テレスコープ』誌の記事やラジオ番組などで、ブルームーンの新しい(間違った)定義は世間に広まっていきました。

               

              ブルームーンとは現代のフォークロア、あるいは都市伝説といえるものです。今では伝統的なブルームーンと新しい定義の現代的なブルームーンが両方存在しています。『スカイ&テレスコープ』誌の1999年の記事が出たとき、天文学者も天文雑誌や科学雑誌の編集者も、新しい定義のブルームーンを間違いとして排除することはしませんでした。ブルームーンという、どこかミステリアスな言葉に誘われて、多くの人が天文現象に興味をもってくれればそれでいいと、皆が考えているからです。



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