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火星探査機キュリオシティーの着陸候補地
NASAの火星探査機キュリオシティー(マーズ・サイエンス・ラボラトリー)の打ち上げは11月25日に予定されています。火星着陸は2012年8月6日の予定です。

現在、着陸地点の候補は下の4か所にしぼられています。いずれも過去に水が存在していたことが明らかになっている場所です。キュリオシティーは移動しながら堆積物の地層を調査し、水に関係した硫黄や酸素を含む鉱物や、水の存在下で生成される粘土などを分析しながら、火星に水が存在していた時代の環境やその後の歴史を調べます。

Curiousity_landing_sites

北半球にあるMawrth 谷(下)は、過去に大量の水が流れた地形が存在する広大な地域にある、水の流れでつくられた谷です。火星で最も古いとみられる谷の1つで、古い時代の火星の水環境を調べるのに適した場所の1つと考えられています。

Mawrth

赤道近くにあるGale クレーター(下)は、かつて水が存在したと考えられているクレーターの1つです。中央には高さ4.8km もの高地があり、キュリオシティーが平地に着陸した後、高地を登りながら地層を調べます。

Gale

南半球のHolden クレーター(下)は直径160kmです。30億年以上前には川が流れこみ、水で満たされていたと考えられています。キュリオシティーは水の歴史を示す露頭を調べます。

Holden

直径64kmのEberswalde クレーター(下)はHoldenの近くにあります。ここも古い時代には水が流れこんでいたとみられています。

Eberswalde

キュリオシティーの飛行経路を最終的に決定するため、NASAは7月末までに着陸地点を決定するとしています。
火星に生命の痕跡をさぐる
金曜日にスルガ銀行のd-labo セミナーで、東京大学総合研究博物館准教授の宮本英昭さんの話を聞いてきました。テーマは火星探査で、主に火星の生命の可能性について話をされましたが、最後には質問が相次ぎ、多くの方がこの話題に興味をもっていることがわかりました。

火星表面には水が流れたような地形があり、形成されて間もないころの火星は温暖で、表面には大量の液体の水が存在したと考えられてきました。2004年に火星に軟着陸した火星ローバー、スピリットとオポチュニティーは、火星表面に実際に水が存在した証拠を見つけました。過去に存在した水の、少なくともある部分は、今でも高緯度地域の地下に氷の状態で存在するとみられています。

火星が温暖で、海が存在したころには、火星にも原始的な生命が誕生した可能性があります。そのような微生物の痕跡は、今も火星の地層のどこかに残っているかもしれません。宮本さんは、そのような生命の痕跡を探す場所の1つとして、Hebrus 谷をあげていました。下の画像の矢印の場所です。

hebrus_crater

Hebrus 谷はエリシウム山の南西にある谷です。エリシウム山は火山だったので、地下には熱源があり、生命が誕生しやすい環境だったかもしれません。また、このあたりではメタンの発生が観測されています。メタンは無機的にも合成されますが、これが生物由来であり、今も微生物が何らかの形で存在している可能性も0%でなないでしょう。

NASA が今年打ち上げる火星探査機キュリオシティー(マーズ・サイエンス・ラボラトリー)は、かつて火星に存在した水の歴史をくわしく調べることが大きな目的になっていますが、ESA がNASA との協力のもと、2018年に火星着陸をめざしている火星ローバーExoMars は火星の生命探査を行うための探査機です。火星の生命を科学的にさぐる時代が、もう少しでやってくると思われます。
古川聡宇宙飛行士、宇宙へ
古川聡宇宙飛行士がソユーズ宇宙船で国際宇宙ステーション(ISS)に向かいました。コスモノートホテルを出るときも、発射台に向かうときも満面の笑みで、待ちに待った日を迎えた喜びがうかがえました。

バイコヌールでの夜間の打ち上げは、整備塔の照明がとても幻想的です。

furukawa_11060801

打ち上げは時刻通りに行われました。

furukawa_11060802

古川さんはソユーズ宇宙船の左の席に座り、ロケットが上昇中は、コマンダーのセルゲイ・ヴォルコフ宇宙飛行士の補助をします。下に写真の手前がヴォルコフ宇宙飛行士、奥が古川さんです。

furukawa_11060803

ソユーズ宇宙船は打ち上げから約9分後には、地球を周回する軌道に入りました。10日午前6時ごろ、ISS にドッキングする予定です。
宇宙船の安全を守るロシア式の考え方
古川聡宇宙飛行士が宇宙に出発する日が近づいてきました。打ち上げは日本時間で6月8日午前5時12分(日本時間)の予定です。

バイコヌール宇宙基地に到着してからの古川さんは、打ち上げにいたるまでのロシア側の手順にしたがって、準備を進めています。これらの中には、ソコル宇宙服のリークチェックや搭乗するソユーズ宇宙船の点検など技術的なものや、滞在しているコスモノートホテルでの国旗の掲揚、記念の植樹など、恒例となっているセレモニーがあります。

打ち上げまでのこうしたプロセスは、ロシアの有人宇宙船打ち上げの長い歴史の中でつくられてきたもので、ソユーズ宇宙船の打ち上げのたびに、毎回同じことがくり返されます。これらの中には「縁起をかつぐ」ものも多くあります。たとえば、ロケットを列車で発射台まで移動させるロールアウトを、打ち上げクルーが見るのは縁起が悪いとされています。一方、エンジニアがレールの上にコインを置き、列車の車輪でつぶすことは幸運を招くとされています。因果関係があってもなくても、打ち上げがうまくいったことはそのまま続け、うまくいかなかったことは2度としないというのが、ロシアの考え方です。

1960年10月24日、弾道ミサイルR-16 が発射台で爆発し、ネデリン将軍など100人近くが死亡する事故が起こりました。1963年10月24日にはR-9 ミサイルが爆発し、ふたたび死者が出ました。このときは、うまくいかなかったことを、もう1度くり返してしまったわけです。以後、バイコヌール宇宙基地では、10月24日には打ち上げを行わないことになっています。

迷信という人もいるかもしれませんが、とにかく結果がよかったことはそのまま続け、うまくいかなかったことは2度としないという考え方は、ある意味合理的で、これがロシアの有人宇宙船を安全で信頼性の高い乗り物にしたのだと私は考えています。そうでなければ、宇宙飛行士がソコル宇宙服のリークチェックを行うときに使うなんともレトロな装置の意味は理解できないでしょう。下の写真はエクスペディション7 のエドワード・ルー宇宙飛行士がリークチェックを行っているところで、背後にチェック用の装置が見えています。

Ex7_Lue

下の写真は、1984年のソユーズT-10 の打ち上げ前の写真ですが、背後にある装置が、少なくとも外見上はほとんど同じものであることがわかります。おそらく中身は改良されていると思われますが、ソ連の時代からずっと使い続けてきたものに対するロシアの人たちのこだわりが感じられます。

Soyuz_T10

さらに言えば、リークチェックを行う部屋自体にもこだわりがあります。バイコヌール宇宙基地に到着したクルーは、感染防止のため隔離状態に置かれ、VIP や記者などとの会見はガラス越しに行われます。そのため、クルーがいる部屋は「アクアリウム」(水族館)とよばれています。実は、1984年の写真のアクアリウムは、今のアクアリウムとは別の場所にありました。当時、宇宙飛行士が準備を整えて発射台に出発する建物は、今よりも発射台に近いサイト2 の1A という建物でした。現在はサイト254 のMIK OK という建物の中にあります。ところが、2つのアクアリウムの間取りやレイアウトはとてもよく似ているのです。
火星ローバー、スピリットのミッション完了
NASA は5月25日、火星ローバー、スピリットがミッションを完了したと発表しました。

Spirit

このブログでも何度か紹介してきた通り、トロイと名付けられた場所で走行不能となったスピリットは、2010年3月22日の交信を最後に、通信が途絶えていました。スピリットは火星の冬を迎えましたが、JPL のローバー・チームは夏に向かうにつれて太陽電池による発電が回復し、交信が可能になるかもしれないと考え、スピリットとの交信の試みを続けてきました。しかし、スピリットのいる場所は今や夏を迎えており、交信が復旧する可能性はきわめて低くなったため、ミッション完了が発表されたわけです。

「昨夜、最後のリカバリー・コマンドがスピリットに送られた。これは、とても意義深い瞬間だったと言える」。2006年からマーズ・エクスプロレーション・ローバー計画のミッション・マネージャーをつとめているジョン・カラスは、JPL のブログに ”A Heartfelt Goodbye to a Spirited Mars Rover” という一文を寄せています。”Spirited” にはローバーの名前である「スピリット」と、「元気づけてくれる、勇気を与えてくれる」という2つの意味が込められています。「これまでリカバリー・コマンドを1200回以上送ったが、返事がないということは、スピリットが永遠の眠りについたことを示している」。

2004年に火星に軟着陸したスピリットとオポチュニティーは、3 か月間のミッションを行うローバーとして設計されました。しかし、ミッション期間は延長され、今日にいたっています。オポチュニティーは現在も活動中です。スピリットは6年以上にわたって火星で活動を続け、7730.5m を移動、12万4000枚以上の画像を地球に送ってきました。

「スピリットがもたらした発見の中で最も重要なものの1つは、土壌中に濃集している二酸化ケイ素を発見したことだ。これによって、そこがかつて熱水や高温の水蒸気が吹き出す場所であり、原始的な生命が誕生するのにふさわしい場所であることが示された」と、火星ローバーの主任研究者であるコーネル大学のスティーブ・スクワイヤーズは語っています。「初期の火星には活発な火山噴火があり、そこでは水とマグマがはげしく反応していた。現在の冷たく乾燥した火星とは劇的にことなった世界だった」。

カラスは「スピリットが着陸したグセフ・クレーターは、オポチュニティーが着陸したメリディアニ平原よりも過酷な環境だった。冬はより寒く、暗かった。ダストも多く、太陽電池板に降り積もった」と書いています。スピリットはハズバンドヒルと名付けられた山地を下っているときに右前の車輪が動かなくなってしまいました。しかし、その後も前輪を引きずりながら、残りの5輪で後ろ方向に進み、約1km を移動しました。二酸化ケイ素の濃集を発見したのはその際でした。スピリットは3度の過酷な火星の冬を生き抜きましたが、4度目の越冬から目覚めることはありませんでした。

「スピリットは科学的成果に加え、多くの無形の財産ももたらした。火星はもの珍しく遠い未知の場所ではなくなった。火星はもはや近所になった。われわれは毎日火星に仕事をしに行っている。ありがとう、スピリット。小さいローバーよ、よくやった」と、カラスは彼の文を結んでいます。もちろん、彼は最後に、ローバー・チームに対して、”And to all of you, well done, too” と付け加えるのを忘れてはいませんでした。
エンデバー、地球に帰還。全ミッション完了。
スペースシャトル、エンデバーは6月1日午前2時35分(アメリカ東部夏時間、日本時間1日午後3時35分)、ケネディ宇宙センターに帰還しました。今回の飛行期間は15日17時間38分51秒でした。ディスカバリーに続き、エンデバーもこれですべてのミッションを完了しました。

Endeavour

「ヒューストン、エンデバー。ホィール・ストップ」。エンデバーが停止すると、マーク・ケリー船長は、いつもの通りヒューストンに連絡しました。ヒューストンからの返事は、いつもより少し長いものでした。「25回のチャレンジングなフライトで、1億2200万マイルを飛んだこの驚くべき乗り物の歴史は終わるが、これから長く思い出されるだろう。お帰り、エンデバー」。「ありがとう、ヒューストン。スペースシャトルは素晴らしい乗り物だ。宇宙をマッハ25で飛び、飛行機のように滑走路に着陸する。本当に信じられない宇宙船だ」と、ケリー船長は答えました。「クルーを代表して、このミッションのために働いてくれたすべての人と、エンデバーのために働いてくれたすべての人に感謝する。この着陸が最後であるのはさびしいが、エンデバーは偉大な遺産となった」
英雄たちの小径
打ち上げの前、バイコヌールのコスモノートホテルに滞在している宇宙飛行士たちは、ホテルのすぐ近くにある「英雄たちの小径」とよばれる遊歩道を歩きます。この道の両側には、無事に地球に帰還した宇宙飛行士がふたたびバイコヌールを訪れて植えた木が並んでいます。下の写真の一番左手前の木が、ユーリー・ガガーリンが植えた木で、すでに50年近い年月がたっています。

Avenur_of_Heroes

宇宙飛行士たちはこの道を歩きながら、宇宙への道を切り開いてきた先人たちの歴史に思いをはせることになります。道のつきあたりはプロトンロケットのモニュメントが立つちょっとした見晴らし台になっています。ここに立つと、眼下にシルダリア川が流れ、その向こうには広大なステップが地平線まで続いています。

現在では、宇宙飛行士たちは宇宙に飛び立つ前に、シルダリア川に沿った道に植樹するのが伝統となっています。

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