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ディスカバリーの打ち上げは2日間延期
スペースシャトル、ディスカバリーの打ち上げは2日間延期され、11月3日午後3時52分(アメリカ東部夏時間、日本時間4日午前4時52分)となりました。

ディスカバリーは射点での打ち上げ準備中に、OMS(軌道操作システム)エンジンの推進剤であるモノメチルヒドラジンの供給ラインにわずかな漏れが発生しましたが、修理は完了し、1日の打ち上げが決定されました。しかし、今度は右側のOMS のヘリウムと窒素を加圧するために用いるカップリングに漏れが発見されました。

NASA

この2個のカップリングの修理と点検、加圧作業のため、打ち上げを1日遅らせて2日の午後4時17分としましたが、さらに1日延期し、3日の打ち上げとなったものです。
ディスカバリー、最後のフライトへ
スペースシャトル、ディスカバリーの打ち上げが11月1日午後4時40分(アメリカ東部夏時間、日本時間2日午前5時40分)に行われます。ディスカバリーにとって、これが最後のフライトです。

今回のSTS-133ミッションにおいては、恒久的な補給モジュールとしてISS に取り付けるために「レオナルド」多目的補給モジュールを改造したPMM(Permanent Multipurpose Module)や、ISS の外部プラットフォームELC4、ISS の交換部品などが運ばれます。また、NASA とGM が共同開発したロボノートR2 も話題になっています。R2 は上半身だけのヒューマノイド型宇宙ロボットで、試験用としてISS に持ちこまれます。

クルーは6人で、下の写真で左からアルビン・ドリュー(MS1)、ニコール・ストット(MS4)、エリック・ボー(パイロット)、スティーブ・リンゼイ(コマンダー)、マイケル・バラット(MS3)、ティモシー・コプラ(MS2)です。バラット宇宙飛行士は第19次および第20次長期滞在クルーとして若田光一宇宙飛行士と一緒にISS に滞在しました。

STS-133

STS-133のミッションパッチのデザインは、今年2月に亡くなったロバート・マッコールの晩年の作品をベースにしているとのことです。上昇していくスペースシャトルには固体ロケットブースターと外部燃料タンクがついていませんが、そんなことはどうでもよくなる、いかにもマッコールらしいドラマチックな絵柄です。背景の青い地球の向こうには星々が輝いています。スペースシャトルの時代は終わっても、宇宙を目指す人類のスピリットは失われないというメッセージにように、私には受け取れました。

STS-133

ディスカバリー(OV-103)は3機目のオービターとして1984年8月に初飛行しました。ディスカバリーの名は18世紀にキャプテン・クックが南太平洋を探検し、ハワイ諸島を発見した船の名前からとられました。この名はさらに、17世紀にハドソン湾や北極の北西航路を探検した船のものでもあります。

STS-133 はスペースシャトルの通算133回目、ISS への35回目のフライトです。ディスカバリーとしては39回目のフライトであり、この飛行回数はオービターの中で最も多いものです。

Discovery

ハッブル宇宙望遠鏡の軌道投入やミール宇宙ステーションとの初のランデブーなど、ディスカバリーにはいくつもの記憶に残るフライトがありますが、なんといっても忘れられないのは、チャレンジャーおよびコロンビア事故後の2回の飛行再開ミッションをディスカバリーがになったことでしょう。
奄美大島の記録的な豪雨
10月20日に奄美大島は記録的な豪雨に見舞われ、甚大な被害が発生しています。その原因は、折から秋雨前線が停滞していたところに台風13号の湿った空気が流れこんだためです。この台風13号(Megi)はサファ・シンプソン・スケールでカテゴリー5、米軍のJTWC(合同台風警報センター)の区分けでは最大風速105ノット以上の「スーパー台風」でした。

奄美大島では場所によっては雨量が850mm をこえたようです。これだけの降雨は現地でははじめてだったようですが、前線が停滞しているときに台風が接近して豪雨をもたらすのは、これまでになかったわけではありません。たとえば2005年9月には台風14号が秋雨前線を刺激して、九州を中心に集中的な豪雨を降らせ、やはり大きな被害をもたらしました。今回も同じようなパターンであり、事前にもっと注意をよびかける必要があったのではないでしょうか。

現在、台風14号(Chaba)が北上中です。下がJTWC のウエブサイトに表示されている27日12時現在の台風14号の位置と今後の進路予想です。

JTWC

下は、台風14号の同時刻の衛星画像です。

JTWC

現在、奄美大島近くに前線はありませんが、台風14号の影響でふたたび降雨がはげしくなるので、注意が必要です。
レアアース:未来のための元素戦略
尖閣諸島の一件以来、レアメタルあるいはレアアースが話題になっています。地殻中の存在量が少なく、生産量も少ない非鉄金属をレアメタルといいます。発光ダイオードや磁石などに使われたり、強度を増したりさびにくくするために構造材に加えられたりします。レアアース(希土類元素)はレアメタルに属するグループで、磁石や触媒などに微量を加えるだけで、その性能を飛躍的に向上させる性質をもっています。日本の工業製品にはレアメタル・レアアースがさまざまな形で使われています。

報道によると、政府はレアアースの共同開発でベトナム政府と合意する方針とのことです。日本はレアアースの輸入をほぼ中国1国に頼ってきたために今回問題になっているわけですから、脱中国依存のためにこうした対策をとるのは意味のないことではありません。しかし、これはあくまで対症療法のようなものであることを忘れてはなりません。レアメタル・レアアースを供給してくれる国をいくら増やしても、今のままでは、日本の産業が必要とするレアメタル・レアアースがいずれ不足することは目に見えています。もっと抜本的な対策を展開していく必要があります。

レアメタル・レアアースの輸入に頼らない抜本的な対策とは何でしょうか。1つは、廃品となった携帯電話などレアメタル・レアアースを使っている工業製品からそれらの元素を回収してリサイクル利用をすること(レアメタル・レアアースを含む工業製品を「都市鉱山」とよぶことがあります)、もう1つは、これが一番大事ですが、レアメタル・レアアースを必要としない、あるいは使用量を大幅に減らす技術を開発することです。

日本でこうした取り組みがなされていないのかというと、そのようなことはありません。2007年から文部科学省は「元素戦略」、経済産業省は「希少資源代替材料開発」というプロジェクトをスタートさせています。そして、今年4月の事業仕分け第2弾で、組織の存続さえ危ぶまれるような集中攻撃を民主党議員や仕分け人から受けた物質・材料研究機構(NIMS)こそが、この取り組みにきわめて重要な役割を果たしているのです。

ぜひ物質・材料研究機構のサイトを訪問して下さい。現在は「レアメタル・レアアースとNIMSの研究」という特集が組まれていて、レアメタルやレアアースに関する情報が満載されています。

この特集の最初には、2つのプレスリリースが掲載されています。8月30日は「重希土類元素ジスプロシウムを使わない高保磁力ネオジム磁石」についてのもの、10月5日は「従来材料比10倍:熱凝集耐性排ガス触媒の開発に成功−レアメタル使用量削減へ道」です。いずれも物質・材料研究機構で行われていたレアメタル・レアアースを使わない、あるいは使用量を大幅に削減する研究で成果が得られたことを報告したものです。ちなみにネオジム磁石は、ハイブリッド車の駆動モーターに用いられています。

元素戦略プロジェクトに向けて物質・材料研究機構がまとめた『元素戦略アウトルック:材料と全面代替戦略』には、レアメタル・レアアースに関するデータや分析が詳細に書かれており、PDF 版をダウンロードすることができます。

NIMS

また、物質・材料研究機構には元素戦略センターも設置されており、レアメタル・レアアースの代替・減量・循環に関する科学的分析を行っています。

レアメタル・レアアース問題というのは資源問題そのものであり、限られた量しか存在しない「元素」をいかに有効に使っていくのかという視点が必要です。日本は世界のレアアースの半分を消費しているといわれています。レアアース鉱山を新たに開発するというだけでは、物事の解決にはなりません。物質・材料研究機構のような地味ではあるけれども、重要な役割を担っている研究機関で行われている研究をもっと大事にしていかなくてはいけません。
ロシアの新型宇宙船
12月13日に打ち上げの予定であったソユーズTMA-20 の帰還モジュールは、バイコヌール宇宙基地に輸送された際に損傷を受けたため、ソユーズTMA-21 の帰還モジュールと交換されることになりました。交換用のモジュールはすでにエネルギア社からバイコヌールに到着しており、モジュールの結合と試験が行われることになります。このため、ソユーズTMA-20 の打ち上げは多少遅れますが、ISS 計画自体には何ら影響はないようです。

ソユーズTMA-01M、いわゆるデジタル・ソユーズはISS に何の問題もなくドッキングしました。ロシアからは次世代の有人宇宙船について、いくつもの話が流れてきています。その1つは、TMA-M シリーズのもととなったソユーズ700シリーズの開発です。先日も書いたように、TMA-M シリーズは当初の構想からみると控えめな改良にとどまっており、ソユーズの開発はまだ続いていると考えられます。この開発計画の延長には、ソユーズを月周回のための宇宙船とする構想もあるといわれています。1960年代はじめに登場したソユーズは、もともと有人月ミッションのための宇宙船として開発されたわけですから、もしもこれが実現すれば、きわめて興味深い話となるでしょう。

エネルギア社では、次世代の有人宇宙船を開発中とのことです。この宇宙船がどのようなものか、よくわかりませんが、最近の情報では、パラシュートで着陸する際、ジェットエンジンを併用することにより、着地精度をソユーズの半径20km 以内から、その10分の1の半径2km 以内に向上させることをめざしているとのことです。これによって、帰還の際の危険性が低減されるとともに、回収チームの負担も大幅に減ります。この宇宙船は2015年に試験飛行(無人)を行う予定だそうです。

一方、再利用型のミニシャトルの構想も依然としてあるようです。ロシアではクリッパーというミニシャトル型の宇宙船をヨーロッパなどに売り込んできました。再使用型の宇宙船はエネルギア社とは別の系列、具体的にはモルニア社によってMAKS とよばれたシステムとして開発されてきた歴史的経緯があります。MAKS は加速用の第1段に超音速機を利用するもので、20年以上前の時点で、実用にかなり近いところまでいっていました。ロシアにはこうした技術が、まだ眠っているようです。
ソユーズ宇宙船TMA-M シリーズ登場
第25次長期滞在クルーであるスコット・ケリー、アレクサンダー・カレリ、オレッグ・スクリポチカ各宇宙飛行士を乗せたソユーズTMA-01M は、10月8日にバイコヌール宇宙基地から打ち上げられ、10日に国際宇宙ステーション(ISS)にドッキングしました。TMA-01M は、ソユーズ宇宙船の新シリーズであるソユーズTMA-M シリーズの初号機です。下の画像はISS に接近したソユーズTMA-01M です。

SoyuzTMA-01M

ソユーズ宇宙船は1960年代に登場して以来、ソユーズT、ソユーズTM、ソユーズTMA と進化してきました。ソユーズTMA-M はソユーズ700 として開発されてきた新型ソユーズで、「デジタル・ソユーズ」ともよばれてきました。ソユーズ700 は当初、きわめて革新的な改良を加える計画で開発が進められていましたが、資金の不足や開発の遅れなどにより、ソユーズTMA-M は限られた範囲での改良にとどまったようです。

とはいえ、ソユーズTMA-M はソユーズTMA にくらべて大幅に改良されているといわれています。まず、1974年以来使われてきたメインコンピューターArgon-16 に代わって新型のコンピューターTsVM-101 が搭載されました。また、ソユーズ宇宙船はこれまで、宇宙船各部をモニターするためのテレメトリーシステムに5基のアナログプロセッサーを用いていましたが、これがMBITS というデジタル装置に替えられました。これによって、ソユーズ宇宙船は完全にデジタル化されたとのことです。

下は、ソユーズTMA-01M のミッションパッチです。子供から寄せられた空高く飛んで行く鳥の絵がモチーフになっており、その鳥の姿が「0」と「1」で表現されているのは、この飛行が「デジタル・ソユーズ」のものであることを示しています。

SyuzTMA-01M_missionpatch

アビオニクス関連の装置も最新型になりました。全部で19の新しい装置によって、36の古い装置が置き換えられました。これによって、70kgの重量削減がはかられ、その分だけペイロードを搭載可能となりました。また、消費電力も大幅に少なくなりました。

TsVM-101 やMBITS はすでにプログレス補給船に搭載されて試験済みですが、ソユーズ宇宙船での試験が今回、ベテラン宇宙飛行士のカレリさんによって行われます。とくに地球帰還時のマニュアルモードなどはプログレスでは試験されていません。

ロシアではTMA-M 宇宙船の最初の2回の飛行をTMA-M シリーズの試験飛行としており、飛行中に発見された問題点を順次解決していく予定です。TMA-01M で明らかになった改善点を解決するためには多少時間がかかると予想されているため、12月に予定されている次の打ち上げには、従来のTMA 宇宙船が用いられます。この宇宙船TMA-20 は、TMA-01M の打ち上げを延期せざるをえない事態になった場合のバックアップとして、すでにバイコヌール宇宙基地に運ばれていましたが、輸送の途中で受けた損傷が深刻との情報もあり、現在12月13日に予定されている打ち上げは延期される可能性もあります。
はやぶさサンプル:太陽系ダストのサイエンス
「はやぶさ」のサンプル容器から「地球外物質の可能性のある微粒子が見つかった」という報道が一部で流れ、JAXA は本日午後5時30分から緊急に記者会見を開き、宇宙科学研究所ミッション機器系グループ副グループ長の上野宗孝さんが、キュレーション作業の進捗状況について説明しました。記者会見場には多くのメディアがつめかけ、「はやぶさ」サンプルに対する関心の高さがうかがえました。

上野さんによると、サンプルキャッチャーA 室内壁をテフロン製の小さな「へら」でぬぐい、電子顕微鏡で観察したところ、光学顕微鏡では見えない10ミクロン以下のサイズの微粒子が100個ほど付着していたとのことです。多くは1ミクロン以下でした。アルミ粉末など明らかに人工物であるものを除けば、このサイズの粒子になると、電子顕微鏡での観察では地球起源のものか、地球外の物質なのかは判別することは困難で、12月ごろから予定されているSPring-8 などによる初期分析の結果をまたなくてはなりません。

どちらともいえないのですから、その可能性はあるとはいえ、「地球外物質の可能性のある微粒子が見つかった」という読売新聞や朝日新聞の報道は、誤解をまねきかねないものであったといえます。

これまでに光学顕微鏡で見つかっている粒子も含め、「はやぶさ」サンプルの分析は、こうした微小な粒子について行われることになります。これらの粒子が地球外起源のものであるとすれば、それらは太陽系空間に存在する惑星間ダストということになります。採取されたサンプルがある程度のサイズの「かけら」であれば、イトカワ由来と考えられます(もちろん、他の天体からきた可能性もないわけではありません)が、ミクロンサイズのダストは、たとえイトカワ表面で採取されたとしても、それがイトカワで生成されたとは限りません。太陽系空間をただよっていた彗星や他の小惑星起源のダストがイトカワ表面に降りつもったものである可能性も大でしょう。ダストの中には太陽系外から来たものもあります。

「はやぶさ」のサンプルキャッチャーに入っていたダストが地球外起源であれば、どこから来たものであれ、それは太陽系初期に何が起こったかを知るための貴重な材料になるでしょう。惑星間ダストについて、われわれはまだ多くのことを知っているわけではありません。なぜなら、宇宙から持ち帰られたサンプルが、まだあまりないからです。とはいっても、「はやぶさ」サンプルを分析する日本の研究者が、この分野にまったく未経験というわけではありません。

1999年に打ち上げられたNASA の彗星探査機スターダストは、ヴィルト第2彗星が放出するダストを採取し、2006年に地球に帰還しました。スターダストによって採取されたダストのサイズも10ミクロン以下でした。これらのサンプルの分析には日本の研究者も参加し、高エネルギー加速器研究機構やSPring-8 の放射光施設、二次イオン質量分析計などを用いた分析で世界に誇る成果を上げています。「はやぶさ」サンプルの分析では、このときの経験が大いに役立つでしょう。

サンプルキャッチャー内の微粒子に地球外起源のものが含まれており、これを機会に、太陽系ダストの科学が進むことを期待したいと思います。
北極の海氷面積、今年の9月は史上3番目の小ささに
北極海をおおう海氷の面積は夏の間縮小を続け、9月の半ばごろに最小となります。2007年9月には観測史上最小面積を記録し、翌2008年9月は史上2番目に小さい面積となりました。今年は2007年、2008年に次ぐ史上3番目に小さい面積となっています。

北極海の氷の状況はJAXA のAMSR-E 北極圏海氷モニターで毎日チェックすることができます。AMSR-E とは「改良型高性能マイクロ波放射計」のことで、NASA の地球観測衛星アクアに搭載されているJAXA のセンサーです。地表面や大気から放射される微弱なマイクロ波を観測し、主に水に関係したデータを取得しています。

AMSR-E 北極圏海氷モニターの海氷面積情報では、2002年6月以降の海氷面積の推移を見ることができます。今日現在の海氷面積情報のデータは下のようになっています。各年のデータは色分けされており、史上最小面積となった2007年は深緑色、史上2番目の2008年は黄色になっています。赤い線が2010年で、9月18日に最小となり、その面積は481万3600平方km でした。

AMSR-E

アメリカの国立雪氷データセンター(NSIDC)の最近の発表によると、1979年から2010年までの、9月における北極の海氷面積の推移は下のようになっています。

NSIDC

北極圏は気候変動の影響を受けやすいことがわかっています。この期間の世界平均気温の上昇を反映して、9月の海氷面積は凸凹はあるものの、全体として明らかな減少傾向にあります。NSIDC によると、減少の割合は10年間で11.5%とのことです。
インフレーション宇宙論の未来
佐藤勝彦著『インフレーション宇宙論』(講談社ブルーバックス)を読みました。佐藤先生はこれまでインフレーション宇宙論の著書を何冊も書いていますが、「はじめに」で書かれているように、インフレーション宇宙論を書名に掲げたものは、本書が最初です。インフレーション理論について、一般読者にも理解できるよう、きわめて平易に書かれています。

佐藤先生とアラン・グースがほとんど同時期に独立にインフレーション理論を提唱したのは1980年代のはじめでした。1989年に打ち上げられたCOBE(宇宙背景放射探査機)は、宇宙誕生から30万〜40万年後、宇宙の晴れ上がり直後の宇宙のむら(電波のゆらぎ)を観測しました。1992年に発表されたこの観測結果はインフレーション理論が予測したものと同じであり、インフレーション理論の正しさが裏付けられました。ジョン・マザーとジョージ・スムートは、COBEによる宇宙背景放射の研究により2006年度ノーベル物理学賞を受賞しています。

2001年に打ち上げられたWMAP(ウィルキンソン・マイクロ波異方性探査機)はCOBEよりもはるかに高い空間分解能で観測を行い、COBEの観測結果を補強しました。WMAPの観測によって、宇宙の初期にインフレーションという現象が起こったことが、誰もが認める形で実証されたといってよいでしょう。

佐藤先生にはこれまで何回もインフレーション理論についてお話をうかがったことがありますが、WMAP以後は、インフレーション理論の未来について話されることが多くなったように思われます。『インフレーション宇宙論』でも、後半はダークマターやダークエネルギーなどの新しい謎にはじまり、宇宙の未来、マルチユニバース、さらには「人間原理」まで話が及び、最後のページまで飽きることはありませんでした。インフレーション理論に関する知識を自分の頭の中でもう一度整理してみるためにも、とても役立つ本です。

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