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ワトソンの名著『二重らせん』のビジュアル版
The Annotated and Illustrated Double Helix

コールド・スプリング・ハーバー研究所のネットレターや『ネイチャー』誌で紹介されていたので注文していた “The Annotated and Illustrated Double Helix” が届きました。

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DNA の二重らせん構造を発見した経緯をジェームス・ワトソン自らが書いた名著『二重らせん』に、注釈と写真・図版をつけたものです。コールド・スプリング・ハーバー研究所のアレックス・ガンとヤン・ウィトコウスキー(この仕事にこの2人以上の適任者はいないでしょう)は、この本のために大規模な調査を行い、貴重な資料を見つけ出しました。

オリジナルのテキストに登場する建物や人物の当時の写真は、ケンブリッジ時代のワトソンの研究生活を生き生きと描きだします。また、当時の論文や手紙、メモなどが、ワトソンの記述を補完するともに、世紀の発見の物語に新しい視点を与えています。

この本は、『二重らせん』をはじめて読む人も、かつて『二重らせん』を読んだことのある人も楽しめます。60年近く前の出来事を回顧するために読むこともできますが、若い人たちには、ヒトゲノム計画やENCODE 計画にまで発展する最初の重要な発見が、どんな研究室でどのように行われたかを知ってもらうために、読んでもらいたいと思います。科学の素晴らしさを再認識してもらえるでしょう。

『二重らせん』はジェームス・ワトソンとフランシス・クリックの物語ですが、同時にモーリス・ウィルキンスとロザリンド・フランクリンの物語でもあります。二重らせん構造発見のきっかけになったフランクリンのX線回折写真、フォトグラフ51にまつわるエピソードも紹介されています。この記事に興味をもっていただいた方にもおすすめです。
星出彰彦宇宙飛行士、帰還
Expedition 33 crew returned to Earth

星出彰彦宇宙飛行士が日本時間11月19日午前10時56分に帰還しました。宇宙での滞在期間は約127日、国際宇宙ステーション滞在期間は約125日でした。

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カザフスタンへの着陸は日の出の1時間前でした。下の写真は着陸したソユーズTMA-05M宇宙船を上空からとらえたものです。着陸して間もなく回収チームが集まってきました。

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星出宇宙飛行士ら第32次/第33次長期滞在クルーはカザフスタンのKostanay 空港に移動し、歓迎を受けました。カザフスタンからは花束とキャンデーとチョコレートが贈られ、FSA(ロシア連邦宇宙局)からは、各飛行士の顔と名前の入ったマトリョーシカが贈られました。

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日本人宇宙飛行士の宇宙滞在時間は、古川聡宇宙飛行士が長期滞在中に、ロシア、アメリカに次いで世界第3位になりました。日本人の宇宙滞在は新たな段階に入っています。星出宇宙飛行士が今回の長期滞在で目指したのは、「何も新しいことのない、何もニュースにならない」宇宙滞在でした。このあたりのことを、星出宇宙飛行士はJAXA機関誌『JAXA’s』の2012年5月号のインタビューで、次のように語っています。

「こうした時代での私たちの任務は、毎日毎日の決められた仕事を軌道上できちんとこなしていくことです。ニュースになるようなことが次々に起こるわけではありませんが、「継続」してきたことによって宇宙での生活が日常になることこそが、日本の有人宇宙活動の1つの到達点だと思います」。

もちろん、星出宇宙飛行士の活躍には目を見張るものがあり、メディアでも大きく取り上げられました。とくに3回の船外活動はすばらしいものでした。2回目の船外活動で、日本人宇宙飛行士の累計船外活動時間もアメリカ、ロシアに続いて第3位になりました。日本の有人宇宙活動にとって、宇宙はますます日常になりつつあります。
133億光年彼方の銀河を観測
Most distant galaxy yet observed

ハッブル宇宙望遠鏡とスピッツアー赤外線望遠鏡が133億光年彼方にある銀河を観測しました。赤方偏移は11で、先日紹介した銀河よりもさらに遠くにあります。これまで観測された中で最も遠くにある銀河です。

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この銀河は北極星のすぐそばの方角にあるキリン座の銀河団MACS J0647+7015 の向こう側にあり、この銀河団による重力レンズによって見えています。MACS0647-JD と名づけられました。

MACS0647-JD はビッグバン後4億2000万年後の非常に若い銀河です。直径は600光年以下とのことです。銀河系の直径は約10万光年ですから、いかに小さな銀河かがわかります。こうした若く小さな銀河が現在の銀河の材料になったと考えられます。「誕生してから130億年の間に、この銀河は何十回、何百回、あるいは何千回も、他の銀河と合体をくり返しただろう」と、宇宙望遠鏡研究所のDan Coe は語っています。

この銀河の観測に関するCoe らの論文は『アストロ・フィジカル・ジャーナル』誌の12月20日号に掲載される予定です。
キリマンジャロの氷河は2060年までには消失
Kilimanjero’s ice fields may disappear by 2060

下の画像はつい最近、2012年10月26日に、NASA の地球観測衛星EO-1 がとらえたタンザニアのキリマンジャロ山頂です。かつて頂上のカルデラの周囲を広くおおっていた氷河は、今では北氷河と南氷河に分かれ、かろうじて残っているにすぎません。

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下の画像は山頂で撮影された北氷河です。

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下の画像は山頂で撮影された南氷河です。

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ニュージーランド、ダニーデンのオタゴ大学地理学部のN.J.Cullen らは、過去100年にわたるキリマンジャロ山頂の氷河の減少について、The Cryospheren誌に論文を発表しています。それによると、山頂の氷河の面積は1912年には11.4平方kmでしたが、2011年にはわずか1.76平方kmになってしまいました。100年間で85%の氷河が消失してしまったわけです。下の図は、Cullen らが復元した過去100年間の氷河の分布の変遷です。

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キリマンジャロは赤道直下にありますが、標高が5895m あるために、山頂付近の気温は低く、雨季の降雪によって、1万年以上にわたって大量の氷河を維持していました。しかし、地球温暖化による気温の上昇によって氷河は急激に失われつつあります。空気の乾燥化や、それにともなう雲の減少で日射量が増加したことも影響している可能性がありますが、最大の要因が温暖化であることは、以前書いた通りです。

Cullen らは、現在の傾向がこのまま続けば、2020年までには西側斜面の氷河は消失し、2040年までには南斜面の氷河が消失、2060年までにはすべての氷河が消失するのではないかと予測しています。
北アメリカで発見された羽毛恐竜
Feathered dinosaur in North America

『サイエンス』誌の10月26日号に、北アメリカではじめて発見された羽毛を持つ恐竜についての論文が掲載されています。論文の著者にはカナダ、カルガリー大学のダーラ・ザレニトフスキー、王立ティレル古生物学博物館のフランソワ・テェリエンなどのほか、共同研究者として北海道大学総合博物館の小林快次准教授も名を連ねています。

羽毛が見つかった恐竜はオルニトミムスで、カナダのアルバータ州南部の約7000万年前の地層から3体が発掘されました。そのうち2体には羽毛とみられる痕跡が一緒にみつかり、もう1体の成体では、翼に羽毛が生えていた痕跡が見つかりました。

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発見されたオルニトミムスの羽毛は軸をもつものであることがわかりました。羽毛が1個所から何本も伸びているフィラメント状の羽毛は多くの恐竜で発見されていますが、軸をもつ羽毛は、これまでいわゆる鳥型恐竜でのみ見つかっていました。下の図で、メガロサウルス類まではフィラメント状の羽毛が見つかっています。今回のオルニトミムスを含め、軸のある羽毛をもつ恐竜は青い線で示されています。

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これまでの羽毛恐竜はそのほとんどが中国で発見されていましたが、今年の7月には、ドイツ、バイエルン州立古生物・地質学博物館のOiver W.M. Rauhut らが、ドイツの後期ジュラ紀の地層から発見したメガロサウルス類に羽毛があったことを、アメリカ科学アカデミー紀要に報告しています。

明らかに飛ぶことができなかった恐竜までが羽毛をもっていたことは、羽毛の起源についての研究に新しい光をあてています。最近では、恐竜たちは羽毛を一種のディスプレイとして使っていたのではないかと考えられるようになってきました。その中から翼をもち、飛翔する能力をもつ恐竜のグループが出現し、一部は鳥類へと進化したというわけです。
月の成因:ジャイアント・インパクト説を支持
Zinc isotope:Consistent with Giant Impact Theory

『ネイチャー』誌10月18日号に、月がジャイアント・インパクトによってできたとする説を支持する論文が発表されています。

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月の成因については、古くからいくつもの説がだされています。|狼紊鳩遒聾胸和斥朷榔瀏廚ら同じ時期に、同じようなプロセスで誕生した、月は太陽系の別の場所で誕生したが、その後、地球の引力によって捕獲された、7遒話狼紊琉貮瑤分裂して誕生した、などです。しかし、アポロ計画によって、これらの説では説明できないことがいろいろわかってきました。現在有力なのは、今から約45億年前に、火星ほどのサイズの天体が原始地球に衝突して月ができたとするジャイアント・インパクト説です。天体は地球に斜めに衝突したために、岩石は溶融し、一部は蒸気となって地球を周回する円盤を形成しました。そこから物質が再度集積して月ができたというわけです。

月の岩石は地球の岩石にくらべて、水やナトリウムなどの揮発性成分がきわめて少ないことが明らかになっています。衝突によって揮発性成分が宇宙空間に逃げて行ってしまったと考えれば、これを説明できます。

ワシントン大学のRandal C. Paniello らは、中程度の揮発性をもつ亜鉛に着目し、アポロ計画でもち帰られた月の石、火星から飛来した隕石、および地球の火成岩にふくまれる亜鉛の同位体(亜鉛64、亜鉛66、亜鉛68)の量を精密に測定しました。その結果、亜鉛64と亜鉛66 の比をみると、月の岩石では重い同位体である亜鉛66 の量が多いことがわかりました。また、月の岩石の亜鉛の量は、地球や火星の火成岩にくらべて、少ないことがわかりました。これらの結果は、月が衝突によって形成されたとき、亜鉛の軽い同位体である亜鉛64 が亜鉛66 よりも多く宇宙空間に逃げていったと考えることで説明できます。

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