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ソユーズ宇宙船、打ち上げ日にISS に到着
Four-orbit single day trip to ISS

第35/36次長期滞在クルーのパベル・ビノグラドフ、クリストファー・キャシディ、アレクサンダー・ミシュルキンが搭乗したソユーズTMA-08M 宇宙船は、3月29日午前2時43分(現地時間)にバイコヌール宇宙基地から打ち上げられ、国際宇宙ステーション(ISS)へと向かいました。

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ソユーズTMA-08M のフライトプランはこれまでと異なり、打ち上げから地球を4周しただけでISS にドッキングしました。これまでのソユーズは約2日をかけてISS に接近し、34周目にISS へのファイナル・アプローチとドッキングが行われていました。打ち上げ当日の4周目でのドッキングはソユーズでははじめてですが、これまでプログレス補給船で3回行われています。

これまでは、ソユーズが地球周回軌道に達すると、クルーは宇宙服を脱いで軌道上での生活をはじめましたが、今回、クルーは宇宙服を着たままです。打ち上げ当日、クルーはコスモノート・ホテルを出てから、多忙な時間を過ごして打ち上げにのぞみます。その日のうちのISS とのドッキングは、クルーにとって負担が大きくなりますが、ISS までの時間が大幅に短縮されるので、宇宙飛行士は歓迎のようです。宇宙船の燃料や空気などを節約できるメリットもあります。

ソユーズTMA-08M は打ち上げから5時間45分後の午前8時28分に、ISSのロシア側小型研究モジュール「ポイスク」にドッキングしました。

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ソユーズTMA-08M のクルーをISS で迎えたのは、クリス・ハドフィールド、トーマス・マーシュバーン、ロマン・ロマネンコでした。

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ハッチが開いてソユーズのクルーが入ってくると、歓迎のセレモニーと地上との交信が行われました。上の写真で、前列左からキャシディ、ビノグラドフ、ミシュルキン、後列左からロマネンコ、マーシュバーン、ハドフィールド各宇宙飛行士です。
プランク衛星による最新成果:宇宙の深まる謎
Planck reveals the most detailed map of ancient universe

宇宙マイクロ波背景放射観測衛星「プランク」の最新の成果が発表されました。私たちが宇宙について知れば知るほど、謎もまた深まっていくようです。

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下は、プランクによって得られた宇宙マイクロ波背景放射(CMB)の全天マップです。宇宙が誕生してから38万年後の、宇宙の晴れ上がりによって放射された最初の光が引きのばされ、現在、マイクロ波として観測されるのです。色の違いは温度の「むら」を示しています。宇宙誕生直後に存在したごくわずかなむらがインフレーションによって成長したもので、このむらから星や銀河が生まれていきます。

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プランクはWMAP につづくマイクロ波背景放射観測衛星です。WMAP にくらべてより精細な観測を行うことができます。下はWMAP とプランクが宇宙の同じ場所を観測した結果の比較です。

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プランクによる高解像度での観測によって、興味深い結果が得られました。宇宙はこれまでどの方向を見ても一様と考えられてきましたが、今回の観測の結果、温度のむらに非対称性が見られることがわかりました。この非対称性はWMAP でもある程度観測されていましたが、それが実際に存在するのか、観測誤差なのかがはっきりしていませんでした。今回、これが確認されたわけです。それでは、いったい、なぜこのような非対称性が生じたのか。これは今後探求すべき大きな謎です。下の画像は、温度のむらの非対称性を強調したもので、温度の低い「コールドスポット」もみつかっています。

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WMAP は、それまで100億年とも200億年ともいわれていた宇宙の年齢が137億年であることを明らかにしました。今回のプランクの観測結果によると、宇宙の年齢は138.2億年で、WMAP の観測結果より約1億年古いことがわかりました。

WMAP による観測結果では、宇宙は物質4.5%、ダークマター22.7%、ダークエネルギー72.8%という構成でしたが、今回のプランクの観測結果は物質4.9%、ダークマター26.8%、ダークエネルギー68.3%であることを明らかにしています。

宇宙が膨張する速度を決める比例定数をハッブル定数といいます。今回、プランクによって求められたハッブル定数は67.15 km/秒/メガパーセクでした。これはハッブル宇宙望遠鏡やスピッツァー宇宙望遠鏡によって求められた値よりも少し小さい値です。
HBP とBAM:巨大プロジェクトで脳は解明されるか
Megaprojects:Breakthrough in brain research?

生物学がここまで進んだ現在でも、人間の脳はあいかわらず未知の大陸にとどまっています。細かい領域では多くの研究成果があがり、脳の機能を研究する新しい手法も開発されていますが、「人間の脳はなぜ高度な精神活動を行うことができるのか?」という基本的な問いに、現代の科学はまだ答えることができていません。

EC(欧州委員会)は2年間にわたって、「未来および発展期にある技術」プログラムを通して資金援助する大規模研究のコンテストを行ってきました。今年の1月28日、EC は脳に関する研究プロジェクト、HBP(Human Brain Project)を選びました。HBP のほか、2010年のノーベル物理学賞の対象となったグラフェン(炭素原子のシート)の研究も選ばれました。HBP には今後10年間に、総額約12億ユーロの研究資金が与えられることになります。

HBP は、脳について得られたこれまでの知識のすべてを、1台の巨大なスーパー・コンピューターに結集させるとともに、このスーパー・コンピューターの中に、人間の脳の機能をシミュレートするモデルをつくるという野心的な計画です。脳のモデルといっても、これまでのモデルとは次元がことなる、いわば人間の脳そのものといえる高度なモデルが考えられています。

HBP の提唱者であるスイス連邦工科大学ローザンヌ校のヘンリー・マークラムは、HBP が登場した背景を、以下のように語っています。「脳の研究者は最近では年間6万本もの論文を書いている。それらはみな素晴らしいが、非常に限られた領域に焦点を当てている。この分子、この脳の領域、この機能、この脳地図」。これらの論文にすべて目を通し、そこから脳の機能を解明するための戦略を立てるのは、もはや不可能になっています。そこで、マークラムは、それらの成果を統合しようというのです。

マークラムが構想する人間の脳のモデルは、ニューロンのイオン・チャンネルの構造にはじまり、分子のレベルから細胞、細胞のネットワーク、脳の各領域、そして脳全体のレベルに達するまでのいくつもの階層を、最新の知見をもとにボトムアップで再構築していくものです。この脳のモデルを実現するには、エクサ(10の18乗)フロップスの計算能力が必要とされています。世界のスーパー・コンピューターはまだペタ(10の15乗)フロップスの時代で、マークラムは彼の要求をみたすスーパー・コンピューターが登場するのは2020年と考えています。

マークラムのアイデアに批判的な脳科学者もいます。また、「脳研究のCERN」ともよばれる、こうした大がかりな計画の登場によって、それ以外の脳研究を行う研究者の資金が少なくなるのではないかという懸念もあります。

一方、アメリカではオバマ大統領が、脳の詳細かつ網羅的な活動地図をつくる計画、BAM(Brain Activity Map)を提唱しています。「脳のヒトゲノム計画」ともよばれるこのプロジェクトでは、脳の詳細かつ網羅的な活動地図をつくることをめざしているようです。国立衛生研究所(NIH)が中心になって進める計画です。BAM では、脳があることを行っているとき、脳のどこが活動しているかを、ニューロン単位で調べることを目的にしています。そのためには、個々のニューロンが発した電気信号を検出するナノ・オプトエレクトロニクスが必要と考えられており、このような人間の脳活動地図が完成するには10年以上がかかるといわれています。

両計画とも、どれだけの成果が上がるかは議論のあるところでしょう。しかしながら、脳研究がこうした大規模な研究計画によってブレークスルーをはかろうとしている時代に入っている点については、注目しておく必要があるように思われます。
ロシアに落下した隕石:破片の採集と分析が進む
What exploded over Russia?

2月15日、ロシアのチェリャビンスク近郊に隕石が落下したようすは、まるでSF映画を観ているようでした。落下場所の地名をとり、チェバルクル隕石と名づけられています。

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隕石は直径が15〜17メートル、質量7000〜1万トンのコンドライト(石質隕石の仲間)とみられています。コンドライトは太陽系誕生直後の状態を保持した始原天体です。チェバルクル隕石は、約20度という低い角度で大気圏に突入しました。このときの速度は秒速約18キロメートルとみられています。隕石が落下するにつれて進行方向の空気が圧縮され、高温が発生しました。大気圏突入から32.5秒後、高度約20〜24キロメートルで多数の破片に分裂し、そのときの衝撃波が地上に到達して多くの被害をもたらしました。

下は、チェバルクル隕石の落下経路です。

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『ネイチャー』誌の3月7日号によると、専門家チームがロシア科学アカデミーに協力しながら調査を進めており、0.5〜1センチほどの隕石をすでに50個ほど発見したとのことです。また、ロシアの別のチームも調査を行っており、50個以上の隕石を発見しました。その中には重量が約2キログラムのものもあるといいます。初期分析では、大気圏に突入の際の高温で生じた溶融物が観察されています。

今回落下した最大の隕石はチェバルクル湖の湖底にあるとされています。凍結したチェバルクル湖には隕石落下による穴があいており、その周囲から細かい隕石が発見されたと報道されています。

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しかし、この穴に違和感をもった方もいたのではないでしょうか。私たちは木星のガニメデ、カリスト、エウロパなどの氷の衛星の観測から、凍結した場所に小天体が衝突したときに、どのようなクレーターが生じるかを知っています。

『ネイチャー』誌はチェバルクル湖の穴について、「写真で見る限り、隕石落下のクレーターらしくはない。誰かが斧であけた穴のように見える」という専門家のコメントを伝えています。

チェバルクル隕石落下のようすを、大気圏突入時からずっと観測していたのは、CTBTO(包括的核実験禁止条約機関)の核実験監視ネットワークでした。CTBTOの監視ネットワークは大気中で発生した異常な振動をインフラサウンド(人間の耳には聞こえない超低周波音)の領域で高感度に検出することができます。隕石落下はCTBTOの17の観測ステーションで観測されました。

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下はCTBTOのネットワークで得られたデータです。上は検出されたインフラサウンドの波形で、中央の大きく振れているところで、隕石が爆発しました。下は周波数スペクトルです。

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チェバルクル隕石は小惑星帯からやってきた隕石と考えられています。金星の軌道近くにまで達する楕円軌道をとっていました。

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2月15日には小惑星2012 DA14 が地球の近くを通過しました。2012 DA14 とチェバルクル隕石は軌道は下のようなっていました。

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この図からも明らかなように、両者の間に関係はありませんでした。
オライオン宇宙船の飛行試験
Orion spacecraft on course to the flight test

NASA が開発しているオライオン宇宙船の飛行試験の準備が順調に進んでいます。オライオンの飛行試験はExploration Flight Test (EFT)-1 とよばれており、2014年9月の打ち上げを目指しています。

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EFT-1 では、オライオン宇宙船はデルタ4型ロケットによって打ち上げられます。サービス・モジュールはロッキード・マーチン社が開発したものを使います。上は、デルタ4型の上段(第2段)に結合しているオライオン宇宙船の想像図です。

EFT-1 では、オライオン宇宙船はケープカナヴェラルから打ち上げられた後、地球を2周することになっています。2周目に入ったところで、上段ロケットで再加速し、高度約5800キロメートルにまで達します。ここから大気圏再突入をはかります。これは月や小惑星、火星などからの帰還の際の大気圏再突入を想定したもので、オライオン宇宙船のヒートシールドの性能をテストすることが目的です。パラシュートで降下した宇宙船は、カリフォルニア沖で回収されます。

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かつて「ファイアリングルーム 4」とよばれたケネディ宇宙センターのスペースシャトル打ち上げ管制室は全面的に改修され、オライオン宇宙船のための「ヤング・クリッペン・ファイアリングルーム」に生まれ変わりました。「ヤング・クリッペン」はもちろん、1981年のスペースシャトル初飛行のコマンダー、ジョン・ヤングとパイロットのロバート・クリッペンにちなむものです。こうして、NASA は新しい有人宇宙船の時代に向けた歩みを着々と進めています。

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