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HIV 流行の最新レポート
12月1日は世界エイズデーです。この日に向けて国連合同エイズ計画(UNAIDS)は11月21日に ”World AIDS Day report 2011” を発表しました。

このレポートによると、下のグラフのように、2010年末の世界のHIV 感染者は3400万人(3160万〜3520万人)で、2001年にくらべると17%増えています。この増加は、新たな感染がまだ大規模に続いていること、さらに最近は多剤併用療法などによってエイズ発症を遅らせることが可能になり、エイズで死亡する人が減ってきたことが要因になっています。

HIV_AIDS

2010年に新たにHIV に感染した人(下のグラフの青色の線)は270万人(240万〜290万人)で、これは2001年にくらべて15%の減少、また1997年のピーク時にくらべると21%の減少となっています。2010年にエイズで死亡した人(下のグラフの灰色の線)は180万人(160万〜190万人)で、2000年代半ばのピーク時の220万人(210万〜250万人)に比べると、大幅に減少しました。

HIV_AIDS

エイズ患者が最初に報告されてから30年がたちますが、上の2つのグラフをみると、HIV の世界的な流行はようやく峠を越えた感があり、とくにエイズで死亡する人はこのところ減少傾向が明らかです。とはいえ、HIV 感染の規模は現在もきわめて大きく、今後も強力なHIV 感染予防対策や新しいエイズ治療薬の開発などが必要です。

日本での状況はどうでしょうか。エイズ動向委員会によれば、日本における2010年までのHIV 感染者の年間報告数とエイズ患者の年間報告数の推移(凝固因子製剤による感染例を除く)は下のグラフのとおりです。

HIV_AIDS

HIV 感染者の年間報告数は2007年から1000人を超える高い水準にあります。2009年に前年より低くなっているのは、当時の新型インフルエンザの流行によりHIV の検査機会が減ったためではないかと考えられています。エイズ患者の年間報告数は漸増の傾向が続いています。

2011年のデータは9月25日までしかでていませんが、新規HIV感染者報告数は725人で、年間では1000人前後と予想されます。また新規エイズ患者報告数は361人で、年間では過去最高になる可能性があります。
火星探査機キュリオシティー、打ち上げ成功
11月26日午前10時02分(アメリカ東部時間、日本時間27日午前0時02分)に、NASA の火星探査機キュリオシティー(マーズ・サイエンス・ラボラトリー)がケーブカナベラル空軍基地からアトラスV ロケットによって打ち上げられました。

MSL

MSL

キュリオシティーは2012年8月に火星のゲール・クレーターに着陸し、火星の古い時代の地層を調べ、生命が存在した痕跡を探す予定です。ミッション期間は1火星年(687日)です。下の画像はキュリオシティーがレーザービームを照射して、火星の岩石の化学組成を調べているところです。

MSL

キュリオシティーは全長3m、重量890kg で、ちょっとした車ほどのサイズがあります。スピリットやオポチュニティーにくらべると、かなり大型の探査機です。6つの車輪をもち、1火星日(24時間40分)に200m 移動が可能です。

スピリットやオポチュニティーの電源は太陽電池でしたが、キュリオシティーにはプルトニウム238 の崩壊熱を利用する原子力電池が採用されました。この原子力電池には二酸化プルトニウムが4.8kg 内蔵されています。NASA は打ち上げが失敗してプルトニウムが大気中にまき散らされたとしても、個人が受ける平均放射線量は0.05〜0.1ミリシーベルト(集団検診でのX線撮影1回分程度)で、健康に影響を与えることはないとしています。アメリカ人が1年間に受ける自然放射線量は3.6ミリシーベルトとのことです。

1997年に打ち上げられた土星探査機カッシーニにも、原子力電池が使われていました。このときには、一部で打ち上げ反対の運動がありましたが、今回は何もなかったようです。
木星の衛星エウロパの表面下に液体の水が存在か?
木星の衛星エウロパに液体の水が存在する証拠がみつかったという、テキサス大学のシュミットらによる論文が、11月16日の『ネイチャー』誌オンライン版で発表されています。

Europa

エウロパは木星の4大衛星の1つで、直径は1560km、木星から約67万km の軌道をまわっています。

Europa

1979年に木星を通過したにボイジャー1号と2号によって、エウロパは全球が氷でおおわれており、表面には氷の活動による複雑な地形があることが明らかになりました。1995年から2003年まで木星を周回しながら科学観測を行ったガリレオ探査機は、エウロパには地球上の海水量を上まわる膨大な量の水が存在し、表面は凍っているが、内部には塩分を含む液体の海が存在する可能性があることを示しました。水が完全に凍結せずにいられる熱源は、木星の重力による潮汐力です。

Europa

今回発表された論文で、シュミットらはガリレオ探査機のデータによって得られたエウロパのDEM(デジタル高度マップ)を用い、ドーム状の形状をもつConamara Choas と、周囲より低くなっているThera Macula という2つの場所について詳細に検討しました。さらに、氷河の下の火山や南極の棚氷の崩壊など地球上で見られる例も参考にしながら、こうした地形ができるモデルを提唱しています。

Model

このモデルによると、まず液体の海水層からの熱源が上昇してきて、氷の表面を押し上げます(a)。やがてこの熱源によって表面下の氷がレンズ状に融けます。融解によって体積が減るため、表面は陥没してクレーター状の形状となり、内部に亀裂が生じます(b)。亀裂によって生じた氷の断片が落下し、レンズ状の水の層を崩壊させます(c)。水が再凍結すると、体積が増して表面から盛り上がり、表面に複雑な構造が残ります(d)。

この「lens-collapse モデル」によれば、Thera Macula はc の状態であり、表面から3kmほどのところに、北アメリカ大陸の五大湖と同じくらいの量の液体の水が存在するとのことです。下の画像はThera Macula の高度を示したものです。赤色は周囲(黄緑色)より高い場所、青色は周囲より低い場所を示しています。Thera Macula は全体として楕円形で、内部が落ちこみ、その周辺の一部がクレーターの縁のように盛り上がっていることがわかります。

Europa

最初に示したイラストは、このThera Macula の断面の想像図です。また、水が再凍結したd の状態が、ドーム状の形状をもつConamara Choas であると、シュミットらは考えています。

このlens-collapse モデルが正しいとすると、エウロパでは現在でも内部の海と表面の氷との間でエネルギーのやりとりがあり、もしかすると、物質の循環も行われている可能性があります。エウロパの海に何らかの生命体が存在するかもしれないという説を支持する証拠の1つになるかもしれません。
古川宇宙飛行士、地球に帰還
国際宇宙ステーション(ISS)での165日間の長期滞在を終えて、古川聡宇宙飛行士が帰還しました。

Furukawa_Landing

古川宇宙飛行士ら第28/29次長期滞在クルーを乗せたソユーズTMA-02M がISS を離れたのは、今日の午前8時(日本時間、以下同じ)頃でした。軌道離脱のための約4分間のエンジン噴射を10時32分に行い、大気圏への再突入を開始しました。11時に帰還モジュールを分離、その後パラシュートを開き、11時26分にカザフスタンの草原に着陸しました。雪が薄く積もる非常に寒い日で、強い風も吹いていました。しかも、ソユーズ宇宙船の歴史でもあまり例のない夜明け前30分での着陸でした。しかし、着陸に何のトラブルもありませんでした。

まもなく着陸地点に回収チームが到着しましたが、そのころには空も明るくなっていました。クルーは3人とも元気な表情を見せていました。

下の写真は、ISSから撮影されたソユーズ宇宙船の大気圏再突入の様子です。先頭の明るい点がクルーの乗った帰還モジュール、後ろの2つの点は大気圏内で燃えつきていく機械モジュールと軌道モジュールです。

Soyuz_reentry

古川宇宙飛行士とフォッサム宇宙飛行士はモスクワ近郊の星の町(ガガーリン宇宙飛行士訓練センター)には戻らず、ヒューストンでリハビリを行う予定です。
フォボス・グルント、地球脱出は困難か?
11月9日に打ち上げられたロシアの火星探査機フォボス・グルントは、まだ地球を周回する軌道にあり、交信ができない状態がつづいています。RIA ノーボスチが伝えた最新情報によると、フォボス・グルントが火星に向かうためのウインドウは今日で閉じてしまうとのことで、これが事実なら、火星の衛星フォボスのサンプル・リターンを目指す野心的なミッションはもはや実現不可能ということになってしまいます。

Phobos-Grunt

フォボス・グルントはバイコヌール宇宙基地から2段式のゼニット・ロケットによって打ち上げられました。打ち上げ後688秒でゼニット第2段からの切り離しが行われ、フォボス・グルントは207×347kmの地球周回軌道に入りました。この後、フォボス・グルントのMDU 推進ユニットは、250×4170kmへの軌道変更と火星への軌道投入のため、2度のエンジン噴射を自動で行うことになっていました。しかし、エンジン噴射は行われませんでした。

MDU は、人工衛星の軌道投入に用いられフレガット上段ロケットを惑星間航行用に増強した推進ユニットです。フレガットは先日、フランス領ギアナのクールー宇宙センターから打ち上げられたソユーズ2ロケットの第4段として搭載されていました。

ロシア連邦宇宙庁によると、フォボス・グルントは姿勢制御ができない状況にあるとのことです。太陽電池板が太陽の方向を向いておらず、そのため電源が低下し、セーフモードに入っているようです。原因はフォボス・グルントのフライト・コンピューター「BKU」にあるとの見方もあり、地上からBKU を再起動させるコマンドも送られていますが、まだ反応はありません。

フォボス・グルントは火星の衛星フォボスからのサンプル・リターンを目指しています。計画では2012年9月に火星周回軌道に入り、MDU と中国の火星周回衛星を切り離し、2013年2月にフォボスに着陸。サンプルを採取した後、探査機上段の帰還機がフォボスを離れて地球に向い、2014年8月にサンプルの入ったカプセルを地球大気圏内に投下させる予定です。

フォボス・グルントは以下のような構成になっています。

Phobos-Grunt

ロシア科学アカデミーの宇宙科学研究所(IKI)がこのミッションを進めており、探査機自体はこれまでロシアの多くの惑星探査機を開発してきたNPO ラボーチキンが担当しています。

IKI は1988年に、フォボスをターゲットとした2基のフォボス探査機を打ち上げました。フォボス表面に接近し、レーザー照射などによって、フォボスの組成を調べる計画でした。しかし、フォボス1 は1988年9月2日に通信が途絶しました。フォボス2 は1989年1月に火星周回軌道に入り、火星やフォボスの写真撮影を行いましたが、3月27日にやはり通信が途絶しました。1996年には、国際協力による火星探査機マルス96 が打ち上げられましたが、これも打ち上げ後すぐに通信が途絶してしまいました。

ロシアの惑星探査計画はソ連の崩壊とその後の経済事情の中で、非常に厳しい時代を経験してきました。フォボス・グルントはフォボス96 以来久しぶりの惑星探査ミッションです。IKI はこの成果に大きな期待をかけられていたと思われるだけに、このミッションが失敗に終わるようなことになれば、とても残念です。

このままでは、フォボス・グルントは1月には地球に落下してきます。ロシア連邦宇宙庁は、それまでに交信を確立することが可能という見方をしています。
肺がん治療薬イレッサをめぐる訴訟について
肺がん治療薬イレッサをめぐる訴訟で、国とアストラゼネカ社のどちらにも責任なしとする東京高裁の判決が11月15日に出ました。家族をなくされた原告の方々のお気持ちはよくわかりますが、私は今回の判決は妥当と思います。

iressa

イギリスに本社を置く製薬会社アストラゼネカが開発したイレッサ(ゲフィチニブ)は、「分子標的薬」という新しいタイプの抗がん剤です。分子標的薬はがん細胞に特徴的な分子を標的にします。つまり、これまでの制がん剤とちがって、分子標的薬はがん細胞のみを攻撃するのです。日本では2001年に乳がん治療薬のハーセプチン、慢性骨髄性白血病治療薬のグリベック、悪性リンパ腫治療薬のリツキサンが認可され、2002年にイレッサが認可されました。その後も続々と新しい分子標的薬が登場しており、がんの化学療法の現場に画期的な進展をもたしています。

イレッサは非小細胞肺がんの治療薬です。がん細胞の表面にはEGFR(上皮成長因子受容体)というタンパク質が多く発現しています。このEGFR からのシグナルによってがん細胞が増殖していきます。イレッサはEGRF の特定部位に結合してシグナル伝達をブロックし、がん細胞の増殖を阻害します。ここでイレッサの作用機序のアニメーションを見ることができます。

Gefitinib

イレッサが2002年7月に承認され、治療に使われるようになると、副作用としてあらわれる間質性肺炎による死亡例が相次ぎました。訴訟はこの時期の国とアストラゼネカが、イレッサの副作用で死亡する危険性があることを十分に説明していなかったとして、死亡した患者の遺族が訴えたものです。今年3月の東京地裁での判決では、国とアストラゼネカの責任を認めていました。

国とアストラゼネカの責任を追及する訴訟は大阪地裁でも行われ、今年2月に判決が出ています。この判決ではアストラゼネカの責任のみを認めました。この判決の中には、イレッサの説明書で当初、間質性肺炎が「重大な副作用」の4番目に書かれていたのは欠陥で、最初に記載すべきという、がん治療の現場ではほとんど意味のない判断も含まれています。がん治療の最前線にいる医師が新しい治療薬を使う場合に、その治療薬の説明書に書かれた内容だけに頼ることはあり得ません。論文や学会での発表などで、イレッサの副作用について事前にも情報を得ていたと考えられます。

私の家族も、認可直後からイレッサを使用した患者の1人でした。使用にあたっては主治医の先生から肺炎の副作用があることを説明され、経過をみながら慎重に使用していくこととなりました。イレッサは劇的な効果をもたらしました。あのときイレッサを使用していなかったら、私の家族は退院することも、その後何年間もがんの再発を防止することもできなかったと思います。残念ながら副作用で死亡する人がでてしまう一方で、私の家族のようにイレッサによって救われた多くの人が存在します。

肺がん治療の現場でイレッサは必要な薬です。副作用のない抗がん剤というものは存在しません。副作用を最小限にするための方法を考え、それでも不幸な結果になった場合については、十分な補償を行うシステムが必要です。

なお、この訴訟において「薬害」という言葉が使われることがありますが、イレッサは患者に使用してはいけない薬ではないので、「薬害」は不適当な言葉であると私は思います。
ソユーズ宇宙船、打ち上げ成功
ISS(国際宇宙ステーション)第29/30次長期滞在クルーのアントン・シュカプレロフ宇宙飛行士、アナトリー・イヴァニシン宇宙飛行士、ダニエル・バーバンク宇宙飛行士を乗せたソユーズTMA-22 が、14日午後1時14分(日本時間)にバイコヌール宇宙基地から打ち上げられました。雪の降る中でのソユーズの打ち上げを見るのは、はじめてのことでした。

Soyuz_TMA_22

現地時間では午前10時14分の打ち上げで、クルーがソユーズに乗りこんだのはまだ暗いうちでした。

Soyuz_TMA_22

Soyuz_TMA_22

ソユーズTMA-22 は16日午後2時33分(日本時間)にISS にドッキングする予定です。古川聡宇宙飛行士ら第28/29次長期滞在クルーはシュカプレロフ宇宙飛行士らと交代し、22日午前11時25分に地球に帰還する予定です。
スティーブ・ジョブズ:ギークとヒッピー
『スティーブ・ジョブズ機戞◆愼鵜供戞淵Εルター・アイザックソン著、井口耕二訳、講談社)を読み終えたところです。

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著者のアイザックソンはベンジャミン・フランクリンやキッシンジャー、アインシュタインの伝記で知られています。アインシュタインの伝記は『アインシュタイン その生涯と宇宙』(武田ランダムハウス社)として最近刊行されましたが、私はこの翻訳プロジェクトを最初の段階でお手伝いしたので、原書をすみずみまで目を通しました。考証が生き届いたとても素晴らしい伝記です。では、ジョブズの伝記はどうかというと、同じ作家が書いたとは思えない出来です。

論文や手紙など膨大な資料を分析し、語られなかった人物像に新たな光をあてるという伝記を書く際の正統的な手法は、『スティーブ・ジョブズ』では採用されませんでした。執筆期間の短さやジョブズの体調という事情もあったのでしょう。それにしても、書かれている内容は、どれもこれまで聞いたことがあるような話ばかりです。それらが時系列で並べられたというところに価値を見出すべきでしょうか。

『機戮鯑匹狆豺腓砲蓮▲▲奪廛覘気肇▲奪廛覘兇鮴澤廚掘▲献腑屮困箸箸發縫▲奪廛觴劼鯀藁したスティーブ・ウォズニアックの自伝『アップルを創った怪物』(ダイヤモンド社)も読んでおくべきでしょう。『機戮任離▲ぅ競奪ソンの記述には、この本と重複する部分が多くみられます。

アップル気鮴澤廚垢訌亜▲Εズニアックはジョブズとアタリ社のアーケードゲーム「ブレイクアウト」を開発する仕事を請け負いました。報酬は2人で折半しましたが、ジョブズはウォズニアックに内緒で、さらにアタリ社からボーナスを受け取っていました。これを後で知ったウォズニアックは「傷ついた」と自伝に書いています。アイザックソンもこの件を無視するわけにはいかず、同じ内容についてふれて、ウォズニアックに「この件はもういいじゃないか」といわせています。しかしアイザックソンは、ウォズニアックの自伝にあるもっと大事な言葉を紹介することはありませんした。ウォズニアックはこう書いています。「僕らは違うタイプの人間だった。最初からずっとね」。

『供戮任蓮△曚箸鵑匹竜述がジョブズ礼賛になっています。iMac の成功話は書かれていますが、次の世代のiMac、私にいわせれば三流SFホームドラマのリビングルームに置かれていそうな珍妙なデザインのiMac G4 (こう書くとG4ファンには怒られると思いますが)が、なぜ短い期間で姿を消したのかは書かれていません。おそらく時間が足りなかったのだと思われますが、『供戮虜埜紊魯献腑屮左賚燭砲覆辰討靴泙い泙靴拭

本書で一番残念なのは、アイザックソンがジョブズを十分に考察する時間が足りなかったことでしょう。それがあれば、パーソナル・コンピューターの世界におけるアップル社の製品を文明史的な観点から見ることが可能だったでしょう。アイザックソンはこの観点を『機戮覗瓠垢伴茲蠑紊欧覆ら、結局これを十分に展開することができませんでした。ハイスクール時代のジョブズについてアイザックソンは書いています。「同い年の友だちはほとんどおらず、1960年代末のカウンターカルチャーにどっぷりはまった年上の友だちが多かった。ちょうどギークの世界とヒッピーの世界が重なろうとしていた時代だ」。

1970年代はじめといえば、軍需産業を中心にエレクトロニクスが急速に発展し、ウォズニアックのようなギーク(いわばコンピューター・オタク)が登場してくる時代でした。一方、ヒッピーの文化も色濃く残っており、ジョブズは遅れてきた世代であるだけに、よけいにあこがれがあったようです。1974年にはインドにまででかけていきます。後々を考えると、ジョブズの開発したアップル社の製品には、いつもこの60年代後半のカウンターカルチャーの雰囲気がただよっていました。

私は覚えているだけでもマックを4台買っていますが、これまで熱心なマック・ユーザーにならなかったのは、アップルのサポートデスクとの度重なる嫌な思い出ばかりでなく、私たちの世代にとっては食傷気味のヒッピー文化を押し売りしてくるところにあったのだと思います。スーザン・ケア氏には申し訳ありませんが、シカゴというフォントもどうしても好きになれませんでした。とはいえ、若い世代にマックは大きな反響を生んだのですから、アイザックソンにはそれを分析してほしかったと私は思います。

『供戮虜埜紊3分の1はiPhone とiPad という新しい世界に当てられています。その世界が完成する前に、ジョブズはいなくなってしまいました。ジョブズなきアップルはどうなっていくのか、ビル・ゲイツは警告しています。「スティーブが舵を握っている間は統合アプローチがうまくいきましたが、将来的に勝ち続けられるとはかぎりません」。閉じた世界かオープンか。アップルとマイクロソフトのかつての構図が、現在、アンドロイドOS との間でくり返されています。

私も2台目の携帯はiPhoneにし、1台目はアンドロイドに変えました。両方を使ってみた経験でいうと、私のお気に入りのアプリ「8ミリカメラ」はアンドロイドにはないものの、日常使う上でアンドロイド携帯に不便は感じられません。すべてをコントロールすることなど本来不可能なテクノロジーの世界で、常にすべてをコントロールすることを求めるジョブズの路線がどこまで続くのか。これを考える上で役立つ材料を集める時間も、アイザックソンにはなかったようです。

『供戮慮絵には、ジョブズががんを発症してからの家族との写真が何枚も載っています。近年のジョブズには、すべてを支配し、服従させずにはおかない砂漠の王のきびしい風貌がただよっていましたが、家族と一緒の時間にはそれが消えて穏やかな表情になっているのが印象的でした。
プログレス補給船、ISS に到着
10月30日に打ち上げられたロシアのプログレス補給船M-13M が、11月2日、ISS(国際宇宙ステーション)にドッキングしました。M-13M には2.6トンの補給品が搭載されていました。30日の打ち上げは、8月24日の打ち上げ失敗以来初の打ち上げとなりましたが、第3段エンジンにもトラブルはありませんでした。

ProgressM-13M

次は11月14日にソユーズTMA-22 が打ち上げられる予定です。第29/30次長期滞在クルーのアントン・シュカプレロフ宇宙飛行士、アナトリー・イヴァニシン宇宙飛行士、ダニエル・バーバンク宇宙飛行士はM-13M の打ち上げが成功した翌日の10月31日に、バイコヌール宇宙基地に到着しています。

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