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キュリオシティ:シャープ山の麓で火星の過去を探る
Curiosity:Sedimentary layers of Mount Sharp

火星のゲール・クレーターに着陸したキュリオシティは、現在、シャープ山の麓まで移動し、活動を続けています。ゲール・クレーターは直径が約154キロメートルあり、中央にシャープ山がそびえています。シャープ山の高さはクレーターの底から5.5キロメートルあります。

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シャープ山の形状は独特です。小天体が衝突してクレーターが形成される際にクレーターの底が盛り上がってつくられる中央丘(セントラル・ピーク)の尖った形ではなく、巨大な山塊となっています。しかも、その山塊が堆積層でできているらしいことが、火星周回機の観測で以前からわかっていました。下の画像は、マーズ・オデッセイのTHEMIS のデータから作成されたシャープ山の画像です。クレーター内から南西方向を見ており、左奥にシャープ山が見えます。手前に堆積層が広がっているのがわかります。

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キュリオシティがシャープ山の麓で見つけた岩石は興味深いものでした。下の画像のように、明らかに水の存在下でできた堆積岩が見られます。堆積岩は薄い層が多数重なっており、この地域に長い間水が存在し、繰り返し土砂が堆積したと考えられます。この地層の観測によって、ゲール・クレーター内の一番古い時代の情報が得られるでしょう。

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こうした堆積岩の地層がどのようにしてつくられたのかに関して、キュリオシティのサイエンス・チームのAshwin Vasavana は、火星表面に水が存在した時代に、ゲール・クレーターは湖であったという考えを述べています。

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雪解けの水がクレーターの北側から流れこみ、それにともなって運ばれた土砂が堆積して、キュリオシティが観測した堆積層がつくられたというわけです。さらに、こうした堆積が長い間継続した結果、クレーターの中央にそびえるシャープ山もつくられ、現在の地形になったというのです。

ゲール・クレーターのリム(縁)の高さは南側では5.5キロメートルありますが、北側は4.5キロメートルほどです。つまり、シャープ山は北側のリムよりも高いことになり、Vasavana が述べているように、湖での堆積物の集積によってシャープ山ができたとすると、山体をさらに押し上げる何らかのメカニズムが必要です。このあたりがどのように説明されるのか、興味がもたれます。

ゲール・クレーターができたのは38億〜36億年前と考えられています。たび重なる小天体の衝突で多数のクレーターがつくられたノアキス期が終わる頃、あるいは終わった時代です。ゲール・クレーターにはこれまでも多くの研究者が興味を示してきました。これまでの研究で、クレーター全体が堆積物でおおわれた時代があり、その後の浸食でシャープ山ができたという説が発表されています。また、別の説では、クレーター内に氷と土砂の層が何度も形成され、氷が融けるにしたがって、セントラル・ピークにキャップをかぶせるようにして堆積物が集積していったという説もあります。

いずれにしても、シャープ山の基盤は衝突でできたセントラル・ピークであるものの、その上には何億年もの間に形成された地層が存在すると考えられます。つまり、シャープ山は火星の遠い過去の地層でできていると考えられるのです。実は、この点こそが、キュリオシティの着陸地点にゲール・クレーターが選ばれた理由でした。

キュリオシティは近いうちに、当初の目的であるシャープ山の登攀をはじめることになります。それは、麓の地層ができた時代から、より新しい時代へと、火星の歴史をたどる旅になります。火星の環境がいかに変化したかがわかってくるでしょう。過去の火星には生命に適した環境があったかもしれません。そこで生命が誕生したとしたら、その痕跡――有機物を、キュリイシティは見つけてくれるかもしれません。

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