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フォボス・グルント、地球脱出は困難か?
11月9日に打ち上げられたロシアの火星探査機フォボス・グルントは、まだ地球を周回する軌道にあり、交信ができない状態がつづいています。RIA ノーボスチが伝えた最新情報によると、フォボス・グルントが火星に向かうためのウインドウは今日で閉じてしまうとのことで、これが事実なら、火星の衛星フォボスのサンプル・リターンを目指す野心的なミッションはもはや実現不可能ということになってしまいます。

Phobos-Grunt

フォボス・グルントはバイコヌール宇宙基地から2段式のゼニット・ロケットによって打ち上げられました。打ち上げ後688秒でゼニット第2段からの切り離しが行われ、フォボス・グルントは207×347kmの地球周回軌道に入りました。この後、フォボス・グルントのMDU 推進ユニットは、250×4170kmへの軌道変更と火星への軌道投入のため、2度のエンジン噴射を自動で行うことになっていました。しかし、エンジン噴射は行われませんでした。

MDU は、人工衛星の軌道投入に用いられフレガット上段ロケットを惑星間航行用に増強した推進ユニットです。フレガットは先日、フランス領ギアナのクールー宇宙センターから打ち上げられたソユーズ2ロケットの第4段として搭載されていました。

ロシア連邦宇宙庁によると、フォボス・グルントは姿勢制御ができない状況にあるとのことです。太陽電池板が太陽の方向を向いておらず、そのため電源が低下し、セーフモードに入っているようです。原因はフォボス・グルントのフライト・コンピューター「BKU」にあるとの見方もあり、地上からBKU を再起動させるコマンドも送られていますが、まだ反応はありません。

フォボス・グルントは火星の衛星フォボスからのサンプル・リターンを目指しています。計画では2012年9月に火星周回軌道に入り、MDU と中国の火星周回衛星を切り離し、2013年2月にフォボスに着陸。サンプルを採取した後、探査機上段の帰還機がフォボスを離れて地球に向い、2014年8月にサンプルの入ったカプセルを地球大気圏内に投下させる予定です。

フォボス・グルントは以下のような構成になっています。

Phobos-Grunt

ロシア科学アカデミーの宇宙科学研究所(IKI)がこのミッションを進めており、探査機自体はこれまでロシアの多くの惑星探査機を開発してきたNPO ラボーチキンが担当しています。

IKI は1988年に、フォボスをターゲットとした2基のフォボス探査機を打ち上げました。フォボス表面に接近し、レーザー照射などによって、フォボスの組成を調べる計画でした。しかし、フォボス1 は1988年9月2日に通信が途絶しました。フォボス2 は1989年1月に火星周回軌道に入り、火星やフォボスの写真撮影を行いましたが、3月27日にやはり通信が途絶しました。1996年には、国際協力による火星探査機マルス96 が打ち上げられましたが、これも打ち上げ後すぐに通信が途絶してしまいました。

ロシアの惑星探査計画はソ連の崩壊とその後の経済事情の中で、非常に厳しい時代を経験してきました。フォボス・グルントはフォボス96 以来久しぶりの惑星探査ミッションです。IKI はこの成果に大きな期待をかけられていたと思われるだけに、このミッションが失敗に終わるようなことになれば、とても残念です。

このままでは、フォボス・グルントは1月には地球に落下してきます。ロシア連邦宇宙庁は、それまでに交信を確立することが可能という見方をしています。

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