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『まるわかり太陽系ガイドブック』
ウェッジ社から『まるわかり太陽系ガイドブック』が発売になりました。

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太陽系の各天体(水星、金星、地球、月、火星、木星、土星、天王星、海王星、冥王星、小惑星、彗星)について解説したものですが、最後の章には系外惑星の話も含めました。今年の2月中旬までの最新情報が入っています。
『オデッセイ』と有人火星探査:宇宙での「日本外し」が現実になる日
遅まきながら、先日、映画『オデッセイ』を観てきました。この映画を一言でいうと、実際の有人火星探査では起こり得ないことのみでストーリーが出来上がっている作品です。

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『ゼロ・グラビティ』と同じように、中国市場を意識したこの作品では、アメリカの危機を最後に救うのは中国という設定です。原作と比較してみると、映画では中国での公開のためにいくつかの配慮があったことが分かります。

原作では、中国がアメリカに救いの手をさしのべるのは、アメリカに恩を売り、アレス5 のクルーに中国人宇宙飛行士を送りこむための方策であることが書かれていますが、映画では「善意」からアメリカを助けることになっています。また、NASA の火星探査ミッションの統括責任者ヴェンカト・カプーアは、原作では「ヒンドゥー教徒」とされ、インド系アメリカ人であることがわかります。しかし、現実世界では、インドは中国のライバルであるため、明らかにインド人とわかる風貌の俳優がNASA の高官として登場するのはまずいと考えたのでしょう。映画では、カプーアの父はヒンドゥー教徒、母はバプテスト教徒という設定になり、インド人には見えないキウェテル・イジョフォーが演じることになりました。

JPL の日本人科学者「Ryoko」役は、イギリス出身のナオミ・スコットが演じました。もちろん、これでは誰もこの役が日本人とは気がつきません。

国際宇宙ステーション(ISS)のモジュールの配置に詳しい方なら、『ゼロ・グラビティ』でISS に発生した火災の火元が、日本の「きぼう」モジュールだったことにお気づきと思います。ISS は日本の宇宙技術の失敗で放棄され、そのため危機におちいった主人公を救うのが中国の宇宙技術でした。

ハリウッドの作品におけるこうした「日本外し」は、ビジネスの事情によるものだけではないでしょう。周知のとおり、アメリカでは中国による「反日」のキャンペーンやロビー活動が活発に行われています。『ゼロ・グラビティ』や『オデッセイ』で日本の影がまったく消されているのは、こうした動きと無関係ではないと考えなくてはなりません。

現在、世界の宇宙開発は、2024年までのISS 計画を進めながら、その後の月や火星探査の準備をしていく時代に入っています。

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将来の宇宙探査について、各国の閣僚級が参加するISEF(国際宇宙探査フォーラム)や各国の宇宙機関が参加しているISECG(国際宇宙探査協働グループ)のような国際的な会合で議論が行われています。これまで独自の路線をとってきた中国は、こうした会合に参加し、その存在感を深めています。

一方日本では、残念ながら、ISS 計画以後の宇宙活動に関して、議論がまったく行われておらず、国際的な動きに明らかに遅れはじめています。このままいけは、将来の国際宇宙探査におけるアメリカのパートナーは、アジアでは中国となり、日本は蚊帳の外に置かれていくでしょう。そうなれば、日本がこれまで築いてきた宇宙におけるプレゼンスは失われ、宇宙空間をめぐる日本の安全保障に甚大な影響を与えることは明らかです。

『オデッセイ』は単なる娯楽作品ですが、その裏には、日本にとって悪夢の日が見えはじめています。

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