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Google Moon に不思議な建造物が?
Unknown Structure on the moon?

Google Moon に不思議な建造物が見えているという動画がYouTube に投稿され、話題になっています。ベリャーエフというクレーターの縁に、V字型をした形が現れています。

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私のところにもテレビ局から取材があったため、少し調べてみました。ベリャーエフ・クレーターは月の裏側の「モスクワの海」の縁にあります。Google Moon でこの地域を見てみました。ここに貼り付けてある「モスクワの海」の画像は、日本の月周回衛星「かぐや」の地形カメラで取得した画像のようです。これを拡大していくと、確かに同じ形が現れました。しかし、これは何かの建造物ではありません。同じ場所を、アメリカの月探査衛星LRO が取得した画像で見てみると、ここには小さなクレーターがありました。下の画像がそれで、少し見づらいですが、クレーターの丸い形が分かります。このクレーターは年代が若いためか、周囲に広がる噴出物は白っぽくなっています。

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「かぐや」の地形カメラの解像度は10m です。問題のクレーターのサイズはおそらく数百m で、地形カメラの光学系が正しい形をとらえる限界あたりだと思われます。明るいクレーターに低い角度から太陽光が当たっているため、その反射光によって本来は三日月型に写るはずのクレーターの内壁がV字型になり、その手前にゴーストのように白い点が現れているのだと思います。

今から20年ほど前までは、「UFO 研究家」とよばれる人たちが、たびたび、月面には人工の構造物があると主張し、その証拠と言える写真をメディアに流したりしました。アポロ宇宙船や月を周回したルナー・オービターなどからの画像でしたが、それらはどれも解像度の限界から、そのように見えただけであって、実際に人工物が存在することなどありませんでした。今では、「かぐや」やLRO あるいはその他の月探査機が月面をくまなく調べており、宇宙人が月面に建造した構造物が見つかる可能性はなくなってしまいました。
プーシキン:死んだ王女と七人の勇者
Alexander Pushkin:The Tale of the Dead Princess and the Seven Knights

モスクワ市内で一番大きい書店ドム・クニーギで、プーシキンの『死んだ王女と七人の勇者』の絵本を見つけました。エフゲニー・アントニエンコフという人のイラストがとても気に入りました。

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『死んだ王女と七人の勇者』は、グリム童話の『白雪姫』をベースにプーシキンが書いた詩です。継母の王妃に殺されそうになった王女は、森に住む7人に騎士の家で暮らします。老婆がもってきた毒りんごを食べて死んでしまいますが、婚約者のエリセイ王子によって生き返るという話です。

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ソ連の時代から、ロシアでは児童向けの出版活動が活発でした。久々にモスクワに来て地下鉄に乗ってみると、日本と同じように若い人たちはスマホやiPad を見ています(ゲームをしている人はいませんが)。Kindle で本を読んでいる人もよく見かけました。電子化された情報を携帯端末で見る時代になっていますが、こうした大判の美しい絵本が出版されているのを見ると、紙のメディアにもまだ役割が残っているという気がします。
画家たちが描いたチェリヤビンスクの隕石爆発
Meteorite inspired Russian painters

今、モスクワにいます。2013年2月15日にチェリヤビンスク上空で爆発した隕石は、こちらでは今でも時々話題になっているようです。

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上は、昨日の新聞の第1面です。地下鉄の駅で無料配布している新聞で、上空を通過していく隕石を描いた画家の作品が紹介されています。

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第5面には、隕石落下に触発されたその他の作品も紹介されています。ツングースカ事件以来の規模の衝撃波が発生した今回の隕石爆発は、多くの画家にインスピレーションを与えたようです。
宇宙空間とサイバースペースの覇権をねらう中国
China’s military:Counter-Space and Cyberwarfare

アメリカ国防総省が中国の軍事力に関して毎年まとめている報告書の2013年版では、「人民解放軍の兵器近代化の目標と最近の傾向」の章の中で、Counter-Space(宇宙対抗)という項目を設け、人民解放軍の宇宙戦略について述べています。

人民解放軍は、高度に情報化された現代の戦争においては、敵が宇宙へアクセスするのを阻止することがきわめて重要とみなしており、アメリカの戦力に対抗するA2/AD(アクセス阻止/エリア拒否)の要としています。国防総省の報告書は、「人民解放軍は宇宙空間の利用と宇宙対抗能力を増強するための多様なテクノロジーを獲得しつつある」とし、有事の際には偵察衛星、通信衛星、航法衛星、早期警戒衛星などへの攻撃がきわめて有効と考えていると述べています。中国は、アメリカとその同盟軍の軍事作戦を分析し、現代の戦争では宇宙空間が情報取集から命令伝達に至るまでの非常に重要な場所となっていることを学んだのです。

中国は2009年1月に、運用を終えた自国の気象衛星を地上からミサイルで破壊し、宇宙対抗能力を保有していることを世界に示しました。

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この衛星破壊実験によって、スペースデブリが約40%も増えてしまったことはよく知られています。この衛星破壊実験があってから、アメリカは人民解放軍の宇宙戦略に特にナーバスになりました。

アメリカが中国に対してもう1つ神経を尖らせているのが、サイバー攻撃です。国防総省の報告書でも、Cyberwarfare in China’s Military(中国軍におけるサイバー戦争)という項目を設けています。2012年、アメリカ政府および国防関連の組織・企業等に対して、中国は大規模なサイバー攻撃をしかけました。国家安全保障上きわめて重要な機密情報が大量に盗まれたとみられています。

人民解放軍のサイバー戦争に関する考え方は非常に明快です。サイバー攻撃は敵の機密情報取集にきわめて有効であり、有事の際には敵のネットワークを攻撃することによって、敵の動きを止めたり、通信や兵站などの対応時間を遅らせたりすることができます。さらに、ミサイル等による攻撃と同時に行うことによって相乗効果が得られます。人民解放軍は現代の戦争においては、「情報ネットワークは戦場全体の神経系統」であると位置づけており、これを攻撃する能力を高めています。

宇宙空間とサイバースペース、この2つは事実上一体の関係にあります。そのため、アメリカはこの2つの領域で覇権をねらう中国の動きに神経質になっているのです。

中国は宇宙での存在感を急速に高めています。中国の宇宙計画は軍の管轄下で行われています。有人宇宙飛行や月・惑星探査も、それが「中国の夢」の実現を目指しているとすれば、それは大きな枠組みの中では、上に述べたような戦略の中に含まれていると考えざるを得ません。日本は今後の宇宙計画を外交や安全保障を含めた総合的な立場から進めていく必要があります。今の宇宙政策委員会で議論するだけでは不十分ではないでしょうか。「国際宇宙ステーション計画に参加した成果は上がっていない」という視野の狭い考えをもとに、国際宇宙ステーション計画の運用延長から撤退し、宇宙を中国に明け渡してしまうことがあってはいけないと私は考えます。
ISS 計画参加は安全保障上も必要
ISS and Japan’s national security strategy

アメリカが国際宇宙ステーション(ISS)の運用を2024年まで延長することを表明しました。今後、日本ではISS 計画の成果とは何か、2020年以降も参加していくかどうか議論されていくと思います。

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日本は「きぼう」日本実験棟の開発と運用によって、人間を宇宙空間に長期間滞在させる能力を保有するに至りました。また、日本人宇宙飛行士のISS での活動によって、宇宙空間で実際に仕事をし、生活する経験も蓄積しています。さらに、宇宙ステーション補給機「こうのとり」と、それを打ち上げるH-IIB ロケットの開発によって、宇宙への輸送手段も確立しました。地上とまったく異なる宇宙という環境で、科学実験や観測を行う技術も獲得しています。細かいことを数え上げていけばきりはありませんが、こうした総合的な有人宇宙技術の体系が、日本がISS 計画から得た成果です。これは一朝一夕に得られるものではありません。1980年代からの長い期間にわたる挑戦によってはじめて可能になったのです。

日本の有人宇宙技術は、今後、人類が宇宙に活動領域を拡大していく上で貴重な国際貢献を果たしていくことになるでしょう。それだけでなく、国家の安全保障上も必要不可欠な存在です。

アジア地域では、今、中国の拡張主義的な行動が問題になっています。軍事力を増強し続ける中国に対して、軍備でのみ対抗するという発想は現実的ではありません。外交的な努力によって、アジア地域の平和と安定に貢献することこそが日本の役割です。そのためには、日本が国益の追求だけでなく、アジア全体の繁栄のためにも貢献しているリスペクトされる国であることが大事になってくるでしょう。日本にとって、有人宇宙技術は、まさにそのようなソフトパワーの源泉なのです。

最近の中国は宇宙活動の面でも特筆すべき成果を上げています。その成果自体は評価すべきですが、一方で、その目的が国威の発揚にある点に懸念が残ります。おそらく、今後はアジア地域での影響力強化に利用されていくでしょう。先日の嫦娥3号の月着陸の際にも、新華網はこれを「中国の夢」を実現するものだと賞賛しましたが、「中国の夢」は必ずしも「人類の夢」ではないのです。

日本がISS 計画から身を引けば、これまで築き上げてきた技術はすぐに時代遅れになってガラパゴス化し、宇宙の分野で日本がアジアに貢献していく機会はどんどん失われていくでしょう。
ISS:「きぼう」日本実験棟の成果は上がっていない?
ISS:Science at Kibo experiment module

アメリカは国際宇宙ステーション(ISS)の運用を2024年まで延長すると発表しました。これに関して、朝日新聞は1月11日の記事で、「前向きに考えるべき」という下村博文・文部科学相のコメントを紹介したうえで、「日本の実験棟「きぼう」での成果がほとんど得られていないことなどを理由に、参加に難色を示す意見も根強い」と書いています。さらに、「ISS は目立った成果が出ておらず、将来の有効な活用が見えないのがネックだ」という宇宙政策委員長代理の松井孝典さんのコメントも掲載しています。

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ISS の成果が上がっていないというからには、宇宙政策委員会はまず、何をもって「成果」と考えているのかを、国民に説明しなくてはなりません。現在、宇宙政策委員会が言っている「成果」というのは、「きぼう」日本実験棟で行われている宇宙実験が、成長戦略に結びつく経済効果をもたらしていないという、きわめて視野の狭い立場からの考えでしかないような気がします。しかし、基礎研究や自然の探求の価値を経済効果で測ることができないことは、松井さん自身が一番よくご存じのはずです。ノーベル物理学賞を受賞した小柴昌俊先生は、カミオカンデ建設のための予算を得るための説明にいった際に、「この計画が成功するとどのくらい儲かるのですか?」と聞かれ、「まったく儲かりません」と正直に答えたと話しています。

「きぼう」日本実験棟で行われている実験の成果は、学術的な視点から検証されるべきであり、宇宙政策委員会では、将来の宇宙探査構想や、それにもとづくISS の「将来の有効な活用」をもっと広い視野で検討すべきです。
ISS の運用を2024年まで延長
Extension of the ISS until at least 2024

1月9〜10日にワシントンでは各国の宇宙機関の代表が集まって、将来の宇宙探査について話し合う会議が開かれることになっています。これに向けて、NASA のチャールズ・ボールデン長官は、オバマ政権が「国際宇宙ステーション(ISS)の運用を少なくとも2024年まで延長すると決定した」と発表しました。現在、ISS は2020年まで運用されることになっていますが、それ以降については何も決まっていませんでした。

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ISS の延長運用は、アメリカが今後も宇宙空間においてリーダーシップを確保していくために、ISS 計画をいかに重要なものと位置付けているかを示すものです。NASA は月や小惑星、さらには火星の有人探査のために、次世代有人宇宙船オライオンと、これを打ち上げる重量級ロケットSLS を開発中です。ISS の軌道を超えた目的地の探査のためには、こうしたハードウエアだけでなく、宇宙での長期滞在にともなう数々の医学的リスクを低減させるための研究や、宇宙空間で長期間生存していくためのシステムを開発することが必要とされ、ISS はそうした研究開発のための貴重な場所となるのです。

一方、NASA はスペースシャトル退役後、ISS への輸送に民間の宇宙船を使う計画を進めてきました。物資輸送についてはすでにドラゴン宇宙が就航しており、シグナス宇宙船の最初の輸送フライトが間もなく打ち上げになります。クルー輸送用の有人宇宙船については現在3社が競っており、2017年にはこれらの中のどれかを使って有人飛行を行うことを目指しています。ISS の運用延長は、こうした民間の宇宙船にとって飛行機会が格段に増えることを意味しており、民間宇宙輸送が劇的に加速されることになるでしょう。地球低軌道への輸送には民間の宇宙船を使って宇宙の商業利用を加速させ、自身はより遠い目的地への先進的な探査を行うのがNASA の方針です。これによってこそ、アメリカが宇宙でのリーダーシップを維持することが可能なのです。

ISS 計画はアメリカのほか、ロシア、日本、ヨーロッパ、カナダが参加して運用されています。これらの国際パートナーも2020年以降、ISS 計画に参加するかどうかを検討しなければなりません。アメリカは他のパートナーが手を引いても、自国だけでISS を延長運用することにしています。おそらく、アメリカはロシアとは事前に打ち合わせを行っているでしょう。ロシアはパートナーとしてとどまるはずです。

それでは、日本はどうしたらよいかということですが、日本も延長運用に参加しなければならないと私は考えます。ここのところ日本では、ISSの科学実験だけを近視眼的にとらえ、「ISS には膨大な税金が使われているが、その割に成果は上がっていない」というネガティブな意見が幅を利かせています。その間に中国は有人宇宙飛行の面で飛躍的な発展を遂げ、すでに軌道上には中国のミニ宇宙ステーション「天宮1号」がまわっている時代になってしまいました。予算がつかないまま、長い間足止めをくらっている日本のSELENE-2 に先んじて、先日は嫦娥3号が月着陸を実現しました。

日本がISS 計画から下りることは、宇宙先進国の立場を自ら捨てることであり、アジアにおいては、宇宙を中国に明け渡してしまうことにほかなりません。日本だけで予算が捻出できないというのなら、アジアの国々と組んでISS 計画に参加していくといった発想も必要です。今後のアジア情勢を考えたとき、宇宙開発というソフトパワーを使ってアジア地域の平和と安定に貢献していくことが日本に求められています。

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