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木星の衛星エウロパから噴き出す水のプルームを確認
Water Plumes Erupting on Jupiter's Moon Europa

NASA はハッブル宇宙望遠鏡による観測によって、木星の衛星エウロパの南極域から噴き出す水のプルームを確認したと発表しました。下の画像は2015年1月26日に観測されたもので、ハッブルのデータにガリレオ探査機によるエウロパ本体の画像が合成されています。7時の方向に見られるいくつかの明るい部分が、水のプルームと考えられています。

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下の画像は、プルームの想像図です。観測されたプルームは高さ160km にも達するとのことです。

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下の画像は、エウロパ表面から見たプルームの想像図です。

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エウロパは木星の4大衛星(ガリレオ衛星)の1つで、表面は氷におおわれています。しかし、その内部には海(液体の水の層)があると考えられています。木星による潮汐力のためにエウロパがもまれて内部に熱が発生し、氷の下の層がとけて液体になっているのです。エウロパの海には生命が存在するかもしれないと考えられ、多くの科学者が関心を寄せています。

下の図は、エウロパの内部構造を示したものです。エウロパの半径は1565km で、中心部には金属のコアがあります。その上には岩石層(マントル)があり、表面は厚さ10〜30km の氷におおわれています。氷の層の下部は溶けて液体の水になっています。海の深さは160km に達するともいわれています。

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エウロパ内部の海から氷の層の亀裂をつたって液体の水が上昇し、プルームとなって宇宙空間に噴き出していると考えられます。

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エウロパの南極域から噴き出す水のプルームについては、やはりハッブル宇宙望遠鏡の観測によって、別のチームが2012年に報告しています。この時にとらえたプルームは1回だけでした。今回の観測は、2013年12月に1回、2014年1月に1回、3月に2回、4月の3回、5月に1回、2015年1月に1回、3月に1回と合計10回行われ、2015年1月26日、3月17日、4月4日にプルームが観測されました。エウロパでのプルーム現象はひんぱんに起こっていると考えられます。また、南極域だけでなく、赤道に近い場所でもプルームが確認されています。

今回の報告によって、エウロパにプルームが存在することが確認されました。このことはNASA が2020年代に打ち上げを考えているエウロパ探査機にとって大きな意味をもっています。この探査機は木星を周回しながら、何度もエウロパに接近して観測を行います。かつてはエウロパの海を調べるために、表面に着陸してドリルで氷の層を掘削し、内部の海に無人潜水艇を送りこむというミッションも考えられましたが、多くの困難があり、このアイデアはなくなりました。しかし、今回の発表により、エウロパに接近してプルームの成分を調べれば、内部の海が生命に適した環境であるかどうかを知ることができることがわかったわけです。

今回、NASA は「エウロパについて驚くべき発見があった」と予告していたため、多くの人が「エウロパに生命の証拠を見つけたのではないか」と期待しました。結果はそうではありませんでしたが、惑星科学にとって非常に重要な発見であることは間違いありません。また、NASA としてはエウロパ探査の意義や、引退が近づいているハッブル宇宙望遠鏡の運用をできるだけ継続することについての一般の理解を得たいという意図もあったと考えられます。

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