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アノマロカリス:高度な視覚をもった捕食者
オーストラリアのニュー・イングランド大学、サウス・オーストラリアン博物館、アデレード大学、そして大英自然史博物館の研究者らは、オーストラリア、カンガルー・アイランドの5億1500万年前の地層から発見されたアノマロカリスの化石について報告しています。アノマロカリスはカンブリア紀初期、いわゆるカンブリア紀の大爆発の時代の最強の捕食者として知られています。体長は約1m あり、10cm ほどの大きさの三葉虫を食べていたことを示す化石も残っています。

Anomalocaris

今回発見された化石は保存状態が非常によく、直径2〜3cm もあるアノマロカリスの大きな眼が複眼であることを確認できただけでなく、その細部の構造までを調べることが可能でした。下の写真が、アノマロカリスの眼の部分で、右下の拡大写真には、複眼の各レンズの存在が明瞭に見えています。

Anomalocaris

この複眼を走査型電子顕微鏡で調べた結果は、『ネイチャー』誌の12月8日号で発表されました。それによると、アノマロカリスの複眼は少なくとも1万6700個の個眼をもっていました。六角形をしてびっしり並んでいるそれぞれの個眼は直径が0.07〜0.11mm、長さは約3cm もありました。

大英自然史博物館のGreg Edgecombe は、今回の発見はアノマロカリスが節足動物(昆虫やエビ、カニ、クモ、三葉虫などの仲間)と近縁であることが確認された点できわめて重要であると述べています。また「節足動物の進化の過程で、複眼は硬化した外骨格や脚などよりも早い段階で発達したのであろう」とも述べています。

リチャード・フォーティは『三葉虫の謎』(早川書房)の中で、三葉虫類の最古の仲間の1つで、その化石が5億4000万年前までさかのぼるモロッコ産のファロタスピスは非常に大きな眼な眼をもっており「カンブリア紀初期の最初の三葉虫がすでに精巧な視覚系をもっていた」と書いています。初期の節足動物がいつ頃、いかにして複眼を獲得したかは、硬い骨格がなかったために化石がほとんど残されていない先カンブリア時代にまでさかのぼるきわめて興味深いテーマです。

サウス・オーストラリアン博物館のアーティスト、カトリーナ・ケニーさんの描いたアノマロカリス(一番上のイラスト)は、論文が掲載された『ネイチャー』誌の表紙を飾りました。

nature_111208_cover

アノマロカリスは私たちと同じくらいの視力をもっていたと考えられています。しかもその視野は非常に広く、動くものを見つけ出すのに適していました。高度な視覚をもったアノマロカリスの登場は、カンブリア紀初期の捕食者と被捕食者間の軍核競争に大きな影響を与えたと考えられます。

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