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ボストーチヌイ宇宙基地からのソユーズロケット打ち上げに成功
Soyuz rocket successfully launched from Vostochny Cosmodrome

ロシアの新しい宇宙基地ボストーチヌイから、本日午前11時01分(日本時間)に、最初のソユーズロケットが打ち上げられました。

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打ち上げの様子を現地で見守ったプーチン大統領は「これからしなくてはならないことはたくさんあるが、これはロシアの宇宙開発にとって非常に重要な、素晴らしい一歩だ」と語りました。ロシアの宇宙開発は、これで新しいステージに入ったことになります。
ポストISS:宇宙での「日本外し」が現実になる日(3)
国際宇宙ステーション(ISS)計画はアメリカ、ロシア、日本、ヨーロッパという4極によって運用されてきました。アメリカと中国の宇宙での協力関係が、これまで述べてきたような中国の思惑通りに進めば、ポストISS 時代の有人宇宙活動は、アメリカと中国の2極によって運用されることになるでしょう。中国が提唱している地上における「新型大国関係」と同じ構図が、宇宙で実現するわけです。

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中国は実験モジュール「天宮2号」を今年打ち上げの予定です。また、2018年にはコアモジュール「天和」を打ち上げ、これらを結合させた独自の宇宙ステーションを2020年頃に完成させる予定です。人員輸送には「神舟」宇宙船を、物資補給には「天舟」輸送船を用います。

この宇宙ステーションは中国にとって科学研究以上の価値をもちます。おそらく、中国と関係の深い国々の宇宙飛行士がここを訪れることになるでしょう。その最初はナイジェリアの宇宙飛行士になるかもしれません。同国は以前から有人宇宙飛行に意欲的で、2030年に宇宙飛行士を打ち上げる計画をもっています。最近、同国の多数の技術者が中国で研修を行うことに両国が同意したとも伝えられています。ナイジェリアはアフリカ最大の産油国で、中国は近年、同国との関係を深めています。

これは、かつてソ連が共産圏の結束を固めるためにインターコスモス計画で用いた手法です。当時、共産圏諸国の宇宙飛行士が次々とサリュートやミール宇宙ステーションを訪れたものでした。中国も地上世界での権益確保や影響力の拡大に、宇宙ステーションをフルに利用するでしょう。

ISS は現在のところ、2024年までの運用が決まっています。ISS 計画は国際宇宙基地協力協定にもとづく国同士のプロジェクトですが、2024年以降は民間がかなり関与した形で運用されていくでしょう。その一方で、ISS 以遠、すなわち月や火星への有人飛行への国際枠組みができていきます。地球周回軌道においては独自の宇宙ステーションを運用して、アメリカに対抗するスーパーパワーの位置を維持し、地球周回軌道以遠への有人飛行には、アメリカにとって非常に重要なパートナーとして関わっていくのが、中国の戦略といえます。

ロシアとヨーロッパは宇宙分野ですでに中国とも関係が深く、ポストISS の時代にも重要な位置を占め続けますが、日本にはほとんど出番がなくなるでしょう。

日本はISS 計画の重要なパートナーであり、ISS 利用に関してアメリカと強い関係にあります。2015年9月11日に、宇宙に関する包括的日米対話第3回会合が開催され、宇宙における強固な協力関係が改めて確認されました。また12月22日に両国は、新たな日米協力の枠組である「日米オープン・プラットフォーム・パートナーシップ・プログラム(JP-US OP3)」に合意しました。これにより、日本が2024年までのISS 運用延長に参加することが決定されました。JP-US OP3 の文書でもふれられている通り、ISS 計画おける日米間のパートナーシップは、政治的・戦略的・外交的重要性を踏まえた日米協力の象徴的存在となっています。

JP-US OP3 の文書ではISS 計画について、「地球上の全ての人々の福祉を促進し、各々の宇宙政策の目標を追求するために利用されるべきである」とした上で、「アジア太平洋地域における宇宙途上国を含むISS 非参加者との国際的な協力を増大させることは、重要な共通の関心事項である」と述べています。日本は1993年以来、アジア太平洋地域における宇宙利用の促進を目的としてAPRSAF(アジア・太平洋地域宇宙機関会議)の活動を進めてきました。現在、40以上の国や地域、機関が参加し、地球観測、防災などの他、ISS の利用などに関しても取り組みを行ってきました。一方、中国は2008年にAPSCO(アジア太平洋宇宙協力機構)をスタートさせています。

ポストISS の時代においても、日本はアメリカの重要な同盟国であり続けるでしょうが、ISS 計画と同様の役割を国際宇宙探査計画において果たすことができなければ、宇宙における新型大国関係が事実上できあがっていくことになります。宇宙における「日本外し」を自ら招くことになるのです。宇宙空間とサイバー空間は、地上の安全保障体制と不可分の関係にあり、宇宙におけるプレゼンスの低下は、日本の安全保障や外交力にマイナスの大きな影響を与えることになるでしょう。

ポストISS の時代への準備は、各国ですでにはじまっています。次のアメリカ合衆国大統領が誰になるかによって、宇宙における米中の関係は変わっていく可能性があります。次の政権が明確な宇宙政策を打ち出すには、少し時間がかかるかもしれません。その間にも、中国の宇宙への進出は休むことなく続いていきます。
ポストISS:宇宙での「日本外し」が現実になる日(2)
2015年6月23〜24日、ワシントンにおいて第7回米中戦略・経済対話が行われました。NHK の加藤青延解説委員は「時事公論」で、活発な議論が行われたこの対話をふり返り、中国はそれまでの強気の姿勢から「対米関係改善の方向に舵をきったのではないか」と述べています。今回の対話で両国が合意した項目は200にのぼりますが、その中に、民生宇宙分野での第1回米中対話を北京で開催することが含まれていました。オバマ政権は、アメリカの対中宇宙政策の転換に向けて一歩踏み出したわけです。

民生宇宙分野における第1回米中対話はアメリカ国務省と中国国家航天局(CNSA)の共催で、2015年9月28日に北京で開催され、活発な意見交換が行われました。

国務省のメディア向け発表文によると、この対話では、宇宙空間の持続的利用(主にスペースデブリ問題)、地球観測、宇宙科学、宇宙天気予報、測位衛星システムの利用などが議論されました。注目すべきは、この対話において、将来の国際宇宙探査に関しても意見交換が行われたことです。発表文には「両国は宇宙探査の国家計画について情報交換し、次回のISEF(国際宇宙探査フォーラム)に関して議論を行った」としています。また、第2回目の米中対話を2016年にワシントンで開くことが合意されました。ここでも、再びISEF について両国が意見交換するのは間違いないでしょう。

当然のことですが、アメリカにはジョンソン-フリースのような親中派ばかりではなく、中国に対して強い警戒心をもっている人もたくさんいます。この米中対話に対しても異論があり、2014年に引退したウルフ議員の後任となったジョン・カルバートソン委員長も、この対話に反対の立場をとっています。

ここで、ISEF をめぐる動きについて、説明しましょう。現在、アメリカ、ロシア、日本、ヨーロッパ、カナダによって国際宇宙ステーション(ISS)計画が行われていますが、人類の次の目標は火星の有人探査であり、その途中のプロセスとしての月面活動です。このような宇宙探査は国際協力によらなければ実現が困難です。そのための国際的な枠組みについて議論しているのがISEF です。

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2011年、各国の閣僚級が参加した第3回宇宙探査ハイレベル会合がイタリアのルッカで行われ、第4回会合をアメリカで行うことが決定されました。この第4回会合がISEF として開催されることになり、2014年に第1回のISEF がワシントンで行われました。ポストISS の時代においても、宇宙でのリーダーシップを確保するというアメリカの強力な意志がその背景にあります。

第1回ISEF には35の国や機関が参加しました。日本からは下村博文文部科学大臣、奥村直樹JAXA理事長などが参加しました。この会合で下村大臣は「今後の国際宇宙探査の枠組みづくりに積極的に関わる」、「日本の得意な技術や独自の技術を活かして、将来の宇宙探査に主体的に貢献する」など、日本の立場を表明しました。第3回宇宙探査ハイレベル会合に参加していた中国も、もちろんこの会合に参加し、存在感を強めていました。

この会合で、日本は第2回のISEF を2016年または2017年に日本で開催したいと表明し、了承されました。

第2回のISEF では、宇宙開発主要国が自らの宇宙探査ビジョンを表明し、将来の枠組みづくりについての意見交換が行われるでしょう。NASA は現在開発中の次世代大型ロケットSLS に無人のオライオン宇宙船を乗せて月を周回するミッションを2018年に予定しています。こうしたスケジュールからすると、日本で開催される第2回ISEF の次の第3回ISEF で、月着陸や月面での活動に関して具体的な議論が行われ、火星探査ミッションの国際的な枠組みに関しても話し合いがはじまるでしょう。私の個人的感触ですが、中国は第3回ISEF を北京で開催するためのネゴシエーションをワシントンと進めているとみられます。中国にとって米中対話の核心はISEF にあるという見方もあります。その他のテーマの実現には、それほど高いハードルはないからです。

もしも北京で第3回のISEF が開催されるとなれば、中国は参加国に無人から有人までフルレンジの宇宙技術をデモンストレーションし、ポストISS 時代のアメリカの主要パートナーが中国であることを示すでしょう。NASA の代表者が北京を訪問した映画『オデッセイ』のあの場面が、もっとはなばなしく展開されるわけです。

2010年と2013年に中国を訪問したことのあるNASA のチャールズ・ボールデン長官は、2015年10月12日、イスラエルで開催された国際宇宙会議(IAC)に出席した際、「アメリカはISS 以遠への国際宇宙探査に中国を含めるべきである。NASA と中国の協力を禁止する現在の決まりは一時的なものだと私は考える」と述べています。彼はまた、それから2週間後の10月28日、アメリカのシンクタンクCenter for American Progress でのイベントで、「私は中国との協力に楽観的だ。有人宇宙分野でもその時期に来ている。そう少し辛抱が必要だ」と語っています。

それでは、日本の状況はどうでしょうか。第2回ISEF での下村大臣による積極的な発言にもかかわらず、その後の現実はというと、残念ながら将来の宇宙探査に関する議論はまったく行われていません。2016年に予定されていた第2回ISEF のための準備会合は、いつのまにかなくなりました。2017年に第2回会合が開催されても、日本には発表できる宇宙探査ビジョンはなく、参加国に対していかなるアピールをすることもできないということになりそうです。

その間に、中国は米中対話やその他のルートで、アメリカの主要パートナーとなるための準備を着実に進めていくでしょう。
ポストISS:宇宙での「日本外し」が現実になる日(1)
先日、ハリウッド映画『ゼロ・グラビティ』と『オデッセイ』の背後には、「将来の国際宇宙探査の主要メンバーから日本が外されてしまうかもしれない現実世界の動きがある」という記事を書きました。この記事を読んだ何人かの方から、「それは考えすぎではないか」という質問を受けました。そこで、もう少し、この問題をご説明しましょう。

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現在、アメリカと中国の間には宇宙分野での公式な協力関係がまったくありません。下院商業司法科学関連省庁歳出小委員会のフランク・ウルフ委員長(当時)が2011年のNASA歳出法案に盛りこんだ「ウルフ条項」によって、NASA とホワイトハウスの科学技術政策局(OSTP)は、中国政府および中国企業との協力に連邦政府の予算を使うことを禁じられているからです。この法律は、当時大きな問題になったアメリカの政府機関や企業などへの中国のサイバー攻撃を背景に成立したものです。

しかしながら最近では、宇宙空間における中国のプレゼンスがここまで高まった以上、米中間の宇宙での断絶状態を継続させるのは、国家安全保障上得策ではないという意見が出ています。スペースデブリや衛星破壊兵器、宇宙の商業利用、天体資源の開発などに関して、中国を同じ土俵に乗せなければ、中国は勝手にふるまってしまうと考えられるからです。

海軍大学校のジョアン・ジョンソン-フリースは、宇宙の持続的利用を実現し、アメリカが宇宙での国家目標を達成するには、ウルフ条項の撤廃が必要だと主張してきました。そのジョンソン-フリースがCHINA US Focus というサイトに投稿した記事が2015年10月9日に掲載されています。このCHINA US Focus は、中国が実現したいと考えているアメリカとの「新型大国関係」(new type of major-country relationship)を実現するために情報発信をしているサイトです。中国とアメリカが世界を二分して支配する「新しい世界秩序」(the new world order)の樹立が目的で、日本については、「アメリカにとって日本は望ましいパートナーか?」、「アメリカは対日政策を見直すべき」、「アメリカは日本の核武装に注意が必要」といった立場をとっています。

ジョンソン-フリースがそのCHINA US Focus に投稿した記事”Found in Space : Cooperation” では、『オデッセイ』のマット・デイモンは中国の助けなしには地球に帰れなかったとし、「『ゼロ・グラビティ』と『オデッセイ』では、宇宙でのカタストローフがアメリカと中国の協力をもたらした」、「ハリウッドのおかげで、大衆はNASA やOSTP やその他の政府機関が宇宙で中国と協力すべきだと気がついた」と書いています。

宇宙での米中協力が必要という点で、ジョンソン-フリースとCHINA US Focus は一致していますが、その目指すところは必ずしも同じではありません。「同舟異夢」ともいえますが、CHINA US Focus にとってはありがたい投稿だったと言えるでしょう。

2015年11月14日には、GlobalPost のサイトにDavid Volodzko による ”The US has a law to stop NASA from working with China, and scientists hate it”という記事が掲載されました。この記事では、『ゼロ・グラビティ』と『オデッセイ』で中国がアメリカのピンチを救うことにふれ、今やこれが現実離れしたストーリーではないとしています。その上で、アメリカと中国が宇宙で協力するためには、ウルフ条項が障害になっていることを紹介しています。この記事の翻訳は『ニューズウィーク日本版』オンライン版で2015年12月9日に掲載されています。タイトルは「宇宙での「中国外し」は限界」という非常に分かりやすいものになっています。

それでは、現実にはどのような動きがあるのでしょうか。ジョンソン-フリースが重要視しているのが、2015年9月28日に北京で開催された、民生宇宙分野での第1回米中対話です。
ビゲロー社のインフレータブル構造物をISSに結合
BEAM:Successfully Installed to the ISS

4月8日に打ち上げられたドラゴン補給船の非与圧部に搭載され、国際宇宙ステーション(ISS)に運ばれたビゲロー社のBEAM(Bigelow Expandable Activity Module)が、トランクイリティ・モジュールに取りつけられました。

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BEAM は宇宙空間で膨らませることができる、いわゆる「インフレータブル」構造のモジュールです。ドラゴンに搭載する際のサイズは直径2.4メートル、長さ2メートルですが、膨張させると直径3.2メートル、長さ4メートルのモジュールになり、16立方メートルの空間が確保できます。下は、膨張させた後のBEAM の想像図です。

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BEAM は5月末に膨張させることになっています。その後2年間にわたって、宇宙の過酷な寒暖差や宇宙放射線、微小隕石の衝突などに対して安全かどうかが調べられます。内部には温度や圧力、放射線量などを記録するセンサーが設置されます。宇宙飛行士はBEAM 内で居住や作業をすることはなく、年に4回ほどBEAM に入って、モジュール内のチェックとセンサーデータの回収を行います。

ISS の各モジュールやトラスはアルミニウムでつくられています。一方、インフレータブル構造物は伸展が可能な多層構造の膜でつくられるため、打ち上げ時の重量が軽く、宇宙での組み立てが容易という利点があります。そのため、将来は地球周回軌道のみならず、月や火星探査で使われる構造物として利用されていく可能性もあります。

ビゲロー社はBAEM とは別に、もう少しサイズの大きいB330 というインフレータブルのモジュールを、2020年にアトラス5型ロケットで打ち上げることにしています。B330 はISS に結合可能ですが、単独で地球を周回する宇宙ステーションとして運用することも可能です。

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私が子供の頃に読んだ本では、宇宙ステーションは車輪型をした巨大な構造物として描かれていました。下はフォン・ブラウンが構想し、スペースアートの巨匠チェズリー・ボーンステルが描いた宇宙ステーションです。

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下は、宇宙ステーションの内部を説明するイラストで、フレッド・フリーマンが描いたものです。

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こうした巨大な宇宙ステーションには、当時からインフレータブル構造を採用することが想定されていました。技術的な課題もあり、人間が居住できるインフレータブル構造物を宇宙で実現するのはなかなかできませんでしたが、ビゲロー社のモジュールによって、いよいよそうした時代がはじまろうとしています。

国分寺インディ・ジョーンズ計画:地下に眠っていたペンシル実験の遺構
Kokubunji Indiana Jones Project:Test site identified by Ground Penetrating Rader

今から61年前の4月12日、ペンシルロケットによる日本初のロケット発射実験が国分寺市で行われました。

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写真提供:JAXA

実験場所は現在、早稲田実業学校のテニスコートになっており、その正確な位置はわからなくなっています。しかし、実験が行われたサイトのコンクリート構造物は現在も地下に埋まっている可能性が高いことが、これまでの調査でわかりました。

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写真提供:JAXA

国分寺インディ・ジョーンズ計画は、その実験場所の正確な位置を地中レーダーによって調べるのが目的です。レーダー調査は早稲田大学考古学研究室の協力により、2月7日に行われました。

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その結果、テニスコートの地下、深さ1〜2m のあたりでは、実験場所にあった2本のトンネルとみられる反応がありました。

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また、深さ2〜2.6m あたりでは、実験場所のコンクリート構造物の床とみられる反応がありました。

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これによって、ここがペンシル実験の行われた場所であり、そのときの構造物が遺跡にように、今も地下に眠っていることがほぼ明らかになりました。

もちろん、本当にそうであるかどうかは、実際に掘って調べる必要があります。いつの日か、発掘によってそれが確かめられるのを期待したいと思います。また、この場所は国分寺市にとっても、日本の宇宙開発にとっても貴重な文化遺産であり、今後、保護・保存がなされる必要があります。

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