最近のエントリー
カテゴリー
過去のエントリー
カレンダー
S M T W T F S
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930     
<< June 2014 >>
ブログ内を検索


PROFILE
モバイル
OTHERS
顎をもつ魚の起源
Origin of jaws in vertebrates

バージェス頁岩の化石の研究で有名なケンブリッジ大学のサイモン・コンウェイ・モリスらのグループによる、Metaspriggina という魚の祖先の化石についての論文が、『ネイチャー』誌の6月11日付け電子版に掲載されています。この化石は約5億500万年前のバージェス頁岩から見つかったもので、対の鰓弓をもっていることがわかりました。鰓弓とは鰓に分化する領域のことで、顎をもつ魚、さらには脊椎動物へと進化する最初のステップであるとのことです。

20140623_01
University of Cambridge

上の画像左がMetaspriggina の想像図、右が実際の化石で、眼がはっきり見えています。

Metaspriggina は以前から見つかっていましたが、化石の保存状態が悪く、体の細部について知ることはできませんでした。今回、コンウェイ・モリスらが報告した複数の化石は、2012年にカナダの王立オンタリオ博物館の調査隊がブリティッシュ・コロンビアのマーブル・キャニオン近くで発見した多数の化石の中に含まれていたもので、保存状態が非常によく、鰓弓の他、レンズをもった眼や鼻腔なども確認されました。

魚の祖先となる生物は、バージェス頁岩の生物たちより少し古い時代の中国、澄江動物群に見られます。しかし、顎へとつながる特徴をもつことが確認された最も古い生物は、このMetaspriggina ということになるようです。
『ホドロフスキーのDUNE』:B級映画とブロックバスターの間
Jodorowsky’s DUNE:B movies and brockbusters

『ホドロフスキーのDUNE』を観てきました。

20140622_01

『エル・トポ』のアレハンドロ・ホドロフスキーは1975年、フランク・ハーバートの『デューン/砂の惑星』(1965年)の映画化を考えます。彼の構想はあまりにも壮大かつ破天荒で、ハリウッドにはなじまず、企画は実現せずに終わります。しかし、幻の作品となったが故に、彼のアイデアやメビウスの描いたコンテ、クリス・フォスやH・R・ギーガーのイラストレーションなどは、その後のSF映画に大きな影響を与えました。

1950年代のアメリカのSF映画に長く親しんできた私にとって、「B級」という形容詞がつけられることが多かったSF映画が、ハリウッドでブロックバスター映画になっていく歴史は、非常に興味があるものです。と、同時にいくつかの疑問もありました。その一部が『ホドロフスキーのDUNE』を観て解決した気がします。

B級映画とは低予算でつくられ、内容もいまいちで質の落ちる映画と解釈されていますが、もともとはハリウッドで制作された映画の配給方式にもとづく「B movie」あるいは「B picture」から来ています。当時、劇場での公開は2本立てで行われていたため、予算をかけたメインの作品と同時に、低予算の作品をもう1本制作して配給する必要がありました。それがB movieです。

1950年代に制作されたたくさんのSF映画の中には、『禁断の惑星』や『宇宙水爆戦』など優れた作品もありますが、確かにその多くがいわゆるB級とよばれるものであったのは事実です。しかし、そこにこそ、この時代のSF映画の魅力があり、低予算であるが故に行われたさまざまな試みが、将来ハリウッドを席巻するパワーの源泉となったのです。

1950年代のSF映画は1960年代前半にその輝きを失っていきます。テレビの普及や時代の雰囲気の変化など、いくつもの原因があったのでしょう。1968年に公開された『猿の惑星』は、SF映画がハリウッドのメインストリームへ向かう画期的な出来事でした。この年にはキューブリックの『2001年宇宙の旅』も公開されました。

その後1970年代後半になると、『スターウォーズ』(1977年)、『未知との遭遇』(1978年)、『エイリアン』(1979年)などが次々と公開されていきます。少年時代に1950年代のSF映画を観て育った世代がこうしたSF大作をつくるようになったとき、そこにはSF映画の黄金時代とは異質のテイストが、いくつも加わっているように私には感じられたものです。おそらく、その1つがホドロフスキーの『DUNE』だったのでしょう。
STAP 細胞はどこからきたか
本日、山梨大学の若山先生が記者会見を行い、小保方さんから預かっていたSTAP 幹細胞を第三者機関が解析した結果を発表しました。その結果、小保方さんがSTAP 細胞であるとして若山先生に渡した細胞は、若山先生が小保方さんに提供したマウスからつくられたものではなかったことが明らかになりました。

若山先生がSTAP 細胞の実験のために提供したマウスは「129「と「B6」という2つの系統のマウスをかけ合わせた129B6F1 というマウスでした。ARTICLE の最初の部分にもそう書かれています。ところが、FLS とよぶSTAP 幹細胞では、由来するマウスは129B6F1 だったものの、GFP 遺伝子が挿入された染色体が異なっていました。つまり、若山先生が提供したものとは別のマウス由来だったのです。また、AC129 とよぶ別のSTAP 幹細胞では、129 の系統のマウスを提供したにもかかわらず、実際は129B6F1 に由来していました。

小保方さんがつくったとされるSTAP 細胞の由来が、若山研究室から提供されたマウスでないとすると、STAP 細胞はどこから来たのでしょうか? 今やこれがきわめて大きな問題になってきました。現在、発生・再生科学研究センター(CDB)では、小保方研究室に保管されている細胞や組織片の解析を進めているようですから、近い将来、STAP 細胞がどこからやってきたのか、明らかになるのではないでしょうか。
STAP 細胞問題:理研はこれからが正念場
研究不正再発防止のための改革委員会は、6月12日、「研究不正再発防止のための提言書」を理化学研究所に提出しました。その内容は、なぜこのような問題が起こったのかの背景まで分析したものになっています。

発生・再生科学研究センター(CDB)でSTAP 細胞問題が起きた原因として、提言書は以下の点を指摘しています。
・小保方さんにはユニットリーダーとしての能力も実績もなかったが、通常の手続き
 を省略した異例の採用となった。その背景にはiPS 細胞研究を凌駕する成果を獲得
 したいというCDB の強い動機があった。
・STAP 細胞論文は、十分に生データを検討することなく拙速に作成された。
・小保方さんのデータ管理はきわめてずさんであった。
・CDB には研究不正を抑止できない構造的欠陥があった。

改革委員会は小保方さんに「極めて厳しい処分」を求めています。小保方さんの上司であり、論文作成にも深くかかわった笹井副センター長も、小保方さんとならび「厳しくその責任が問われるべき」としています。また、今回の問題は笹井副センター長主導で行われたものの、竹市センター長の組織上の責任も厳しく問われるべきとしています。さらに、改革委員会はCDB の解体も提言しています。

改革委員会は、STAP 現象の有無を明らかにするために、科学的に正しい再現実験を行うことも提言しています。現在、相澤・丹羽チームが行っている実験は、小保方さんがSTAP 細胞をつくったかどうかを検証するには問題があるとし、外部の専門家を参加させた体制で行うべきとしています。

改革委員会はさらに「第2論文」(LETTER)についても徹底的な検証を行うことを提言しています。

改革委員会の提言内容はどれも説得性があり、きわめてまっとうなものです。理化学研究所がこの提言をどこまで実現し、失われた信用を回復できるのか、これからが正念場といえるでしょう。
STAP 細胞はES 細胞だった?
どうやらSTAP 細胞はES 細胞だった可能性が高いようです。理化学研究所統合生命医科学研究センター上級研究員の遠藤高帆氏らは、データベースで公開されたSTAP 細胞関連の遺伝子配列データを解析し、その結果を論文として投稿しました。遠藤氏はバイオインフォマティックスの専門家です。論文自体はまだ出版されていませんが、その内容の一部が報道されています。

それによると、遠藤氏らがSTAP 細胞の遺伝子配列データとされるものを解析したところ、ほぼすべての細胞で、8番染色体が3本ある「トリソミー」が見られることがわかりました。トリソミーという染色体異常をもつマウスは生まれてくることはできません。したがって、生まれて1週間後のマウスの脾臓から採取した細胞からSTAP 細胞をつくったという論文の主張が根底から崩れてしまいます。トリソミーはES 細胞でよく起こっていることが知られています。そのため、STAP 細胞は生きたマウスの細胞からではなく、ES 細胞を培養してつくられた可能性があるというわけです。

東京大学の2つのグループも、遠藤氏らとは独立に同じ結果を得ていると伝えられています。

STAP 細胞がES 細胞ではないかという疑問は、多くの人がずっと前から抱いていました。遠藤氏自身もすでに3月の段階で「STAP 細胞の非実在」や、STAP 細胞がES 細胞に非常によく似た特徴をもっていることをネット上で指摘していました(当時は名前は明かしていませんでした)。

先日報道されたように、遠藤氏らは、STAP細胞を培養して作製したとされるFI 細胞の遺伝子配列データも解析しました。FI 細胞は胎盤に分化できる性質をもった細胞で、これまで知られているTS 細胞と似ています。遠藤氏らの解析によると、FI 細胞が由来するマウスは、論文でSTAP 細胞を作製したとされるマウスとは別の系統のものでした。2種類の系統が混じっており、遺伝子配列データにはES 細胞とTS 細胞によく似た特徴が見られたとのことです。したがって、FI 細胞の遺伝子配列データの解析に使われたサンプルはES 細胞とTS 細胞が混合したものであると推測されます。

小保方さん側は『ネイチャー』誌の編集部からNGS(次世代シーケンサー)による遺伝子配列データを求められました。そのとき、何らかの事情で、小保方さんはES 細胞とTS 細胞が混合されたサンプルを解析にまわしてしまったのではないでしょうか。

STAP 細胞の正体が何であるにしろ、やはり小保方さんの行った実験の全容解明が必要です。STAP 細胞問題は科学史に残るスキャンダルになってしまう可能性があります。理化学研究所は自らすべてを明らかにし、反省すべき点については反省し、失われた信頼を取り戻す努力をすべきです。
STAP 細胞はなかった:ネイチャー論文2本撤回へ
小保方さんは『ネイチャー』誌に掲載された2本の論文のうち、ARTICLE についても撤回に同意したとのことです。小保方さんはすでにもう1本のLETTER の撤回には同意しています。小保方さんはこれまで、ARTICLE を撤回する意思はないことを表明してきました。それがなぜ、急に撤回に同意したのか。

これは私の推測でしかないのですが、『ネイチャー』誌側から、ARTICLE 取り下げの意向が伝えられたのではないでしょうか。『ネイチャー』誌はSTAP 細胞論文に関して調査を進めており、論文に書かれた内容を支えるだけの根拠がなくなれば、同誌独自の判断で論文を取り下げる可能性もあるとしてきました。ここに至って小保方さんも、自ら論文を撤回するという、不名誉ではあるけれども、『ネイチャー』誌の判断で論文を撤回されるよりは、その程度が少しは小さい方法を選択せざるを得なかったのではないでしょうか。

ここ数日、キメラマウス作製に使ったSTSP 細胞の由来に関する新たな事実が次々と明らかになっています。山梨大学の若山先生が外部に依頼していたSTAP 幹細胞の遺伝子解析の結果によると、STAP 幹細胞作製に使用したSTAP 細胞は、論文に書かれた系統のマウスではなく、ES 細胞およびTS 細胞の作成によく使われる系統のマウスだったとのことです。TS 細胞は胎盤をつくることができる細胞です。「胎児にも胎盤にもなれる」というふれこみのSTAP 細胞でしたが、もちかしたら、ES 細胞とTS 細胞の混入によるものだったかもしれません。

キメラマウスの実験結果は主にLETTER で述べられていますが、STAP 細胞が胎盤もつくる能力を持っていることはARTICLE でも述べられています。そしてその説明に使用したES細胞由来の胎児の写真とSTAP 細胞由来の胎児と胎盤の写真が、実は同じ細胞由来のものであることも明らかになっています。こうして、ARTICLE の内容を支持する材料は次々となくなっていました。

2本の論文が撤回されると、STAP 細胞が存在する根拠はなくなり、STAP 細胞はなかったという結論になるわけです。しかし、論文撤回によって、今回の問題が幕引きになるわけではありません。なぜ、こんなことが起こってしまったのか、事実の解明が今後の課題になります。

▲PAGE TOP