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ゲノム編集技術(4):ホワイトハウスも声明を発表
White House’s note on genome editing technology

CRISPR/Cas9 などのゲノム編集技術を用いたヒト生殖細胞の遺伝子改変研究に関し、5月26日にホワイトハウスも声明を発表しました。以下がホワイトハウス科学顧問のジョン・ホールデン氏の声明文(一部)です。

「先週、米国科学アカデミー(NAS)と米国医学アカデミー(NAM)は、ヒト生殖細胞ゲノム編集の基礎研究および臨床での利用に関して、研究者、倫理学者、その他の専門家による国際会議をこの秋に開催すると発表した」
「ホワイトハウスは、この会議を招集したNAS とNAM に拍手をおくり、ゲノム編集技術をヒト生殖細胞に用いることの倫理面での検討をフルに支援する。政府は、治療目的でのゲノム編集技術の利用は、現時点では超えてはならない一線であると考えている。」

NAM はNAS の構成組織の1つで、この4月まで米国医学研究所(IOM)という名称でした。

CRISPR/Cas9 を用いて中国で行われたヒト受精卵での遺伝子改変実験の論文が発表されて以来、アメリカでは問題がさらに大きくなっています。日本では、「冷静に議論すべき」といった研究者の意見が聞かれるだけですが、アメリカではホワイトハウスが声明を発表するまでになっています。この違いはどこにあるのでしょうか?

ゲノム編集技術は、子供が遺伝的疾患をもって生まれてくるのを未然に防ぐことができる可能性をもっています。生まれてきた子供の遺伝的疾患を治療する方法として遺伝子治療の研究が進んでいますが、成果はなかなかみられません。しかし、ゲノム編集技術を用いて親の精子や卵子の遺伝子をあらかじめ修復しておけば、この問題を解決することができます。実はこの点こそが、ゲノム編集技術が注目されている理由の1つなのです。

遺伝的疾患をもった子供が生まれてくるのではないかと懸念している夫婦にとって、ゲノム編集技術は希望を与えてくれます。現在、不妊治療は世界で巨大なビジネスになっています。さらに不妊治療だけでなく、健康な子供を産むためのサービスを加えた生殖医療ビジネスへと成長を遂げようとしています。つまり、今後の生殖ビジネスにとって、ゲノム編集技術はなくてはならない技術と考えられているのです。

アメリカではすでにその動きが始まっています。ゲノム編集技術を扱うベンチャー企業が設立され、生殖医療サービスを行う企業がこれらのベンチャーと提携し、さらにこうした企業が不妊治療を行っている巨大なビジネスに結びつこうとしているのです。アメリカでは、科学の基礎研究の分野で大きなブレークスルーがあると、それがベンチャー企業を媒介としてすぐに応用分野にまで結びつく道筋がつくられ、そこに大きな資金が投下されていきます。つまりアメリカでは基礎研究分野の出来事が、同時に臨床応用の問題にもなるわけです。歯止めをかけなければ、研究は臨床応用に向かってどんどん進んでいきます。

日本では、基礎研究→実証→応用と段階を踏むのが研究開発の一般的なプロセスと考えられています。基礎研究と応用研究が同時に進んでいくアメリカの方式は、日本とは決定的にことなっています。この違いが、研究者の発言にとどまっている日本と、ホワイトハウスが声明を発表するアメリカとの違いにあらわれていでます。

生殖医療はアメリカやヨーロッパだけでなく、今後はアジアや中東諸国などでも巨大ビジネスになっていくと予想されています。中国や韓国がゲノム編集によるヒト遺伝子改変研究に力を入れているのには、そうした背景があるのも事実です。

ゲノム編集技術というと、理想の子供をつくる「デザイナーズ・ベイビー」の話題に結びつけられますが、そのようなSF的な話よりも前に、生殖医療サービスとしての応用がすでに目前の検討課題になっているのです。

CRISPR/Cas9 のCRISPR とはゲノム上の反複配列のことで、1987年に、当時大阪大学にいた石野良純氏が古細菌の免疫獲得メカニズムに関連して発見したものです。ゲノム編集技術の成立には日本人研究者も貢献しているわけですが、今や、日本はその分野で世界に立ち遅れてしまっているようです。
水星探査機メッセンジャーの画像
MESSENGER ends orbital operation

NASA の水星探査機メッセンジャーは4月30日にミッションを終えました。メッセンジャーは2004年に打ち上げられ、それまで限られたデータしか得られていなかった水星を約10年間にわたって観測しました。

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上の画像は、メッセンジャーがミッションを終えた翌日に発表された画像で、左上にミッション期間である「2004-2015」が示されています。太陽系最大規模の衝突跡であるカロリス・ベイスンが写っています。手前がベイスンの中心部分で、テクトニクスによってできたと考えられるトラフ(溝)が見えています。直径41km のアポロドラス・クレーターはこうした地形が形成された後、ベイスンのほぼ中心に天体が衝突してできたものです。この画像は高度によって色分けされており、青から赤、さらに白っぽくなるにつれて高度が高くなります。このあたりでの高低差は約4km あります。

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上の画像は、水星の重力異常をあらわしたものです。ほぼ中央の赤く示されているあたりがカロリス・ベイスンです。ベイスンの地下には重い物質が集中しています。その右に、もう1つ質量が集中している領域があります。ここはソブコウ平原とよばれる場所です。こうした質量の集中は、水星の形成過程に関係しています。

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上の画像はドゥッチオとよばれるクレーターの中心部分で、上から左下にかけて巨大な崖が走っています。これは水星がごく初期に冷えて収縮したためにできた地形と考えられています。

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上の画像は水星の北半球の高度差をあらわしたものです。真ん中が北極です。深い紫色が最も低い部分、赤い色が最も高い場所を示しています。最も高い場所と最も低い場所との高低差は約10km です。月の場合、高低差は約20km ありますから、水星は月にくらべて全体に平坦な天体といえます。
イルカをめぐる世界の動きをどう考えるか
日本動物園水族館協会(JAZA)が和歌山県太地町からイルカを入手しないことを決定したニュースは、即座に世界中のイルカ保護団体のウェブサイトで取り上げられました。「JAZA の決定はイルカの追い込み漁をなくすための大きな前進」というのが、世界の論調です。下のように、これを”Huge Win”(大いなる勝利)とするサイトさえあります。JAZA は世界に誤ったメッセージを与えてしまいました。

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WAZA からの要請は、「太地町の追い込み漁で捕獲したイルカを日本の水族館が入手しないように」というものであり、日本の水産業としての追い込み漁の禁止を要請しているものではありません。つまり、背景に追い込み漁そのものの問題はあるものの、日本の水族館が追い込み漁で捕獲されたイルカを入手することがWAZA の倫理規定に反していることを主張してきただけなのです。WAZA は原則としてすべての野生生物について、保護すべき状態にある場合を除いて捕獲を認めていませんから、WAZA の要請はある意味、当然です。

しかしながら、JAZA は太地町からのイルカの入手に最後まで固執し、「追い込み漁のどこが残酷なのか」とWAZA と議論することにより、結果として、この問題を追い込み漁そのものの是非へと戦場を広げてしまいました。そのため、世界の反捕鯨団体に付け入るすきを与えてしまったのです。

太地町のイルカ漁をめぐる世界の構図は複雑で、一元的なものの見方は禁物です。シーシェパードの主張とキャロライン・ケネディ駐日大使のツイッターを同次元で論ずべきではありません。シーシェパードのような過激な行動をとる団体は、反イルカ漁や反捕鯨をビジネスにしているといってよいでしょう。彼らが活動を止めることはなく、その活動の背景には何らかの形で大口のスポンサーが存在しています。また、「イルカは知能が高い」と本気で信じて、イルカ漁に反対している団体もあります。動物はみな高い知能をもっており、イルカだけが知能が高いと考えるのは間違いです。これらの人たちと議論をすることは不可能です。

一方、世界の多くの人たちとは、イルカ漁が伝統的な食文化にもとづくものであることを話し合うことは可能であり、むしろ積極的に議論をすべきと私は考えています。多くの場合、相手を説得することはできないでしょう。しかし、自らの意見を主張するだけでなく、相手の価値観にも理解を示し、いつも的確なメッセージを発信していることが、世界を相手にする際には非常に大事なのです。
21世紀の水族館:イルカショーはそろそろ止めるべき
日本動物園水族館協会(JAZA)は、「太地町からのイルカの入手を止めるべき」という世界動物園水族館協会(WAZA)の勧告を受け入れました。これによって、日本の水族館は今後イルカを入手するのが難しくなり、イルカショーができなくなる施設もでてくると思われます。

今回のJAZA の決定に関しては、太地町の追い込み漁が話題になっていますが、この問題とは別に、日本の水族館でのイルカ展示やイルカショー自体について考えてみるべきです。イルカショーは水族館の集客に大きな役割を果たしていますが、21世紀の水族館が目指す方向からすれば、そろそろ止めることを考える時期にきています。

動物園や水族館は、かつては捕獲してきた野生生物をおりや水槽に入れて展示する「レジャー施設」でした。動物は「見世物」だったわけです。しかし1990年代からは、絶滅の危機に瀕した生物の保護や種の保存、さらには生物多様性の保全が動物園や水族館の重要な役割であることが、世界の共通認識になっています。これとともに、展示される動物を野生から捕獲することは行わず、飼育下の動物を繁殖させることが原則になりました。もちろんJAZA も、こうした目標実現のための戦略を進めています。

さらに、動物にストレスや苦痛を与えない「動物福祉」の観点から、彼らが野生で暮らしていた環境にできるだけ近く、十分な広さをもつ場所での飼育や展示が重要視されています。私は以前、ある地方都市の公園で、大型のヒョウがコンテナほどの大きさのおりに入れられて展示されているのをみてショックを受けたことがあります。JAZA に加入している動物園は89とのことですが、全国にはJAZA に加盟していない「動物園」が160以上あり、今でもこうした劣悪な環境で動物を展示している施設もあると指摘されています。

話をイルカに戻すと、太地町から野生のイルカを入手することは、上にのべたような世界の動物園や水族館が守っている原則からして問題があったのです。今回、WAZA は1か月の猶予を与えてJAZA に決断を迫るという最終手段をとりましたが、この問題はすでに何年も前から指摘されていました。「海外の反捕鯨団体からの圧力」に、問題を矮小化させてしまうのは間違っています。

そもそも各水族館が太地町からのイルカを必要とするのはイルカショーのためですが、野生のときにはしない行動をイルカにさせるのは、動物福祉の点から問題です。また、「教育」や「研究」といった水族館の役割とも無縁です。私は個人的には、イルカショーは「イルカは可愛い」「イルカは知能が高い」といった、イルカを特別視する誤った概念を子供たちに与えてしまうと思っています。

日本の動物園や水族館は、一部の大きな施設を除けば、世界の動向から切り離された環境で運営されてきました、しかし、地球環境は野生生物にとってどんどん厳しいものになっており、それにともない世界も動いています。私は反捕鯨団体や動物愛護団体の主張に同調するものではありませんが、今回の件は、動物園や水族館で展示される動物について考えてみる良い機会だと思います。
油井宇宙飛行士の打ち上げ、延期に
Launch of Soyuz TMA-17M delayed

ソユーズ宇宙船TMA-17M による油井亀美也宇宙飛行士ら第44/45次長期滞在クルーの打ち上げは5月27日(日本時間)に予定されていましたが、7月中旬以降に延期されることになりました。下の画像はガガーリン宇宙飛行士訓練センターでの第44/45次長期滞在クルーで、左からチェル・リングリン宇宙飛行士、オレッグ・コノネンコ宇宙飛行士、そして油井さんです。

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4月28日に打ち上げられたプログレスM-27M は、第3段切り離しの際のトラブルで制御不能になり、国際宇宙ステーション(ISS)にドッキングできず、5月8日に大気圏に再突入しました。ロシア宇宙庁は現在、その原因を調査中です。プログレスM-27M を打ち上げたソユーズ2-1a は、ソユーズ宇宙船の打ち上げに使われているソユーズFG に比べ、第3段の航法装置や推進剤タンクなどが新しくなっています。しかし、両者は基本的に同じロケットなので、今回のトラブルの原因を究明し、必要な措置をとってソユーズFG の打ち上げの安全性を確認しなければ、長期滞在クルーの打ち上げはできません。

現在ISS 上には、第42/43次長期滞在クルーのテリー・バーツ宇宙飛行士、サマンサ・クリストフォレッティ宇宙飛行士、アントン・シュカプレロフ宇宙飛行士、1年間の長期滞在を行う第43/44/45/46次長期滞在クルーのスコット・ケリー宇宙飛行士、ミカエル・コニエンコ宇宙飛行士、第43/44次長期滞在クルーのゲナディ・パダルカ宇宙飛行士が滞在しています。第42/43次長期滞在クルーは5月13日に地球に帰還することになっていましたが、油井さんらの打ち上げが延期されたことにともない、滞在期間が延長されました。帰還日は発表されていませんが、6月11日という情報もあります。油井さんらが到着するまで、しばらくの間、ISS は3人体制となります。

次のプログレス、M-28M の打ち上げは8月6日に予定されていましたが、M-27M での補給ができなかったことから、ロシア宇宙庁はこれを7月初旬に早めることにしました。これには、油井さんらの打ち上げの前に、ソユーズロケットの安全性を確認する意味もあります。
プログレスM-27M、大気圏に再突入
Progress M-27M reentered the Earth’s atmosphere

ロシア宇宙庁はプログレスM-27M が日本時間8日午前11時04分に大気圏に再突入したと発表しました。再突入の場所は太平洋の上空でした。
プログレスM-27M:5月8日に大気圏再突入か
Progress M-27M:Fall back to Earth on Friday

ロシア宇宙庁はプログレス補給船M-27M が5月8日か9日に大気圏に再突入すると発表しました。正確な時刻は予測できず、今のところ、日本時間で8日午前7時23分から9日午前3時55分の間としています。

M-27M は4月28日にバイコヌール宇宙基地から打ち上げられましたが、軌道上で制御不能となり、国際宇宙ステーション(ISS)とのドッキングを果たせませんでした。下の画像は、今年の2月に打ち上げられ、ISS にドッキングしたプログレスM-26M です。

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M-27M は約7tの貨物を積んでいます。大気圏再突入の際にほとんど燃えつきてしまいますが、一部は地球に落下する可能性があります。大気圏再突入の正確な時刻が予測できないため、落下場所も特定することはできませんが、地上に被害をもたらす危険性は非常に少ないと思われます。
フリーダム7:アメリカ初の有人宇宙飛行
Freedom 7:Trajectory of historic flight

今から46年前の1961年5月5日、マーキュリー宇宙船フリーダム7 によるアメリカ初の有人宇宙飛行が行われました。

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搭乗していたのはアラン・シェパードです。ユーリ・ガガーリンによる人類初の有人宇宙飛行に遅れること23日でした。

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打ち上げに使われたレッドストーンロケットの能力から、フリーダム7 の飛行は弾道飛行となりました。飛行時間15分28秒でした。NASA のサイトには、その飛行経路を示す当時の資料がアップされていました。

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打ち上げは午前9時34分(アメリカ東部時間)でした。2分22秒後、レッドストーンロケットのエンジン燃焼終了。その10秒後に緊急脱出システム分離。3分後に自動姿勢制御システムが作動し、カプセル底部のヒートシルドを進行方向に向ける姿勢となりました。大気圏再突入に向けた姿勢です。上の資料にも、この ”Attitude Programming” が示されています。

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その後、シェパードは宇宙船の操縦テストを行い、ピッチ、ヨー、ロールの3方向すべての姿勢制御操作を行いました。ガガーリンの乗ったボストーク1号の飛行はすべて自動操縦でしたので、シェパードは宇宙空間で宇宙船を操縦した人類初の人間となりました。

箱根山は噴火するか?
箱根山では4月26日から火山性地震が増加しています。また、大涌谷付近の温泉施設で水蒸気が勢いよく噴き出しています。これらのことから、気象庁は箱根山の大涌谷浅部では熱水活動が不安定な状態となっており、今後、大涌谷付近で噴出現象が突発的に発生する可能性があるとしています。

私たちが箱根とよんでいる地域は、今から約16万年前に形成された箱根火山のカルデラの内部にあたり、ここにたくさんの温泉施設や観光施設があります。標高がもっとも高いのは神山で1437m です。このあたりがカルデラ内の中央火口にあたる場所で、大涌谷はそのすぐ北にあります。

箱根山の地下ではかなり浅いところでマグマの活動が活発化しているようです。5日には地震も頻発し、朝に震度1の地震も2回起こりました。箱根山では数年の周期で地震活動が活発になっています。気象庁は噴火警戒レベル1(平常)を継続していますが、地元自治体等の指示に従って危険な地域には立ち入らないようにとしています。箱根町はすでに大涌谷周辺のハイキングコースや遊歩道を閉鎖しています。

昨年の御嶽山のような水蒸気噴火が、箱根山で起こるかどうか、現在の火山学の知識では予測がつきません。噴火が起こるとして、新しい火口が大涌谷に現れるのか、それとも別の場所なのかもわかりません。気象庁の噴火警戒レベルは、これまでの経験にもとづく総合的な判断で決められます。災害を防ぐための警報であり、噴火を科学的に予測するものではないので、地元の方々や観光客は「いつ噴火が起こっても不思議はない」という心がまえで、万が一に備え避難方法を事前に把握しておくことが必要です。箱根町では「火山防災マップ」を作成しているので、読んでおきましょう。

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火山の噴火を予知することは、地震や地殻変動、噴気などのデータからある程度は可能ですが、いつ、どこで、どのくらいの規模の噴火が起こるかを正確に予知することはできません。そのことを念頭に日頃からハザードマップや防災計画を確認し、避難訓練をしておくことが大事です。
3Dで見るわし星雲
Pillars of Creation in 3D

わし星雲(M16)の3D動画がESO(ヨーロッパ南天天文台)から発表されました。下の画像は私たちが地球から見ているわし星雲を、少し右側の位置から見た画像です。ハッブル宇宙望遠鏡で馴染みのあるわし星雲とは、ガスの柱の位置関係が少し違っているのがわかります。

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わし星雲の3DデータはチリにあるESO の大型望遠鏡VLT に取り付けたMUSE という装置によって得られました、観測によると、わし星雲のガスの柱は、下の画像のような位置関係にあることがわかりました。

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この位置関係を用いて、わし星雲の3D動画がつくられたわけです。

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上の画像は、地球から観測したわし星雲(左)と、視点を右に動かして眺めた画像(右)を比較してみたものです。

1方向からしか見ることのできない天体を立体的にしてみる試みは、オリオン大星雲やイータ・カリーナなどでも行われています。こうしたビジュアライゼーションは私たちの目を楽しませてくれるだけでなく、研究者にとっても重要な情報をもたらしてくれます。

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上は、VLT での観測データから作成したイータ・カリーナの3D画像です。イータ・カリーナは超新星爆発の寸前にある大質量星です。

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上の画像でNASA の研究者テッド・ガル氏が手に持っているのは、得られた3Dデータをもとに3Dプリンターで作成したイータ・カリーナの立体模型です。3Dデータを画面上に表示してみるだけでなく、実際に手に取れる模型にしてみることは、この天体で起こっている現象を把握する上で非常に役に立つとのことです。
プログレス補給船M-27M が制御不能に
Russian Spacecraft Progress M-27M out of control

4月28日13時9分(現地時間、日本時間16時9分)、プログレス補給船M-27M がバイコヌール宇宙基地から打ち上げられました。打ち上げは順調に見えましたが、プログレスは地球周回軌道に達した直後に、制御不能になりました。

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太陽電池板の展開は確認されましたが、テレメトリーデータが途絶しているため、プログレスの各装置がどのような状態なのか不明です。管制センターに送られてきたプログレスからの映像によると、プログレスは5秒間に1回というスピードで回転しています。

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プログレスは打ち上げ後、地球を4周して、約6時間後にISS(国際宇宙ステーション)にドッキングする予定でした。モスクワ郊外の管制センターTsUP は、以前行われていた地球を34周してISS にドッキングする方法に変更し、プログレスとロシアの地上局間で交信が可能な打ち上げ後4周の間にプログレスとの通信を回復しようとしましたが、できませんでした。TsUP はその後もプログレスとの通信回復を試みましたが、成功せず、ロシア宇宙庁はISS とのドッキングを行わないという決定を下しました。

プログレスには約1400kgの生活物資、実験用器材、交換部品、約400kgの水、約450kgの酸素、約870kgのサービスモジュールエンジン用燃料が搭載されていました。ISS では現在、1年間の長期滞在を行うアメリカのスコット・ケリーさんとロシアのミカエル・コニエンコさんを含む6人のクルーが滞在しています。今回のプログレスによる補給がなくなっても、クルーの生活に影響がでることはありません。アメリカのドラゴン宇宙船は6月に打ち上げの予定です。また、8月には日本のHTV(こうのとり)がISS に物資を運びます。

プログレスの現在の高度は190km×260km 程度で、どんどん高度を下げています。あと1週間ほどで大気圏に再突入し、燃えつきてしまうとみられています。ただし、プログレスの1部が燃え尽きずに地上に落下する可能性があります。どこに落下するか予測できませんが、被害が出る可能性は非常に低いと考えられています。

プログレスの打ち上げが失敗したのは、2011年のプログレスM-12M 以来、2度目のことです。今回の失敗の原因は、第3段ロケットとの切り離しの際に生じたとみられています。プログレスの打ち上げは長い間、ソユーズU というロケットで打ち上げられてきました。今回の打ち上げではソユーズ2-1a ロケットが使われています。ソユーズ2-1a は航法装置がデジタル化された新しいソユーズロケットで、バイコヌールやプレセツク、クールーのギアナ宇宙センターからの人工衛星打ち上げに使われてきました。また、2014年10月にはプログレスM-25M を打ち上げました。今回はソユーズ2-1a による2回目のプログレス打ち上げでした。ロシア宇宙庁は、プログレスの打ち上げをソユーズU からソユーズ2-1a に切り換えることを考えていました。

ロシア宇宙庁は現在、原因を調査中です。ISS へのクルーの打ち上げはソユーズFG によって行われています。今回のソユーズ2-1a で起きたトラブルが、次のISS クルーの打ち上げに影響するかどうかはまだわかりません。次のISS クルーは、日本人宇宙飛行士油井亀美也さんを含む第44次/第45次長期滞在クルーで、現在、打ち上げは5月27日に予定されています。

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