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「こうのとり」5号機、キャプチャー成功
HTV-5 captured

「こうのとり」5号機は予定時刻より少し早い8月24日19時29分(日本時間)に、国際宇宙ステーション(ISS)のロボットアームによってキャプチャー(把持)されました。下の画像は、ISS で1年間の長期滞在ミッションを行っているスコット・ケリーさんが撮影したキャプチャー後の「こうのとり」5号機です。背景には地球、手前には「きぼう」日本実験棟が写っています。

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「こうのとり」5号機をISS から10m の位置でぴたっと静止させた筑波宇宙センターの「こうのとり」運用管制室、ヒューストンのISS 管制センターから的確な指示を出した若田さん、そしてISS のロボットアームで「こうのとり」5号をキャプチャーした油井さん。素晴らしい仕事でした。

ケリーさんが撮影した下の画像では、「こうのとり」5号機が太陽の光を反射し、黄金色に輝いています。

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「こうのとり」5号機のISS との結合作業は25日2時28分に終了しました。
油井さんの「こうのとり」キャプチャーは8月24日の予定
HTV-5 will arrive at ISS on Aug. 24

8月19日20時50分に打ち上げられた「こうのとり」(HTV)5号機は、20日4時25分に初期高度調整マヌーバを行い、順調に飛行を続けています。

現在「こうのとり」5号機は約300km×200km の軌道をまわりながら、高度約400km の国際宇宙ステーション(ISS)を追いかけています。今後、第1回高度調整マヌーバで高度約300km の円軌道に入り、第2回高度調整マヌーバで高度を上げ、さらに第3回高度調整マヌーバを行ってISS に近づいていきます。「こうのとり」5号機のキャプチャー(把持)が油井亀美也宇宙飛行士によって行われるのは、8月24日の19時55分頃とされています。下は2014年8月に、「こうのとり」4号機がISS のロボットアームでキャプチャーされた時の画像です。

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第1回高度調整マヌーバは8月23日2時55分、第2回高度調整マヌーバは8月24日12時07分、第3回軌道調整マヌーバは同日15時12分に実施される予定です。第3回高度調整マヌーバの後、「こうのとり」5号機はISS と直接交信が可能な領域に到達します。ここからは筑波宇宙センターの「こうのとり」運用管制室とヒューストンにあるISS管制センターとの統合運用がはじまります。ヒューストンの管制センターのCAPCOM の席には若田光一宇宙飛行士が座り、ISS や「こうのとり」運用管制室に指示を送ることになっています。

「こうのとり」5号機は「きぼう」日本実験棟に搭載されているPROX(近傍通信システム)との通信を確立し、ISS に接近していきます。第3回高度調整マヌーバ実施から1時間ほどで、AI(接近開始点)に到達するはずです。AI はISS と同じ高度の軌道上で、ISS の後方5km のポイントです。

「こうのとり」はISS の真下から接近する「Rバー・アプローチ」をとります。ヒューストンからISS 接近を許可する指示がでると、「こうのとり」運用管制室からコマンドが送られ、「こうのとり」5号機はAI 軌道制御を行って、まずISS の真下約500m のポイントに達します。「きぼう」日本実験棟の下側にはレーザー光を反射する装置が設置されており、「こうのとり」5号機は、ここからはランデブーセンサーからレーザー光を照射しながら自分の位置を確認して、ISS に接近していきます。ISS 真下250m のホールドポイント、30m のパーキングポイントで一時停止して安全を確認しながら、「こうのとり」5号機はゆっくりと上昇し、最終的にISS の真下約10m のポイントでISS に対して相対的に静止します。

筑波の「こうのとり」運用管制室からすべて正常の報告がなされると、ヒューストンの若田さんはISS 上の油井さんに対して、「HTV をキャプチャーせよ」との指示を送ります。ここからは油井さんの腕のみせどころです。「こうのとり」5号機はハーモニー(第2結合部)の地球側に結合されます。下は、「こうのとり」4号機が同じ位置に結合した際のISSのCG です。

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オールジャパン体制で行われる「こうのとり」5号機のキャプチャーを、世界が見守ることになるでしょう。「こうのとり」のランデブー・キャプチャー方式はアメリカの宇宙船「ドラゴン」や「シグナス」でも採用されており、ISS でのスタンダードな技術となっています。
「こうのとり」5号機、宇宙へ
HTV-5 launched from the Tanegashima Space Center

宇宙ステーション補給機「こうのとり」5号機は予定通り、本日20時50分49秒に種子島宇宙センターから打ち上げられました。

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今回の打ち上げには世界が注目しました。国際宇宙ステーション(ISS)への補給ミッションはロシアのプログレス、アメリカのドラゴン、シグナス、そして「こうのとり」によって行われています。シグナスは2014年10月に打ち上げに失敗しました。打ち上げ再開は今年の12月と見られています。ドラゴンは2015年6月に打ち上げが失敗、現在事故原因の究明とその対策が行われており、次回打ち上げの予定は決まっていません。ロシアのプログレスは、2015年4月に打ち上げに失敗。その後、7月に飛行を再開しました。

こうした中での「こうのとり」5号機の打ち上げ成功は、日本の技術力の高さを改めて世界に示すものだったといえるでしょう。

「こうのとり」5号機は24日にISS に接近し、油井亀美也宇宙飛行士がロボットアームでキャプチャーする予定です。NASA のウェブサイトには油井さんの最新の写真が掲載されていました。ISS での忙しい生活にも慣れて絶好調のようです。

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「こうのとり」5号機のキャプチャーの際、ヒューストンの管制センターでは若田光一宇宙飛行士がCAPCOM をつとめ、油井さんに指示を出す予定です。一方、「こうのとり」自体の運用管制は筑波宇宙センターの「こうのとり」運用管制室で行われます。まさにオールジャパン体制で「こうのとり」によるISS への物資輸送が行われるわけです。ISS 計画にける日本の存在感が示されることは、とてもうれしいことです。
油井宇宙飛行士:宇宙で食べるレタスの味
Expedition 44 crew eat “Space lettuce”

国際宇宙ステーション(ISS)で長期滞在を開始した油井亀美也宇宙飛行士は、8月7日に国分寺市で開催された交信イベントで、はじめて地上の子供たちと交信しました。また昨日は、JAXA 東京事務所でメディア向けの交信イベントが行われました。私はその両方に出席しましたが、油井さんは宇宙での環境にすっかり慣れて、元気に仕事をしているのがわかりました。

JAXA 東京事務所での交信イベントの直前に、ISS で栽培したレタスを収穫し、スコット・ケリー宇宙飛行士、チェル・リングリン宇宙飛行士、そして油井さんがそれを食べる映像が地上に送られてきました。NASA のウェブサイトでも紹介されました。

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油井さんの出身地は高原レタスの出荷量日本一の長野県川上村です。その川上村で育った油井さんは記者の質問に、宇宙レタスはとてもおいしかったと答えました。

このレタスはアメリカのVeggie という栽培装置の中で、LEDライトを用いて育てられたものです。

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第1回目の栽培実験は若田光一宇宙飛行士がISS に滞在していたとき、スティーブン・スワンソン宇宙飛行士によって行われ、収穫された野菜は地上に持ち帰られ、安全性が確かめられました。宇宙環境で有害な微生物が繁殖するなどの可能性もあるからです。その結果安全性が確認され、今回、ケリーさんが種子をまいたレタスが収穫されたのです。

NASA は将来の火星有人探査にそなえ、火星に野菜工場をつくることを考えています。人工的な環境で野菜を栽培するVeggie は、そのための先駆的な実験といえます。

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火星の有人探査が実現するのはまだずっと先のことですが、そのための準備をNASA は今から着々と進めているのです。

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この実験によって得られた成果は、地上の野菜工場などにも利用できます。
ボストーチヌイ:ロシアの新しい宇宙基地
Vostochny Cosmodrome:Russia’s new space port

昨夜、NHK BS でロシアの新しい宇宙基地ボストーチヌイについて、少し話をしました。ボストーチヌイ宇宙基地は極東のアムール州に位置し、現在急ピッチで第1期工事が進んでいます。

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1991年のソ連邦崩壊にともない、バイコヌール宇宙基地を擁するカザフスタンは、ロシアにとって別の国になってしまいました。現在、ロシアはバイコヌール宇宙基地を借用する契約をカザフスタンと結んでいます。しかしながら、軍事衛星を含む自国の衛星や宇宙船を打ち上げる基地が外国にあるのは、国家安全保障上、非常に大きな問題です。ロシアはソ連邦崩壊から間もなく、自国の領土内に新しい宇宙基地を建設することを決断しました。

新しい宇宙基地の候補地として、当初、極東の3個所が選ばれました。しかし、太平洋に面した場所は、地震の心配や強風の問題があり、2007年に現在の場所が最終的に選ばれました。かつてここは「スヴォボドヌイ18」とよばれたミサイル発射基地であり、1996年からは小規模なロケット打ち上げ基地として使われてきました。鉄道、道路、発電所などのインフラがすでに整備されており、強風が吹かず、晴天の日が多いといった気象条件にも恵まれていました。居住区として近くに人口5000人ほどのウグレゴルスクという町もありました。

ボストーチヌイの緯度は約51度で、バイコヌールとほぼ同です。ロシア領土内では南に位置し、衛星や宇宙船を東に向かって打ち上げる場合に、バイコヌールからの打ち上げと同じくらいに地球の自転力を利用できます。また、ロケットの第1段や第2段の落下場所も、無人の土地や海なので問題になりません。

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ボストーチヌイの建設工事は2011年にはじまりました。第1期工事ではソユーズ2 ロケットを打ち上げるための施設や発射台が建設されます。これにともなって鉄道や道路の再整備、居住施設などの建設も行われています。工事は遅れ気味でしたが、プーチン大統領はロシア宇宙庁に対して、2015年12月には工事を完成させて、最初の打ち上げを行うことを求めています。そのため、突貫工事が行われているというのが現状です。

バイコヌール宇宙基地では、発射台に設置された整備塔がソユーズロケットを左右から支える仕組みになっていましたが、ボストーチヌイでは、移動式の大型施設で整備を行い、ペイロードの搭載もこの施設内で、ロケットを垂直に立てた状態で行う方式になっています。これはギアナ宇宙センターに建設されたソユーズ2 ロケットの打ち上げ施設と同じ方式です。

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(CG)

ソユーズ2 ロケットの打ち上げ施設が完成した後は、アンガラロケットの打ち上げ施設のための第2期工事が引き続いて行われることになっています。アンガラは現在ロシアが開発中の純ロシア製の大型ロケットです。これまでのロシアのロケットや宇宙船には、部分的にウクライナ製の部品やシステムが使われているために、多くの問題が生じてきました。ボストーチヌイからのアンガラロケットの打ち上げは、ロシアが自国の領土から、自国の技術だけでつくったロケットを打ち上げることを意味し、ロシアは悲願の「バイコヌール・フリー」「ウクライナ・フリー」を実現することができるのです。

下は、ボストーチヌイ宇宙基地の全体図です。左下が居住区となるウグレゴルスクの町です。バイコヌールでいえばレーニンスクにあたります。右がソユーズ2 とアンガラ打ち上げのための区域です。左上に空港があります。

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下は、打ち上げ区域を拡大したものです。第1期工事が灰色、第2期工事がオレンジ色で示されています。左上の灰色の場所で。現在ソユーズ2 発射台の工事が行われています。第2期工事のアンガラロケットの発射台はその右下のオレンジ色の場所です。これらの下に、ソユーズ2 とアンガラロケットの組立・整備棟があります。

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組立・整備棟の左のオレンジ色は、有人宇宙飛行のための施設で、ここで打ち上げ前の宇宙飛行士の準備・点検作業等が行われます。現在、ロシアは次世代の有人宇宙船を開発中です。これを打ち上げるロケットには、アンガラの有人打ち上げバージョン(アンガラ5P)が用いられることになっています。アンガラによる新しい有人宇宙船の打ち上げがはじまるのは、2020年代半ばとみられます。

アンガラロケットの発射台が建設される場所の少し北には、スヴォボドヌイ時代のサイロの跡が残っています(右上)。

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ロケットの打ち上げ関連施設だけで宇宙基地が完成するわけではありません。基地を支える労働力、特に若く優秀な技術者が多数必要になってきます。そのための研究機関や教育機関が必要ですし、ロシア国内からの多数の関係者、さらには海外からの訪問客を受け入れる施設も必要です。下は現在のウグレゴルスクの町ですが、今後、大規模な再開発が行われます。やがては極東の一大ハイテクセンターになっていくでしょう。

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ボストーチヌイからの衛星打ち上げが本格化するのは2011年頃からです。これによって、バイコヌール宇宙基地が見捨てられてしまうのかといえば、そうではありません。プーチン大統領はカザフスタンとの良好な関係を今後も保ちたいと明言しています。これまでロシアの衛星の60%以上がバイコヌールから打ち上げられていました。ボストーチヌイ完成後も10%ほどは、引き続きバイコヌールから打ち上げられることになっています。

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