iPS細胞からつくった血小板が臨床研究へ

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    京都大学iPS細胞研究所は、再生不良性貧血の患者にiPS細胞からつくった血小板を輸血する臨床研究計画を発表しました。

     

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    厚生労働大臣に、この研究にかかわる再生医療等提供計画を提出されており、近い将来、臨床研究がはじまるとみられます。

     

    血小板は血液細胞の1つで、止血作用をもっています。外傷で大量に出血している場合や外科手術前、さらにはがんの化学療法時や再生不良性貧血の治療などで、患者に血小板が輸血されています。

     

    血小板を含め、医療の現場で使用される輸血製剤は、すべて献血に頼っています。しかし近年、献血者数は次第に減少しています。一方、高齢化が進む中で、今後必要になる血液は増加すると予測されています。厚生労働省の統計によると、2027年には、献血者不足のために、わが国で必要な輸血製剤の20%近くが供給できなくなると推定されています。これがいわゆる「2027年問題」です。特に血小板はそれ以前に不足する状況が来ると懸念されています。

     

    このため、iPS細胞研究所の江藤浩之先生のグループはiPS細胞で血小板を大量につくる方法の研究を進めてきました。今回の臨床試験では、この方法で作製した血小板を再生不良性貧血の患者1名に輸血し、輸血後1年間にわたって安全性の検証を行います。

     

    再生不良性貧血の患者の場合、血小板が不足してくると血小板輸血が行われます。しかし、免疫の型が合わないと血小板輸血不応になる場合があり、その場合、以後の輸血が難しくなります。患者自身の細胞からiPS細胞を作成し、そのiPS細胞から血小板をつくって輸血すれば、血小板輸血不応になることはありません。今回は、患者の末梢血単核球からiPS細胞を作製するとのことです。


    iPS細胞によるパーキンソン病治療が臨床試験へ

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      Parkinson’s Disease TreatmentGo for Clinical Trial with iPS Cells

       

      iPS細胞を用いたパーキンソン病治療の臨床試験(治験)が、京都大学で行われることになりました。京都大学からの正式な発表はまだありませんが、報道によると、iPS細胞からつくった細胞を数人のパーキンソン病患者に移植し、約2年にわたって安全性や効果を確認します。この治療に用いられる細胞は、京都大学iPS細胞研究所(CiRA)の高橋淳教授のグループによって作製されたものです。

       

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      パーキンソン病は脳内のドーパミンという物質が少なくなることにより、手足の震えやこわばり、体が思うように動かないなどの症状が起きる進行性の難病です。ドーパミンをつくっているのは、中脳の黒質という部分にあるドーパミン神経細胞です。この細胞が減ることによって脳内のドーパミンが減少し、パーキンソン病が引き起こされるのです。

       

      iPS細胞を用いたパーキンソン病の治療は、ヒトのiPS細胞からつくったドーパミン神経細胞を患者の脳に注射で移植することによって行われます。ドーパミンは黒質でつくられた後、線条体という部分に移動してから脳内に分泌されます。そこで、iPS細胞から作製したドーパミン神経細胞は、患者の線条体に移植されます。高橋教授は、これまでサルやラットでの実験で、治療の効果や安全性を確認してきました。

       

      パーキンソン病の原因はまだ分かっていません。病気が進行すると、患者は要介護や寝たきりの状態になってしまいます。iPS細胞による治療は、病気の根治を目的としたものではなく、減っていくドーパミン細胞を補充することによって病気の進行を抑えるというものです。この治療法が確立すれば、パーキンソン病の薬物治療との併用によって、病気の進行を食い止め、患者が不自由な生活を送ることを防ぐことができると期待されます。

       


      サルの体細胞クローン作成に成功

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        Chinese Scientists Successfully Clone Monkeys

         

        中国の研究チームがサルの体細胞クローンを作成することに成功しました。誕生した2匹(中中と華華)の写真が公開されています。

         

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        1997年のクローン羊「ドリー」にはじまり、これまで20種以上の哺乳類の体細胞クローンがつくられていますが、人間に近い霊長類の体細胞クローンの作成はこれまで成功しませんでした。

         

        『セル』誌に掲載された論文によると、中国科学院神経科学研究所のZhen Liuらは、以下のような方法でマカク(オナガザルの仲間)の体細胞クローンを作成しました。まず、クローンをつくりたいマカクの胎児から繊維芽細胞を取り出します。一方、別のマカクから未受精卵を取り出して核を除去し、これに繊維芽細胞を注入して、融合・活性化させます。この体細胞クローン胚を仮母となるマカクの子宮に移植するのですが、Zhenらはその前に、体細胞クローン胚をヒストン脱アセチル化酵素阻害剤トリコスタチンAの溶液に10時間ほど浸け、さらにヒストン脱メチル化酵素Kdm4d をつくるmRNAを胚に注入しました。

         

        体細胞クローン技術では、成功率の低さが大きな課題になっています。これは体細胞のDMAのメチル化が外れず、胚の初期化がなかなか行われないためです。そのため、Zhenらはメチル化を消去するため、トリコスタチンAKdm4dを使ったわけです。

         

        論文によると、こうして作成した79個のマカクの体細胞クローン胚を21匹の仮母に移植したところ、そのうち6匹が妊娠し、2匹のクローン(中中と華華)が誕生しました。

         

        Zhenらはマカクの成体の卵丘細胞についても、同じ方法を用いてみました。181個の体細胞クローン胚を42匹の仮母に移植したところ、そのうち22匹が妊娠し、2匹のクローンが誕生しましたが、短命に終わりました。

         

        この結果をみると、霊長類の体細胞クローン作成の成功率は低く、また、成体の体細胞ではうまくいっていません。まだ多くの課題が残っていることがわかります。

         

        Zhenらは、霊長類のクローンはがんやアルツハイマー病などヒトの難治疾患の治療法を研究するモデルとして有用であるとしていますが、アメリカやヨーロッパ、日本などでは、霊長類を実験動物として使う研究は、動物倫理の面からも制限されているのが現状です。霊長類のクローンを使わなければできない研究があるかどうか、疑問を呈する研究者もいます。実験動物としての霊長類をいたずらに作成することは、あってはならないことです。この点にいては、今後議論が必要と思います。

         

        今回の成功によって、ヒトのクローンを作成する技術に一歩近づいたことになりますが、この点に関しては倫理的な壁が高く、今のところ、人のクローンをつくろうと考えている研究者はいないといってよいでしょう。



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