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レアアース:未来のための元素戦略
尖閣諸島の一件以来、レアメタルあるいはレアアースが話題になっています。地殻中の存在量が少なく、生産量も少ない非鉄金属をレアメタルといいます。発光ダイオードや磁石などに使われたり、強度を増したりさびにくくするために構造材に加えられたりします。レアアース(希土類元素)はレアメタルに属するグループで、磁石や触媒などに微量を加えるだけで、その性能を飛躍的に向上させる性質をもっています。日本の工業製品にはレアメタル・レアアースがさまざまな形で使われています。

報道によると、政府はレアアースの共同開発でベトナム政府と合意する方針とのことです。日本はレアアースの輸入をほぼ中国1国に頼ってきたために今回問題になっているわけですから、脱中国依存のためにこうした対策をとるのは意味のないことではありません。しかし、これはあくまで対症療法のようなものであることを忘れてはなりません。レアメタル・レアアースを供給してくれる国をいくら増やしても、今のままでは、日本の産業が必要とするレアメタル・レアアースがいずれ不足することは目に見えています。もっと抜本的な対策を展開していく必要があります。

レアメタル・レアアースの輸入に頼らない抜本的な対策とは何でしょうか。1つは、廃品となった携帯電話などレアメタル・レアアースを使っている工業製品からそれらの元素を回収してリサイクル利用をすること(レアメタル・レアアースを含む工業製品を「都市鉱山」とよぶことがあります)、もう1つは、これが一番大事ですが、レアメタル・レアアースを必要としない、あるいは使用量を大幅に減らす技術を開発することです。

日本でこうした取り組みがなされていないのかというと、そのようなことはありません。2007年から文部科学省は「元素戦略」、経済産業省は「希少資源代替材料開発」というプロジェクトをスタートさせています。そして、今年4月の事業仕分け第2弾で、組織の存続さえ危ぶまれるような集中攻撃を民主党議員や仕分け人から受けた物質・材料研究機構(NIMS)こそが、この取り組みにきわめて重要な役割を果たしているのです。

ぜひ物質・材料研究機構のサイトを訪問して下さい。現在は「レアメタル・レアアースとNIMSの研究」という特集が組まれていて、レアメタルやレアアースに関する情報が満載されています。

この特集の最初には、2つのプレスリリースが掲載されています。8月30日は「重希土類元素ジスプロシウムを使わない高保磁力ネオジム磁石」についてのもの、10月5日は「従来材料比10倍:熱凝集耐性排ガス触媒の開発に成功−レアメタル使用量削減へ道」です。いずれも物質・材料研究機構で行われていたレアメタル・レアアースを使わない、あるいは使用量を大幅に削減する研究で成果が得られたことを報告したものです。ちなみにネオジム磁石は、ハイブリッド車の駆動モーターに用いられています。

元素戦略プロジェクトに向けて物質・材料研究機構がまとめた『元素戦略アウトルック:材料と全面代替戦略』には、レアメタル・レアアースに関するデータや分析が詳細に書かれており、PDF 版をダウンロードすることができます。

NIMS

また、物質・材料研究機構には元素戦略センターも設置されており、レアメタル・レアアースの代替・減量・循環に関する科学的分析を行っています。

レアメタル・レアアース問題というのは資源問題そのものであり、限られた量しか存在しない「元素」をいかに有効に使っていくのかという視点が必要です。日本は世界のレアアースの半分を消費しているといわれています。レアアース鉱山を新たに開発するというだけでは、物事の解決にはなりません。物質・材料研究機構のような地味ではあるけれども、重要な役割を担っている研究機関で行われている研究をもっと大事にしていかなくてはいけません。

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