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カッシーニ・ミッション終了
Cassini ends its 13-year mission

土星探査機カッシーニは9月15日、土星大気に突入して、そのミッションを終えました。

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カッシーニは次第に濃くなる土星大気の中で分解し、燃えつきました。カッシーニからの電波は9月15日午後8時55分ごろに停止しました。土星から地球まで電波が届くのに約1時間23分かかるので、カッシーニは日本時間の午後7時32分ごろに通信機能が失われたことになります。

カッシーニ探査機は1997年10月15日に打ち上げられました。2004年に土星周回軌道に入り、以来13年にわたって土星とその衛星、そしてリングの観測を続けてきました。

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2017年4月26日、カッシーニのミッション終了に向けた軌道変更が行われました。土星を22周回後、9月15日に土星大気に突入させるための軌道変更です。タイタンやエンケラドスなど生命存在の可能性のある衛星に落下して環境を汚染しないよう、軌道変更の燃料があるうちに行われた措置でした。

カッシーニは多くの成果をあげていますが、初期の成果のハイライトは、ホイヘンス・プローブをタイタンに軟着陸させたことでしょう。これによって、オレンジ色のかすみがかかった大気の下のタイタン表面を、私たちははじめて見ることができました。

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カッシーニはその後、何回もタイタンに接近し、タイタン全体の地形を明らかにしました。

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カッシーニのもう1つの大きな成果は、エンケラドスで発見した間欠泉です。これによって、エンケラドスの内部には液体の海があることが分かりました。

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下の画像は、カッシーニが地球に送ってきた画像の中でも、特に感慨深いものです。2013年7月19日に撮影されたこの画像には、私たちの地球が写っています。矢印で示されたリングの下の小さな点が地球です。

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長期間のミッションを支えたカッシーニ・チームにはご苦労様というほかはありません。
北朝鮮の弾道ミサイル:火星12と火星14
北朝鮮は9月15日、弾道ミサイルを発射しました。ミサイルは日本列島の上空を越え、3700kmを飛行しました。中距離弾道ミサイル、火星12 の可能性があります。

北朝鮮の中距離弾道ミサイル火星12 と大陸間弾道ミサイルとされる火星14 は、ここで書いたように、最近登場した新しい系列の弾道ミサイルです。火星12 は1段式、火星14 は2段式です。火星14 は火星12 に第2段を追加しただけのように見えますが、両者の画像を並べて比較してみると、違いがよく分かります。

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火星12 の全長は16.5m、火星14 の全長は19.5〜19.8mとされています。火星12 と火星14 の第1段は全長が約13.5mと同じですが、火星14 の第1段の直径は火星12 より大きく、火星12 の直径1.5mに対して、火星14 の直径は1.7〜1.85mです。火星14 の直径が大きくなっているのは搭載する推進剤を多くし、射程を伸ばすためです。

火星12 と火星14 の第1段エンジンは同じもので、ソ連時代のICBM、R-36 で使われていたRD-250 エンジンです。RD-250 は燃焼室が2基ペアになっていましたが、北朝鮮で使っているのは、燃焼室を1基にしたバージョンです。このエンジンを北朝鮮はウクライナのブラックマーケットを通じて入手した可能性があります。入手時期は金正恩体制になってからのことと考えられます。火星12 と火星14 の第1段には、さらに方向を変えるためのバーニアスタスター4基が取り付けられています。これらのスラスターも第1段の推力に寄与しています。このスラスターはソ連の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)で使われていたR-27 のスラスターを用いている可能性があります。

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火星14 の第2段がどのようなエンジンを用いたものかは分かっていません。

火星12 は2017 年4月15日の軍事パレードで初めて登場しました。下の画像はその時の画像です。

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火星12 の弾頭部は小さく、小型化したブースト型原爆を搭載できるとしても、北朝鮮が水爆としているサイズの爆弾を搭載することは難しいかもしれません。

一方、火星14 の弾頭の形状は火星12 と大きく異なっています。下の画像は、火星14 を起立させる前の写真です。

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火星14 の弾頭基部の直径は1.3〜1.4mほどあります。これなら北朝鮮のいう水爆も搭載可能とみられます。実際に金正恩委員長が核開発の研究所を訪れた時の写真の背後に写っていたパネルには、火星14 に水爆を搭載した弾頭が描かれていました。

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火星12 は2017年4月に3回の発射実験を行ったようですが、いずれも失敗しました。しかし5月14日の発射実験では、高度2000km以上に達するロフテッド軌道をとり、水平距離787kmを飛行しました。また8月29日の発射では、日本列島を越えて水平距離2700kmを飛行しました。9月15日の発射では、飛行距離は3700kmに伸びています。

北朝鮮は火星12 の発射にあたって、推進剤の量を変えて飛行距離を調節しているようです。弾道ミサイルの射程は搭載する推進剤の量と弾頭重量によって変わるので、射程を正確に推定することは難しいのですが、地面との角度が30度〜45度のミニマムエナジー軌道で発射した場合、火星12 の最大射程は4500kmに達すると考えられます。

北朝鮮はすでに韓国を標的とした短距離弾道ミサイル、スカッドと、日本を標的とした準中距離ミサイル、ノドンを実戦配備しています。それよりも射程が長い中距離弾道ミサイルとしてはムスダンを開発してきました。ムスダンは2016年に8回、発射実験を行いましたが、そのうち1回しか成功せず、開発は難航している模様です。したがって、現在ではムスダンに代わって、火星12 が北朝鮮の中距離ミサイルの本命となっている可能性があります。

火星14 は2017年7月4日に最初の発射実験が行われました。高度2800kmに達するロフテッド軌道をとり、水平距離933kmを飛行しました。7月28日には2回目の発射実験が行われ、高度3700kmに達するロフテッド軌道をとり、水平距離約1000kmを飛行しました。火星14 の最大射程は1万kmに達するとみられています。

北朝鮮は金正日の時代からICBM としてテポドン2 を開発してきました。しかし、テポドン2 は発射台が必要な上に発射準備に時間がかかり、ICBM としては使えません。また、火星13 とよばれる別のICBM も開発していましたが、開発は進まず、計画はキャンセルされたとみられています。したがって、ICBM を保有することが必須の目標である北朝鮮にとって、火星14 の存在は非常に重要です。

火星14 のほか、火星13 も新しいICBM として開発計画が再開されている可能性がありますが、現在、北朝鮮が「ICBM に搭載する水爆の実験に成功」という場合のICBM は火星14 を指しており、金正恩委員長は一刻も早い火星14 の開発完了を目指していると思われます。火星12 の発射においても火星14 のためのデータを取得しているとみられますが、近い将来、火星14 の発射実験が行われるのは間違いないでしょう。

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