IPCC報告書の政策決定者向け要約
IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第6次評価報告書第 1 作業部会(AR6/WG1)報告書(自然科学的根拠)の政策決定者向け要約(SPM)が発表されました。
ここ半世紀ほどの世界平均気温の上昇傾向は引き続き進行しています。下の画像の黒線が観測値です。青色は自然起源の要因のみを考慮した推定値、茶色は人為・自然起源の両方の要因を考慮した推定値で、世界気温の上昇が人為的要因によるものであることが分かります。
下の画像は、1850〜1900年を基準とした世界平均気温の今後を示す図です。AR6では5つのモデルによるシミュレーション結果を示しています。
すべてのシナリオにおいて、世界平均気温は少なくとも今世紀半ばまで上昇を続けると予測されています。このうちSSP1-2.6とSSP1-1.9は、今後数十年の間に二酸化炭素およびその他の温室効果ガスの排出が大幅に減少した場合のシナリオで、21 世紀末の気温上昇は、1850〜1900年を基準として1.5度Cおよび2度Cを超える程度になっています。しかし、最悪のシナリオでは5度C近い上昇となります。
今回の報告書で注目すべき点は、気候変動に対する人為要因の影響を評価するイベント・アットリビューションの検討結果が明らかにされていることです。
それによると、世界各地の極端な高温に関して、そのほとんどについて「人間の寄与の確信度」が高いと評価されており、近年の極端な高温現象に人為的要因が寄与していることが明らかになっています。一方、最近の大雨に関しては、多くの地域について「人間の寄与の確信度」は低いと評価されており、人為的要因がどれだけ寄与しているかについてさまざまな見解があることを示しています。
- 2021.08.09 Monday
- 気候変動・地球温暖化
- 21:39
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- by Kazuo Terakado