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スペースシャトルの打ち上げ費用
最近、スペースシャトルの打ち上げ費用がどのくらいなのかという問い合わせをもらうことが何度かありました。どこまでを打ち上げ費用に含めるかによって、数字がことなってきますが、私はNASA の予算中のシャトル関連の費用を基準に考えています。

スペースシャトルを打ち上げるためには、射場、整備、管制、訓練などたくさんの施設を維持し、そこで働く多数の人員を年間を通じて確保しておかなくてはなりません。これらがシャトルの予算の大半を占めており、打ち上げ回数が増えても、かかる費用が急増するということはありません。シャトルの予算の中には運用に関するもののほかに、安全対策やシャトルシステムのアップグレードなどの費用も入っています。これらを打ち上げ費用から外すという考え方もあるかもしれませんが、そこまで細かく考える必要はないでしょう。

2003年のコロンビア事故以前のシャトル関連の予算を調べてみたところ、1993年〜2002年は平均で年間約33億ドルでした。この額は年によって多少増減がありますが、大きな変動はありません。この期間のシャトルの打ち上げ回数は年平均で約6回でした。したがって、シャトルを1回打ち上げるのに5.6億ドルほどかかったことになります。2005年のReturn to Flight 以後の状況(2005年〜2010年)をみると、シャトル関連の予算は年平均で約38億ドル、打ち上げ回数は年平均約3回になっています。したがって、1回の打ち上げ費用は約12億ドルということになります。

spaceshuttle_cost

コロンビア事故後、シャトルの打ち上げ費用は以前の2倍になっています。これは、シャトルの飛行を再開させるものの、国際宇宙ステーション(ISS)を完成させた後、退役させるという方針が確定したため、打ち上げ回数が減ったことがきいています。コロンビア事故後、シャトルの打ち上げ費用が高くなったことがシャトル退役の理由になったわけではありません。打ち上げ費用の高騰は、シャトル退役が決まったことの結果であるわけです。

スペースシャトルが開発されていたころは、打ち上げ回数は年間約50回(ほぼ毎週)とされていました。これが1981年の初飛行当時には年間24回(1か月に2回程度)となりました。しかし、実際には1986年のチャレンジャー事故によって、これだけの頻度で飛行を行うことは不可能になりました。年間の運用費は打ち上げ回数によってそれほど大きく変動はしませんから、シャトルが就航した当時の打ち上げ費用は、上と同様の計算でいけば、今よりもかなり安くなります。しかし、いろいろ資料を調べてみると、当時の打ち上げ費用は今と同じくらいの額が想定されていたようです。

スペースシャトルの打ち上げ費用を高いと判断するかどうかは、考え方によって違ってくるでしょう。ソユーズ宇宙船のような使い捨て型の方がはるかに安いのは事実です。しかし、1度に7名もの宇宙飛行士と、20t 以上もの荷物を同時に宇宙に運び、ハッブル宇宙望遠鏡の修理などの作業を行うことができる宇宙船は、スペースシャトル以外にはありません。シャトルの宇宙船としての評価は、打ち上げ費用だけでなく、多面的に行われるべきと思います。

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