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『銀河鉄道の夜』最大の謎:天気輪の柱とは何か?
Night On The Milky Way Train:Pillar of the Heaven

宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』にはさまざまな謎があり、この作品の大きな魅力にもなっています。私もそれらの謎にひかれ、長い時間をかけて調べることになりました。その結果をまとめたものが、青土社から出版した『[銀河鉄道の夜]フィールドノート』です。

『銀河鉄道の夜』の謎の何に興味を抱くかは、人によって違うと思いますが、この作品最大の謎の1つが「天気輪の柱とは何か?」であることに異論はないでしょう。昨日の朝日新聞に掲載された本書の書評でも、「天気輪の柱」が取り上げられていました。評者はおそらく、『銀河鉄道の夜』を相当読みこんでいる人なのでしょう。

「天気輪の柱」は、賢治の造語です。地上世界と銀河世界をつなぐ不思議な装置として作品に登場しますが、それがどんな形をしており、何を意味しているかは書かれていません。そのため、これまでいくつもの説が出されています。

天気輪の柱が何をモデルとしているかを考える鍵は、岩手県奥州市水沢区にある国立天文台水沢VLBI 観測所にあります。くわしい内容はここでは書きませんが、賢治は『銀河鉄道の夜』を書きはじめた年である1924年の3月に、この場所を訪れています。

水沢VLBI 観測所は当時「緯度観測所」とよばれていました。もともとは1899年に、地球の「極運動」(地球の自転の軸が周期的にわずかに乱れる現象)を調べるための「臨時緯度観測所」として設置されました。所長であった木村栄はこの観測で、極運動による緯度のわずかな変化をあらわす式には「z項」というものを加えなくてはならないことを発見しました。これは当時の日本の科学がほこるべき世界的業績でした。

奥州市水沢区は今も「z項の町」で、Z ホール、Z アリーナ、Z プラザ、Z バスなど、いたるところにZ の文字が目立ちます。
MERS ウイルスはヒト間で容易に感染する?
MERS virus spreads easily?

中東地域で発生しているMERS コロナウイルス(MERS-CoV)による感染者は、WHO によると6月20日現在で64名、うち38名が死亡しています。MERS コロナウイルスは2012年4月に初めて患者が報告された新種のコロナウイルスです。コロナウイルスは遺伝子をRNA でもつウイルスの仲間で、ウイルスの殻(エンベロープ)から長いとげ(スパイク)が出ており、電子顕微鏡で見ると、ウイルスの周囲がコロナのように見えることから、こうよばれています。

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MERS とは「中東呼吸器症候群」のことです。MERS ウイルスに感染すると、発熱やせき、息切れ、呼吸困難をともなう重篤な呼吸器症状があらわれます。さらに、ほとんどの患者が肺炎になっています。2002年に中国広東省に出現し、2003年にかけて8000人以上が感染したSARS(重症急性呼吸器症候群)ウイルスもコロナウイルスです。SARS の死亡率が9.6%であるのに対して、MERS ウイルスによる死亡率は今のところ約60%と高く、MERS ウイルスはSARS ウイルスよりも容易にヒトに感染し、症状も激しいのではないかと懸念されています。

患者はヨーロッパでも発生していますが、それらの患者はいずれも中東地域への渡航歴があるか、同地域の住民と接触した人であることから、今のところ、ウイルス感染は中東地域にとどまっているようです。ウイルス遺伝子の解析から、MERS ウイルスの起源はコウモリのウイルスにあるようです。コウモリからヒトに直接感染することは考えにくく、家畜などの中間宿主の存在が推測されていますが、ウイルスがどのような経路でヒトに感染しているのかは、まだわかっていません。各患者のウイルスの解析から、現在のウイルスの共通祖先ウイルスは、2011年の夏ごろに出現したようです。

『ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』誌の2013年6月19日付の電子版に、2013年4月1日から5月23日にサウジアラビアの医療施設で起きたMERS ウイルスの院内感染事例の調査結果が、同国の研究チームから発表されています。調査対象となったのは23名の患者で、うち15名(65%)が6月12日現在で死亡しています。平均潜伏期間は5.2日。23名中21名がヒトからヒトへの感染であることが明らかになりました。

医療記録や関係者へのインタビューで、23名の患者の感染経路が明らかにされました。それが以下の図です。

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4月5日、患者A が病院A に入院しました。また4月4日には患者B が同病院のICU に運ばれていました。4月6日に患者C が病院A に入院し、患者A の隣の病室になりました。MERS ウイルスは患者A から患者C に感染し、そこから同病院の他の患者、さらに病院B 、C、D にも感染が広がりました。また、患者A からは息子と、病院の医療従事者も感染しています。病院D のICU でも医療従事者が感染しています。

この報告はMERS ウイルスが容易にヒト間で感染することを明らかにしており、研究チームは病院内での感染にも十分注意すべきとしています。
NASA の新しい宇宙飛行士候補者
To new destinations:2013 Astronaut Candidate Class

NASA は新しい宇宙飛行士候補者8名を発表しました。2013年アスキャンクラスのメンバーの写真を見ながら、私はこの中の少なくとも何人かは、間違いなく火星に行くことになるだろうと思いました。

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今回の8名は6100名の応募者の中から、1年半の時間をかけて選ばれました。6100名という応募者数は、これまでで2番目に多いものだそうです。

NASA のボールデン長官は、この新しい宇宙飛行士候補者グループは「NASA が小惑星と火星を含む太陽系の新しい目的地へと、探検と旅の境界を広げようとしていることを助けてくれる未来の宇宙飛行士たちだ」と語っています。

スペースシャトルの退役にともない、多くのベテラン宇宙飛行士がNASA を去りました。NASA のサイトを見ると、現在「アクティブ」(現役)となっている宇宙飛行士は49名にまで減っています。1987年選抜のマイケル・フォールさんと1992年選抜のキャサリン・コールマンさんを除くと、すべて1996年選抜以降の宇宙飛行士です。一見すると沈滞しているようにも見えるこの宇宙飛行の現場に、6000名以上が小惑星や火星への飛行を目指して応募したことに、私は感動しました。

それぞれの宇宙飛行士候補者を簡単に紹介しておきましょう。
ジョッシュ・カサダ(写真上の列の一番左)
39歳。高エネルギー物理学が専門の物理学者で、光子をあつかうベンチャー企業の共同創設者兼最高技術責任者です。
ビクター・グローバー(写真上の列の左から2番目)
37歳。アメリカ空軍所属のF/A-18 のパイロットです。空軍テスト・パイロット・スクールを卒業しています。
タイラー・ハーグ(写真上の列の左から3番目)
37歳。アメリカ空軍所属。空軍アカデミー、MIT、空軍テスト・パイロット・スクールの出身者です。
クリスティーナ・ハンモック(写真上の列の一番右)
34歳。NOAA(アメリカ海洋大気局)のアメリカ領サモア観測所のチーフをしています。
ニコール・オーナプ・マン(写真下の列の一番左)
35歳。アメリカ海兵隊所属のF/A-18 のパイロットです。海軍アカデミー、海軍テスト・パイロット・スクールの出身者です。
アン・マクレイン(写真下の列の左から2番目)
34歳。アメリカ陸軍所属のOH-58 ヘリのパイロットです。陸軍アカデミー、海軍テスト・パイロット・スクールを卒業しています。
ジェシカ・ミア(写真下の列の左から3番目)
35歳。ブラウン大学、国際宇宙大学卒業後、スクリップス海洋研究所で博士号を取りました。現在、ハーバード医科大学の助教です。
アンドリュー・モーガン(写真下の列の一番右)
37歳。アメリカ陸軍所属。医学博士で、緊急医療、フライト・サージャンの経験があります。

軍人5名(うちパイロット4名)、民間人3名です。男性4名、女性4名で男女比は1:1ですが、応募者も男女ほぼ同数だったそうです。
『銀河鉄道の夜』とは何か
Night On The Milky Way Train:Kenji Miwazawa’s universe

私は先日、青土社から『[銀河鉄道の夜]フィールドノート』を出版しました。本書を書く原点となったのは、雑誌『ユリイカ』1970年7月臨時増刊号「総特集宮澤賢治」に掲載された、入沢康夫氏と天沢退二郎氏による「徹底討議・銀河鉄道の夜とは何か」でした。

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年配の読者の方なら、自分が昔読んだ『銀河鉄道の夜』が、今と違っていたことをご存じだと思います。実は、私たちが今の形の『銀河鉄道の夜』を読むことができるようになったのは1970年代になってからのことなのです。『銀河鉄道の夜』は生前に出版されることがなかったため、作者の決定稿という形では残されませんでした。賢治は晩年まで原稿に推敲を加えていた上に、新たに書いた原稿にページ番号をふっていなかったなどのため、その後編集者は苦労をすることになりました。特に問題だったのは、結末として新たに書かれた原稿用紙5枚の位置でした。

当時出版されていた『銀河鉄道の夜』のテキストについて議論した「徹底討議・銀河鉄道の夜とは何か」がきっかけになって、両氏は賢治の弟である宮沢清六から依頼され、筑摩書房の新しい賢治全集のために、賢治の自筆原稿を調べる作業を行うことになりました。こうして、1972年から刊行がはじまった『校本宮沢賢治全集』において、賢治が晩年に行った黒インクによる大幅な修正がテキストに正しく反映され、賢治が最終的に意図した『銀河鉄道の夜』が姿を現したのです。以上の経緯は私の本で詳しく説明しています。

私にとって、「徹底討議・銀河鉄道の夜とは何か」は、『銀河鉄道の夜』に対して新しい興味をかきたてるものでした。それまで漫然と読んでいた文章、あるいは言葉の1つ1つに、深い意味がこめられているのではないかと考えはじめたのです。そうはいっても、当時は私はまだ学生で、実際にリサーチをはじめ、それが本になるにはずいぶん時間がかかってしまいました。
大小マゼラン雲の高解像度紫外線画像
Best ultraviolet maps of the nearest galaxies

NASA のガンマ線バースト観測衛星Swift が作成した大小マゼラン雲の高解像度紫外線画像が公開されています。

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上は大マゼラン雲(LMC)の紫外線画像です。Swift の紫外線・光学望遠鏡UVOT が撮影した2200枚の画像をモザイク合成したものです。波長160〜330ナノメートルの波長域で撮影されています。この波長域は大気に吸収されてしまうため、地上からは観測できません。Swift がとらえた大マゼラン雲の姿は、可視光で見た姿とはかなり異なっています。下の画像は、上と同じ領域を可視光で見たものです。紫外線で見ると、特に生まれたばかりの星が明るく見えています。

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大マゼラン雲の中で一番有名な領域がタランチュラ星雲(下)です。上の2つの画像で左上に見えている、ひときわ明るい場所がそれです。ここは爆発的な星の誕生(スターバースト)がおこっている領域で、われわれの銀河系、大小マゼラン雲、アンドロメダ銀河などを含む局部銀河群の中で最も活発に星が誕生している場所です。ここには太陽の質量の260倍という超巨大質量の星R136a1 が発見されています。また、タランチュラ星雲の近くで26年前に爆発したのが超新星SN 1987A です。このときに発生したニュートリノがカミオカンデで観測されました。

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下は、Swift による小マゼラン雲(SMC)の紫外線画像です。656枚の画像をモザイク合成して作成されました。

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下は、可視光で地上から撮影された大マゼラン雲(右)と小マゼラン雲(左)です。

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大小マゼラン雲は、われわれの銀河系の伴銀河です。大マゼラン雲は直径1万4000光年、銀河系からの距離は16万3000光年、小マゼラン雲は直径約7000光年、銀河系から20万光年のところにあります。

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