ケンタウル祭の夜に降るペルセウス座流星群

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    昨今の不順な天候のために、ペルセウス座流星群を見ることができなかった方も多いと思います。私も見る機会を逃してしまいました。ペルセウス座流星群はスイフト・タッフル彗星が残したちりによって発生する流星群で、毎年812日頃に見られます。今年は13日の10時が極大にあたっていました。

     

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    宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』において、ペルセウス座流星群は重要な役割を果たしています。『銀河鉄道の夜』は「ケンタウル祭」の夜の物語ですが、それはペルセウス座流星群が降ってくる夜のことなのです。

     

    ケンタウル祭の夜、子供たちは「ケンタウル、露をふらせ」とさけびながら走ります。この「露」がペルセウス座流星群です。賢治の「星めぐりの歌」には「オリオンは高く うたひ つゆとしもとを おとす」という箇所があります。この「つゆ」はオリオン座流星群です。オリオン座流星群は毎年1020日前後に見られ、ハレー彗星のちりがもたらす流星群です。このように、賢治は流星群を、露が降ってくる情景として表現していました。ペルセウス座流星群は当時から「しぶんぎ座流星群」「ふたご座流星群」とともに三大流星群の1つとして知られていましたから、星を見るのが好きだった賢治は、子供のころからペルセウス座流星群を見ていたにちがいありません。

     

    また『原体剣舞連』には「獅子の星座に散る火の雨の 消えてあとない天のがはら」というしし座流星群をうたった箇所があり、ここでは流星群は「雨」と表現されています。しし座流星群は約33年ごとに出現する流星群で、残念ながら賢治はこの流星群を見ることはありませんでした。

     

    ペルセウス座流星群の見える夜がケンタウル祭の夜であることを、私は[銀河鉄道の夜]フィールドノート』(青土社)の中の「ケンタウル祭の夜はいつか」の章に詳しく書きました。上の写真は、この本のために藤井旭さんからご提供いただいたものです。

     

    昔から8月中旬は空が澄んで、流れ星がよく見えるとされ、「流星」あるいは「流れ星」は秋の季語にもなっています。ペルセウス座流星群が降り、すでに秋の気配の感じられる夜のお祭り、それがケンタウル祭です。

     


    パーカー・ソーラー・プローブ:太陽の黄金の林檎

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      Parker Solar Probe:The Golden Apples of the Sun

       

      NASAの太陽観測探査機パーカー・ソーラー・プローブが、8月12日、ケープ・カナヴェラル空軍基地からデルタ献悒咫次Ε蹈吋奪箸砲茲辰涜任曽紊欧蕕譴泙靴拭

       

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      パーカー・ソーラー・プローブは10月に最初の金星フライバイを行い、太陽に2400万kmまで接近し、観測を開始します。その後さらに6回の金星フライバイを行いながら7年間のミッションを行います。この間、最接近時の太陽までの距離は600万kmにまでなるとされています。太陽から水星までの距離の約10分の1です。

       

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      太陽表面の温度は約6000度Cですが、高度数万kmにまで広がるコロナの温度は100万度Cにまで達します。パーカー・ソーラー・プローブによる観測の最大の目的は、太陽にできる限り近づき、コロナがなぜそんなに高温になるのかを解明することです。太陽に接近してコロナの謎を探るソーラー・プローブの構想はだいぶ前からありましたが、太陽の高熱に耐えられる遮熱材の開発に時間がかかりました。

       

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      パーカー・ソーラー・プローブの太陽への冒険の旅で思い出すのは、イェーツの詩にその題名をとった、レイ・ブラッドベリの『太陽の黄金の林檎』です。地球のエネルギーが枯渇してしまったため、宇宙船「金杯号」は燃えさかる太陽に向かいます。太陽の表面から炎をすくい上げて地球にもち帰り、ふたたび町を明るく照らし、機械を動かすためです。金杯号には2000本のレモネードと1000本のビールが積み込まれていました。船内は「アンモニア化合物」を用いた冷却装置によって極低温に保たれています。ちなみに、パーカー・ソーラー・プローブも加圧した水を用いる冷却装置を搭載しています。

       

      間近に見る太陽とは、どのようなものなのでしょうか。「ここには、太陽、太陽、太陽があるのみなのだ。太陽があらゆる地平線であり、太陽がすべての方角である」(小笠原豊樹訳)と、ブラッドベリは書いています。私たちはそのような太陽のはげしい姿の一端を、日本の太陽観測衛星「ひので」やNASAの太陽観測衛星「SDO」などの観測画像で知ることができます。下の画像はSDOがとらえた太陽表面の爆発現象です。

       

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      金杯号は首尾よく太陽の炎をすくい上げ、地球への帰路につきました。パーカー・ソーラー・プローブも太陽に関するたくさんの知見を地球にもたらすでしょう。


      NASAがアメリカの宇宙船に搭乗するクルーを発表

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        NASA Assigns Crews for Commercial Spacecraft

         

        NASAはボーイング社が開発中の有人宇宙船CST-100スターライナーと、スペースX社が開発中の有人宇宙船クルードラゴンの試験飛行のクルーを発表しました。また、試験飛行後の最初のミッション飛行に搭乗する宇宙飛行士も発表しました。

         

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        2011年にスペースシャトルが退役して以来、NASAは国際宇宙ステーション(ISS)への有人宇宙輸送を民間企業によって行うプログラムを推進し、ボーイング社とスペースX社が宇宙船を開発してきました。

         

        NASAはまた、これらの商業有人宇宙船による飛行に向け、4人のベテラン宇宙飛行士をコマーシャル・クルー・アストロートとして指名しました。ボブ・ベンケン、エリック・ボウ、ダグ・ハーリー、サニータ・ウィリアムズです。ベンケンはスペースシャトルで2回の飛行(STS-123STS-130)を行いました。ボウはスペースシャトルの2回の飛行(STS-126STS-133)でパイロットをつとめました。ハーリーはスペースシャトルの2回の飛行(STS-127STS-135)でパイロットをつとめました。ウィリアムズは2回のISS長期滞在を行い、通算宇宙滞在は322日に達します。

         

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        CST-100(右)とクルードラゴン(左)の開発は最終段階に入っており、2019年に国際宇宙ステーションへの有人試験飛行および最初のミッション飛行が行われる予定です。そのため、今回のクルー発表に至ったわけです。

         

        CST-1002018年末か2019年はじめに無人の試験飛行(オービタル・フライト・テスト)を行い、20195月に有人の試験飛行(クルー・フライト・テスト)を予定しています。宇宙船はアトラスVによって、ケネディ宇宙センターから打ち上げられます。有人試験飛行のクルーは、エリック・ボウ、ニコール・マン、クリス・ファーガソンです。マンはNASAのクラス2013の宇宙飛行士で、海兵隊のF/A-18 のパイロットでした。これが初飛行です。ファーガソンはスペースシャトルの最後のフライトであるSTS-135のコマンダーでした。ファーガソンはその後、NASAを引退し、ボーイング社に移ってCST-100の開発に加わってきました。

         

        クルードラゴンは201811月に無人の試験飛行(デモ1)を行い、20194月に有人の試験飛行(デモ2)を予定しています。宇宙船はファルコン9によって、ケネディ宇宙センターから打ち上げられます。有人試験飛のクルーはダグ・ハーリーとボブ・ベンケンです。

         

        CST-100とクルードラゴンの定員は7人で、ISSへの最初のミッション飛行のクルー全員が決まっているわけではありません。

         

        ボーイングのCST-100の最初のミッション飛行のクルーとして、今回、サニータ・ウィリアムズとジョシュ・カサダが指名されました。カサダはクラス2013の宇宙飛行士で物理学の専門家でした。これが初飛行になります。クルードラゴンの最初のミッション飛行のクルーとしては、今回、マイケル・ホプキンズとヴィクター・グローヴァーが指名されました。ホプキンスはクラス2009の宇宙飛行士で、第37/38次のISS長期滞在クルーでした。グローヴァーはクラス2013の宇宙飛行士で、空軍のF/A-18 のパイロットでした。これが初飛行となります。

         

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        CST-100とクルードラゴンを背景にした上の写真で、左からサニータ・ウィリアムズ、ジョッシュ・カサダ、エリック・ボウ、ニコール・マン、クリス・ファーガソン、ダグ・ハーリー、ロバート・ベンケン、マイケル・ホプキンス、ヴィクター・グローヴァーです。この写真が私にとって印象的なのは、STS-135のコマンダーだったファーガソンとパイロットだったダグ・ハーリーがセンターに立っていることです。

         

        スペースシャトル最後のフライトのコマンダーとパイロットを含むシャトル時代のベテラン宇宙飛行士と、ポストシャトル時代の新世代の宇宙飛行士の組み合わせは、アメリカの有人宇宙飛行に新しい時代が訪れつつあることを実感させます。

         

         


        iPS細胞によるパーキンソン病治療が臨床試験へ

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          Parkinson’s Disease TreatmentGo for Clinical Trial with iPS Cells

           

          iPS細胞を用いたパーキンソン病治療の臨床試験(治験)が、京都大学で行われることになりました。京都大学からの正式な発表はまだありませんが、報道によると、iPS細胞からつくった細胞を数人のパーキンソン病患者に移植し、約2年にわたって安全性や効果を確認します。この治療に用いられる細胞は、京都大学iPS細胞研究所(CiRA)の高橋淳教授のグループによって作製されたものです。

           

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          パーキンソン病は脳内のドーパミンという物質が少なくなることにより、手足の震えやこわばり、体が思うように動かないなどの症状が起きる進行性の難病です。ドーパミンをつくっているのは、中脳の黒質という部分にあるドーパミン神経細胞です。この細胞が減ることによって脳内のドーパミンが減少し、パーキンソン病が引き起こされるのです。

           

          iPS細胞を用いたパーキンソン病の治療は、ヒトのiPS細胞からつくったドーパミン神経細胞を患者の脳に注射で移植することによって行われます。ドーパミンは黒質でつくられた後、線条体という部分に移動してから脳内に分泌されます。そこで、iPS細胞から作製したドーパミン神経細胞は、患者の線条体に移植されます。高橋教授は、これまでサルやラットでの実験で、治療の効果や安全性を確認してきました。

           

          パーキンソン病の原因はまだ分かっていません。病気が進行すると、患者は要介護や寝たきりの状態になってしまいます。iPS細胞による治療は、病気の根治を目的としたものではなく、減っていくドーパミン細胞を補充することによって病気の進行を抑えるというものです。この治療法が確立すれば、パーキンソン病の薬物治療との併用によって、病気の進行を食い止め、患者が不自由な生活を送ることを防ぐことができると期待されます。

           


          火星全球をおおう大規模な砂嵐

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            Dust Storm on the Red Planet

             

            5月末に発生した火星の大砂嵐は6月には全球をおおってしまいました。このような大規模な砂嵐は火星では68年(34火星年)に1回発生しています。おそらく8月まで、このような状態がつづくとみられます。

             

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            現在、火星表面ではNASAのオポチュニティとキュリオシティが活動しています。オポチュニテイは太陽電池で発電してエネルギーを得ていますが、火星の空は細かい砂におおわれ、表面は暗くなっています。そのため、オポチュニティは発電ができず、すべての活動を停止しています。9月になって砂嵐が収まってくれば、発電が可能になりますが、太陽電池板の上に細かい砂が降り積もり、発電効率がかなり落ちてしまう心配があります。

             

            一方、キュリオシティは電源に原子力電池を用いているので、活動に支障をきたすことはありません。土壌のサンプル調査のほか、砂嵐自体の科学観測も行っています。下の画像は615日に撮影したキュリオシティの「自撮り」写真です。

             

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            火星周回軌道上ではNASAMRO、マーズ・オデッセイ、MAVENが砂嵐を観測しています。火星の砂嵐をこれだけの数の探査機が表面と軌道上から同時観測するのは初めてのことです。大規模な砂嵐の原因はまだ分かっていませんが、今回の観測によって貴重な知見が得られる可能性があります。


            熱帯化する日本列島

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              各地で記録的な猛暑が続いています。こうした高温現象は地球温暖化という長期的な気候変動が背景にあり、今後の日本列島では、これまで経験したことのない猛暑が日常的になると考えられます。

               

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              下は、気象庁が発表している日本の年平均気温の推移です。長期的な気温上昇傾向がみられ、特に1990年以降の気温上昇が顕著です。

               

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              下は、NASAが発表している全世界の年平均気温の推移です。同じ傾向がみられます。

               

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              このように、地球は地球温暖化によるはげしい気候変動の時代に入っているといえます。年平均気温が上昇すると、なぜ最近のような高温現象が起こるのかは、以下のグラフで理解することができます。

               

              下は、NASAが発表している1951〜1961年の北半球夏の最高気温の分布です。青い部分は最高気温が低かった日の分布、赤い部分は最高気温が高かった日の分布です。多くの日は中央の平均値をはさむグレーの部分に集中し、全体はいわゆる正規分布の形になっています。

               

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              下は、2001〜2011年の北半球夏の最高気温の分布です。地球温暖化によって分布が全体として右、すなわち高温側にシフトしていることが分かります。1951〜1961年の青い部分は少なくなり、1951〜1961年にはなかった赤い部分が増えています。

               

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              上のグラフの右端、すなわち標準偏差が3〜5の部分は、1951〜1961年には観測されなかった非常に高温の日です。現在の記録的猛暑は、まさにこの部分に該当しているのです。非常な高温現象は一時的なものでなく、年平均気温が上昇すれば必ず出現する現象であることが、お分かりになると思います。熱帯化する日本列島で、これまではなかった猛暑にいかにして対処するか、長期的な取り組みが必要です。



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