NASAはどこへ?
NASA のホームページは「技術革新と発見の新時代」として、オバマ政権によって示された2011会計年度予算と、それにもとづいてNASA が目指す新しい方向を紹介しています。しかし、このデザインはどうでしょう。NASA の見慣れた紺色のロゴは、なぜかげりを見せているのでしょうか?

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背景の画像は、右側が昨年8月のスペースシャトル、ディスカバリー(STS-128)の打ち上げ、左側はハッブル宇宙望遠鏡が撮影した星の形成領域「わし星雲」で、「ピラーズ・オブ・クリエーション」として有名な画像です。スペースシャトルとハッブル宇宙望遠鏡は、これまでのNASA の活動の象徴ともいえる存在です。NASA は今、新しいクリエーションの中にあるということなのでしょうか。しかし、このかげりはまるで、新しい時代の始まりというよりは、輝かしい時代の終わりを告げているかのようです。

NASA の公式声明は「オバマ政府は、新しい技術革新と発見をもたらす大胆で野心的な新宇宙政策を打ち出した」と述べていますが、実際のところ、それはNASA の1つの時代を終わらせるものでした。NASA はもはや宇宙への挑戦を自ら担う機関ではなく、チャールズ・ボールデンNASA 長官が述べたように、これからは「技術革新のエンジン、そして野心的な新しい宇宙計画のための触媒」になることが、その役割なのです。

オバマ政権による新しい宇宙政策は以下の通りです。
コンステレーション計画の中止
計画は予算をオーバーしており、スケジュールも遅れ、新しい技術も導入されていない。実現したとしても50年前のアポロ計画を再現するだけである。しかも、この計画はNASA の他の計画の予算を圧迫している。計画を中止し、将来の宇宙計画により役立つ技術を開発する。
スペースシャトルの安全な退役
今後5回予定されているシャトルを安全に飛行させる。
国際宇宙ステーション運用期間の延長
国際宇宙ステーションの運用を2020年まで延長する。
フラグシップ技術
将来の宇宙探査のための革新的技術、フラグシップ技術の開発・実証を行う。
民間による有人宇宙輸送
国際宇宙ステーションへ宇宙飛行士を運ぶ民間宇宙輸送システムを実現するための支援を行う。
重量級ロケット
重量級ロケットや推進技術の研究開発を行う。
気候変動研究
気候変動の研究や衛星による監視を推進する。
科学探査
太陽系天体の無人探査および軌道上からの天体観測を推進する。
教育
科学・技術・工学・数学の教育に力を入れる。

「この新しい道は、大きな変化である」と、ボールデン長官は語っています。確かに、これは非常に大きな変化です。しかしながら、これだけ大きな変化をもたらす決定であるにもかかわらず、その根拠となるオバマ政権の明確なビジョンは示されず、NASA はあてどない航海へと出発しようとしています。アメリカは今後、宇宙で何を目指すのでしょうか?

新政策の是非をめぐって、今後、議会で活発な議論がかわされるでしょう。アメリカの宇宙政策の変更は、各国の有人宇宙計画や無人探査計画にも影響を与えます。今後の成り行きを注意深く見守っていく必要があります。

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