最も遠い銀河
昨年5月のスペースシャトルによる修理ミッションで観測能力が大幅にアップしたハッブル宇宙望遠鏡が、最も遠い銀河の観測に成功しました。この観測はハッブル・ウルトラ・ディープ・フィールド09(HUDF09)とよばれ、ろ座の方角をWFC3(広視野カメラ3)の赤外カメラで観測しました。データの解析にあたっては、2004年にACS(掃天観測用高性能カメラ)で行った観測データも使用されました。

宇宙は膨張しているため、遠くの銀河ほど早いスピードで遠ざかり、赤く見えます。これを赤方偏移といい、その大きさをz であらわします。ハッブルが観測した画像には、z が7前後の銀河が16個、z が8前後の銀河が5個写っていました。より遠方の銀河を観測することは、より古い宇宙の姿を見ることでもあります。これらの銀河は、137億年前に宇宙が誕生してから6億〜8億年後の銀河です。

HUDF

遠方銀河の観測は、これまですばる望遠鏡の独壇場でした。すばるが観測した最も遠方の銀河は2006年に報告されたIOK-1で、z は6.964、距離にして128億8000万光年、ビッグバン後7億8000万年ごろの銀河です。

星が世代を重ねると重い元素が増えてきますが、ハッブルが観測したこれらの銀河はきわめて“青く”、ほとんど水素やヘリウムだけであることを示していました。すなわち、これらの銀河は非常に若く、宇宙に初めて銀河が誕生した時代に近い銀河と考えられます。また、そのサイズはわれわれの銀河系の20分の1程度、質量は1%程度でした。こうした小さな銀河が合体しながら、現在の銀河がつくられていったのかもしれません。

スピッツアー宇宙望遠鏡による観測結果も加味すると、これらの銀河に含まれる星の中には、この時代からさらに3億年さかのぼった頃に誕生したものもあるとのことです。おそらく、宇宙で最初の星が誕生した時代の星々です。

ビッグバンによって誕生した宇宙では、最初の3分間で水素やヘリウムなどの軽い元素がつくられました。約38万年後には宇宙の温度は3000度にまで下がり、陽子と中性子が結合して水素原子ができました。その後、最初の銀河や星が誕生すると、星の紫外光で宇宙は再び温められ、中性の水素原子は電離されました。これを「宇宙の再電離」といいます。これが起こったのは宇宙誕生後4億年から9億年の間と考えられています。

観測チームのリーダーの1人であるアリゾナ州立大学のロジャー・ウインドーストは、「われわれは宇宙の再電離の終わりの時代を見ているのかもしれない。あるいは、再電離の時代に入ってしまっているかもしれない」と語っています。これからも、さらに遠方の銀河が観測され、銀河の誕生と進化のプロセスが明らかになっていくと思われます。

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