千葉県北西部の地震と首都直下地震
2021年10月7日22時41分頃、千葉県北西部で地震が起こり、埼玉県川口市・宮代町、東京都足立区で最大震度5強を観測しました。マグニチュードは5.9、震源の深さは75キロメートルでした。
首都圏の地下には複雑なプレートの構造があります。首都圏の地盤である北アメリカプレートの下に南からフィリピン海プレートがもぐり込み、さらにそこに東側から太平洋プレートがもぐり込むという3層構造になっているのです。
そのため、首都直下地震には、地殻の浅いところで起こる地震、フィリピン海プレートと北米プレートの境界で起こる地震、フィリピン海プレート内で起こる地震、フィリピン海プレートと太平洋プレートの境界で起こる地震、太平洋プレート内で起こる地震、フィリピン海プレートおよび北米プレートと太平洋プレートの境界で起こる地震があります。
今回の地震はフィリピン海プレート内で起きた地震でした。
今回の地震は、最大震度6強を記録した2005年7月23日の千葉県北西部地震とよく似ています。マグニチュードは6.0、震央は今回とほとんど同じ、震源の深さは73キロメートルでした。この時もライフラインの破損や交通機関の停止と帰宅困難者の発生、エレベーターでの閉じ込めなどが起こりました。
1980年9月25日にも、今回とほとんど同じ場所でマグニチュード6.1の地震が起こっています。この地域では、約20年の周期で同じ規模の地震が繰り返し起こるのかもしれません。
南関東では1703年(元禄16)に、マグニチュード8.5の地震が発生しています。こうした巨大地震は2000〜3000年の間隔で発生すると考えられています。元禄関東地震から220年たった1923年(大正12)に、大正関東地震(関東大震災)が起こりました。この地震のマグニチュードは8.2です。大正関東地震と同規模の地震は200〜400年の間隔で発生すると考えられています。
地震調査推進本部による長期評価によれば、今後30年間に元禄型関東地震が発生する確率はほぼ0%、大正型関東地震が発生する確率は0〜2%とされています。
現在、私たちが警戒しなければならないのは、次の大正型関東地震の前に首都直下で発生する可能性のあるマグニチュード7クラスの地震です。このクラスの地震が首都圏で起こった場合の甚大な被害想定は、すでによく知られているところです。また、1923年の大正関東地震では、地震発生の直前やそれより少し前の1884〜1885年に、マグニチュード7クラスの地震が何度も起こっています。
大正関東地震の直後以後、マグニチュード7クラスの地震は首都圏では起こっていません。唯一、1987年にマグニチュード6.7の千葉県東方地震が起こったのみです。
- 2021.10.08 Friday
- 地球科学
- 22:45
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- by Kazuo Terakado