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最古の鳥
Earliest bird?

少し前の話になってしまいますが、中国で発見された「最古の鳥」に関する話題をご紹介しましょう。

鳥の祖先はジュラ紀中期に獣脚類の恐竜から分かれ、ジュラ紀末期にかけて多様化したと考えられています。恐竜から分かれた鳥のグループのうち、最も古いとされているのが始祖鳥(アルカエオプテリクス)です。始祖鳥は、約1億5000万年前に生きていた生物です。

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しかしながら、羽毛恐竜の発見によって、近年では鳥に限りなく近い恐竜と、恐竜に限りなく近い鳥との間に境界線を引くことが難しくなってしまいました。今から2年前のことです。中国科学院古脊椎動物・古人類学研究所の徐星らは、『ネイチャー』誌の2011年7月28日号で、中国遼寧省で発見された新しい羽毛恐竜シャオティンギアについて報告しました。この化石は約1億5500万年前のものでした。

徐らは、シャオティンギアや始祖鳥、2009年に発見されたアンキオルニス(近鳥竜)などを含めたコンピューター系統解析を行い、これらはいずれも鳥類ではなく、ミクロラプトルやその他のドロマエオサウルス類、さらにはトロオドン科の仲間などを含むデイノニコサウリアという獣脚類の仲間であると位置づけました。つまり、始祖鳥は鳥ではなく、恐竜ということになってしまったのです。

始祖鳥は現生の鳥類の直系の祖先ではないと考えられていますが、それでもほとんどの研究者は、これまで発見された化石の中で、始祖鳥が最古の鳥であると考えていました。ところが、この論文で、始祖鳥は鳥の世界を追われてしまいました。もちろん、この解析結果について異論が出され、結論には至っていません。

今年5月29日付の『ネイチャー』誌電子版で、王立ベルギー自然科学研究所のパスカル・ゴドフロワらは、中国遼寧省で発見された新しい原鳥類の化石について報告しました(本誌では6月20日号に掲載)。アウロルニス(夜明けの鳥)と名づけられたこの化石は、約1億6000万年前のものと報告されています。

コンピューターによる系統解析の結果、ゴドフロワらは、アウロルニスが最も古い鳥であると結論づけました。この系統分析では、始祖鳥やシャオティンギア、アンキオルニスも鳥群に位置づけられています。鳥群で最も古いのがアウロルニス、次がアンキオルニス、その次が始祖鳥、そしてシャオティンギアという順番になりました。また、トロオドン科の恐竜が鳥に一番近い位置にきました。ゴドフロワらの論文によって、始祖鳥はふたたび鳥になりましたが、最古の鳥という地位に戻ることはできませんでした。

この論文が『ネイチャー』誌の電子版で発表された同じ日に、『サイエンス』誌のオンラインニュース「サイエンス・ナウ」には、「アウロルニスの化石は1億2500万年前のものかもしれない」という記事が投稿されました。実はゴドフロワらも、『ネイチャー』誌に掲載された論文ではふれていないものの、オンラインで閲覧可能な補遺では、この化石が報告された年代より3500万年若いかもしれない可能性について触れています。

『サイエンス』誌6月7日号には、「サイエンス・ナウ」の内容を補足した記事が掲載され、なぜこうした問題がでてくるかの背景について説明されています。一番の問題は、中国で次々と発見される羽毛恐竜や原始的な鳥の化石のほとんどが、研究者が地層を発掘して発見したものではなく、現地の農民が発見し、それを化石ディーラーに売ったものを、研究者が購入しているという事実です。アウロルニスも化石ディーラーからゴドフロワらの手に渡りました。化石が出土したとされる地層の情報もディーラーから得られたものでした。ゴドフロワはそれをもう一度調査し、1億6000万年前のものと結論づけたのです。

遼寧省では化石がビジネスになっており、ブラックマーケットまで存在すると『サイエンス』誌は書いています。そのため、現地では偽物の化石まで出まわっています。そのようなフェイクの化石が大きな話題になったのは、「アルカエオラプター事件」でしょう。「アルカエオラプター」の化石は中国から違法にアメリカにもちだされ、査読のある学術ジャーナルから論文掲載がリジェクトされたにもかかわらず、「鳥と恐竜のミッシングリンクを発見」として『ナショナルジオグラフィック』誌の1999年11月号に発表されました。しかし、その後、この化石は複数の生物(その中の1つはミクロラプトルといわれています)を人工的に組み合わせたものであることが明らかになりました。

研究者が化石の入手を現地の農民や化石ディーラーに依存せざるを得ない状況下では、科学的チェックが厳密に行われないと、こういう問題がでてきます。何らかの対策が必要と、『サイエンス』誌は指摘しています。

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