新型コロナウイルス:発症初期あるいは無症状でも感染

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    新型コロナウイルスは発症初期あるいは無症状でも他人を感染させる可能性があることを、ウイルス量の解析で明らかにした速報が発表されました。

     

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    新型コロナウイルスが発症初期あるいは無症状でも他人を感染させるのではないかという指摘は以前からありましたが、『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』の219日付けオンライン版に、これに関して中国CDC(中国疾病予防コントロールセンター)で行われた感染者のウイルス量の解析結果が”TO THE EDITOR”として掲載されました。

     

    この解析は17人の新型コロナウイルスの発症者、およびウイルスに感染したが無症状だった1人について、鼻と喉からサンプルを採取して、ウイルス量の経時変化を見たものです。その結果が以下の図です。

     

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    黒い線が発症した人の喉のウイルス量、青い線が鼻のウイルス量です。これによると、両者とも発症時にすでにウイルス量が多く、その特徴は鼻で顕著です。さらにこの図は、発症以前に感染者の体内でウイルス量が増加しており、発症前に他人にウイルスを感染させている可能性があることを示しています。

     

    また、無症状のまま終わった1人のウイルス量も同じ傾向を示しました。すなわち、新型コロナウイルスは無症状でも他人を感染させている可能性があることを示唆しています。

     

    新型コロナウイルスがこうした特徴をもっているのではないかという点は、ここに書いた通りです。

     

    新型コロナウイルスはSARSウイルスに近縁ですが、発症してから数日経過してから感染能力が高くなったSARSウイルスとは異なる特徴をもっていることになります。こうした解析がさらに進み、新型コロナウイルスの感染プロセスが解明されることを期待したいと思います。

     


    新型コロナウイルス:今後はR0との戦い

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      日本国内でも感染が広がりつつあります。これからは基本再生産数R0(アール・ノート)との戦いが始まります。

       

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      基本再生産数R0とは、1人の感染者が何人にウイルスを感染させるかの数です。129日付の『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン』誌に掲載された中国の研究者による論文では、R02.21.43.9)とされ、WHOなどもこの数値を使っていました。しかし最近では、R0はもっと高い数値になるのではないかという論文が次々と発表されています。

       

      R0は感染者の置かれている環境や、どれだけ封じ込めや防護措置がとられているかによって変わってきます。R01.0以下にコントロールしなければ、ウイルスの流行は終息しません。新たな感染者が日本各地で発生し、感染ルートを追えないケースが増えている現状では、感染者をできるだけ早く発見し、症状が重篤にならないよう治療するとともに、他の人に感染させない措置を取ることが必要です。あまり適切な表現ではありませんが、モグラたたきゲームのように、感染者が日本全国どこにでも出現する可能性があることを前提に、感染者が発生すれば、すぐに適切な医療措置をとるという取り組みを続け、R0 1.0以下にしていかなくてはなりません。

       

      感染ルートが推定できる場合は、これまで取られてきた隔離ないし封じ込めの手段も必要です。感染症の専門家に中には、水際作戦でウイルスの侵入を食い止めることは不可能という理由(これ自体は正しい)から、政府のとってきた措置に批判的な方もいます。しかし、ここに書いたように、今回出現した新型コロナウイルスは、異常に感染性が高いという特徴をもっています。感染の可能性のある方を外部から隔離あるいはそれに近い措置をとることを今後も行わなければ、感染拡大を止めることはできないかもしれません。これまでの例でも、PCR検査で陽性が判明する前の段階で他の人を感染させている可能性があるからです。ウイルス感染直後はPCR検査をしても陽性にはなりません。

       

      インフルエンザ・ウイルスなどでは、潜伏期末期に体内でウイルスが急激に増加し、発症とともに飛沫などで他人を感染させます。しかし、新型コロナウイルスは、どうやら潜伏期と発症期の境界があまり明確ではないようです。ウイルスに感染してまもない時期から、体内ではウイルスが増殖し続け、症状がはっきり現れない段階で他人を感染させてしまうのではないかと考えられます。

       

      新型コロナウイルスがヒトの細胞に感染するメカニズムは、よくわかっていません。これまで知られているコロナウイルス(風邪のウイルスやSARSウイルス、MERSウイルス)の感染メカニズムと少し異なっているかもしれません。ウイルス自体が強力な感染能力をもっているのか、感染直後から他人を感染させてしまう特徴をもつために感染性が高いのかは不明です。

       

      日本でも医療従事者やクルーズ船で作業していた職員までが感染しています。ちょっとした不注意でも感染してしまうウイルスであるという認識が必要です。


      新型コロナウイルス:中国CDCが大規模サーベイ結果を発表

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        217日、中国CDC(中国疾病予防コントロールセンター)は新型コロナウイルス感染に関する重要なレポートを発表しました。

         

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        このレポートは211までに確認された44672人の新型コロナウイルス感染者のサーベイ結果です。その中で特に重要と思われるいくつかの調査結果を紹介しましょう。

         

        感染者の81%では症状はマイルドで、致死率は2.3%でした。感染者の男女比はほぼ1:1ですが、致死率でいうと男性が2.8%、女性が1.7%で、男性が少し高くなっています。

         

        注目すべきは高年齢で致死率が顕著に高いことで、80歳以上の致死率は14.8%です。また持病を持っていない人の致死率が0.9%であるのに対して、持病を持っている人の致死率も顕著に高く、心臓血管系の病気をもっている人の致死率は10.5%、糖尿病をもっている人では7.3%、慢性呼吸器疾患の人は6.3%、高血圧の人は6.0%、がん患者は5.6%となっています。

         

        新型コロナウイルスは感染性が非常に高い点も指摘されています。武漢市からはじまった感染は1か月でほぼ中国全土に広がりました。しかもそれは、武漢市を完全に遮断して隔離し、新年を祝う行事を中止させ、学校や職場に行くことを禁止し、多数の医師や公衆衛生の専門家を動員し、さらには軍の医療部隊の派遣や緊急病棟の建設など、非常に強固な対策が取られたにもかかわらず感染が広がったと指摘しています。

         

        感染性が高い点に関連し、これまで1716人の医療従事者が感染したことも報告されています。

         

        感染初期のデータからすると、武漢市の海鮮市場で動物からヒトへの感染が複数回おこり、その間にウイルスの変異が起こってヒト・ヒト間の感染能力をもつにいたり、爆発的な感染がはじまったという仮説が成り立つとのことです。

         

        このサーベイで最も重要な点は、新型コロナウイルスはSARSウイルスやMERSウイルスほど致死的ではないが、両者にくらべて感染性が非常に高いという点です。その結果、感染者数が拡大し、その中の高齢者や持病をもつ高リスク・グループで死に至る人が多くなり、結果としてすでにSARSを上回る死者数を出しているという点にあります。

         

        WHOのテドロス・アダノム事務局長はこのサーベイ結果を受けて、17日の記者会見で「新型コロナウイルスはSARSMERSほど致死的ではない。感染者の81%の症状はマイルドだ」と述べました。しかし、このウイルスが感染性が高い点について注意喚起することはありませんでした。世界中の人々の生命を守る国際機関の事務局長とは思えない発言です。

         



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