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ケンタウルス座アルファ星に地球サイズの惑星を発見
Earth twin planet found in the nearest star system

太陽にもっとも近い恒星であるケンタウルス座アルファ星に地球とほぼ同じ質量の惑星が発見されました。ケンタウルス座アルファ星は三重連星系で、ケンタウルス座アルファA星、ケンタウルス座アルファB星、そしてプロキシマ星からなっています。距離は約4.4光年。今回、系外惑星が発見されたのはケンタウルス座アルファB星です。下は、その想像図で、明るく輝いているのがケンタウルス座アルファB星、その右が地球サイズの惑星です。右上にケンタウルス座アルファ星系から見える太陽が描かれています。

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ケンタウルス座アルファB星をまわる惑星は、チリにあるESO(ヨーロッパ南天天文台)のラ・シヤ天文台の口径3.6メートル望遠鏡に据え付けられているHARPS(高精度視線速度系外惑星探査装置)によって発見されました。HARPS は、惑星の公転によって起こる恒星の動きのわずかなゆらぎをドップラー効果を利用して測定する方法で、系外惑星の観測を行っています。観測の精度はきわめて高く、視線速度秒速80cm の測定が可能です。

ケンタウルス座アルファB星は太陽よりも少し小さく、今回発見された惑星はそのまわりを約3.2日でまわっています。惑星の質量は地球の1.13倍です。B星からの距離は598万 km と非常に近く、おそらく1200度C 以上の輻射熱にさらされているので、生命が存在する可能性はないでしょう。しかしながら、観測チームのXavier Dumusque らが『ネイチャー』誌の10月18日号に発表した論文では、「これまでの系外惑星の観測によれば、質量の小さな惑星は惑星系になっていることが多いことがわかっている。したがって、ケンタウルス座アルファB星のハビタブルゾーンに他の惑星が存在する可能性がある」と述べられています。
ノーベル化学賞は、G タンパク質共役受容体の研究に
GPCR:Hottest area of research in medicine

今年度のノーベル化学賞は、G タンパク質共役受容体(GPCR)の研究に対し、デューク大学のロバート・レフコウィッツとスタンフォード大学のブライアン・コビルカに対して与えられることになりました。

GPCR は細胞の表面にある受容体(レセプター)で、細胞のシグナル伝達に重要な役割をはたしています。GPCR についてはここで少し紹介していますが、細胞外から刺激が与えられると、細胞内で結合しているG タンパク質を活性化させ、これが信号を伝えていきます。G タンパク質に関する発見に対しては、アルフレッド・ギルマンとマーティン・ロッドベルが1994年度のノーベル医学・生理学賞を受賞しています。

ヒトでは約800種類のGPCR がみつかっています。現在市販されている医薬品の30~50%はGPCR をターゲットにしたものです。さらに現在開発中の医薬品も、多くがGPCR をターゲットとしており、GPCR は基礎研究の分野だけでなく、創薬の現場でもきわめて注目されています。
iPS 細胞とENCODE:スモール・サイエンスの終わり?
The End of “Small Science”?

『サイエンス』誌編集長のブルース・アルバーツさんは、ENCODE 計画の終了に関して、同誌の10月5日号に、「スモール・サイエンスの終わり?」という文章を書いています。

ヒトゲノム計画によって、人間のゲノムは約30億の塩基対からなり、そのうち遺伝子として働いている領域は約3%であることが明らかになりました。その残りは、働きを失った遺伝子の残骸や無意味な配列の反復と考えられ、ジャンクDNA とよばれることもありました。しかしながら、9年間にわたる国際共同計画であるENCODE(Encyclopedia of DNA Elements:DNA エレメントの百科事典)によって、ヒトゲノムの80%の領域には、生命活動に関連した何らかの機能があることがわかりました。

アルバーツさんは、ENCODE は生命現象を網羅的に調べることに成功をおさめたが、これは生物学の分野でこれまで成功してきた「スモール・サイエンス」の時代が終わり、連邦政府が今後こうした巨大研究にしか予算を出さなくなることを意味しているのだろうかと、疑問を投げかけています。アルバーツさん自身は、自分はそうならないことを願っていると書いています。

ヒトゲノム計画、その後展開した「オミックス科学」、そしてENCODE と、生物学の基礎研究は、巨大な資金と組織力を投入する計画によって推進されてきました。それでもなお、細胞には基本的なことでまだわからないことが多いと、アルバーツさんは具体的な例をあげて説明しています。生命現象の総カタログづくりは大事です。しかし、一方で、こうした残された課題を解明するための、小さな研究室での革新的な研究が、生命現象のより深い理解につながっていくのだと、アルバーツさんは書いています。

京都大学の山中伸弥教授が、iPS 細胞の研究で今年度のノーベル医学・生理学賞を受賞しました。iPS 細胞の研究は、ES 細胞という巨大科学が成長していく時期に、それとは別の方法で再生医療をめざそうという発想のもと、山中教授の小さな研究室ではじまりました。アルバーツさんのいう、革新的なアイデアをもった小さな研究室での研究が大きく花開いたことを喜びたいと思います。
北極の海氷がなくなる日
Ice-free Arctic Sea may come by the end of the decade

JAXA の第一期水循環変動観測衛星「しずく」のマイクロ波放射計AMSR-2 によって、北極の海氷面積が9月16日に観測史上最小となり、その面積が349万平方km であることがわかりました。

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下の画像はNASA が発表した9月16日の海氷の広がりです。白い部分が9月16日の海氷、黄色い線は過去30年間の最小面積の平均を示しています。この画像はNASA のニンバス7号および複数の軍事気象衛星のデータからつくられています。

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今年、北極の海氷がこれだけ縮小したのは、北極海に何度も低気圧が襲来したことが影響したようです。とくに8月5日にアラスカのあたりで発生した強い低気圧は、下の画像のように北極海へと移動し、薄くなっている氷を割って、水温の高い南の海域へ吹き流したようです。

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とはいえ、北極の海氷の減少は地球平均気温の上昇にともなって長期的に続いている傾向です。しかも近年、その減少のスピードは研究者の予測を上回って増しています。『サイエンス』誌の10月4日号は、「北極の夏に氷がなくなるのは、数十年先ではなく、数年先かもしれない」という記事を掲載しています。下の図は、この記事で示されている1979年から今年までの、8月の海氷面積の推移です。海氷の急激な減少がわかります。

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『サイエンス』誌の記事の中で、NSIDC(国立雪氷データセンター)のMark Serreze は「ルールが変わりつつある。氷は薄くなり、夏を越すことができなくなっている」と語っています。

これまでの気候モデルによる計算では、北極の夏に海氷がなくなるのは2030年から2040年ごろと予測されてきました。しかし、アメリカ海軍大学院のWieslaw Maslowski らは、今年の5月に、2016年には海氷がなくなるという計算結果を発表していました。海氷のない夏がそれほど早くくるかどうかについては、まだ議論があるところです。しかし、いつかはその日が来るでしょう。「人工衛星から北極を見ると」とSerreze は言います。「そこには青い海が広がっているだろう」。

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