タスマニアデビルを絶滅から救う
コールド・スプリング・ハーバー研究所の2010年1月のネットレターでは、同研究所のグレッグ・ハノンやエリザベス・マーチソンらによるタスマニアデビルのがんの遺伝子解析研究が紹介されています。この論文は『サイエンス』誌の2010年1月1日号に掲載されています。

タスマニアデビルはオーストラリアのタスマニア島に生息する現生では最大の肉食有袋類で、絶滅が危惧されています。その原因の1つは、タスマニアデビルの間で広がっているデビル顔面腫瘍性疾患(DFTD)とよばれるがんです。DFTD のために、タスマニアデビルの個体数は過去10年間で60%減少しており、このままでは50年以内に絶滅してしまうと心配されています。

ハノンらは採取した25の腫瘍からDFTD の遺伝子の配列決定を行い、DFTD の伝播と発症に関する遺伝子を突き止め、この腫瘍が咬むなどの身体的接触を介して個体から個体へ伝搬することを明らかにしました。こうした方法で動物間を伝搬するがんは珍しく、他にはイヌで知られているだけです。

また、ペリアキシンというタンパク質が腫瘍で発現していることがわかりました。このタンパク質をDFTD の診断や治療法の開発に利用することができれば、絶滅を防ぐための有力な手段となります。

▲PAGE TOP