最近のエントリー
カテゴリー
過去のエントリー
カレンダー
S M T W T F S
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930  
<< June 2016 >>
ブログ内を検索


PROFILE
モバイル
OTHERS
青の標本:宇宙につながる色
Recollection of blue:The color that dissolves into the universe

ジュエリー・デザイナーとしても活躍されているアーティスト、こうづなかば氏と7月8日にトークライブを行います。テーマは「宇宙と青」。ティル・ナ・ノーグギャラリーで7月7日から24日まで行われる同氏の展覧会「青の標本」にちなんだものです。どんなお話をするか、今考えていますが、実際のトークはきっと意外な方向に展開していくでしょう。

20160629_01

宇宙と青というと、私は昔、ソ連の宇宙飛行士と話をしたときのことを思い浮かべます。バイコヌール宇宙基地からソユーズ宇宙船で宇宙に向かうときの体験を、彼は次のように語ってくれました。「空に向かってロケットでどんどん上昇していくと、やがてそこは空ではなく、宇宙になる」。私たちが地上から見ている青空は、高度を増すにつれて深い紺色になり、ついには暗黒の宇宙空間となるわけです。

20160629_02

宇宙飛行士は皆、大気の縁の青色が宇宙空間にとけこんでいく様は、たとえようがない美しさだといいます。

青、それは宇宙につながる特別な色です。

トークライブは7月8日(金)19時から、大手町の大手門タワー・JXビル1階の3×3 Lab Future で行われます。詳細や申し込みはティル・ナ・ノーグギャラリーまで。
アストロバイオロジー:地球外生物はどこにいるか?
Astrobiology:Where we can find extraterrestrial life

6月27日(月)と28日(火)に日本学術会議で公開シンポジウム「フロンティアを目指す、サイエンスとアート」が開催され、数々の興味深いテーマが議論されます。

私もその1つ「地球外生物(1)人知は神の摂理(生命)を超えられるか。」に参加させていただくことになりました。京都大学大学院の木村大治先生とJAMSTEC の高井研先生とのセッションです。当日、どんな話になるのか、まったく予想はつきません。

地球外生物あるいは地球外生命について考えるアストロバイオロジーという学問に対して、最近関心が高っています。惑星探査や系外惑星の探索によって、地球外生命が存在する可能性がある場所について、いろいろなことがわかってきました。1960年代から行われているSETI(電波を用いた地球外文明の探査)も、テクノロジーの進歩によって新たな段階に入っています。しかしながら、地球以外の天体に存在する生命は、まだその痕跡すら見つかっておらず、地球外生命に関する情報を私たちはまったく手にしていないというのが現実です。

私たちは宇宙に一人ぼっちなのでしょうか。生物学者の中には、地球上の生命は非常にユニークなものであり、他の天体に同じような生命が出現する確率はきわめて低いと考える人もいます。木村資生先生はそのような考えをお持ちでした。確かに生命の巧妙なメカニズムを知れば知るほど、この考えはもっともだと思えてきます。しかし多くの科学者は、その形態はどうであれ、宇宙にはたくさんの生命が存在すると考えています。

系外惑星探査衛星「ケプラー」は、ハビタブルゾーンに存在する地球型惑星を次々と発見しています。これらの惑星では、今後、地球に似た生命の探索が行われていくでしょう。最近のNASA の発表によると、恒星に非常に近い軌道をまわる巨大ガス惑星ホット・ジュピターの中には、大気中に水蒸気を含み、雲が存在するものもあるとのことです。こうした惑星には、私たちが想像もしないような生命が存在するかもしれません。

20160613_01

太陽系内での生命探査では、現在、火星で活動中のキュリオシティーの成果が待たれます。キュリオシティーは火星に大量の水が存在した時代に誕生した可能性のある原始的な生命の痕跡を探しています。

木星の衛星エウロパの内部には海があり、なんらかの生命が存在する可能性があると考える科学者もいます。木星のガニメデやカリスト、土星のエンケラドスも、内部に海があるとみられます。氷におおわれたこれらの衛星の表面下に液体の海が存在できるのは、木星や土星の重力による潮汐力が働いているためですが、海の下に熱源が存在すれば、地球の熱水鉱床と同じような場所ができているかもしれません。地球の生命は熱水鉱床で誕生したという説があります。

先日、東京薬科大学の山岸明彦先生と太陽系内の生命についてお話しする機会がありました。山岸先生は現在、宇宙での生命の起源を探る「たんぽぽ」実験を国際宇宙ステーションで行っています。

山岸先生は、エウロパをはじめ氷衛星の海に地球型の生命が誕生する可能性については否定的です。地球型生命の出発点は「RNA ワールド」ですが、有機物の材料からRNA がつくられるには水分子が抜ける反応が必要です。すなわち乾燥した環境がないと、地球型生命は生まれないと考えられるのです。

そのようなわけで、山岸先生と話が盛り上がったのが、土星の衛星タイタンの環境でした。タイタンの大気と表面ではメタンが循環しています。高層大気ではさまざまな化学反応が起こっており、それらの物質はメタンの雨と一緒に表面に降り注いでいるでしょう。カッシーニ探査機はタイタン表面にメタンの湖を多数発見しています。周囲には地球と同じような地形をもつ陸地があり、メタンが川となって湖に流れ込んでいます。下の画像は、カッシーニの観測データからつくられたタイタンの南極近くにあるメタンの湖「オンタリオ湖」の鳥瞰図です。

20160613_02

タイタンのメタンの湖は、いわば生命の材料がたくさんたまったスープです。RNA の合成に必要な乾燥した場所(陸地)もあります。こうした場所で、生命がつくられているかもしれません。

▲PAGE TOP