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アンタレス・ロケットの打ち上げ成功
Antares rocket launched from Wallops Island

悪天候のために打ち上げが延期されていたオービタル・サイエンシス社のアンタレス・ロケットが4月21日午後5時に、NASA のワロップス航空施設の発射台0A から打ち上げられました。

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アンタレス・ロケットのフェアリング部分には、シグナス宇宙船と同じ重量のペイロードが載っており、地球周回軌道に投入されました。アンタレス・ロケットの初飛行は成功し、今年後半のシグナス宇宙船の国際宇宙ステーション(ISS)への初飛行へ道を開きました。

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これによって、NASA が進めている民間の宇宙船によるISS への物資輸送計画は新しい段階へと入っていくことになります。

ワロップスの発射台0A は新しく設置された発射台で、今回がはじめての打ち上げでした。NASA のチャールズ・ボールデン長官は、オービタル・サイエンシス社とNASA のチームを祝福するとともに、「アメリカの新しい宇宙港からISS へのロケット打ち上げが可能になった。民間会社と政府のユーザーに新しい利用機会を開くものである」と語りました。
アンタレス・ロケットの試験飛行は19日に
Antares launch rescheduled

4月17日に予定されていたアンタレス・ロケットの試験飛行が19日に延期されました。アンタレスはヴァージニア州にあるNASA のワロップス飛行施設から打ち上げられます。

NASA が進めているCOTS(Commercial Orbital Transportation Services)プログラムでは、ドラゴン宇宙船とともに、オービタル・サイエンシス社のシグナス宇宙船が国際宇宙ステーション(ISS)に物資を輸送することになっています。シグナス宇宙船を打ち上げるためのロケットがアンタレスです。

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アンタレスは2段式で、1段目にはケロシンと液体酸素を推進剤とするエアロジェット社のAJ-26 エンジンを2基使用しています。2段目にはATK 社の固体ロケットCastor 30 が使われています。全長は40.1メートル、直径は3.9メートル。ISS の軌道に5.2トンまでのペイロードを打ち上げることができます。オービタル・サイエンシス社によると、アンタレスのエンジンや部品にはすでに宇宙で実証されたものが採用され、信頼性が非常に高いとのことです。

アンタレスで打ち上げられるシグナス宇宙船は、全長約5メートル、直径約3メートル、気密モジュールに最大1.7トンの貨物を積むことができます。

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アンタレス・ロケットによるシグナス宇宙船の初飛行は今年後半に予定されています。
過去1万1300年間の世界気温を復元:「懐疑派」が気に入らなかった理由
Global temperature reconstruction for the entire Holocene

オレゴン州立大学のShaun Marcott らは『サイエンス』誌の3月8日号に、「過去1万1300年間の地域的および世界的な気温の復元」という論文を発表しました。これは完新世(地質年代的には1万1700年前から現在まで)のほぼ全時代にわたる気温を復元した最初の試みです。

以下の図がMarcott らが得た結果で、世界の気温は最終氷期が終わってから上昇し、1万年くらい前から約5000年間高温で推移しています。1961〜1990年の平均に比べて約0.4度C高くなっています。その後、気温はゆっくりと低下し、今から200年ほど前、いわゆる小氷期とよばれた時代にもっとも低くなりました。データは20世紀半ばまでですが、19世紀半ば以後、気温が急激に上昇していることがわかります。

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Marcott らはこの結果と現在の世界気温を比較し、21世紀に入ってからの世界気温は、完新世で最も高いわけではないが、完新世の75%の時代よりも高温であったとしています。また、現在の気温上昇のスピードはきわめて顕著であり、現在IPCC が予測している2100年の世界気温は、完新世で最も高い気温になるだろうと述べています。完新世で最も寒い時代から、最も高温の時代へと移行するさなかに、私たちは生きているわけです。

過去1万年以上にわたって世界気温がどう推移してきたのかを復元し、いわゆる小氷期が主に北半球高緯度で起きた現象であることを明らかにするなど、この論文には興味深い点がいろいろあります。しかし、地球温暖化の「懐疑派」の人たちにとっては、気温が最後に跳ね上がる曲線が気に入らなかったようです。ネットの世界では早速これを「第二のホッケースティック曲線」として、Marcott らに対する揶揄がはじまりました。

その中には、きわめて悪意のあるものがあります。例えば、下のブログには、Marcott らのデータの最後の跳ね上がる部分を削除した画像がアップされています。研究者にとって命ともいえる論文の成果を改ざんするというのは、絶対にしてはいけないことです。

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この改ざんされた画像は海外のブログスフェアで出まわっているようですが、日本の懐疑派の人の中にも、この画像のリンクを自分のブログに堂々と張り付け、「信頼できる部分はこの図のようになる」という内容のコメントをしている研究者がいます。名前は出しませんが、こういう人が国立大学の教授であるというのは驚きです。

『サイエンス』誌の論文にアクセスできない方で、本論文の内容に興味をもたれた方には、ここここをお勧めします。
細胞の中にコンピューターをつくる
A computer inside a cell

3月28日の『サイエンス』誌電子版に興味深い論文が発表されました。細胞の中に、生物学的な材料で論理ゲートをつくることに成功したという論文です。スタンフォード大学のJerome Bonnet らが発表しました。細胞内にバイオ・コンピューターをつくることが可能になるのではないかと、期待されています。

Bonnet らは論理演算をするバイオ・トランジスターを「トランスクリプター」とよんでいます。トランスクリプターはインテグラーゼという酵素を利用してつくられています。インテグラーゼは、レトロウイルスが逆転写酵素でつくったウイルスDNA を宿主のDNA に組みこむときに働く酵素です。この論理ゲートはDNA 上を移動するRNA ポリメラーゼをコントロールします。RNA ポリメラーゼはDNA からメッセンジャーRNA への転写を行う酵素です。RNA ポリメラーゼが電気信号、DNA が電線にあたります。

Bonnet らはAND、NAND、OR、XOR、NOR、XNOR ゲートをつくることに成功しました。下の画像は、XOR(入力された2つの信号のどちらかが「真」だったときにのみ「真」となる)ゲートです。左側から入ってきた信号(RNA ポリメラーゼ)がXOR ゲートで判断され、出力されます。

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Bonnet らはすでに、DNA に書き変え可能メモリーをつくることや、細胞間で遺伝的信号をやりとりする「バイオロジカル・インターネット」をつくることにも成功しており、これらを統合すれば、細胞内で動くバイオ・コンピューターを実現できるとしています。

こうしたバイオ・コンピューターができれば、細胞内の現象をコントロールすることによって、新しい治療法が可能になるかもしれません。もちろん、生物学の基礎研究にも利用できそうです。Bonnet らはこうした動きが早まるように、今回開発された論理ゲートをパブリックドメインにして、すべての研究者が利用できるようにしています。

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