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豊洲市場はすでに無害
5月18日に開催された豊洲市場における土壌汚染対策等に関する専門家会議第6回会議では、傍聴者が会議途中で豊洲市場の「無害化」(地下水の水質を環境基準以下にする)について強引に発言し、平田座長が科学者としての厳密性から「すぐには環境基準以下にならない」と答えた言葉尻をとらえて会議を紛糾させ、休会にいたらしめました。会議の中継録画を改めて見てみると、この日の豊洲移転反対派の人たちは、会議の成立阻止を最初から考えていたようにさえ見えます。この日の専門家会議で承認されるはずの報告書は、前に書いたように、平田座長らが提案する方策を実施すれば、環境基準値以下を実現することが可能であること明らかにするものでした。

それにしても、この日の会議での豊洲移転反対派の行動は、私にとって驚きでした。いわゆる活動家が入りこんだ反原発運動や各地の住民運動でよくみられた光景と同じだったからです。あのとき、会場で発言していたのは、本当に仲卸の組合の方々だったのでしょうか。

市場問題プロジェクトチームの小島座長も「豊洲は無害化されていない」と主張しています。しかし、小島氏がそう考えるなら、同氏が提案している築地再整備案を安全なものにするには、豊洲以上の土壌汚染対策が必要になります。すなわち、まず敷地全体の土壌を深さ4.5m まで取り除き、その上で敷地全体の土壌汚染調査を10m間隔(約2300か所)で実施し、環境基準以上の汚染が発見されたら、その個所を10m×10m で掘削して汚染を取り除き、その後に敷地全体を清浄な土壌で埋め戻します。もちろん敷地は遮水壁で囲み、地下水管理システムも稼働させなくてはなりません。これに加えて何をすれば築地を無害化できるのか、小島氏は説明する必要があります。

豊洲市場はすでに安全で、事実上、無害化されています。土壌汚染対策に関しては、すでに専門家会議は安全であると結論を下しています。建物の構造設計や液状化対策の安全性は、市場問題プロジェクトチームの会議で確認されました。こうした科学的検討結果がなぜ無視されるのか、私には不可解です。
豊洲市場:科学が政治のプロパガンダに利用される危険性
築地市場111か所で行われた土壌汚染調査の結果、30か所から環境基準を上回る有害物質が検出されました。基準値の最大4.3倍の鉛、最大2.8倍のヒ素、1.8倍の水銀などです。これに関し、豊洲移転に反対する共産党の志位委員長は、テレビ取材に対して「築地は3倍くらい。豊洲の100倍とはまったく違う」と発言していました。今や科学のデータが政治の道具として誤って使われるという、きわめて憂慮すべき事態になっています。

それでは築地市場の環境基準値3倍と豊洲市場の100倍に、そんなに違いがあるのでしょうか。確かに、大きな違いがあります。

築地市場の方が豊洲市場よりはるかに危険です。

築地市場の土壌汚染調査は、深さ50cmまでのサンプルを採取して行われました。つまり、環境基準を上回る有害物質が検出されたのは、地表面に非常に近い場所です。一方、豊洲の水質調査結果のデータは地下10m あるいはそれ以深の地下水のものです。豊洲では地下4.5m までの土壌は入れ換えられていますから、この深さまで汚染物質はまったくありません。

調査を行った場所の約30%で有害物質が検出された以上、築地市場の地下には、汚染が広範囲に広がっていると考えなくてはいけません。老朽化で床コンクリートにひび割れが生じている場所もあり、築地市場ではこうした物質が地表に浸み出している可能性があります。特に水銀が心配です。働く人たちが気化した水銀に長期間さらされている危険性があります。

次に、環境基準値3倍と100倍という数値自体の違いを検討してみましょう。水道水の水質基準値は化学物質、金属など51項目が対象になっています。基準値は、私たちが1日に飲む水の量を2リットルとして、これを生涯にわたって(70年間)連続的に摂取をしても、人の健康に影響が生じない水準をもとに設定されています。

たとえば築地で基準値の2.8倍が検出されたヒ素について、計算をしてみましょう。ヒ素の基準値は1リットル中に0.001mg、すなわち0.000001g です。したがって築地の地下水には1リットル中に0.0000028g のヒ素が含まれていたことになります。この築地の地下水を1日に2リットル、25年間毎日飲み続けても健康に影響がでることはありません。これが基準値の100倍の水だとするとどうでしょう。1リットル中に含まれるヒ素の量は0.0001g です。この水を1日に2リットル、8年以上毎日飲み続けても健康に影響がでることはありません。地下水を飲料にも魚の洗浄にも用いない市場においては、どちらも現実にはありえない想定です。両者をくらべて一方だけが危険だというのは、まったく意味をなさないことがおわかりでしょう。。

ちなみに、私たちが日常的に食べている水産物の中には、高い濃度で有害物質を含むものもあります。例えば、ひじき1kg(乾燥質量)には約100mg のヒ素が含まれています。東京都は、ひじきを1週間に3回以上(1回に乾燥質量5g程度)食べなければ安全としています。逆にいえば、週に3回以上食べていると、健康影響がでる可能性があるわけです。また、マグロなどは豊洲で問題になっているレベルよりはるかに高い濃度の水銀(有機水銀)を含んでおり、日本生活協同組合連合会では、マグロなどを主菜とする食事は週に2回以内とすることを勧めています。市場では、こうした水産物も扱っているのです。

豊洲市場問題で、水質調査の結果を政治的プロパガンダに用いるべきではありません。しかし、豊洲移転に反対する人たちは測定結果を意図的に解釈して、科学的に根拠のない主張を行っており、さらに一部のメディアがそれを増長しています。科学技術立国をめざす日本として恥ずかしいことと私は考えています。
ジュノー探査機が撮影した木星の南極
Jupiter’s south pole taken by Juno spacecraft

NASA の木星探査機ジュノーが撮影した画像が発表されました。

20170527_01

まるで天目茶碗の模様のように見えるこの画像は、高度5万2000km から見た木星の南極です。夜の部分がなくなるように何枚もの画像をつなげて作成してあります。中心に見える青い楕円形は直径が1000km にも達する巨大ハリケーンです。

これまでの木星探査機は公転面から木星を観測していたため、このようなアングルからの画像を得ることはできませんでした。ジュノーは今後も、これまで見たこともなかった木星の姿を送ってくれるはずです。
豊洲市場の地下水はいずれ環境基準値以下に
昨日開催された豊洲市場における土壌汚染対策等に関する第6回専門家会議は途中で休会となってしまいましたが、前回および今回発表されたデータ、平田健正座長はじめとする専門家のコメントから、次のことが明らかになりました。

豊洲市場の地下にわずかに残っている汚染物質は、地下水管理システムの運転によっていずれ除去され、水質は環境基準値以下に収まるということです。

豊洲市場では現在、いくつかの地点で高濃度のデータが検出されていますが、これは昨年10月から運転を開始した地下水管理システムによって、豊洲市場の下の地下水に流動が生じ、完全には除去されていなかった汚染物質や汚染水が移動をはじめたためと考えられます。地下水が流動していることは、前回発表された地下水位の等高線によって明らかになりました。地下水位が下がるにしたがって、水位の高低差が生じています。水が流れやすい場所と流れにくい場所があるためです。地下水は水位の高いところから低いところへと移動するため、結果として豊洲市場下では水位の上下方向の変化に加え、水平方向の地下水流動が広がっているのです。

豊洲市場の工事にあたっては、東京ガス工場操業時の地面から深さ2mまでの土壌を全部入れ替えました。その上に2.5mの盛り土をしています。工場操業時の地面から2m以深の土壌に関しては、敷地内を10m×10mのメッシュで区切り、全4122地点の汚染調査を行いました。ボーリング調査で地下に汚染物質が見つかった場所は10m×10mの土壌を掘削し、汚染物質を取り除いています。また汚染水が発見された場合はそれを汲み上げ、清浄な水と交換しています。これで土壌汚染対策はほぼ完全に行われたわけですが、ボーリング調査でひっかからなかった場所、およびボーリングが不透水層にまで達していなかった場所では、汚染物質が除去できなかった可能性があります。つまり、現在の地面の4.5mより深いところに、非常にわずかではあるものの汚染物質が残っていると考えられるわけです。

豊洲市場の地下は遮水壁で隔離されているため、外から地下水が流れこむことはありません。雨水が地下に浸透するため、地下水位を目標のAP+1.8mに維持するために地下水管理システムで汲み上げるわけですが、このとき、汚染物質を含む地下水も汲み上げられていきます。すなわち、長期的にみれば、地面から浸透する雨水と地下から水を汲み上げる地下水管理システムによって、わずかに残留していた汚染物質は洗い流されていくことになるのです。ただし、地下水の移動速度は1か月に数10cmといわれていますので、このプロセスには多少の時間がかかります。

注意すべきは、専門家会議で議論しているこうした問題は、豊洲市場の地下4.5m以深の層に関するものであり、地上が安全であることは言うまでもありません。専門家会議はさらに、地下空間の底に関して、ベンゼンなどが気体で上昇してこない対策も提案しています。こうした専門家会議によるデータ解析および提案をみていると、日本の環境汚染計測・除去技術が世界で最高水準にあることがわかります。

今回の専門家会議が休会になってしまった経緯を振り返ると、データをすべて公開し、市場関係者とオープンな議論を行うという平田座長の理念がもはや実現不能になってしまったことがわかります。1つの方向性をもつ政治的な発言が会場から続き、科学的な議論が中断させられたのは非常に残念です。豊洲問題はもはや科学的に安全性を検討することはできず、まったくの政治問題になってしまったということでしょうか。いずれにしても、平田座長の真摯な態度には敬服します。
ブリューゲルの『バベルの塔』:天空に伸びるアーチ
Bruegel’s “The Tower of Babel”:Arches toward the sky

24年ぶりに来日したボイマンス美術館の『バベルの塔』を見てきました。ウィーン美術史博物館の『バベルの塔』が、建設がはじまってからそれほどたっていない時期を描いているのに対して、ボイマンス美術館の『バベルの塔』ではすでに長い年月にわたって工事が行われてきたことは、以前ここにも書きました。下層の煉瓦の色がすでに風化してくすんでいるのに対して、工事中の最上部では煉瓦の色がまだ赤いことが、それを示しています。

この作品を改めて見ると、その細部の描きこみに驚かされます。会場には東京藝術大学によって約3倍に拡大された複製も展示されていました。そのサイズにしてようやくわかるほどの細かい描写です。

今回、この作品の細部を見て特に印象に残ったのは、塔最上部での工事風景でした。

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ブリューゲルの『バベルの塔』は、彼がローマで実際に見たコロッセウムのアーチ構造を参考にしていることは間違いありません。コロッセウムのアーチは3層ですが、『バベルの塔』では第7層が工事中で、さらに天空に伸びようとしています。また塔の内部を見ると、このアーチ構造は同心円状になって塔全体の構造を支えていることがわかります。

ブリューゲルはアーチをつくるための木組みや多数の作業員を描いており、塔はさらに上に伸びようとしています。無限に増殖を続けるかのようなアーチの集積を描くことによって、彼は天空を目指す人間の欲求、あるいは業というべきものを表現しているように思われます。

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