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カロリス・ベイスン:太陽系最大級の衝突跡
Caloris Basin:One of the Largest Impact Basins in the Solar System

太陽系の一番内側をまわる水星の探査は、1974〜75年のマリナー10号以来しばらく行われませんでしたが、2004年に打ち上げられたNASA の水星探査機メッセンジャーは3回の水星フライバイ(2008年1月、2008年10月、2009年9月)をへて、2011年3月に水星を周回する軌道に入り、興味深いデータを次々と送ってきています。

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最近、カロリス・ベイスン(カロリス盆地)の全貌を示す高解像度モザイク画像が発表されました。

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カロリス・ベイスンは太陽系最大級の衝突跡です。今から約38億年前の後期重爆撃期の大衝突でできたと考えられています。月の巨大ベイスンと同じように、衝突によってできたくぼみを、その後溶岩が埋めたために、平坦な地形ができました。ただし、衝突跡を埋めた溶岩は月のように暗くはなく、アルベド(反射能)は周囲よりも高く、明るく見えます。カロリス・ベイスンのほぼ中央には放射状に溝が分布した地形があり、パンテオン・フォッサとよばれています。この溝はカロリス・ベイスンの拡大によってできたと考えられています。パンテオン・フォッサの中心にはアポロドーロスという直径40km のクレーターがあり、このクレーターがパンテオン・フォッサをつくったように見えますが、両者は関係なく、パンテオン・フォッサの方が古い地形です。アポロドーロスの南東には直径100km のアジェというクレーターがあり、その周囲は衝突の際の噴出物でおおわれています。古い地形のわりに、クレーターが少なく、平らな表面が残っているのもカロリス・ベイスンの特徴です。

下の画像は、カロリス・ベイスンの画像を色処理したもので、ベイスンとその周囲の物質の違いが際立って示されています。

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カロリス・ベイスンは1974年にマリナー10号によって発見されました。下の画像がそのときのものです。このとき、マリナー10号はカロリス・ベイスンの東の部分をとらえただけで、ベイスン本体は影の部分に入っていて、撮影することができませんでした。

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2008年にメッセンジャーによってカロリス・ベイスンの全体像が明らかになりました。その結果、ベイスンの直径はマリナー10号の画像からの推測値である1300km よりも大きく、1550km であることが明らかになりました。水星の直径の約4分の1の大きさです。

マリナー10号の画像の画像でよく見えているように、カロリス・ベイスンは衝突によってできた多重リングをもっており、直径930km の月のオリエンターレ・ベイスンに似ています。

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しかし、カロリス・ベイスンは月の巨大クレーターやベイスンとはことなる特徴を多くもっているようです。パンテオン・フォッサのほかにもいくつかのタイプの地溝があり、月の海にみられるようなリンクルリッジもあります。

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これらの複雑な地形は、水星初期の歴史を反映していると思われます。また、ベイスン内のクレーターの中には、内部が暗く見えているものもあり、ベイスンを埋めた溶岩の下の物質が衝突によって表面にあらわれているようです。

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