オズマ計画から50年
今年は最初のSETI(地球外知的生命体探査)であるオズマ計画が行われてから50年にあたります。
銀河系内に進んだテクノロジーをもった文明があれば、宇宙に向けて電波信号を発しているに違いない。ウエストバージニア州グリーンバンクの国立電波天文台にいたフランク・ドレイク博士(下左)は、1960年4月、同天文台の直径26mの電波望遠鏡(下右)をくじら座タウ星とエリダヌス座イプシロン星に向け、人工的な信号が送られてきていないかを調べました。この2つの星が探査対象として選ばれたのは、太陽と同じタイプの恒星で、年齢も太陽と同じくらい、そして距離が10光年程度と近くにあるからです。

この探査計画を、ドレイク博士はオズマ計画と名づけました。オズマとは、フランク・ボームのオズ・シリースの物語に出てくる、オズの国のプリンセスの名前です。ドレイク博士にとって、存在するにちがいないが、見つけることが難しい地球外文明は、遠くにあって訪れるのが難しい不思議なオズの国であったわけです。観測は2か月間にわたって行われましたが、人工的な信号は発見されませんでした。
最近のインタビューで、ドレイク博士は、当時、オズマ計画のアイデアを秘密にしていた理由について、それがUFO や宇宙人探しの「偽似科学」と誤解される可能性があったからだと述べています。一部にはそのような誤解や間違った評価はあったものの、SETI は天文学の1分野として継続され、現在にいたっています。最近では、電波による探査に加え、レーザー光を用いたオプティカルSETI も登場しています。
ドレイク博士は現在、カリフォルニア州マウンテンビューのSETI 研究所カール・セーガン・センターの所長です。同研究所では2007年から、小型の電波望遠鏡を多数ならべたATA によってSETI が行われています。このATA はマイクロソフトの共同設立者であるポール・アレンの資金援助で実現しました。
下の写真はSETI 研究所のペーパーウェイトで、ドレイク博士が日本に来たときにいただいたものです。裏面にドレイク博士と、一緒に来日したジル・ターター博士(現在SETI 研究所 SETI 研究センター所長)にサインしていただきました。

最近では、SETI とはことなるアプローチで宇宙における生命の存在を研究するアストロ・バイオロジーという学問も登場しています。この分野では、火星や木星の衛星エウロパ、土星の衛星タイタンなど、太陽系内の天体での生命が活発に研究されています。また、系外惑星、すなわち他の恒星をまわる惑星の探索では、木星のようなガス型惑星がすでに360個以上見つかっており、地上の大型望遠鏡や軌道上をまわる天文衛星によって、地球型惑星が見えはじめた段階にあります。今後、地球型の惑星が続々と発見されるでしょう。
宇宙における生命の探査は、21世紀の天文学の大きな研究課題となっています。その原点が、50年前のオズマ計画にあるわけで、今年はそのSETI 50周年を記念するイベントがいくつも行われるでしょう。ロンドンの王立協会では1月25日と26日に、SETI の現在を議論する会議が開催されました。
この会議で、ドレイク博士は「銀河系には1万個の知的文明が存在するだろう」と語りました。一方、バージェス頁岩の生物の研究で有名なケンブリッジ大学のサイモン・コンウェイ・モリスは、「地球上の生命進化は偶然の積み重ねによるもので、同じプロセスがくりかえされることはない。宇宙のどこを探しても、知的文明は存在しない」を主張しました。生命進化の研究者には、このような立場をとる人も多く、分子進化の中立説を提唱した木村資生先生も同じような発言をしていました。
この会議では、さらにNASA のクリス・マッケイがアストロ・バイオロジーの立場から太陽系内天体の生命について語ったり、オプティカルSETI をふくむSETI の最新情報が発表されるなど、話題には事欠かなかったようです。
SETI とは、「我々は何者か?」という根源的な問いに答えようとする試みといえるでしょう。この問いは、21世紀の社会においてますます重要になってきています。
銀河系内に進んだテクノロジーをもった文明があれば、宇宙に向けて電波信号を発しているに違いない。ウエストバージニア州グリーンバンクの国立電波天文台にいたフランク・ドレイク博士(下左)は、1960年4月、同天文台の直径26mの電波望遠鏡(下右)をくじら座タウ星とエリダヌス座イプシロン星に向け、人工的な信号が送られてきていないかを調べました。この2つの星が探査対象として選ばれたのは、太陽と同じタイプの恒星で、年齢も太陽と同じくらい、そして距離が10光年程度と近くにあるからです。
この探査計画を、ドレイク博士はオズマ計画と名づけました。オズマとは、フランク・ボームのオズ・シリースの物語に出てくる、オズの国のプリンセスの名前です。ドレイク博士にとって、存在するにちがいないが、見つけることが難しい地球外文明は、遠くにあって訪れるのが難しい不思議なオズの国であったわけです。観測は2か月間にわたって行われましたが、人工的な信号は発見されませんでした。
最近のインタビューで、ドレイク博士は、当時、オズマ計画のアイデアを秘密にしていた理由について、それがUFO や宇宙人探しの「偽似科学」と誤解される可能性があったからだと述べています。一部にはそのような誤解や間違った評価はあったものの、SETI は天文学の1分野として継続され、現在にいたっています。最近では、電波による探査に加え、レーザー光を用いたオプティカルSETI も登場しています。
ドレイク博士は現在、カリフォルニア州マウンテンビューのSETI 研究所カール・セーガン・センターの所長です。同研究所では2007年から、小型の電波望遠鏡を多数ならべたATA によってSETI が行われています。このATA はマイクロソフトの共同設立者であるポール・アレンの資金援助で実現しました。
下の写真はSETI 研究所のペーパーウェイトで、ドレイク博士が日本に来たときにいただいたものです。裏面にドレイク博士と、一緒に来日したジル・ターター博士(現在SETI 研究所 SETI 研究センター所長)にサインしていただきました。

最近では、SETI とはことなるアプローチで宇宙における生命の存在を研究するアストロ・バイオロジーという学問も登場しています。この分野では、火星や木星の衛星エウロパ、土星の衛星タイタンなど、太陽系内の天体での生命が活発に研究されています。また、系外惑星、すなわち他の恒星をまわる惑星の探索では、木星のようなガス型惑星がすでに360個以上見つかっており、地上の大型望遠鏡や軌道上をまわる天文衛星によって、地球型惑星が見えはじめた段階にあります。今後、地球型の惑星が続々と発見されるでしょう。
宇宙における生命の探査は、21世紀の天文学の大きな研究課題となっています。その原点が、50年前のオズマ計画にあるわけで、今年はそのSETI 50周年を記念するイベントがいくつも行われるでしょう。ロンドンの王立協会では1月25日と26日に、SETI の現在を議論する会議が開催されました。
この会議で、ドレイク博士は「銀河系には1万個の知的文明が存在するだろう」と語りました。一方、バージェス頁岩の生物の研究で有名なケンブリッジ大学のサイモン・コンウェイ・モリスは、「地球上の生命進化は偶然の積み重ねによるもので、同じプロセスがくりかえされることはない。宇宙のどこを探しても、知的文明は存在しない」を主張しました。生命進化の研究者には、このような立場をとる人も多く、分子進化の中立説を提唱した木村資生先生も同じような発言をしていました。
この会議では、さらにNASA のクリス・マッケイがアストロ・バイオロジーの立場から太陽系内天体の生命について語ったり、オプティカルSETI をふくむSETI の最新情報が発表されるなど、話題には事欠かなかったようです。
SETI とは、「我々は何者か?」という根源的な問いに答えようとする試みといえるでしょう。この問いは、21世紀の社会においてますます重要になってきています。