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ヴィクトリア州立図書館
今、メルボルンに来ています。以前、シドニーに住むオーストラリア人に、メルボルンとはどういう町かと聞いたことがありました。彼の答は、次のようなものでした。「世界の果てさ。昔、なんといったっけ、あの映画がつくられたくらいだから」 その映画とは、スタンリー・クレーマー監督の『渚にて(On the Beach)』(1959年)です。

日本古典SF 研究会の『未来趣味』第10号に書いたことがありますが、東西冷戦と原水爆実験の時代であった1950年代には、核戦争による世界の滅亡をテーマにした映画が何本も制作されています。『渚にて』はその最初のものではありませんが、メジャーが制作した映画として、それらの中で最もよく知られています。多くのリメイクもつくられました。

『渚にて』の原作はネビル・シュート。米ソの核戦争で世界は滅亡し、唯一、オーストラリアだけがまだ破滅をまぬがれています。とはいっても、放射能の灰はここにも確実にやってくるので、人々は死を待つほかはありません。核戦争勃発時に潜航中だったために生き残ったアメリカの原子力潜水艦「ソードフィッシュ」はメルボルンにやってきます。「ソードフィッシュ」の艦長タワーズを演じているのがグレゴリー・ペック、タワーズと出会う女性モイラを演じているのがエヴァ・ガードナーです。

メルボルンを舞台にしたこの映画のラストシーンはとくに印象的です。無人となった市街の光景が映し出され、ある建物の前に「まだ時間はある」という横断幕が静かに風にゆらいでいるところで、映画は終わります。

On_the_Beach

この最後のシーンの撮影は、メルボルン市内にあるヴィクトリア州立図書館で行われました。下の写真は、私が空港からホテルに向かう途中、タクシーの窓から撮影した州立図書館です。

State_Library_Victoria

ちなみにこの『渚にて』はアメリカ海軍の協力は得られず、オーストラリア海軍の協力によってつくられました。当時のアメリカには、核戦争が起こっても自分たちは生き残れるという楽観論があり、この映画のメッセージには批判的な風潮があったようです。しかし、映画公開から間もない1962年10月にキューバ危機がおこり、アメリカは本物の核戦争の恐怖に直面することになったのです。これをきっかけに米ソ間にホットラインが設けられ、両国とイギリスは部分的核実験停止に合意することになりました。

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