ソユーズMS-10緊急帰還:国際宇宙ステーションが無人になる可能性も

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    Soyuz MS-10 Launch FailureThe ISS will become Unmanned

     

    1011日のソユーズMS-10 の打ち上げ緊急中断により、最悪の場合、国際宇宙ステーション(ISS)は無人になる可能性もあります。

     

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    ソユーズMS-10は打ち上げ約2分後にロケットに問題が生じ、搭乗していたロシアのアレクセイ・オブチニン宇宙飛行士とNASAのニック・ヘイグ宇宙飛行士は緊急帰還しました。ソユーズロケットとソユーズ宇宙船には、打ち上げ時に異常が発生した際の飛行中止・緊急帰還の対応策がいくつも設定されています。今回もそうした安全システムが的確に作動し、1975年以来となる打ち上げ直後の緊急帰還に成功しました。打ち上げから34分後にカプセルが緊急着陸した場所にはすぐに回収チームが到着し、クルーはすぐに救援されました。

     

    ロケットの打ち上げは100%の成功が保証されているわけではありません。緊急事態発生に対応するロシアのシステムの手際の良さは、ロシアの有人ロケット打ち上げの信頼性の高さを示すものでもありますが、一方、いくつかの心配も生起されています。

     

    1つは、ISSが無人になる可能性です。

     

    現在ISSには、第56/57次長期滞在クルーの3名の宇宙飛行士が滞在しています。ESAのアレクサンダー・ゲルスト宇宙飛行士、ロシアのセルゲイ・プロコピエフ宇宙飛行士、NASAのセリーナ・オナン・チャンセラー宇宙飛行士です。第55/56長期滞在クルーは地球に帰還したところであり、代わりに第57/58次長期滞在クルーの2名がISSに到着するはずでした。ソユーズ宇宙船の性能保証日数は約200日であり、今年の611日にISSに到着した第56/57次長期滞在クルーは12月に帰還しなければなりません。帰還を多少先に延ばすことは可能ですが、ソユーズ宇宙船の耐用日数のほか、帰還地であるカザフスタンの真冬の気候は非常に厳しいため、気象条件の面でも帰還のリスクが高くなります。

     

    ISSへクルーを輸送する手段は、現在ソユーズ宇宙船しかありません。NASAが進めている民間の宇宙船によるISSクルーの輸送計画は最終段階に入っていますが、ボーイング社、スペースX社とも、ISSへの人員輸送サービスを開始するのは2019年第2四半期になる模様です。したがって、もしも今回の打ち上げ失敗の原因調査の結果、ソユーズロケットの打ち上げ再開に時間がかかることになれば、ISSは無人となってしまいます。

     

    2つ目は、ロシアの宇宙開発体制に対する不安です。

     

    ロシアの有人宇宙開発は長い歴史をもち、非常に信頼性の高い技術を持っています。しかしながら、長期にわたる予算不足などにより、新しい計画への取り組みの遅れや現場での士気の低下が進んでいます。829日にISSで空気漏れが発生しましたが、原因はドッキングしているソユーズ宇宙船に小さな穴が空いていたためでした。ロシア側は、この穴はソユーズ宇宙船製造時に宇宙船内部からドリルによって空けられており、工場での「サボタージュ」によるものとしています。空気漏れの原因となった穴は緊急処置でふさがれていますが、宇宙船の外側がどうなっているかは分からず、近く船外活動によって確認する予定でした。今回の打ち上げ失敗は、この船外活動にも影響を与えることになると思われます。

     

    ISSの安全な運用や今後の月周回宇宙ステーションの建設に、ロシアは大きな役割を果たすことが期待されています。しかし、ロシアの宇宙開発は構造的問題を抱えているのが実情です。



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