火星15:北朝鮮の新しいICBM(1)

1

Hwasong 15North Korea’s brand new ICBM

 

 北朝鮮が発表した写真と映像から、火星15 について分かることをまとめてみました。

 

20171201_01

 

北朝鮮が1129日に発射した火星15は新型のICBM(大陸間弾道ミサイル)と考えられています。上は発射準備中の画像で、火星15 の背後には東の空から上ってきたオリオン座が輝き、その左にはシリウスがひときわ明るい光を放っています。

 

火星15 はロフテッド軌道で高度4400km 以上に達し、発射場所の平城付近から約1000km離れた青森県西方約250km の排他的経済水域(EEZ)内に落下しました。これをミニマムエナジーの角度で発射した場合、飛距離は13000km に達するとみられています。アメリカ本土全域に到達可能となります。

 

火星15 2段式の液体燃料ミサイルで、直径は約2.5m、全長は約21m とみられます。火星14 より全長は約2m 長く、第1段の直径も太くなっています。また、火星15 の第2段の直径は第1段と同じです。アメリカ本土のいかなる場所も核攻撃できる飛距離を得るため、後述するように第1段のエンジンが強化され、推進剤タンクも大きくなっています。第2段もかなり増強されていると考えられます。

 

20171201_02

 

火星15が新型のミサイルであることは、胴体に描かれたシリアル番号からもわかります。2017514日に打ち上げられた火星12 のシルアル番号は「11831551」、829日に打ち上げられて北海道上空を通過した火星12 のシリアル番号は「11831851」、74日に打ち上げられた火星14 のシリアル番号は「36311771」でした。北朝鮮のシリアル番号のルールはわかりませんが、おそらく「1183」が火星12、「3631」が火星14 を示すと考えられます。火星15 は「11111701」でしたので、「1111」が火星15 を示し、「1701」はその最初の機体と考えられます。北朝鮮にとってまさに”brand new” のミサイルといえます。

 

20171201_03

 

発射準備および上昇中の画像からは、火星15 の第1段には2基のエンジンがあることがわかります。

 

20171201_04

 

火星14 の第1段は旧ソ連時代に開発されたRD250 エンジンを1基搭載しています。R250 エンジンはソ連のICBM であるR36R36 シリーズの初期タイプ)に使われていたエンジンで、2基が対になってRD251 というエンジンになり、R36 はこのRD251 3基(すなわちRD250 6基)使われていました。R36 の発射時総重量は約1800t とされていますので、RD250 1基用いて発射可能な重量は3040t と考えられます。これはすでに火星14 の重量くらいですから、火星14 には今後の伸びしろ(飛行距離の増大、弾頭重量の増加)はあまりないと考えられます。火星14 は飛距離1km程度(弾頭の重量によってはそれ以下)のICBM という位置づけになるのではないでしょうか。すなわち火星14でアメリカ東海岸を攻撃するのは無理ということになります。

 

そこで火星15 は第1段にメインエンジン2基を搭載しました。RD250 2基採用したのか、RD251 を改良したのか、あるいは別のエンジンなのか、今のところ明らかではありません。しかしながら、同じエンジンを用いて、2つのタイプの弾道ミサイルを同時開発することは合理的とは考えられず、何らかの方法でRD250 とは別系統のエンジンの技術を入手したのではないかと思われます。

 

火星14 の第1段には、RD250 の他に、姿勢制御のために4基の小型エンジンが用いられていました。しかし火星15 ではこうした小型エンジンは見られず、姿勢制御にはメインエンジンの噴射方向を変えるジンバル機構が採用されているとみられます。この機構はRD250 にはなく、北朝鮮が新たなエンジン技術を手に入れている証拠です。

 

火星15 の第2段に関しては、火星14 と同様、ほとんどわかっていません。火星14 のエンジンは2基、火星15 ではそれが4基になったという見方もあります。

 

ICBM では弾頭基部に、弾頭を分離する前に再突入の軌道を調節するPBS(ポストブーストステージ)が必要です。北朝鮮がこの技術をマスターしているかどうかは分かりませんが、何らかの開発はしているとみられます。ただし、火星15 の弾頭基部にはアクセスパネルとみられる個所が左右に2か所見られますが、推進剤注入口らしきものは見られません。

 

火星15 TEL(輸送起立発射機)は北朝鮮が自国の技術で製造したものとされ、918輪という世界でも例のない大型のものです。火星14 の発射では816輪のTEL が用いられていました。この車両は2012年の軍事パレードに登場した際、中国の大型トラックを「民生用」と偽って輸入し、TEL に改造したものであることが明らかになっています。火星15 の全長が長くなり、重量が増したことから、16輪のTEL では運搬できず、新たなTEL が必要になったわけです。

 

また、火星15 を垂直に立てる際にも、これまでの16輪のTEL では重量のバランスをとることができないことは、起立させている様子から明らかです。18輪のTEL でも車両前部は浮いています。火星15 はかなりの重量があるため、ミサイルを起立させるための油圧システムもパワー不足だったかもしれません。

 

火星14 と同様に、火星15 を起立させるためには、TEL をコンクリート舗装面の端に止め、発射機を一段低くなった場所に設置します。下の画像を見ると、発射機の下に何本もの材木を挿入して水平をとっています。これは実戦では考えられないことで、この超大型TEL による火星15 の発射システムはまだ開発途上のようです。

 

20171201_06

 

火星15 が垂直に固定されると、車両は発射機から離れ、発射が行われました。

 

20171201_07

 

映像から計測したところ、第1段の燃焼時間は28秒ほどでした。



calendar

S M T W T F S
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  
<< May 2018 >>

selected entries

categories

archives

links

profile

書いた記事数:53 最後に更新した日:2018/05/21

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM