NASA はどこへ?(その2)
アメリカ初の有人地球周回飛行を目指す「フレンドシップ7」の打ち上げは何度も延期されました。1962年2月20日、ジョン・グレンはようやく発射台に向かいます。「美しい光景だった」と、ジョン・グレンは“WE SEVEN”の中で書いています。「夜はまだ明けていなかったが、強力なライトがアトラス・ロケットを明るく照らしていた。それはまるで別世界のようだった」。エレベーターに乗りこむとき、作業員たちがグレンに手を振ります。「私は感謝の気持をこめてうなずき返した。皆が一緒にいてくれることが、とても嬉しかった。こんな朝には、誰もがチームメイトなのだ」。
宇宙船に乗りこんだグレンのレシーバーに、フライト・ディレクターが打ち上げの準備状況を確認する交信が聞こえてきます。「通信」「ゴー」、「自動操縦システム」「ゴー」、「航空医学」「ゴー」、「追跡」「ゴー」。「宇宙飛行士はこうしたリストでは最後の方である。私の順番がきたとき、私は答えた。『準備はできている』」
午前9時47分39秒、アトラス・ロケットは発射台を離れます。「ロケットの発射はそれ自体、宇宙に行くために越えなければならない4つのハードルの最初のものだった」。発射45秒後あたりで2番目のハードルがやってきます。上昇するロケットにかかる大気圧が最大になるマックスQ です。「このあたりに、アトラスと宇宙船にとって大きな壁がある。無人の宇宙船を載せた過去のアトラスの打ち上げでは、ロケットはここで破壊してしまった」。グレンははげしい振動を感じますが、アトラス・ロケットはこの壁を越えていきます。
ブースター分離、ロケット分離という第3、第4のハードルもクリアーし、グレンは地球を周回する軌道に達します。「われわれは秒速2万5730フィートで飛んでいる。6G あった重力はゼロになった」。
NASA はこのようにして、ハードルを次々に越え、宇宙への道を切り開いてきました。そのための技術を開発する体制は、NASA を頂点に、その下にアメリカの各分野の企業が巨大なピラミッド構造をつくるというものでした。しかし、50年の間に、低軌道への人員・物資輸送については、状況が変わってきました。もう少しで民間の企業がこの分野に進出できるところまで来たのです。
オバマ大統領の予算教書で示された、低軌道への輸送に関するNASA の役割は、こうした状況を背景に、NASA がピラミッドの頂点ではなく、企業のパートナーになるというものでした。民間でもできることをNASA が行う必要はないというのは、間違った考え方ではありません。しかし、それなら、宇宙開発の最先端の分野を切り開いていく上でのNASA の新しい任務は何なのでしょうか? 残念ながら、オバマ大統領はこの点を明らかにすることはありませんでした。
2020年の月着陸を目指していたコンステレーション計画が中止された後、NASA はどこに向かうのでしょうか? 予算発表後に行われた記者会見で、NASA のチャールズ・ボールデン長官は、「NASA は独自の有人飛行を放棄するわけではない」と語っています。国際宇宙ステーションの先の、その新しい目的地について、すでに委員会ができて検討がはじまっており、結論が出るまでに「数週間とはいかないが、何年もかかるわけではない」と、ボールデン長官は語りました。
宇宙船に乗りこんだグレンのレシーバーに、フライト・ディレクターが打ち上げの準備状況を確認する交信が聞こえてきます。「通信」「ゴー」、「自動操縦システム」「ゴー」、「航空医学」「ゴー」、「追跡」「ゴー」。「宇宙飛行士はこうしたリストでは最後の方である。私の順番がきたとき、私は答えた。『準備はできている』」
午前9時47分39秒、アトラス・ロケットは発射台を離れます。「ロケットの発射はそれ自体、宇宙に行くために越えなければならない4つのハードルの最初のものだった」。発射45秒後あたりで2番目のハードルがやってきます。上昇するロケットにかかる大気圧が最大になるマックスQ です。「このあたりに、アトラスと宇宙船にとって大きな壁がある。無人の宇宙船を載せた過去のアトラスの打ち上げでは、ロケットはここで破壊してしまった」。グレンははげしい振動を感じますが、アトラス・ロケットはこの壁を越えていきます。
ブースター分離、ロケット分離という第3、第4のハードルもクリアーし、グレンは地球を周回する軌道に達します。「われわれは秒速2万5730フィートで飛んでいる。6G あった重力はゼロになった」。
NASA はこのようにして、ハードルを次々に越え、宇宙への道を切り開いてきました。そのための技術を開発する体制は、NASA を頂点に、その下にアメリカの各分野の企業が巨大なピラミッド構造をつくるというものでした。しかし、50年の間に、低軌道への人員・物資輸送については、状況が変わってきました。もう少しで民間の企業がこの分野に進出できるところまで来たのです。
オバマ大統領の予算教書で示された、低軌道への輸送に関するNASA の役割は、こうした状況を背景に、NASA がピラミッドの頂点ではなく、企業のパートナーになるというものでした。民間でもできることをNASA が行う必要はないというのは、間違った考え方ではありません。しかし、それなら、宇宙開発の最先端の分野を切り開いていく上でのNASA の新しい任務は何なのでしょうか? 残念ながら、オバマ大統領はこの点を明らかにすることはありませんでした。
2020年の月着陸を目指していたコンステレーション計画が中止された後、NASA はどこに向かうのでしょうか? 予算発表後に行われた記者会見で、NASA のチャールズ・ボールデン長官は、「NASA は独自の有人飛行を放棄するわけではない」と語っています。国際宇宙ステーションの先の、その新しい目的地について、すでに委員会ができて検討がはじまっており、結論が出るまでに「数週間とはいかないが、何年もかかるわけではない」と、ボールデン長官は語りました。