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ファイナル・フロンティア
Final Frontier:History of manned space flight

『ファイナル・フロンティア』が青土社から発売されました。1961年のガガーリンの飛行から、直近の本年9月までの有人宇宙飛行の歴史をまとめたものです。

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有人宇宙開発の歩みを年表で教科書的に追うのではなく、数々のエピソードを中心に大河ドラマ風にまとめました。宇宙についてあまりご存じない方も楽しめると思います。

若田光一宇宙飛行士は間もなく、国際宇宙ステーション(ISS)長期滞在に出発します。宇宙という過酷な環境に、なぜ人間は向かうのか? 若田さんの考えもご紹介することができました。

スペースシャトルの退役後、世界の有人宇宙開発は大きな転換点を迎えています。これからの日本の有人宇宙活動がどうあるべきかを考えていただく際の手引きとしても、お読みいただきたいと考えています。
鳥インフルエンザ A(H7N9) ウイルスの起源
Genesis and source of the H7N9 influenza virus

鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスのヒトへの感染が中国で発生したのは2013年2月でした。WHO(世界保健機関)によると、10月25日現在で137名が感染し、45名が死亡しています。ほとんどの患者は重篤な肺炎にいたる呼吸器疾患を起こします。感染は鳥の肉などに接触して起こったとみられ、ヒト間での感染は確認されていません。

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インフルエンザA(H7N9)ウイルスは、鳥の間で循環しているH7 亜型ウイルスのグループに属します。これまで、H7 亜型ウイルスでは、H7N2、H7N3、H7N7によるヒトへの感染が報告されていますが、H7N9 のヒトへの感染はこれがはじめてです。感染者の発生は3月末から4月に集中していました。その後の新しい感染者は少なく、アウトブレイクはひとまず収まったとみられますが、ウイルスの脅威がなくなったわけではありません。このウイルスが変異して、人間の世界で流行する新しいA型インフルエンザ・ウイルスが出現する可能性もあるのです。

『ネイチャー』誌の10月10日号には、このウイルスの起源に関する研究結果が発表されています。それによると、このウイルスでは短い期間に何度も遺伝子の交換、すなわち遺伝子再集合(リアソートメント)が起こっており、インフルエンザ・ウイルスの変わり身の早さが分かります。

この論文によると、H7N9 ウイルスの直接の祖先といえるアヒルのウイルスは、野生の水鳥の中に保持されていた2系統のH7 ウイルス(H7N3とH7N7)のウイルスが混じり合い、それにN9 ウイルス(H2N9、H11N9)の遺伝子がまじりあって出現したようです。その後、このウイルスはH9N2 ウイルスと遺伝子再集合を起こし、ヒトに感染を起こしたニワトリのウイルスが誕生したようです。これらの遺伝子再集合は2011年から2012年半ばまでの間に起こったとみられています。この研究では、さらにH9N2 の遺伝子をもつH7N9 に近縁の新しいH7N7 ウイルスも現れたことを明らかにしています。

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研究者はH7N7 インフルエンザ・ウイルスが見つかったことは、H7 ウイルスが今回の感染発生以上の脅威をもたらす可能性を示唆しているとしています。ウイルスがヒト間で伝播する能力を獲得したり、病原性の高い変異株が発生するリスクがあります。
ほとんど真上から見た土星
Saturn from high above

カッシーニ探査機が10月10日に撮影したデータから作成された画像です。土星とその環をほとんど真上から見下ろしています。

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この画像は12枚の画像をモザイク合成したものです。作成したのはゴーダン・ウガコヴィックというアマチュアの人で、使用したソフトも市販の画像処理ソフトのようです。各画像の幾何学的補正は完全ではないとのことですが、普通では見ることのできないアングルからの土星とその環の見事なプロポーションを楽しむことが出来ます。
IPCC 第5次評価報告書:4つのシナリオ
IPCC’s AR5:Four RCP scenarios

9月23〜26日にストックホルムで開催されたIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の会議で、第5次評価報告書(AR5)の第1作業部会報告書(科学的根拠)の政策決定者向け要約(SPM)が承認・公表され、第1作業部会報告書本体も受諾されました。第1作業部会報告書の全体は来年1月に公表される予定で、現在、ドラフトをウェブ上で読むことができます。

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今回の報告書では、1880年から2012年の間に世界平均地上気温は0.85度C 上昇し、その主な原因が人間活動であった可能性がきわめて高いとしています。

地球温暖化をもたらす強さは「放射強制力」によって示されます。単位はワット/平方メートルです。二酸化炭素やメタンなどの温室効果ガスは地球を暖める要因となります。一方、大気中の微粒子であるエーロゾルは地球を冷やす要因となります。第5次評価報告書では、各要因別の放射強制力が前回よりも正確に分析されました。ただし、エーロゾルや、エーロゾルと雲の相互作用による放射強制力は、依然として最も大きな不確実性をもたらしているとしています。1750年を基準にした2011年における放射強制力の総計は、2.99ワット/平方メートルでした。この値は1950年には0.57、1980年には1.25でした。近年になるにしたがって、放射強制力は急速に強まっており、地球温暖化が加速していることを示しています。

第5次評価報告書では、1986年〜2005年を基準にした今世紀末(2081〜2100年)の気温上昇を以下のように予測しています。

RCP2.6 シナリオ 0.3〜1.7度C
RCP4.5 シナリオ 1.1〜2.6度C
RCP6.0 シナリオ 1.4〜3.1度C
RCP8.5 シナリオ 2.6〜4.8度C

RCP(代表的濃度経路)シナリオとは、今回の報告書で採用された将来予測のためのシナリオです。第4次評価報告書ではSRES シナリオというものを用い、今後の社会がどのようなエネルギー消費の形態をとり、それによってどのくらいの温室効果ガスが排出されるかにしたがって将来を予測していました。今回のRCP シナリオは、今後の温室効果ガス対策によって、放射強制力がどのように変化するかの経路を想定し、将来を予測するものです。

具体的にいうと、RCP2.6 シナリオは今後すぐに強力な温室効果ガス排出規制が実施され、放射強制力が下がりはじめて、21世紀末には2.6ワット/平方メートルになるシナリオです。RCP4.5 シナリオは排出規制によって、放射強制力のピークが今世紀中にもたらされるシナリオで、今世紀末の放射強制力が4.5ワット/平方メートルになります。RCP6.0 シナリオは放射強制力のピークが来世紀になり、今世紀末の放射強制力が6.0ワット/平方メートルになるシナリオです。RCP8.5 シナリオは温室効果ガスの排出がずっと増加し、放射強制力の上昇が続いて、今世紀末の放射強制力が8.5ワット/平方メートルになるシナリオです。(放射強制力はいずれも1750年を基準にしたもの)

東日本大震災以後、多くの人は地球温暖化に対する心配を忘れてしまったようです。火力発電が増加したために電力部門での二酸化炭素排出量が増えていることを気にする人もいなくなってしまいました。世界的に見ても、京都議定書後の温室効果ガス排出規制の国際的合意が得られるまでには、まだ時間がかかります。上にみた4つのシナリオのうち、RCP2.6 シナリオが非現実的であることはいうまでもありませんが、RCP4.5 シナリオでさえも無理そうな状況です。現在の状況が続けば、世界平均気温はRCP6.0 シナリオとRCP8.5 シナリオの間で推移するのではないでしょうか。今世紀末の世界平均気温の上昇を2度C に食い止めようというのが国際社会でのコンセンサスになっていますが、それは実現不可能な目標になってしまいそうです。
アイソン彗星接近中
ISON in the October sky

アイソン彗星C/2012 S1(ISON) が太陽に接近中です。

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Gerald Rhemann

アイソン彗星は2012年9月に発見されました。その頃は木星の軌道のずっと外側でしたが、現在では、地球と火星の軌道の間にあり、11月29日に太陽に最接近する予定です。そのときの太陽との距離は約190万km とみられています。太陽最接近前後には夜明け前の東の低い空に見られます。もしかしたら肉眼でも見えるほど明るくなるかもしれません。

現在アイソン彗星はしし座にあります。アイソン彗星のすぐ近くには火星があり、2つの天体はそろって、しし座の中を一緒に移動しています。10月16日には、アイソン彗星と火星が一番近くなります。そのすぐ南には、しし座の1等星レグルスがいます。日本列島はこのところ台風26号の接近で、星を見る状況ではありませんでしたが、もしも空が晴れれば、日の出前の午前4時頃の東の空に、火星とレグルスが明るく見えるはずです。アイソン彗星は今10等級程度なので、肉眼で見ることはできませんが、火星のすぐ上あたりにいるはずです。

下はハッブル宇宙望遠鏡が今年の4月10日に撮影した画像です。

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このとき、アイソン彗星はちょうど木星の軌道あたりにいました。この観測からアイソン彗星の核の大きさが直径5~6km であることがわかりました。下の画像は、コントラストを強調処理した画像で、コマの真ん中にある核から太陽方向に向けてダストが吹き出し、長い尾となって太陽と反対の方向に流れていくさまがとらえられています。

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若田光一宇宙飛行士は11月には国際宇宙ステーションでの長期滞在をはじめる予定で、軌道上から超高感度4K カメラシステムでアイソン彗星を観測することになっています。

アイソン彗星の軌道は放物線で、回帰しない彗星です。したがって、私たちはアイソン彗星を再び見ることはありません。

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