新型コロナウイルス:感染は拡大中

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    本日(7月5日)の東京都の感染者数は111人でした。感染は拡大しており、感染爆発への道を進んでいるという危惧をもたざるをえません。

     

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    その原因が「夜の街」に転嫁されていますが、実際は夜の街以外での市中感染が起こり、家庭や会合・食事、職場など日常生活の場面での感染が拡大しています。さらに夜の街で感染した人が市中感染を加速させている可能性もあります。

     

    以下のような意見がありますが、慎重な考えが必要です。

    3月と状況が違っている→市中感染が進行し、クラスターを把握することが難しくなっている今回の方が、感染爆発の起こる可能性は高いかもしれない。

    陽性者が増えたのはPCR検査が増えたため→PCR検査数は劇的には増えていない。今後検査数が増えれば、陽性者はさらに増加する可能性がある。

    医療体制は十分→東京都の陽性者で「入院・療養等調整中」が203人もいる事実は、陽性者の受け入れ体制が現在でも十分とはいえないことを示している。陽性者および濃厚接触者が増えていけば、医療崩壊のおそれがでてくる。

    病床は十分足りている→感染爆発が起これば病床はすぐに不足し、他の病気の患者に対する医療サービスが圧迫される。冬に季節性インフルエンザが流行すれば、さらに肺炎患者が発生し、病床数はひっ迫する。コロナ専門病棟の増設・新設が必要。

     

    緊急事態宣言の発出は現実的ではありません。Withコロナの時代に生きるというのは、ロックダウンや緊急事態宣言なしに感染をコントロールしていくことを意味しています。検査と隔離を徹底すれば、感染をコントロールすることは可能です。


    新型コロナウイルス:このままでは感染爆発が発生

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      7月2日の東京都の新型コロナウイルスの感染者数(107人)が示しているのは、緊急事態宣言によって鎮静化したかに見えたウイルス感染がふたたび拡大しており、今や、感染爆発の危険をはらむまでになってしまったということです。

       

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      99.99%の人が感染防止を心掛けても、0.01%の自覚の足りない人によって、感染は広がっていきます。「Withコロナの時代」を生きるとは、こうした事態と隣り合わせで生きていくということです。

       

      現在、国や東京都は、ロックダウンをすることはできず、業界に休業要請をするわけにもいかず、結局無策のまま、感染拡大の終息を国民の自覚と医療従事者の献身的な努力に頼らざると得ないという状況になっています。

       

      しかしながら、国や自治体が今やらなくてはならないことがいくつかあります。

       

      まず、感染者の隔離の徹底です。PCR検査で陽性になった場合、症状が出ている人は入院、症状の出ていない人は宿泊施設で経過観察が必要です。後者について、今でも保健所が自宅待機を指示している例もあるようですが、例外なく隔離する必要があります。陽性者の自宅待機は家庭内感染や、無自覚な外出による新たな感染を生む危険があります。

       

      さらに、感染者の濃厚接触者も一定期間の隔離が必要です。新たに感染が確認された人の中には、濃厚接触者が必ず含まれています。濃厚接触者は潜在的陽性者と考えることが大事です。

       

      クラスターが発生した店や施設は閉鎖しなければなりません。店や施設の関係者は感染していなくても全員濃厚接触者ですから隔離が必要で、事実上営業はできなくなります。感染防止対策が十分に行われていることが確認されれば、営業再開できるようにします。こうした措置は現在の法律ではできないという人がいますが、自治体で条例をつくれば、いくらでも実現できるでしょう。食中毒を起こした飲食店に対しては同じような措置がとられています。

       

      医療機関の負担を増やさないようにするためには、コロナ専門病院、あるいはコロナ専門病棟の新設が必要です。これによって、院内感染のリスクを低減させることもできます。コロナ専門病棟の新設は一部で行われているようですが、将来の第二波、第三波にそなえ、さらに十分な数を確保しなければなりません。東京都は流行の程度に応じて医療機関に病床確保を要請していますが、コロナ患者で病床がうまれば、その分、コロナ以外の患者に対する医療サービスが低下します。コロナ専門病院・病棟は、患者がいない場合には空いた状態で維持し、患者急増に備える必要があります。

       

      もちろん、これらの前提として、PCR検査の充実が必要で、今後は感染リスクの高い集団に対する集中的な検査を行い、感染者を早期に発見する必要があります。

       

      以上のような方策は、感染症対策の基本なのですが、なぜか日本では実現していないのです。

       

      このままでは間違いなく感染爆発が起こります。本日の会見での、小池都知事の「感染が拡大しつつあると思われる段階」、医療提供体制について「体制強化の準備が必要」との説明は、あまりに楽観的といえるでしょう。

       


      新型コロナウイルス:日本ではヨーロッパ株が流行

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        国立感染症研究所が、新型コロナウイルスのゲノム分子疫学調査の結果を発表しました。現在日本で流行しているウイルスは、感染の第2波としてヨーロッパからもたらされたことが分かりました。

         

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        ウイルスのゲノムは感染をくり返しながら、少しずつ変異していきます。したがって、ウイルス感染者のゲノムを解読し、他の感染者のゲノムとどのくらい近縁かを調べることによって、ウイルスの系統樹をつくったり、どのような経路で感染したかを明らかにすることができます。

         

        現在、GISAIDとよばれるデータベースには世界各地の新型コロナウイルス患者4511人のゲノム配列が登録されています。国立感染症研究所ではこのデータに、国内患者562人のゲノム配列を加えて分析し、ウイルスの親子関係のネットワーク図をつくりました。

         

        これによると、武漢でのウイルス発生後、早い時期に日本にもたらされたウイルス、およびダイヤモンド・プリンセンス号の患者のウイルスは現在では消失しており、日本は第1波を抑え込んだことが分かりました。しかし、3月にヨーロッパからの帰国者(旅行者、在留邦人)経由で新たにウイルスがもたらされました。現在、このヨーロッパ株のウイルスが日本で流行しています。「初期の中国経由(第1波)の封じ込めに成功した一方、欧米経由(第2波)の輸入症例が国内に拡散した」と、調査報告では述べられています。

         

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        上のネットワーク図で、赤色が日本、空色がヨーロッパ、黄緑色がアメリカで流行しているウイルスです。武漢の近くにある赤色のクラスターは初期の感染によるものです。中国のウイルスは波状的にヨーロッパにもたらされたことが、この図から分かります。そのクラスターの1つからウイルスはアメリカ東海岸にもたらされました。アメリカ西海岸には太平洋を横断して中国から別系統のウイルスがもたらされました。現在日本で主に流行しているウイルスは左上に位置し、ヨーロッパに発生したクラスターの1つからもたらされたことが分かります。

         

        GISAIDのデータを用いた同じようなネットワーク分析はNextstrainというウェブサイトでも行われています。

         

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        このネットワーク図では、ウイルスがヨーロッパおよび太平洋を渡ってアメリカにもたらされたことは分かりますが、日本人患者のゲノム配列データが初期のものであるため、ヨーロッパ株が日本に進入したことは分かりませんでした。

         

        ドイツのPeter Forsterらのグループも同じような研究をPNAS(米国科学アカデミー紀要)に発表しています。この論文でForsterらは、新型コロナウイルスはABC3つのグループに分けられるとしています。

         

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        A型はコウモリのウイルスに近い祖先型で、そこから東アジアに多いB型が派生しました。また、A型とC型はヨーロッパとアメリカにかなりの割合でみられるとのことです。このことは、今回の国立感染症研究所の結果と同様、ウイルスはヨーロッパに初期の段階から何度にもわたってヨーロッパにもたらされ、アメリカにはヨーロッパ経由と太平洋経由の2つのルートでもたらされたことを示しています。

         

        このように、ゲノム情報を「配列指紋」として疫学調査に利用することは、ウイルス感染を追跡し、さらなる感染拡大を防止する上で非常に有益です。

         



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