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プログレス補給船の打ち上げ準備進む
プログレス補給船M-13M の打ち上げ準備がバイコヌール宇宙基地で進んでいます。

M-13M

8月24日にプログレスM-12M の打ち上げが失敗して以来、FSA(ロシア連邦宇宙庁)はプログレス補給船の打ち上げに用いるソユーズUロケット、およびソユーズ宇宙船の打ち上げに用いるソユーズFG ロケットの飛行を中断し、飛行再開に向けた対策をとってきました。事故の原因は、第3段のRD-0110 エンジンのガスジェネレーターに十分な燃料が供給されなかったためとのことです。この不具合は偶発的に発生したもので、エンジンの信頼性に深刻な影響を与えるものではないとされています。

FSA はこれまでにエンジン製造ラインの品質管理体制の強化などの措置を行い、飛行再開を決定しました。すでに納品されていた18基のRD-0110 エンジンはサマラの工場に戻され、今後の打ち上げに使用するエンジンが新たな品質管理体制の下で製造されました。

FSA は10月30日にプログレスM-13M を打ち上げ、これに成功すれば、11月14日にソユーズ宇宙船で第29/30次長期滞在クルーを打ち上げる予定です。現在ISS(国際宇宙ステーション)に滞在している古川聡宇宙飛行士ら第28/29次長期滞在クルーは11月22日に帰還しますが、第30/31次長期滞在クルーは12月26日に打ち上げられ、現在一時的に3名体制になっているISS 長期滞在はふたたび6名体制となる予定です。
X 線天文衛星ROSAT が大気圏再突入へ
DLR(ドイツ航空宇宙センター)がウェブサイトでX 線天文衛星ROSAT の大気圏再突入に関する情報を掲載しはじめました。

ROSAT

再突入はUTC(協定世界時)で10月22日から23日とされています。ROSAT の質量は約2.4t で、このうち1.7t 分が大気圏で燃えつきずに30個ほどの破片となって地上に落下する模様です。ROSAT の軌道傾斜角は53度なので、北緯53度から南緯53度までのどこかに落下しますが、まだ誤差が1日の範囲であり、地球上のどの地点に落下するかは予測できません。破片は衛星の軌道にそった地域に落下しますが、直下だけでなく、幅80km ほどの範囲に落下する可能性があるとしています。

DLR の情報は仮訳されて、文部科学省のサイトに転載されています。また、同省のフェイスブックで更新情報が提供されるようです。
樺太1923年:大泊から栄浜へ
札幌での仕事の合間に、北海道庁旧本庁舎(赤れんが庁舎)にある樺太関係資料館を訪ねてみました。

Sakhalin

ここには間宮林蔵による探検にはじまり、明治・大正・昭和初期の開拓の時代から第二次世界大戦時のソ連軍侵攻による悲惨な出来事やその後の引揚げ、そして近年のサハリン州との交流まで、樺太の歴史を通じたさまざまな資料が展示されています。

Sakhalin

上の写真は館内の展示風景で、奥に立っているのが間宮林蔵、手前にあるのは南樺太のレリーフマップです。宮沢賢治は1923年(大正12)にこの地を訪ねました。大泊(コルサコフ)から当時の終着駅である栄浜(スタロドゥプスコエ)にまで至っています。賢治が乗った鉄道路線を、レリーフマップでたどることができました。

賢治の樺太への旅は教え子の就職を依頼することが目的でしたが、『銀河鉄道の夜』を書くきっかけともなりました。
ガンジス:生と死と宗教
銀座のキヤノンギャラリーで開かれている、野町和嘉さんのガンジスの写真展に行ってきました。写真集『ガンジス』も新潮社から発売されています。

Ganges

いつもながら、野町さんの写真には圧倒されます。特に印象的だったのは、聖地ヴァラナシで死者を荼毘にふし、遺灰をガンジスに流す人々の姿でした。満月のかかる夜、いくつもの炎があがる大火葬場の写真からは、この世のものとは思えない荘厳さが感じられました。

ところで、最近の出版界は元気がなく、『ガンジス』のような写真集が出版されることはまれです。しかし、『ガンジス』のページをめくっているうちに、久しぶりに写真集の良さを実感しました。たしかに出版界は厳しい時代を迎えていますが、写真家が撮影したすぐれた写真が世に出ることがなく、ネット上に出回るアマチュア写真で私たちが満足してしまう状況が続くとすると、いずれ写真家という職業は成り立たなくなるのではないでしょうか。そうなってしまえば、私たちが写真からさまざまなことを学び、感性を刺激される体験も失われてしまいます。
スノーボールアース仮説に疑問
かつて地球は全球凍結したとするスノーボールアースという仮説があります。地球が氷におおわれたのは25〜27億年ほど前および約7億年前とされ、とくに後者のスノーボールアースは、それ以降の生物進化とかかわっていると考えられています。

スノーボールアース仮説の1つの課題は、地球が全球凍結の状態からどうやって回復したかを説明することです。火山によって大気中に放出された二酸化炭素の増加がその原因だったとするのが有力な説ですが、『nature』誌の10月6日号に、これに疑問を投げかける論文が載っていました。

約7億年前のスノーボールアース(スターチアン氷期およびマリノアン氷期)が終わったのは、6億3500万年前のことです。これまでの研究では、この時期の大気中の二酸化炭素濃度は現在の50〜225倍とされてきました。パリ大学地球物理学研究所のSansjofre らは、当時の氷河堆積物の表面をおおっていたブラジルの炭酸塩層の炭素同位体比から、二酸化炭素濃度の再見積もりを行ったところ、現在と同じ程度に低かったという結果が出たとのことです。これでは、地球はスノーボールアースから脱出することはできません。

著者らは原生代後期末期の環境は、地球が完全に凍結していたとするハードスノーボールアースとは一致しないと述べています。

スノーボールアースはきわめて魅力的な説です。すでに確立された説として取り上げられることもありますが、まだ仮説の域にとどまっています。今後こうした検証をへて、過去の地球に起こった大事件の描像が明らかになることが期待されます。

ノーベル医学・生理学賞:樹状細胞とがん治療
2011年度のノーベル医学・生理学賞は、私たちの体の中で免疫機構が働きはじめる仕組みに関する研究で大きな成果をあげたアメリカ、スクリップス研究所のブルース・ボイトラー教授、フランス、ストラスブール大学のジュール・ホフマン教授、アメリカ、ロックフェラー大学のラルフ・スタインマン教授に贈られることになりました。

ボイトラー教授とホフマン教授は自然免疫が働きだす仕組みを解明しました。スタインマン教授は1973年に「樹状細胞」を発見しました。スタインマン教授はノーベル賞受賞発表の数日前にがんで死去しましたが、自ら発見した樹状細胞を用いたがん治療を4年間にわたって受けていたとのことです。

樹状細胞(dendritic cell)は、木の枝がのびたような突起をもつことから名づけられました。そのはたらきは、体内に侵入してきた異物を認識して、その抗原をT細胞に提示するというものです。樹状細胞に抗原を提示されると、T 細胞は異物を攻撃します。下の写真は、成人T 細胞白血病ウイルス(黄色)に作用している樹状細胞(青色)です。

Dendritic Cells

人体にとってがん細胞も異物であるので、樹状細胞を使えばがん細胞だけを攻撃する治療法が可能になると考えられています。10年ほど前、私はボストンのダナ・ファーバー癌研究所を訪問し、ドナルド・キーフ博士に、樹状細胞を使ったがん治療の可能性について話を聞いたことがあります。この研究が基礎実験から臨床試験へと進もうとしている時期だったのです。樹状細胞の抗原提示作用は「きわめてパワフル」と語ったキーフ博士の言葉を今でもよく覚えています。

樹状細胞を用いたがん治療法の1つは、樹状細胞ワクチン療法とよばれているものです。この方法ではまず、がん患者から樹状細胞のもととなる造血幹細胞を取り出し、樹状細胞を大量につくります。そこに、患者のがん細胞を加え、樹状細胞に抗原を認識させます。この樹状細胞を患者に注射すると、樹状細胞が患者のT 細胞にがん細胞の抗原を提示するので、T 細胞はがん細胞を攻撃するようになります。樹状細胞ワクチン療法は、がん細胞だけを特異的に攻撃すること、患者自身の樹状細胞を使うので副作用が少ないことが特長です。

現在、アメリカでは樹状細胞ワクチン療法の臨床試験が数多く行われています。さらに、患者の樹状細胞を体外に取り出さないですむ方法も研究されています。

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