最近のエントリー
カテゴリー
過去のエントリー
カレンダー
S M T W T F S
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
<< September 2017 >>
ブログ内を検索


PROFILE
モバイル
OTHERS
カッシーニ・ミッション終了
Cassini ends its 13-year mission

土星探査機カッシーニは9月15日、土星大気に突入して、そのミッションを終えました。

20170915_17

カッシーニは次第に濃くなる土星大気の中で分解し、燃えつきました。カッシーニからの電波は9月15日午後8時55分ごろに停止しました。土星から地球まで電波が届くのに約1時間23分かかるので、カッシーニは日本時間の午後7時32分ごろに通信機能が失われたことになります。

カッシーニ探査機は1997年10月15日に打ち上げられました。2004年に土星周回軌道に入り、以来13年にわたって土星とその衛星、そしてリングの観測を続けてきました。

20170915_18

2017年4月26日、カッシーニのミッション終了に向けた軌道変更が行われました。土星を22周回後、9月15日に土星大気に突入させるための軌道変更です。タイタンやエンケラドスなど生命存在の可能性のある衛星に落下して環境を汚染しないよう、軌道変更の燃料があるうちに行われた措置でした。

カッシーニは多くの成果をあげていますが、初期の成果のハイライトは、ホイヘンス・プローブをタイタンに軟着陸させたことでしょう。これによって、オレンジ色のかすみがかかった大気の下のタイタン表面を、私たちははじめて見ることができました。

20170915_13

カッシーニはその後、何回もタイタンに接近し、タイタン全体の地形を明らかにしました。

20170915_14

カッシーニのもう1つの大きな成果は、エンケラドスで発見した間欠泉です。これによって、エンケラドスの内部には液体の海があることが分かりました。

20170915_15

下の画像は、カッシーニが地球に送ってきた画像の中でも、特に感慨深いものです。2013年7月19日に撮影されたこの画像には、私たちの地球が写っています。矢印で示されたリングの下の小さな点が地球です。

20170915_16

長期間のミッションを支えたカッシーニ・チームにはご苦労様というほかはありません。
北朝鮮の弾道ミサイル:火星12と火星14
北朝鮮は9月15日、弾道ミサイルを発射しました。ミサイルは日本列島の上空を越え、3700kmを飛行しました。中距離弾道ミサイル、火星12 の可能性があります。

北朝鮮の中距離弾道ミサイル火星12 と大陸間弾道ミサイルとされる火星14 は、ここで書いたように、最近登場した新しい系列の弾道ミサイルです。火星12 は1段式、火星14 は2段式です。火星14 は火星12 に第2段を追加しただけのように見えますが、両者の画像を並べて比較してみると、違いがよく分かります。

20170915_08

火星12 の全長は16.5m、火星14 の全長は19.5〜19.8mとされています。火星12 と火星14 の第1段は全長が約13.5mと同じですが、火星14 の第1段の直径は火星12 より大きく、火星12 の直径1.5mに対して、火星14 の直径は1.7〜1.85mです。火星14 の直径が大きくなっているのは搭載する推進剤を多くし、射程を伸ばすためです。

火星12 と火星14 の第1段エンジンは同じもので、ソ連時代のICBM、R-36 で使われていたRD-250 エンジンです。RD-250 は燃焼室が2基ペアになっていましたが、北朝鮮で使っているのは、燃焼室を1基にしたバージョンです。このエンジンを北朝鮮はウクライナのブラックマーケットを通じて入手した可能性があります。入手時期は金正恩体制になってからのことと考えられます。火星12 と火星14 の第1段には、さらに方向を変えるためのバーニアスタスター4基が取り付けられています。これらのスラスターも第1段の推力に寄与しています。このスラスターはソ連の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)で使われていたR-27 のスラスターを用いている可能性があります。

20170915_09

火星14 の第2段がどのようなエンジンを用いたものかは分かっていません。

火星12 は2017 年4月15日の軍事パレードで初めて登場しました。下の画像はその時の画像です。

20170915_10

火星12 の弾頭部は小さく、小型化したブースト型原爆を搭載できるとしても、北朝鮮が水爆としているサイズの爆弾を搭載することは難しいかもしれません。

一方、火星14 の弾頭の形状は火星12 と大きく異なっています。下の画像は、火星14 を起立させる前の写真です。

20170915_11

火星14 の弾頭基部の直径は1.3〜1.4mほどあります。これなら北朝鮮のいう水爆も搭載可能とみられます。実際に金正恩委員長が核開発の研究所を訪れた時の写真の背後に写っていたパネルには、火星14 に水爆を搭載した弾頭が描かれていました。

20170915_12

火星12 は2017年4月に3回の発射実験を行ったようですが、いずれも失敗しました。しかし5月14日の発射実験では、高度2000km以上に達するロフテッド軌道をとり、水平距離787kmを飛行しました。また8月29日の発射では、日本列島を越えて水平距離2700kmを飛行しました。9月15日の発射では、飛行距離は3700kmに伸びています。

北朝鮮は火星12 の発射にあたって、推進剤の量を変えて飛行距離を調節しているようです。弾道ミサイルの射程は搭載する推進剤の量と弾頭重量によって変わるので、射程を正確に推定することは難しいのですが、地面との角度が30度〜45度のミニマムエナジー軌道で発射した場合、火星12 の最大射程は4500kmに達すると考えられます。

北朝鮮はすでに韓国を標的とした短距離弾道ミサイル、スカッドと、日本を標的とした準中距離ミサイル、ノドンを実戦配備しています。それよりも射程が長い中距離弾道ミサイルとしてはムスダンを開発してきました。ムスダンは2016年に8回、発射実験を行いましたが、そのうち1回しか成功せず、開発は難航している模様です。したがって、現在ではムスダンに代わって、火星12 が北朝鮮の中距離ミサイルの本命となっている可能性があります。

火星14 は2017年7月4日に最初の発射実験が行われました。高度2800kmに達するロフテッド軌道をとり、水平距離933kmを飛行しました。7月28日には2回目の発射実験が行われ、高度3700kmに達するロフテッド軌道をとり、水平距離約1000kmを飛行しました。火星14 の最大射程は1万kmに達するとみられています。

北朝鮮は金正日の時代からICBM としてテポドン2 を開発してきました。しかし、テポドン2 は発射台が必要な上に発射準備に時間がかかり、ICBM としては使えません。また、火星13 とよばれる別のICBM も開発していましたが、開発は進まず、計画はキャンセルされたとみられています。したがって、ICBM を保有することが必須の目標である北朝鮮にとって、火星14 の存在は非常に重要です。

火星14 のほか、火星13 も新しいICBM として開発計画が再開されている可能性がありますが、現在、北朝鮮が「ICBM に搭載する水爆の実験に成功」という場合のICBM は火星14 を指しており、金正恩委員長は一刻も早い火星14 の開発完了を目指していると思われます。火星12 の発射においても火星14 のためのデータを取得しているとみられますが、近い将来、火星14 の発射実験が行われるのは間違いないでしょう。
北朝鮮の核ミサイル開発はどのくらい脅威か(4):事態はもはや先送りが不可能な局面に
核とミサイルの開発を進める金正恩委員長の目標は、北朝鮮がアメリカ全土を大陸間弾道ミサイル(ICBM)で攻撃できる強大な核保有国家であることを、既成事実として世界に認めさせることにあります。したがって、北朝鮮がアメリカに体制維持の保証を求めているという考えに過度に重きを置くことは、事実を見誤る危険性があります。現在の北朝鮮にとって最も重要なことはアメリカによる承認ではなく、一刻も早くアメリカやロシア、中国と肩を並べる核強国になることです。ここここで見たように、北朝鮮は今、それを実現する一歩手前まできています。現時点での対話は、北朝鮮の時間稼ぎにしかならないでしょう。核とミサイル技術の進捗の度合いを考慮すれば、「対話のための対話は無意味」「最大の圧力を」という日本政府のスタンスは合理的といえます。

金正恩委員長は2013年、金正日時代の先軍政治(軍事優先の政治)を継承するとともに、経済発展と核・ミサイル開発の両方を優先する「並進路線」を打ち出しました。経済政策の成果は不明ですが、核とミサイルの開発はこの路線によって国家目標となり、その後目覚ましい発展を遂げています。2012年〜2015年は金正恩委員長にとって権力基盤を固める時期でした。それを実現した同委員長は、今や核とミサイル開発を最優先課題として加速化させています。2016年以降の多数のミサイル発射や3回の核実験がそれを如実に物語っています。金正日時代の核開発予算はそれほど多くなかったといわれています。また、中国に配慮する面もあり、2006年と2009年の核実験では、事前に中国に通告していました。しかしながら金正恩時代になって核開発予算は増大し、中国への配慮も一切なくなりました。

このような路線を支えているのは、金正恩委員長の周囲を固める新世代のテクノクラートたちです。核とミサイルの開発体制も、金日成、金正日時代のピラミッド型組織ではなく、各プロジェクトを担当する設計局を金正恩委員長が直接指示できるフラットな体制になっていると推測されます。そこで働く科学者や技術者たちも世代交代が進んでいます。その中核は東西冷戦の時代をほとんど知らない世代であり、金正恩委員長とのコミュニケーションも非常に取りやすくなっているでしょう。こうした新しい体制が、核とミサイル開発を効率的に進める基盤となっています。

アメリカ本土を攻撃できるICBM は、長距離を飛ぶミサイルを開発するだけでは実現できません。弾頭の再突入技術や精密誘導技術なども必要です。しかし、こうした技術開発にも着実な進展がみられます。再突入技術に関しては、ロフテッド軌道の発射実験等でデータを入手しているはずです。2017年5月に発射実験が行われ、KN-18 と名付けられたスカッドのヴァリアントは、大気圏再突入時にターゲットに向けた誘導が可能なMaRV であり、北朝鮮はすでにこの技術を一部習得しています。おそらく、多弾頭化の技術も開発しているでしょう。

今後、注目すべきは火星13(KN-08)の存在です。火星13は3段式とされていますが、そうだとすれば、移動発射と長期保管が可能な固体燃料式のICBM である可能性が濃厚です。アメリカとロシアでも3段式のICBM はすべて固体燃料です。固体燃料の技術を北朝鮮はすでに手に入れています。その技術を用いて、潜水艦発射ミサイル(SLBM)の開発も進めています。北朝鮮の潜水艦が日本やアメリカの潜水艦探知網をかいくぐることは困難と考えられますが、これもまた今後、大きな脅威になることは間違いありません。

特殊な地政学的位置にあるため、国際社会はこれまで北朝鮮の核・ミサイル開発を止められずにきました。しかしながら、事態は今、問題の先送りが不可能な局面に達しています。
北朝鮮の核ミサイル開発はどのくらい脅威か(3):核開発
北朝鮮は9月3日に6回目の核実験を行いました。最近の北朝鮮の核開発は以下の点で、日本や周辺諸国そして全世界にとって大きな脅威になっています。

弾道ミサイルに搭載可能な核の小型化に成功している。
多様な核兵器開発が可能な技術を有している。
水爆の保有をめざしている。

20170911_01

朝鮮戦争でアメリカは原子爆弾の使用を真剣に検討しました。その脅威にさらされた金日成は、朝鮮戦争休戦後、ソ連に核技術の提供を要請しますが、ソ連は北朝鮮の核兵器保有には否定的でした。しかし、原子力技術者の育成には協力することになり、1956年、北朝鮮は科学者や技術者をモスクワの研究機関へ派遣しました。最も優秀な科学者はドゥブナ合同原子核研究所に送られ、核物理学の理論を学びました。この関係は1991年にソ連が崩壊するまで続き、北朝鮮の多くの科学者や技術者がソ連で教育を受けることになりました。1959年には、ソ連と北朝鮮の間で原子力利用に関する協力協定が結ばれ、これにもとづき、寧辺の核施設が建設されました。最初に完成したのはIRT-2000 とよばれる研究炉です。1985年に完成した出力5メガワットの黒鉛減速ガス冷却炉は、その後、原爆用のプルトニウム生産に使われることになります。北朝鮮は寧辺の施設で核燃料の製造、原子炉の運転、核燃料の再処理、プルトニウム抽出の技術を学んでいきます。

北朝鮮にとって、1950年代から1960年代前半は、核開発の基礎を学ぶ段階でした。金日成が原爆開発を具体的に指示したのは1966年か1967年とされています。ソ連と中国が、北朝鮮の核兵器開発を直接支援したことはないとみられます。海外からの支援で最も大きかったのはパキスタンの「核開発の父」とよばれたアブドゥル・カディール・カーンによるものです。彼は1990年代に、確認されているだけでも12回、平壌を訪問しています。彼は原爆製造やウラン濃縮の技術を北朝鮮に教えたとされます。また、1990年代には原爆に必要な高性能爆薬の爆発実験が繰り返し行われていたことが確認されています。

北朝鮮の最初の核実験は2006年10月9日に行われました。爆発の規模は0.7〜2キロトンと小さく、核分裂連鎖反応が十分には進まなかった、いわゆる “fizzle” とよばれる結果に終わったとみられています。核実験が行われたかどうか、あるいはどのような核実験であったかを知る手がかりは、大気中に放出されたキセノンやアルゴンなどの同位体の分析で得られます。このとき検出された同位体から、実験はプルトニウムによるインプロージョン型の核爆発であることがわかっています。しかし、北朝鮮の核実験は坑道内で行われるため、以後の核実験では、大気サンプルから核爆発に関係する元素はほとんど検出されていません。

2回目の核実験は2009年5月25日に行われました。爆発の規模は2〜5.4キロトンと推定されています。前回の失敗のリカバリーと考えられますが、もう1つ大事なのは、この核実験が金正日から金正恩への権力移行の過程で行われたことです。北朝鮮が引き続き核開発を行うことを内外に示す意図もあったとみられます。

3回目の核実験は2013年2月12日に行われました。金正恩が権力を掌握していく過程で行われた実験で、「核の小型化と爆発力の強化を行った」と発表されました。爆発の規模は6〜16キロトン、大気サンプルからキセノンやアルゴンは検出されませんでしたが、濃縮ウランによる核爆発の可能性が指摘されています。

4回目の核実験は2016年1月6日に行われました。爆発の規模は7〜16.5キロトンで、2013年と同じ程度でしたが、北朝鮮は「水爆実験」と主張しました。少量の重水素と三重水素による核融合反応によって核分裂の威力を高めるブースト型原爆の実験であったと推測されます。

2016年9月9日には5回目の核実験が行われました。それまでの核実験はほぼ3年おきに行われていたのに対して、同じ年に2度の核実験を行うのは異例のことでした。爆発規模は過去最大規模の15〜25キロトンで、北朝鮮は「弾道ミサイルに搭載可能な弾頭のテストに成功した」と発表しました。

そして2017年9月3日に北朝鮮は6回目の核実験を行いました。爆発規模は50〜250キロトンとこれまでになく大きく、広島に落とされた原爆の10倍に達する規模とみられます。北朝鮮は「水爆実験に成功」と主張しています。水爆の威力は原爆に比べて桁違いで、通常メガトン級です。そのため、水爆ではないとする見方が大勢を占めていますが、水爆でも150キロトンほどに威力を調節することは可能とされています。ブースト型原爆と考えられますが、水爆実験であった可能性も捨てきれません。

このように、金正恩体制になってから、北朝鮮の核開発はきわめて活発になっています。核爆発技術も向上していると考えられ、ブースト型原爆のほか、コンポジットコアの技術なども習得しているという見方もあります。コンポジットコアとは、核分裂を発生させるコアの部分にプルトニウム239 とウラン235 を層状にして用いる方式で、核物質を有効に利用することが可能といわれています。

さらに、水爆の保有を目指しているのも脅威です。本記事冒頭の写真は6回目の核実験の前日に、金正恩委員長が核開発の研究所を視察した際のものです。手前の白いひょうたん型は弾道ミサイルに搭載する水爆の模型です。左側が「プライマリー」とよばれるブースト型原爆で、水爆の引き金になる部分です。右側が「セカンダリー」とよばれる核融合反応を起こす部分で、この写真はまさに、金正恩委員長が水爆の核心部の説明を受けているところを撮影したものです。左奥のパネルには、この水爆を搭載したICBM、火星14 の弾頭部が示されています。

アメリカの専門家の中には、北朝鮮が核兵器を保有したとしても、経済事情から考えて、10〜20キロトン級の原爆を限られた数だけもつにとどまるという見方がありました。しかしながら、2016年、2017年の核実験はそうした楽観的な予測を完全に否定しており、核技術の高度化によって弾道ミサイルに搭載できる小型で高性能の核兵器を大量に保有し、さらに水爆を搭載したICBM の完成までを目指していることを示しています。
北朝鮮の核ミサイル開発はどのくらい脅威か(2):ミサイル(後編)
北朝鮮は長年、ICBM の保有を目標にしてきましたが、スカッド、ノドン、ムスダンの技術でそれを実現することは不可能です。しかし、最近、北朝鮮にはICBM を目指す新しい系列のミサイルが登場しています。

20170909_02

その1つが北極星シリーズです。2016年8月24日、北朝鮮は潜水艦発射ミサイル(SLBM)北極星1(KN-11)の水中からの発射に成功しました。北極星1の形状はR-27 に非常に良く似ており、北朝鮮はR-27 を参考にしたと考えられますが、R-27 が液体燃料であるのに対して、北極星1 は固体燃料でした。北朝鮮の新浦級潜水艦は1ないし2個のSLBM発射筒をもつといわれています。2017年2月13日に、北朝鮮は北極星1 の地上発射型である北極星2(KN-15)の発射を行いました。北極星2 も北極星1 と同じようにコールドローンチ方式をとっていました。

北朝鮮の弾道ミサイルはスカッド以来、すべて液体燃料でした。北朝鮮が固体燃料ミサイルの開発に取り組み始めたのは1990年代はじめのことです。北朝鮮が固体燃料ミサイルの技術をどのようにして入手したかは明らかになっていませんが、イランが開発した2段式の準中距離弾道ミサイル、セジルがベースになっているという見方があります。このミサイルは1990年代はじめに中国の技術によって開発されたものであり、その技術が北朝鮮に流れたと考えられているのです。

固体燃料の弾道ミサイルは長期間の保管が可能で移動発射が容易という利点をもっています。北朝鮮は北極星3 の開発も行っているようです。北朝鮮の固体燃料ミサイルは新たな脅威であり、アメリカに対決する弾道ミサイルの切り札になる可能性があります。

北朝鮮のもう1つの新しい系列の弾道ミサイルが、火星12(KN-17)と火星14(KN-20 )です。火星12 は1段式の中距離弾道ミサイルで、2017年に5回の発射が行われました。最初の3回は失敗しましたが、5月14日の実験では、高度2000km以上に達するロフテッド軌道をとり、水平距離787kmを飛行しました。また8月29日の発射では、北海道を超えて水平距離2700kmを飛びました。火星14 は2段式のICBM で、7月4日に発射実験が行われました。高度2800kmに達するロフテッド軌道をとり、水平距離933kmを飛行しました。7月28日には2回目の発射実験が行われ、高度3700kmに達するロフテッド軌道をとり、水平距離約1000kmを飛行しました。

火星12 と火星14 の第1段に用いられているエンジンは2016年9月に燃焼試験が行われ、この時の映像からソ連のR-250 であることが明らかになりました。R-250 はソ連時代のICBM、R-36 の第1段エンジンで、ソ連崩壊後は衛星打ち上げ用のツィクロン・ロケットに用いられていました。R-250 を製造していたのはウクライナの企業ユージュマシュです。R-250 は2基のエンジンがペアになった構造をしていますが、火星12 と火星14 のエンジンは1基です。R-250 を半分にしたバージョンのエンジンがブラックマーケットを通じて北朝鮮に流れたとみられています。燃焼試験の時期からして、北朝鮮がこのエンジンを入手したのは比較的最近、おそらく2014年頃と考えられます。現在用いているエンジンはウクライナで製造されたものかもしれませんが、いずれ北朝鮮は国内でR-250 を生産するようになるでしょう。なお、火星12と火星14のエンジンの周囲には方向制御用の4基のバーニアエンジンが取り付けられています。これは4D10エンジンのバーニアエンジンを流用しているかもしれません。ICBM を完成させるにはまだいくつかの技術が必要ですが、北朝鮮がICBM用のエンジンを手に入れたことは間違いなく、念願のICBM保有にあと1歩のところまできたといえるでしょう。

さらにもう1つ、気になる弾道ミサイルがあります。それが火星13 です。火星13 は2012年の軍事パレードに登場したICBM であるKN-08 と考えられていますが、その正体は不明です。3段式の固体ロケットのICBM かもしれません。

このように、北朝鮮では最近、新しい系列の弾道ミサイルが登場し、その目標は、移動発射可能なICBM および中距離弾道ミサイル、そして潜水艦から発射可能なミサイルに絞られています。北朝鮮内の複数の設計局が、これらのミサイル開発を競っているとみられます。2016年以降の多数のミサイル発射は、こうしたミサイル開発が加速していることを示しており、2018年の建国70周年に向けてラストスパートに入っていると考えられます。
北朝鮮の核ミサイル開発はどのくらい脅威か(1):ミサイル(前編)
最近の北朝鮮のミサイル開発は以下の点で、日本や周辺諸国そして全世界にとって大きな脅威になっています。

2016年以降、ミサイル発射実験が活発になっている。
新しい系列の弾道ミサイルが登場している。
大陸間弾道ミサイル(ICBM)の完成が近い。

しかし、これらがどれだけ深刻な脅威であるかは、日々の報道をチェックしているだけでは分かりづらいところがあります。北朝鮮のミサイル開発の経緯をたどり、彼らが今、どのような段階にたどりついたのかをみてみましょう。

20170909_01

金日成は1953年の朝鮮戦争休戦後、核と弾道ミサイルの保有を目指しました。ソ連は地対空ミサイルSA-2 などの兵器供与を行いますが、朝鮮半島の不安定化をのぞまず、最新の兵器や軍事技術の提供は行いませんでした。金日成は1965年、ミサイル開発のため咸興に軍事科学院を設立します。これが北朝鮮における弾道ミサイル開発のスタートとされています。

北朝鮮と中国は1976年に戦術ミサイルDF-61 の共同開発を開始しますが、中国側の事情で開発計画は2年後にキャンセルされました。しかし、北朝鮮の技術者はこのときミサイル技術に関して貴重な知識を得ました。

ソ連は1972年に短距離弾道ミサイル、スカッドB を北朝鮮に供与したとされています。1970年代末に、北朝鮮はソ連の許可なくエジプトから入手したスカッドB のリバースエンジニアリングを行い、スカッドB の北朝鮮版である火星5 を開発しました。リバースエンジニアリングには中国が協力したとされています。当時は中ソ対立の時代で、金日成はこれを利用し、ソ連との関係を保つと同時に、ミサイル技術に関しては中国にアプローチしていたのです。北朝鮮はさらにスカッドB を改良したスカッドC(火星6)を開発しました。火星5 と火星6 によって、北朝鮮は韓国全域を攻撃することが可能になりました。

北朝鮮はスカッドのエンジン9D21 を大型化することに成功。これを用いた準中距離弾道ミサイルがノドンです。ノドンの開発は1988年にはじまり、1990年代初めに完成しました。開発には中国が協力したほか、1991年のソ連崩壊にともない、ロシアやウクライナの技術者も関与したとされています。ノドンは日本と在日米軍基地を攻撃するためのミサイルです。スカッドとノドンの配備数は明らかではありませんが、スカッドが600基、ノドンが200基という報告があります。スカッドの射程を伸ばしたスカッドER というバージョンも開発されています。

さらに北朝鮮はソ連崩壊後、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)であるR-27 (SS-N-6)の技術者をひそかに北朝鮮によび寄せ、準中距離弾道ミサイル、ムスダン(BM-25)を開発しました。ムスダンは2007年の軍事パレードに登場しましたが、発射実験はずっと行われず、長い間、その正体は明らかではありませんでした。しかし、北朝鮮は2016年にムスダンの発射実験を8回にわたって行いました。7回は失敗しましたが、6月22日の2回の発射のうち1回は高度1000kmに達した後、日本海に落下しました。

R-27は潜水艦から発射するため全長を抑えなければならず、4D10エンジンは本体がミサイル下部の燃料タンク内に置かれ、ノズル部分のみが外部に出ている特殊な構造になっています。ムスダンは燃料をより多く搭載して射程を伸ばすため、全長をR-27 より長くしていますが、そのためにミサイル全体のバランスが崩れてしまったことが失敗の原因ではないかと考えられています。1回は発射実験に成功したものの、ムスダンはまだ開発途上と考えられます。

この4D10エンジンは、ICBM とされるテポドン2 にも使われています。テポドン2 は3段式で、第1段は4D10 を4基クラスター化し、第2段にはノドンが使われています。第3段は小型の液体ないし固体燃料ロケットです。テポドン2 を衛星打ち上げに用いたものは銀河2、銀河3 とよばれていますが、基本的には同じものです。

テポドン2 は2006年に最初の発射実験が行われましたが失敗しました。2009年には銀河2 による「人工衛星の打ち上げ」が行われましたが、打ち上げは失敗しました。2012年4月の銀河3 の発射は失敗しましたが、同年12月には人工衛星とされる物体を軌道投入しました。銀河3 は2016年にも人工衛星の軌道投入に成功しています。テポドン2(銀河3)は専用の発射台を必要とし、発射台への移動から燃料注入、発射まで最短で3〜4日かかるため、ICBM としての利用は現実的ではありません。
ジュノー探査機が観測した木星のオーロラ
Juno observed Jupiter’s powerful auroras

木星を観測しているNASA のジュノー探査機が観測した木星の北極上空のオーロラです。

20170907_01

ジュノーは木星の両極上空を飛ぶ軌道をとっているため、オーロラ現象を真上から観測することが可能です。この画像はジュノーの紫外線観測装置によって得られたもので、木星の北極上空を何度も飛行した結果を合成してあります。

ジュノーの高エネルギー観測装置によると、木星のオーロラは非常に強力で、木星磁気圏によって加速された電子のエネルギーは40万電子ボルトに達するということです。これは地球のオーロラの10〜30倍の強さです。

木星のオーロラを真上から観測することは、これまでの木星探査機やハッブル宇宙望遠鏡ではできなかったことで、木星のパワフルなオーロラ現象の解明が進むと期待されます。
ペギー・ウィットソンさん、地球に帰還
NASA astronaut Peggy Whitson Returns to Earth

国際宇宙ステーション(ISS)に長期滞在していたNASA の宇宙飛行士ペギー・ウィットソンさんが、ロシアの宇宙飛行士フョードル・ユールチキンさん、NASA の宇宙飛行士ジャック・フィッシャーさんとともに、9月2日午後9時21分(アメリカ東部夏時間)に地球に帰還しました。

20170903_01

20170903_02

ペギーさんは今回が3回目のISS長期滞在で、第50/51/52次長期滞在クルーとして288日を宇宙で過ごしました。

20170903_03

ペギーさんは2002年に第5次長期滞在クルーとして1回目のISS長期滞在を行いました。2007〜2008年には第16次長期滞在クルーとして2回目の長期滞在を行い、このときは女性初のISSコマンダーをつとめました。

ペギーさんの累積宇宙滞在日数は665日となり、NASA の宇宙飛行士の中で最長となりました。また、ペギーさんは今回の長期滞在で4回のEVA(船外活動)を行い、合計のEVA回数は10回となっています。

▲PAGE TOP