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天宮1号、来年1月か2月に地球に落下
China's Tiangong-1 falls to Earth

2016年3月に制御不能になった中国の軌道上実験モジュール、天宮1号は、現在1日に約160mずつ高度を下げています。10月11日の中国の発表によると、現在の平均高度は311km(近地点297km、遠地点325km)で、大気圏再突入は2018年1月か2月と予測されています。

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天宮1号は全長10.4m、重量8.5tで、大気圏に再突入した際、大部分は分解し、燃えつきてしまいますが、破片の一部は燃えつきずに海上または地上に落下する可能性があります。1997年には、電源に原子炉を使用していたソ連の衛星の一部がカナダに落下したことがあります。また、1998年にはアメリカの宇宙実験室、スカイラブの破片がオーストラリアに落下しました。

天宮1号の軌道傾斜角は43度です。したがって、赤道をはさんで北緯43度から南緯43度の間のどこかに破片が落下する可能性があります。大気圏再突入の直前にならないと、どこに落ちてくるかはわかりません。北緯43度というと、北海道の一番南にあたりますので、本州、四国、九州、沖縄が落下領域に含まれます。ただし、日本に落下する確率は1000分の1以下です。

天宮1号は主に神舟宇宙船のドッキング・ターゲットとして用いられた軌道モジュールです。実験装置や観測装置を多数搭載していたわけでなく、燃えつきずに落下してくる破片が多いとは考えられません。また破片は1箇所に落ちてくるのではなく、落下する経路にそってばらばらと落ちてきます。したがって、破片による人命被害や物的被害を過度に心配する必要はありません。

天宮1号の姿勢制御や軌道変更を行うロケットエンジンは、燃料にヒドラジンを使用しています。ヒドラジンは強アルカリ性の有害物質で、これに触れると、皮膚や粘膜はただれたり火傷のような状態になったりします。また、吸いこんだ場合には肺の組織が損傷したり、呼吸困難におちいったりします。1996年には中国の長征3号Bロケットの打ち上げが失敗し、ロケットは発射直後に近隣の村に落下しました。燃料のヒドラジンによって多数の死亡者が発生しました。

天宮1号の燃料タンクにはまだヒドラジンが残っている可能性がありますが、大気圏再突入の際、燃料タンクは破壊され、ヒドラジンはすべて燃えてしまいますので、地上に影響を与えることはありません。

天宮1号のような大きな宇宙構造物は、運用終了後、太平洋に制御落下させるのが常識です。2001年、ロシアはソ連時代から運用していた重量120トン以上のミール宇宙ステーションを、南太平洋に制御落下させました。燃えつきなかった破片は海上に落下しましたが、何の被害もありませんでした。中国は今後、独自の宇宙ステーションの建設を計画しています。運用終了後の軌道モジュールを安全に制御落下させる能力をもつことは、中国の宇宙開発にとって大きな課題です。

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